型月設定のお伽噺   作:linda

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最近は暇なのでどんどんいきます。



承、その一


ーーー日本、という名の付く極東の地に彼は来ていた。

 

桜が舞う春の季節。

街並みが桃色の花びらに染まるが、彼の眼に見えているのは黒色だけ。

というより眼を閉じているのでそもそも何も見ることはできない。

 

戒めのように「誰か」によって与えられた命令を彼は律儀に守っていた。

 

見えないが地形を理解することができる。

あらかじめこうなることを予想して「作り手」がインプットしていたらしい。

 

感じることができるのは半径五メートルあたり。

木や建物はただの障害物と認識しており、形まではつかむことはできない。

まるで3D映像かなにかだと彼は思った。

 

頬に何かがふれる。

足を止める。

何かわからず、首をひねる。

普通は花びらと気づくが、彼は何かがふれているとしかわからない。

 

眼を開きたい感情にかられるが、なにかに抑え込まれる。

 

 

ーーーここで、開いてはいけない

            それに、どうせ見えるのはあの汚い線だけだろ?

 

 

それは自分の声か、別の誰かか分からないが、馬鹿にされている気がして少しいらつく。

一生そんな惨めなままだと言われているようで・・・。

 

舌打ちをして、歩を進める。

 

 

しばらく歩いていると、人の、正確には女性の視線が自分に集まっていることに気付く。

視線がどんなものからであるかは彼のデータベースには存在しなかったが、彼には学習機能がついており、経験から女性たちと判断していた。

 

粘つく、甘ったるい、羨望、そんな視線。

この視線は、よく向けられてきたが、彼にはどんな感情からなのか理解することができない。

これもまた普通の人と彼との違いである。

 

彼は盲目のものならつかう白杖という棒を使っていた。

眼を開けずに歩くさまを昔奇妙に見られたからだ。

 

おそらくそれを見てのあわれみの視線だろうと思い、さらにいらつく。

 

 

足を早め、早々に立ち去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩きながら、ふと物思いにふける。

 

 

ーーー49

「誰か」を殺害してから、彼は作り手の意志に従って作品の殺害を行っていた。

 

 

魔術を使うもの。

至高の体術をつかうもの。

自分よりはるかに大きいもの。

逆に小さいもの。

 

つごう、48体。

彼は現在48体の作品の殺害を終えていた。

 

「作り手」は戦闘向きにもそうでないものも均等に製作しており、彼を100体目とするならちょうど50体ずつになるはずである。

 

介護をするもの。

発明をするもの。

研究をするもの。

 

様々なものがいたが彼が目覚めたときそれらを彼は感じることはできなかった。

処分されたか、逃げ出したのか。

他にもあるだろうが、彼は全く眼中になかった。

 

「作り手」の意志は戦闘向きの破壊。

それをのりこえた末に「作り手」の求める理想がある。

それが何かわからないが、この眼とあの頭痛が無くなるなら、と思い彼は作品の破壊を続ける。

 

殺した48体は感情を持っているものや、持っていないものがいて、ただ逃げ出せたから逃げ出したようだ。

逃げ出した先は広く、彼は世界中を飛び回った。

 

作品は人を殺しているもの、利用しているもの、されているもの。

様々にいたが、殺すことに抵抗はなく、ごく自然に、当たり前に殺した。

割り切るつもりもなく、罪悪感もなくただただ。

 

殺す時だけは眼を開くことができて、殺すために眼を開くのか、眼を開くために殺すのかわからなくなっていた。

 

いつのまにか彼は対作品専用の殺戮兵器となっていた。

 

 

大体の場所を把握してその土地で探す。

そうやって彼は今までやってきた。

直接相対しても分からないが、作品らしい挙動があるらしい。

 

 

最初のうちはそれで見つかっていたが、終盤、特に40体あたりから人間くさくなっていった。

自分が作られたということが作品たちにばれたらしい。

変わらず彼は破壊を続けてきたのだが。

 

 

大体の年月で考えて、彼は活動を4年ほど続けてきている。

彼は普通の人間ほどは活動でき、老いがこず、病気をしないことを除けば普通の人間だった。

 

そうして最後の49体目を求めて彼は日本へとやってきた。

48体目にかかったのが四か月だったので、今回は半年ほどを想定している。

 

 

 

ーーーあと一つ

 

 

あと少しで、至高になれることが、彼は待ち遠しかった。




もうすぐヒロインがきます。
一応、黒髪ロングというのが好きだったり・・・・。
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