暇人なんですよ。
ーーー色が見える。
空と呼ばれるものの青。
桜と呼ばれるものピンク、茶色。
草の緑。
住宅からは個性的いっぱいの色。
黄色い旗ってものや、ガードレールという白いもの。
全てが僕には新鮮で、走り回って、新しい色を求めた。
空がだんだんと変わっていく。
雲ってモノが見える。
雲はゆらゆらと空の中を動き、様々な形を作っていた。
時の流れを忘れて追い続けて、空が赤く染まりだした頃、緑いっぱいの景色を見つけた。
それは知識上、森と呼ばれるもので、奥には以前の視界と同じような黒がある。
森はそこそこ深そうで、中から、光の明るさはかろうじてしか感じられない。
あるのは緑と茶色、そして黒色。
ただよってくる雰囲気が足を止める。
体が行くな、と警告をかける。
それでも、ここを超えると何があるのかという好奇心で先へと進む。
警告されたら破りたくなるものだ。
木の幹にふれながら進む。
なるべくまっすぐ進もうとするが足が何度も止まろうとする。
それでも今の自分の好奇心に優るものはないと思った。
さっきまで見えていた木の幹が見えなくなってきている。
上を見上げると星というものが出ていた。
あまりの綺麗さに感嘆の声が出る。
過去の視界と被るほどの真黒。
それでも黒に輝く一点一点の光。
あの
雫は顔を流れて落ちていく。
満天とまではいかなくても、美しい星空。
誰もがこの程度を大したことない、と笑うだろう。
もっと田舎のほうが、と自慢するだろう。
それでも、僕にとっては特別で、初めてで、大切な星空。
この景色を一生忘れられないと思った。
歩く。
もはや、光なんて存在せず、ただ自分が思った方向に歩いた。
すると、50mほど先に視界が開ける場所が見えた。
走ってその場所まで行く。
走って、走ってその空間に感動する。
なんてことのないただの崖。
花が咲きほこっているわけではない、ただ一面雑草の地面。
それでも、先ほどのあの場所よりはたくさんの星が見れた。
歩く中、頭に引っかかることがあった。
この景色を知っている。
この場所を、さっきの森を。
景色を覚えているわけではない。
ただ、体がそこを歩いたことを覚えている気がした。
しかし、馬鹿馬鹿しいと切り捨てる。
第一、この場所を見つけたのは日暮れだ。
知っていたのならこの場所に真っ先に来たはずだろう。
ただの考えすぎだと割り切った。
それでもーーーこのおびただしい液体はなんなのか疑問に思った。
一面に噴水のように飛び散っているそれは鉄のような臭いがした。
そして、黒い、色がついていた。
飛び散っていた液体は自分の体にも張り付いていた。
粘っこく手に、服に、顔に。
いつの間についていたのかわからないそれに驚愕する。
必死で液体の広がる場所を探すと、それは自分の足元だった。
そして、液体の源泉のように足元に転がるのは、バラバラになった少女の肉片ーーー
「っ!?」
全てを理解し、絶望する。
おびただしく散っていたのはすべて血、血、血。
手についているのも血。
顔に、服に、靴に、髪に、全てついているのは血。
怯えた表情で源泉の姿を見る。
息が止まった。
とても美しい女だった。
自分のすべてがこの少女のすべてを至高と訴えた。
死して尚、美しい存在を初めて見た。
彼女の顔など覚えていないが。
服も、髪も、体も。
何も、色がついているものはわからかった。
覚えていたのは、線と形。
形で当てはまる女なんて山ほどいると思ったが、それでもこいつを殺したのは自分だ、と思った。
越えてはならない一線を越えたんだと理解した。
認めた瞬間、思考が有無を言わさず切れた。
「ーーーー」
何かに声をかけられ彼は眠りから覚めた。
戒めに無理矢理逆らって眼を開ける。
当然、星空も、草も、なにも見えなくて、今までのは夢だったのかと理解する。
それでも両手には血の感触が残っており、少女を殺したことが事実なんだと証明していた。
罪の意識に浸ろうとして何者かに声をかけられる。
「良かった、心配しました。
ずいぶん眠っていらして、声をかけても起きられなかったので」
夢の時のように時間が止まった。
信じられないことに顔が引きつり笑っているようになった。
ーーーだって
それは聞き間違うことのない、自分を助けてくれ、自分が殺したはずの少女の声だったからーーー
その4で少女を見た時の点が見えたところを削りました。
自分のミスでした。
なんども手直ししてすいません<m(__)m>
血が黒いのは暗さのためです。
ふつうに赤いです。