型月設定のお伽噺   作:linda

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今月から、大学生なので一人暮らしをはじめまして、時間が有り余っております。
バイト始めないと・・・・。


承、その六

「あ、う、、、え・・・?」

 

信じられないものを見て言葉がうまくつむげない。

のどに何かが引っかかってくる。

 

 

どうして?

どうして君が生きている・・・?

確かに殺したはずだ。

 

覚えている。

腕を、足を、肩を、全てをあの線をなぞって分割したはずだ。

見える線の全てを。

数え切れるものではない。

幾重に、幾重に、君を切り刻んだはずだ・・・っ。

 

それなのにーーー

 

 

 

「どうして、君は生きているんだッッ!?」

 

 

口から出たのはそんな言葉。

最低で、醜い。

相手のことなんて考えなかった。

考えられなかった。

 

彼女が生きているはずがなく、彼女の死は一生僕にのしかかってくるはず・・・。

そのことを知って、認めて、自分に絶望した。

 

 

覚えている。

君を、人を殺したくなかったこと。

頭が割れそうで、それでも懸命に走ったこと。

自ら命を絶とうとしたこと。

君の声が急にかかったこと。

意識が飛んで、君の体に指をなぞらせたこと。

 

全部、全部、全部、全部、全部ーーー

 

 

「全部覚えてるッ!

       君は、確かに、僕が、殺したはずなんだッッ!!」

 

ありったけの想いをぶつけても、彼女は困ったような声ででーーー

 

 

 

 

 

 

「どうしてといわれましても・・・。

      そうですね、私が化け物だからでしょうか・・・?」

 

そんなことを言ったんだ。

 

「え・・・?」

 

唐突な彼女の告白に僕はそんな間抜けな言葉しか発することができず、それでも彼女は話を続ける。

 

 

 

「この国に住む妖の一種で、不死身の妖怪が存在するんですよ。

 それらは寿命でも怪我でも一切死ぬことができず、死ねることといったら肉体全てを消されることくらいでしょうか・・・」

 

「私は、その種族の者です。

 私たちは普通の攻撃なんかじゃ傷一つつくことはないんです。

 これでもあなたに傷をつけられたことは凄く珍しいことなんですよ・・・?」

 

 

身の内を話す彼女の声は、上擦ったようであった。

嬉しそうな彼女が、もう少しだけ続ける。

 

「私の名前は、"ヨシノ"といいます。

 人の作った染井吉野という桜からきているんです。

 人間や人間のような心を持った者が大好きでこの街に住んでいます。

 

 私を殺した本当はとても優しい人、あなたのことを教えていただけませんか?」

 

 

 

 

唐突に自分に振られ、黙りこくっているが、彼女は何も言わずに待ってくれている。

予期していなかった情報が多すぎて止まっていた思考を無理矢理動かして言葉を紡ぐ。

 

 

「ぼ・・・、俺はある人物によって作られたホムンクルスという存在だ。

 人造人間という言葉くらい聞いたことあるだろう?」

 

思ったよりも普通の声が出たことに安心する。

未だ動揺はおさまってはいないが、彼女の礼儀にこたえることが先と思った。

 

俺の発言に少しだけ息をのんだ彼女の顔の形が上下に揺れ動く。

 

 

「ホムンクルスは体を人工的に作られ、操作された生命のことを指す。

 俺は起源という魂の持つ性質のようなものを死になるよういじられ、この眼を手に入れた」

 

浄眼という霊体などを見る目と合わさっている俺の眼は、蒼い瞳を持っている。

その瞳を改めて見たのか彼女が感嘆の声を上げる。

 

そんな様子を感じて嬉しかったのか声が上擦る。

 

 

「俺のこの眼は、直死の魔眼といって、正確には知らないがモノの死を表している線や点に触れることでそのモノを殺すことができる。

 君以外はね・・・」

 

俺の発言に彼女が嬉しそうな声を上げる。

笑う彼女の声はとてもきれいでーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー唐突に違和感を覚える。

 

彼女を、殺せていない・・・・・・?

それは、つまり何も殺していないってことで。

それはとても喜ばしいことのはずなのにーーー

 

 

 

 

ーーーズキリ

頭に痛みが走る。

ナイフを頭に差し込まれたような感覚。

 

 

ーーーグチャリ

痛みが強くなる。

差し込まれたナイフで頭をかき混ぜられているよう。

 

 

ーーー”   ”

もはや痛みが表現できない。

痛いということしか考えられない。

自分が塗りつぶされていく。

 

誰も殺していないってことは、痛みの解決になっていないこと。

 

飲み込まれる。

抵抗する暇もないくらい速く。

痛みに、衝動に。

 

 

ーーー殺しても死なないのなら、何度も、何度も解体できるではないかーーー

 

 

 

「がぁ、、あ、ああああああああ!!」

 

声を上げて抵抗する。

時間の問題だった。

比喩ではないほどにその速度は速く、早く。

 

駄目だ。

飲まれる、負けてしまう。

嫌なのに、心がこんなにも痛いのに。

彼女をまた殺さないといけないよいうことが耐えようもないくらい苦しい。

 

嫌だ。

嫌だ、嫌だ、嫌だ、いやだ・・・っ!!!!

殺したくない。

消えたくない。

 

 

 

助けて、だれか。

僕はーーー

 

 

 

 

ーーーーー死にたくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だいじょうぶーーー」

 

 

 

 

彼女に抱きしめられ、痛みが止まる。

彼女の声が、息が、感触が、視界に色を付ける。

 

開いた眼の風景が変わる。

 

満天とはいかない星空。

黒い線と点であふれていたけれど。

誰しもがごく自然に見たことがある星空。

 

 

これはまた夢なのかもしれない。

それでも、涙が止まらない。

 

顔を上げた彼女が見える。

 

彼女の体はバラバラになってなくて。

線は消えはしなかったけれど。

彼女が生きていることが嬉しくて。

 

その涙は、痛みが引いたことが嬉しかったのか。

世界が色で溢れたことが嬉しかったのか。

 

 

 

どうして痛みが引いたのか、どうして涙が出ているか、分からなかったけど、涙は延々と止まらない。

 

全てのことが嬉しくて。

世界の全てが美しくて。

彼女の全て愛おしくて。

 

 

僕はこの瞬間ーーー

 

ーーー恋というモノの意味を知った

 

 




会話がいっぱいだああああああ。
今までと違って、ちょっと表現が分からなくて困りました(笑)

てか、恋愛ってこんな感じでいいんですかね(-_-;)
ぶっ飛んだ設定なんでこんな感じでいかがすか・・・?


あと前の話に書いた「彼女が美しいから人が寄ってくる」的なのは別に魅了しているとかそういうわけではないです^^;
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