型月設定のお伽噺   作:linda

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大学の新歓に行ってきました。
酒飲んで酔っぱらって気持ち悪いです・・・。
あと先輩が多くて怖かったです。


承、その七

「あの、そろそろ・・・・・」

 

涙も止まり、だんだん気まずくなってきた時、彼女の照れくさそうな声がかかり慌てて体を離す。

顔が熱くなっていく。

見ると彼女も熱そうな真っ赤な顔をしていた。

 

 

「ご、ごめんっ!」

 

とりあえず謝っておく。

とっさに出た言葉が自分らしくなかったことに驚く。

幼くなったような、そんな雰囲気。

 

 

「い、いえ・・・。

 私のほうこそ急に抱きしめちゃったりしてすいませんでした!」

 

彼女が頭を下げる。

そんな仕草にも気品のような、美しいということが全てに当てはまるようだった。

 

「い、いや、大丈夫だ。

 こちらこそ、ありがとう」

 

照れくさく、彼女の顔を直視できなくて、言葉を返す。

子供っぽかったさっきの言葉を無理矢理元に戻す。

 

 

雪のように、病的なまでに白い肌。

透き通る黒髪は長く、腰まで伸ばされている。

華奢で庇護欲をさそう四肢。

あまり大きくなく、少し小さめの可愛らしい体。

 

自分の本能が告げている。

彼女は自分にとって最高の、理想の女性像だと。

他の評価なんていらない。

 

 

彼女と生きていけたら、どんなに幸せだろうーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッとして現実に戻る。

 

疑問が大量に浮かぶ。

 

何故頭痛が消えた?

色が、いや視界の黒が減ったのは何故だ?

どうして殺戮衝動が消えている?

何故生きたいっていう渇望を平気で出来る?

 

どうして、どうして、どうして。

 

 

頭をひねるが答えが見つからない。

ふと、彼女を見るときょとんと顔を可愛らしく傾けた。

 

 

「君は、僕に何をしたの?」

 

意を決して聞く。

言葉遣いを気にしている余裕がなかった。

 

思えば初めからそうだ。

 

長い間起きなかった生への渇望は彼女を見たときに起きた。

彼女を殺したと錯覚して頭痛が止んだこと。

最後に、この現状。

 

全て彼女が関係してる。

だから聞かずにはいられなかった。

彼女を責めるつもりは全くない。

感謝する気持ちしか起きない。

 

だけど知りたかったから、彼女の続きを待つ。

美しく小ぶりな唇を見つめる。

 

 

 

「えっと・・・、なんのことでしょう・・・・?」

 

彼女が困り果てて苦笑する。

本気で分からないさまがうかがえる。

 

考えてみれば当たり前だ。

いくら妖とはいえ、他人の体のことまで知っているはずがない。

感謝こそされど、問い詰められる筋合いはないはずだ。

 

 

 

「えっと、とにかく君は僕のことを救ってくれたんだ。

 それだけは言っておきたい。

 ありがとう、感謝してる」

 

とにかくそのときの気持ちを口にした。

素直に、自分の言葉で。

 

 

「そんな感謝なんて・・・。

 私はただ抱きしめただけです」

 

謙遜する彼女に気持ちを分かってもらいたい。

君はとてもすごいよ。

 

 

「君の顔がやっと見える。

 世界に色が満ちている。

 この景色は君が見せてくれたんだ。

 誇ってくれ、奢ってくれ。

 君は僕にとって素晴らしいことをしてくれたんだ」

 

ぼっ、と音がした気がした。

彼女の顔は真っ赤で、さっきの顔の何倍も熱そうだった。

 

照れさせられたことが不服なのか、彼女が唇を尖らせる。

 

 

「私のことはいいですから、その・・・、あなたのお名前を教えてくれませんか?」

 

「いつまでたってもあなたを呼ぶことができませんし・・・。

 それにここで別れる気、私ありませんよ・・・?」

 

「お茶の一杯くらい奢ってほしいものです」

 

 

 

 

彼女がそんなことを口にした。

 

嬉しかった。

彼女とここで別れたくなかったから。

それに彼女が同じことを思ってくれていたことも。

 

けれど、ここに問題が発覚する。

彼は自分に名前がないことに気付く。

 

誰にでも名前を呼ばれる機会なんて無かったし、「100体目」で作品には通っていたので必要性を感じなかった。

 

顔を渋くさせ、唸っていると彼女から声がかけられる。

 

 

「もしかして・・・・、お名前を持っていらっしゃらない、とか・・・?」

 

的確に的を射た答えに表情が固まり、悟られる。

醜態をさらしたと気づく。

羞恥心で心が埋め尽くされる。

 

それでも彼女は少しも憐れむような顔をせず、むしろ嬉しそうにこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「それでは私に名前をつけさせては頂けませんか?」

 

 

 

 

 

驚きの発言に面をくらっていると、彼女が悲しい表情になる。

そんな顔を見たくなくて、させたくなくて、

 

 

「ぜ、ぜひっ、お願いします!」

 

 

そう返すと彼女は一瞬で笑顔に変わり、お礼を口にして考えだした。

 

 

 

名前をつけられることを待つ。

それを経験する人間は恐らくこの国にはおらず、あたりまえに自分も経験はない。

なかなか精神的にくるものであり、それでもワクワクしてしまう。

 

 

彼女は僕に何を見出すのかな。

僕にどんな意味を込めてくれるのかな。

 

 

 

時間的に約一分。

思いのほか早く彼の名前が決まる。

 

やっぱりこれしかない、という彼女の声に彼の体が反応する。

頬を染め、照れくさそうに彼女が口にする。

 

 

 

 

 

「"ヒガン"、というのはどうですか・・・?」

 

 




べつにこいつはロリコンじゃないですよー。
あと作者の趣味でもないっすよ。





いや・・・・あながち間違いでも・・・・・・?




ヒガンは花の名前で、次でヨシノが語ると思います。
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