魔法少女リリカルなのは サイヤの魂を受け継いだ戦士 作:飴玉ベジット
そしてバトルはもう少しお待ち下さい。
龍也を乗せた車は海鳴温泉という旅館に向かっていた。
今回、旅館に行くメンバーには龍也をはじめとする石崎家、なのはたち高町一家、そしてアリサとそのご両親、和真の家族、すずか、すずかの姉の忍と2人の親、更に月村家のメイドのノエルとファリンがいた。
毎年この時期になると仲の良いなのは達3人の家族が集まり温泉旅行に行っているのである。そして今回からは龍也と和真の家族も参加することになった。
「あっ。龍也君だ。おーい」
なのはは龍也を見つけると、走って向かった。
「なのは!もう来てたのか?」
「うん!」
「あ!?この前、うちの前に来た女の人だ!」
智樹がなのはを指差して言った。
「あれ?龍也君。その子は?」
「俺の弟。ほら、お前も挨拶しろ」
頭を軽く叩いて、智樹に自己紹介させた。
「初めまして。石崎智樹です!」
ちょうど高町一家がなのはのもとに着いたタイミングで、智樹がペコリとお辞儀して自己紹介した。
「「可愛いー!!!」」
「んぎゃ!?」
智樹は、その可愛さにやられた美由紀と桃子に抱きしめられていた。
「お母さん…お姉ちゃん…」
この光景になのはは呆れてしまい、龍也も苦笑いしかできなかった。
その後、和真や他のメンバーとも合流し、男性陣は男湯に、女性陣は女湯の方に入ろうとした。すると、智樹が龍也の服の裾を引っ張っていた。
「ねぇ、兄ちゃん。なんでお母さん達と違うお風呂に入るの?」
「……お前もいずれわかるよ」
智樹の質問に曖昧な答えで返した。すると、念話でユーノが話しかけてきた。
”お願い龍也!僕も男湯の方にいかせて!!”
”どうした、ユーノ?そんなに慌てて。”
”女湯はどうしても嫌なんだ!一生のお願いだから男湯に連れて行って!”
こんなところで一生のお願いを使ってしまうほど必死にユーノに、龍也は思わず呆気にとられてしまった。
「(しょうがねえなぁ。……わかったよ。)なぁなのは。ユーノ借りてもいいか?俺も風呂入るからよ」
「えー、ユーノくん連れていっちゃうの?」
なのはの上目遣い、しかも目を潤せていたので龍也は一気に申し訳ない気持ちになり、返した方がいいのでは?とも思い始めたが、なんとかこらえた。
「ご、ごめん。でもしょうがないだろ?こいつが嫌がってるんだから。なぁ?」
「きゅ~」
ユーノも申し訳なさそうな顔をした。
龍也は男湯に駆け込み、脱衣所で服を脱ぐと髪を洗い体を洗い、大きな風呂に浸かる。ちなみに幸いというべきか今は近くに人はいない。
「はぁ〜……
「おじさんみたいだよ?」
ほにゃ~って感じで表情を緩ませる龍也を見て湯の入った桶に体を浸からせているユーノは苦笑気味に言う。
「だってさぁ、ここんところ戦いばっかりだったから、疲れが溜まってしょうがないんだよ。まぁ、俺は戦うのは結構好きだからいいんだけどさぁ」
「それは……」
それを聞いたユーノは思わず顔を背ける。
「おっと。謝んのは無しだぜ。疲れたって小言は出たけど、昨日も言ったように俺は戦うのは好きだから気にすんな」
「……うん」
「少しいいかな?」
「あっ、はい。」
そんな中、1人の男性が龍也のもとに来た。彼の名は高町士郎。なのはや恭弥、美由紀の父親だ。
「君が龍也君だね。少し話をさせてもらえないか?」
「い、いいですけど…って、なんで俺に名前を?」
「なのはから君の話は聞いていたからね。あ、恭弥は別の所にいてるから安心してくれ」
密かに怯えていたことは起きなさそうだったので、龍也は内心ホッとした。それに気づいてるのか、気づいていないのかは知らないが、突如士郎はなのはについて語り出した。
「あの子はね、どんな辛いことがあっても一人で隠そうとするんだ。僕たち家族も含めてね」
それは龍也も感じていた。なのはは自分はとんでもない無茶するのに、他人には迷惑をかけないようにしている。実際に魔法のことはアリサやすずかにも話してなかったし、この反応から見るとどうやら家族にも言ってなさそうだ。
(まぁ、俺の場合は、俺が勝手に首つっ込んだからしょうがないんだけどな)
自分が巻き込まれた原因を内心で自嘲しながら思い出してた龍也をよそに、士郎は思わぬ質問をした。、
「ところで君は、なのはのことをどう思っているんだい?」
その質問をされた龍也は顔を赤くしてしまった。
「…可愛くて魅力的な女の子だと思いますよ。そばで守ってあげたいくらいに…///」
「そうか……」
思わず出た呟きが聞こえたのかどうかはわからないが、士郎は龍也の反応から何かを察したような表情をする。
「これは僕の勘だが、君はなのはの隠し事について何か知ってるんじゃないのか?」
この言葉を聞いた瞬間、龍也はギクッとしていた。
「別に問いただそうというわけじゃないよ。ただ、もしよければ、これからもなのはのこと、頼んでもいいかい?」
「……はい!」
温泉に出た後、なのは達女の子組と合流して、みんなで館内にあるゲームコーナーで遊びまくった。
ゲームコーナーで楽しんだ後、夕食に時間になったので食事場に向かおうとした。その時、龍也は視線と殺気を感じたのでそちらに振り向いた。
「龍也君?」
「なにのぞき見してるんだ?用があるならこっち来いよ」
龍也が見ていた方角には、オレンジの髪の女性が現れた。
「驚いたよ。なんでわかったんだい?」
「お前から殺気を感じたんだ。それで何のようだ?俺達に恨みでもあるのか?」
「恨み、ねー。あるっちゃあるかな?……アンタ達だろ?うちの子にアレしてくれちゃってるのはさ……」
「え……?」
「……お前、何者なんだ?」
傍から見ても感じられる殺気。それを感じ取りなのはは思わず固まってしまい、龍也は警戒心を一気に上げて尋ねる。
「答える義理はないね、それにしても……そっちの男はともかく女の方は大した事なさそうに見えるねぇ」
「う……」
そう言われたなのはは言葉を失う。確かに龍也とリュートの戦いに割って入れる自信がなかったからだ。
「言い返せないって事は自覚はあり、か。まぁ子供は……痛い!!」
「アルフ。貴様、一体何をしている?」
女性が何か言おうとした矢先、誰かに頭を殴られた。
アルフと呼ばれた女性の後ろにいる人物が誰か分かると、2人は驚いた。何故ならその人物とは数日前に龍也と異次元の死闘を繰り広げたリュートだったからだ。
「いきなりなにすんだい!痛いじゃないか!」
「ふん!貴様が勝手にうろついていたからだろうが!」
「お……お前は…」
リュートは龍也とその近くにいる和真達を認識するとアルフの首根っこを掴んだ。
「あぅ!」
「この馬鹿が気に障るようなことを言ったのなら謝る。こいつは外国に住んでいる俺の親戚なんだが、こういった所は初めてらしいからな。つい調子に乗ってはしゃいでいるみたいなんだ。後でしっかりと説教しておくから、このくらいで勘弁してもらってもいいか?」
少しの嘘を含めて、龍也たちに説明と謝罪をした。
「さっさと戻るぞ!この馬鹿垂れが!」
「痛い痛い痛い!!お願いだから引きずらないで!」
リュートはアルフを引きずりがら、この場を去った。
”子供はいい子にして家で遊んでなよ、じゃあね。”
その言葉はアルフのものだった。
それを最後にリュートとアルフは視界から消える。
その場に残るのはアルフが残した魔力と殺気。
暫くの間立ち尽くす2人と1匹のもとに一歩引いたところから今までの様子を見ていた和真達が駆け寄って来る。
「何よ!あいつ!急に話しかけに来たと思えばなのはの悪口言って!性格最っ悪なんですけど!!」
「まぁまぁ、アリサちゃん。落ち着いて。さっきの男の人が説教するって言ったから。ね?」
アリサはさっきの女の態度にまだムカついていたので、すずかは落ち着かせていた。
(あの男の子がいるってことは、もしかして……)
なのはは、あの少年の隣にいた悲しげな目をした少女のことを考えてしまった。
一方で、龍也は和真に密かに頼み事していた。
「和真。悪いけど、アリサやすずか達のこと任せてもらってもいいか?」
「わかった。ところで、まさかあいつもか?」
和真の疑問に感づいた龍也は、コクっとうなずいた。
「ああ。しかも、俺と同じサイヤ人だ」
サイヤ人。その言葉を聞いて和真は驚いた。転生者が他にもいることは知っていたが、目の前にいてる親友以外にもサイヤ人がいるとは思わなかったのだろう。
「まじかよ。……無理はするなよ」
「わかった。って言いたいところなんだけど、こればっかりは約束できないな。あいつ、かなり強いから」
来るであろう、いや、必ず来る戦いに龍也は気を引き締めていた。
「まぁとにかく、みんなのことは俺に任せろ。だから、お前は思いっ切り暴れてこい」
「ああ。……いつも悪いな」
「気にするなよ。親友」
2人は、誰にも気づかれずに拳を合わせていた。
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