魔法少女リリカルなのは サイヤの魂を受け継いだ戦士 作:飴玉ベジット
今回はリュート対プレシアです。
それにしても早めに出せて良かった。
「バルディッシュが自動修復してる間に、母さんに報告にいかなくちゃ」
「フェイト……」
心配そうに見るアルフ。それを見たフェイトは儚げそうな笑みを浮かべた。
「大丈夫だよ。だって3つも入手したんだから、怒られはしないと思うよ」
それでも心配そうな顔をしているアルフ。そこでリュートが口を開いた。
「俺も同行してもいいか?」
「「え!?」」
「お前の実家に行くんだろう?この際だから、どんなところか気になってしまってな……駄目ならいいが」
フェイトはしばらく考えた。そして、
「わかった。じゃあ一緒に来てもらってもいいかな?」
リュートの提案にフェイトがのったので、アルフは更に驚く。
"ち、ちょっとフェイト!?リュートをあの鬼婆に会わせる気かい!?無関係のリュートとあいつを会わせたりでもしたら一触即発だよ!"
リュートに悟られぬよう、アルフは念話でフェイトに話しかける。
"うん…。でもよく考えたら、リュートを1人にするわけにもいかないでしょ?それに、リュートなら無理矢理ついてきそうだし……"
"そ、それはそうかもしれないけどさぁ……"
「念話で何を話しているかは知らんが、余計なことはするつもりはない。だから安心しろ」
と言ったリュートだが実のところ、彼にはどうしても行かなければならない理由があった。それは自身の為でもあると同時にフェイトの為に……そして、これから会うであろう人の為に。
フェイト達はマンションの屋上に立っていた。フェイトが目を瞑って座標を慎重に詠唱していく。
「座標位置固定完了。開け、誘いの扉。時の庭園、テスタロッサの主の元へ!」
次の瞬間、3人の足下に魔法陣が現れ、3人は光が消えると共に姿を消した。
~時の庭園~
魔法陣が現れて3人は時の庭園に到着した。
「着いたよ。ここが母さんのいる時の庭園だよ」
「じゃあアタシたちは行くから、そこで待っててね」
アルフが指さす方角にそれはまた大きく豪華な城があった。
「わかった。……気をつけろよ」
リュートは、2人を見送った。
フェイトは、目的地であるプレシアのいる部屋に着くと、ドアをコンコンと叩く。
「誰かしら?」
「フェイトです」
「入りなさい」
部屋の中に聞こえたプレシアに従いフェイトはドアを開く。そこには何やら狂気じみた雰囲気纏った女性がいた。彼女の名前はプレシア・テスタロッサ、ファイトの母親だ。
「フェイト。ジュエルシードはどうしたのかしら?」
「なんとか、3つ回収出来ました」
そういいフェイトはジュエルシードをプレシアに渡した。だが、プレシアの瞳は鋭いままだった。
「……聞き間違いかしら?持ってきたのは3つだけなの?」
「あ、あの、その……」
「私は全部持ってきなさいと言ったはずよ……?」
「あ、ああ…」
プレシアは椅子から立ち上がり、鞭の様な物を取り出す。
「残念だわ。フェイト、貴方にお仕置きをしなくちゃいけ無いとはね!!」
フェイトは思わず目を瞑る。
〜時の庭園・庭〜
「待つとは言ったものの、やはり暇だな。……フェイトとアルフには悪いが、少し探索させてもらおう」
リュートは城に辿り着くとドアを開けて、勝手に城の中を散策する。
ぶらぶらと城の中を歩いていくと、扉の前でアルフが膝をついているのを見つけた。
「どうしたアルフ?フェイトは一緒じゃ……」
フェイトの現在地を聞こうとした瞬間、アルフは突然リュートに抱きついてきた。
「離せ!急に抱きつくんじゃない!!」
「リュートォ……」
よく見るとアルフの体が震えており、その目には大粒の涙を流していた。
「どうしたんだ?」
にお願い…フェイトを………フェイトを助けておくれよ!!」
それを聞いてリュートの表情が変わった。
アルフを引きはがし、先ほどまで彼女が立っていた扉をエネルギー波を放ってぶっ壊した。その先には、鞭を片手にいかにも魔導師と言った服装をした女性と、ボロボロになったバリアジャケットを身に纏い吊されたフェイトの姿があった。
「フェイト!」
「……誰?」
リュートはプレシアを無視して、フェイトを拘束しているバインドを引きちぎった。
「フェイトッ!」
大慌てでアルフがフェイトを抱きしめ、女性を恨みの籠もった目で睨み付ける。
「プレシア!あんたフェイトの母親なんだろ!?何だっていつもこんな酷い仕打ちばかりするんだい!?フェイトはあんたのために一生懸命頑張ってきたんだよ!」
「あら?私はジュエルシードを全て集めてきなさいと言ったのよ。けどこの子が集めてきたのはたったの3個。お仕置きをして当然よ」
「このっ!」
アルフが動く前にリュートがアルフの前に立ち塞がった。
「リュートどきな!この女は私が…」
「………下がってろ」
リュートの顔を見た瞬間、アルフは自身の怒りが急速に冷めるほどゾッとした。それほどリュートは怒りを露わにしていたのだ。それも、今まで見たことないくらいに。
「コイツの相手は俺がする。お前は早くフェイトを連れて治療しに行け」
怒りに燃えるリュートに恐れを抱きながらも、アルフはフェイトを抱きかかえたままその場を逃れた。
「何かしら?あなたには用はないわ。早く消えなさい!」
「貴様はそうかもしれんが、俺は用があるんでな!!」
地面を蹴り、勢いよくプレシアに殴りにかかった。プレシアは、そのパンチを大振りの杖で受け止める。
フェイトは貴様の娘だろ?何故親が子供にあんな仕打ちするんだ?」
「何度も言わせないでちょうだい。この大魔導師であるテスタロッサの名を名乗っているのに、ジュエルシードを全部集めきれない使えない子に罰を与えたまでよ」
その言葉を聞いた瞬間、リュートは一旦離れ、大きめの気弾を放った。当然プレシアは防御魔法でその気弾を防いだ。
「それが親が子に対する態度か!?」
「あの子が使えないからいけないのよ。あの子は私の指示通りに動けばいい。私の願いを叶えればいい。ただそれだけの存在」
リュートはイラつく演技をしていた。何故なら転生者であるリュートは既に全てを知っていたのだ。
リュートは再度突進した。プレシアは再び防御魔法を展開して防いだ。
「そんなもの!ぶっ壊してやる!!」
リュートはお構いなしと言わんばかりにパンチとキックを連続で繰り返した。すると、彼のラッシュに耐えきれなくなってきたのか、少しずつ防御魔法にひびが入っていく。
「嘘でしょ!?」
「これでどうだ!!!」
気を込めたリュートのパンチが、プレシアの防御魔法を粉砕した。
プレシアは慌てて距離を取って大振りの杖を構える。
「フォトンランサー!!ファイアッ!」
大量のフォトンランサーがリュート目掛けて飛んでくる。
「それがどうした!」
臆もせずリュートは突進を仕掛けてくる。フォトンランサーの弾道を読みとって身体を捻ってかわし、かわしきれないモノは手で弾き飛ばす。
(あの歳であの身のこなし…明らかに実戦慣れしている。それに、私のフォトンランサーを簡単に弾くなんて普通じゃないわね。……でも)
「くらいやがれ!!」
リュートが攻撃を仕掛ける瞬間プレシアの口元が妖しく微笑む。
「私がただ闇雲にフォトンランサーを放っていたとでも思っていたわけ?」
次の瞬間、リュートの身体が空中で静止した。全身をライトニングバインドで絡め取られたのだ。
「な!?」
「フォトンランサーは罠を張るための目くらまし。いくら貴方に魔力弾を弾いたり、回避できたりしても、捕らえてしまえば無意味。」
杖に先をリュートに向ける。
「サンダースマッシャー!」
遠距離砲撃魔法をゼロ距離で当てる。
「他愛もないわね」
吐き捨てる様に背中を向けた瞬間、殺気を伴った視線を感じた。振り向いた先には、多少服が破けた程度の傷しか負っていないリュートの姿があった。
「そんな…ほとんどダメージを与えられてない!?」
「この程度でやられる俺ではない!」
「なら、これはどうかしら?フォトンランサー・ワイドシフト!!」
先ほどより大量のフォトンスフィアが形成され、リュートに狙いを定める。
「これで終わりよ!ファイアッ!」
無数のフォトンランサーが眼前に迫り押し寄せてくる。
「その程度!」
それをリュートは気弾を連射しながら特攻した。気弾と魔力弾がぶつかり合い、相殺すると同時に爆発した。
「そんな馬鹿な……!あっ!?」
驚くプレシアの顔にリュートの拳があたり、吹っ飛ばされた。
「サイヤ人は戦闘種族だ!舐めるなよ!」
プレシアが体勢を立て直すと同時にリュートを睨みつけようとしたがすぐに驚愕の表情になってしまった。何故ならリュートの両手のひらの間に紫色の光が集まっていたからだ。
「何なの……あれは……」
「くらえ!ギャリック砲!!」
プレシアはギャリック砲をギリギリの所で避けることができたが、行き場を失ったギャリック砲は、そのまま壁を破壊した。
「しまった!?あそこは!?」
(プレシアのあの反応……そうか!あの部屋は!)
リュートが壊した壁の向こうには、なにやら色々な装置やらが置いてある部屋があった。そして、中央にあったモノを見てリュートは驚いた。
(やはりそうか!)
中央に置かれたポットの中にフェイトと瓜二つ、だが、彼女よりも幼そうな女の子が目を瞑って浮かんでいた。
「私のアリシアに近寄らないで!」
プレシアが叫んだ。
「アリシア?」
「そうよ、その子こそ私の本当の娘、アリシア・テスタロッサよ。でも……アリシアは死んでしまった。……私はアリシアを生き返らせようと、ある生命創造研究を長年に渡って続けてきた。その結果誕生したのが…」
「それがフェイトだというのか?」
リュートの呟きに、プレシアはただ頷いた。
「そうよ。因みにフェイトと言う名はそのときのプロジェクトの名残よ」
だが、プレシアの顔は曇ったままだ。
「でも、姿形が同じでもあの子はアリシアではなかった…アリシアはもっと優しく笑ってくれた。アリシアはいつでも私に優しかった。…だから私はあの出来損ないを捨てて、アリシアを生き返らせると決めたの!」
「死人を生き返らせる?」
「そう!だからジュエルシードを集めて行くのよ!失われた技術が埋没されている約束の地『アルハザード』へ行くために、その技術でアリシアにまた会うた……」
「貴様の行動で、アリシアが喜ぶとは思えんがな」
プレシアの言葉を、リュートは遮った。
「確かに、死人を生き返らせることができるのなら、誰だってそうするだろうな。…だが、貴様のやり方は誰かを…ましてや妹とも言える人を傷つけている。そんな方法で生き返っても、あいつは喜ばないと俺は思うが?」
「黙りなさい!フォトン……うっ!ゲホッ!」
突然プレシアが苦しみだして片膝を着く。咳が出る口を押さえるが、その口と手には血が付いていた。
「な!?まさか……病気か!?」
「大魔導師と言えど、不治の病は治せない。私には、もう時間がない!」
このままでは確実にリュートにやられてしまう。そう思ったプレシアは力を振り絞って立ち上がろうとする。だが、その姿を見たリュートは構えをといていた。
「止めだ。病人を痛ぶるのは趣味じゃない」
「いいの?…私を殺すチャンスをみすみす逃して。」
「勘違いするな。俺はただ自分の信念に従って行動しているだけだ。それにここで貴様を殺したら、フェイトが悲しむだけだからな」
プレシアを無視して扉へ向かう。
「それともう1つ、今なら引き返せる。これを機にもう1度よく考えてみるんだな。何が貴様の本当の幸せなのか、何がアリシアの本当の幸せなのかを」
それだけを言い残してリュートは部屋を後にする。
残されたプレシアは半壊した部屋の中で腰を下ろし、ポットの中で眠るアリシアに目を向ける。
「アリシア……私は、間違っていたのかしら?」
〜時の庭園・フェイトの部屋〜
ベットの上で目を覚ましたフェイトの目に映ったのは心配そうな顔を浮かべるアルフであった。
「フェイト!目が覚めたんだね!」
「アルフ……?はっ!リュートは!?」
「俺ならここだ」
声のする方を見ると、リュートが壁により掛かっていた。
「リュート!大丈夫かい!?」
「心配するな。この程度、すぐ治る」
リュートの言葉を聞いてアルフは胸を撫で下ろす。一方、何故リュートが傷を負ったのかを知らないファイトは質問する。
「ねぇ、その怪我……どうしたの?」
この時、リュートはアルフに自分がプレシアと戦ったことは絶対に内緒にしろとアイコンタクトを送った。それに気づいたアルフは、コクッと頷いた。それを確認したリュートは、フェイトの質問に答えた。
「ここに来る際、たまたまトラップ部屋みたいなところに入ってしまってな。それでだ。ところでフェイト、もう動けるか?」
「うん。痛みも退いたし。もう動ける」
「そうか。なら帰るか」
「でも……きゃっ!?」
ベットから降りようとするフェイトを無理矢理背負った。
「え!?リュート!?///」
「用事は済んだのだろ?それに明日からはまたジュエルシード探しを再開しなければならんし、怪我もしているからな。今はゆっくり体を休めることだけを考えろ」
突然のことで赤くなるフェイトをよそに、リュートはそのまま来た道を戻る。
「ちょ!?ちょっと待っておくれよ!」
アルフもその後を追って行った。
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