魔法少女リリカルなのは サイヤの魂を受け継いだ戦士    作:飴玉ベジット

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ようやくこの作品にも評価が来ました!ヤングドーナツ様、高評価ありがとうございます!


第17話 久しぶりの我が家へ。決戦前の休息。

 

「……えっ?」

 

 友達になりたい、そう聞いた時フェイトは僅かに眼を見開いた。初めて会った時には傷つけ、さっきみたいな共闘する時はあれども、敵である自分にそんな言葉をかけられるとは思わなかった。

 

 だからこそ僅かに気が動転して言葉が中々出てこなかった。だが、それも少しの間だけの事。やがて気持ちは落ち着き、口を開く。

 

「わ、私は……!?」

 

 言葉を返そうとしたその時だった。フェイトは突如上空に眼を向ける。すると、彼女たちが目にしたのは……紫色に染まった空だった。

 

「おいおい、なんだよありゃあ……」

 

「(ちぃ!プレシアの奴め!)そんなことより、あいつらを守るぞ!」

 

「あ、あぁ!」

 

 リュートはいち早く飛び出し、龍也もそれに続く。

 

 リュートの中で嫌な予感がムクムクと膨れ上がっていた。あの紫色の空、元凶に心当たりがあった。そしてこれからしようとしている事も何となくだが察する事が出来た。

 

 だからこそ全速力で飛ぶ。だが、龍也とリュートの到着を待たずに紫の雷が落ちてくる。

 

「母さん……!?」

 

 雷はそのまま真っすぐにフェイトとなのはに襲い掛かった。

 

 だが。

 

「なのは!早く離れろ!」

 

「龍也君!?」

 

「どけ!フェイト!」

 

「リュート!?」

 

 ギリギリのところで間に合った龍也とリュートが自らの体を盾にする事で2人を守った。雷撃はそのまま2人に襲い掛り強力な電撃を流し込む。

 

「が、がぁぁぁぁぁっ!?」

 

「ぐぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

 

 

 やがて雷は止んで空は元に戻る。残ったのは体から黒い煙を出しながら何とか耐えきった龍也とリュートだった。

 

 なのはとフェイトはすぐに駆け寄る。

 

「龍也くん!?大丈夫!?」

 

「へ、へへ……な、なんとかな。……それよりも、なのはに怪我がなくて……本当に……良かった」

 

「リュート……リュート!しっかりして!」

 

「……そんな大声を出さなくても……聞こえている。俺は問題、ない。……それに、お前が無事なら、これくらい、安いもんだ」

 

 龍也はなのはに、リュートはフェイトに抱えられる。そうでもしなければ落ちていってしまいそうなほど酷い状態だった。

 

 一方でアルフはと言うと、ジュエルシードが集まってる場所へと向かっていた。

 

(リュート、ごめんよ……そしてありがとう。アンタの頑張りに応えるためにもジュエルシードは私が……!)

 

 かなり飛ばしたので、彼女の目と鼻の先にはジュエルシードがあった。アルフは手を伸ばす。

 

 今ならば止められる人間はいない、はずだった。

 

「……ッ!?」

 

 先程までいなかったはずの少年、クロノがアルフの手を止める。だがアルフは止まらない、止まるわけにはいかない。

 

 フェイトの願いのために、そして、身を挺してフェイトを庇ってくれたリュートのために、ここで止まるわけにはいかないのだ。

 

「邪魔を、するなぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 底力を発揮しクロノを吹き飛ばすアルフ。

 

 そして改めてジュエルシードを掴み取った。

 

「よし!……って、えっ!?」

 

 だが、アルフが手に取ったジュエルシードは3つだけしかなく、半分が消えていたのだ。

 

 そして、よくよく見れば、クロノの手には、ジュエルシードが3つあった。アルフは悔しさを滲ませた顔をしながら歯を食いしばり、叫ぶ!

 

「うあああああっ!!ぐうぅぅぅ……フェイト、撤退するよ!」

 

「う、うん……!」

 

 アルフが魔力弾を海に打ち付けて大きな水柱を発生させる。

 

 目を離した僅かな時間の間で、フェイトとリュート、そしてアルフの姿は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜アースラ艦内〜

 

 薄暗い室内でリンディは椅子に座っており、その隣にはクロノが立っている。そしてその視線の先、そこにはなのはとユーノ、そして体のあちこちに包帯が巻かれている龍也が正座をさせられていた。 暫しの沈黙の後、リンディが口を開く。

 

「私が言いたい事、分かりますね?」

 

「「「はい……」」」

 

 3人とも反省はしていたが、後悔はしていなかった。

 

「本来ならば私達の命令が出る前に動くのは約束に反しています、ですから本来なら厳罰に処すところです」

 

 リンディは一度区切ると、何故かため息を吐いていた。

 

「……だけど、困ったことにあの時龍也くんが言った事にも一理あるのよね。……ですので、今回の件は不問にします」

 

「「えっ!?」」

 

「い、いいんですか?」

 

 リンディの判断になのはとユーノが驚き、龍也でさえも聞き返してしまうほど驚いていた。

 

「えぇ。でも次からはせめて指示を出すまで待ってね?でないと、今度こそ厳罰を与えなきゃいけなくなるから」

 

 リンディの温情に、3人は「「「ありがとうございます!」」」と言って頭を下げる。

 

「さて、この話は終わりね。クロノ、事件の大元に心当たりがあるのかしら?」

 

「えぇ。エイミィ、頼む」

 

 リンディの質問に、今回の件でなのは達が不問になったことで少し不満を感じていたクロノは頷くと、エイミィに声をかけた。

 

「はいはーいっと」

 

 エイミィの軽い返事と共に映し出されたのは1人の女性の姿。それを見たリンディが反応を示す。それはこの女性について知っている証拠だった。

 

「プレシア・テスタロッサ。僕らと同じミッドチルダ出身の魔導師で専門は次元航行エネルギーの開発。偉大な魔導師でしたが……違法研究と事故によって放逐された人物でもあります」

 

 テスタロッサ、それを聞いたなのはは、海上でジュエルシードを封印した後、雷が降って来た時のフェイトの言葉を思い出していた。

  

「フェイトちゃん、あの時、母さんって言ってました……」

 

「親子、ね」

 

「でも……驚いてるよりも怖がってるように私には見えました……」

 

「ああ。もし、娘を大事に思っているのなら、娘もろとも稲妻を当てようとはしないはずだしね」

 

 なのははそう言うと俯き、龍也も状況を分析していた。ここまでの情報を整理しても普通の親子関係でないのは想像がつく。少なくとも何かしらの問題があるのは間違いない。

 

「エイミィ、プレシア女史についてもっと詳しいデータは出せるかしら?」

 

「はいはーい!すぐに探します!」

 

 そしてすぐに送られてきたデータの数々。だが家族などのデータは完全に抹消されていた。結局アースラはこの件を本局に問い合わせる事になったのだが流石に情報が届くまで時間がかかってしまう。幸いにも、フェイト達もあれだけ魔力を使い、リュートに至っては龍也と同様、プレシアの攻撃を喰らった以上は暫くは動けないだろうと言う事と、先程の一件もあるので、万が一に備えアースラのシールドも強化を施す必要がある事からリンディは決断を下す。

 

「貴方達も疲れたでしょう?一休みした方がいいわね。一時帰宅を許可します、ご家族や学校にも顔を見せておいた方がいいわ」

 

「は、はい!ありがとうございます」

 

「いやー!久しぶりに部屋のベットで寝れるー!」

 

「よかったね。2人とも。」

 

 こうして龍也となのはの一時的な帰宅が決定し、なのはと龍也は歓喜の声を上げ、隣にいたユーノも笑顔になる。

 

「ただし、私も同行させてもらうわね?」

 

「「「え?」」」

 

「もしかして……」

 

「リンディさんも来るのですか?」

 

 なのはと龍也の質問に、リンディは頷いた。

 

「えぇ、ご家族に色々説明する役割を担う人が必要でしょう?」

 

 というわけでなのは、ユーノは高町家に、龍也も自宅に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 〜同時刻、時の庭園〜

 

 なのは達が自宅に帰ってもいいと告げられていた間、フェイトは現在プレシアに報告していた。

 

「母さん……その………ジュエルシードを全部集められなくて、ごめんなさい」

 

「………もう良いわ。下がりなさい」

 

「母…さん?」

 

 今までとは違う反応にフェイトは戸惑った。そして、それが鬱陶しいのか、プレシアは怒鳴った。

 

「聞こえなかったの?…早く部屋から出て行きなさい!!二度も同じことを言わせないで!!」

 

 フェイトはすぐに部屋から出た。部屋の外ではアルフが心配する顔で待っていた。因みにリュートは安静にしなきゃいけないので、この場にいなかった。

 

「フェイト!大丈夫かい、あの女にまた酷い目にあってないかい!?」

 

「大丈夫…何もされてないよ」

 

 見たところ怪我をしているわけでもなかったのでアルフはホッと胸を撫で下ろした。

 

「アルフ…次の戦いだけど……」

 

「判ってる。ジュエルシードは私たちで全部貰うんだよね?」

 

 アルフは拳を鳴らしていた。

 

「待って。それもだけど……次の戦いでは私はあの娘とちゃんと真っ正面から戦いたい」

 

「えっ!?」

 

 だが、フェイトの言葉にアルフは驚いた。

 

「あの娘の言った言葉が今でも頭から離れないんだ。友達になりたいって言葉が。……だから、私もちゃんと真っ正面から向き合って、あの娘の事も知りたい」

 

「フェイト……」

 

 フェイトの目は本気であった。その目を見たアルフはため息を吐いた。

 

「わかったよ。でも、まずはそのことをリュートに言わなきゃだね。まぁ、あいつなら文句言わずに協力してくれるとはおもうんだけど」

 

「うん。……ごめんねアルフ。わがままな主人で」

 

 フェイトは申し訳なさそうに謝る。だが、アルフは首を横に振る。

 

「あたしはフェイトの使い魔なんだから、気にすることはないさね。なんならもうちょっと我が儘を言っておくれよ」

 

「うん」

 

 その後、拠点に戻ったフェイトはリュートになのはと1対1で戦いたいと言った。そして、リュートの返事は……

 

「わかった。もし邪魔するような奴が出てきたら、俺が片付けてやる」

 

 物騒ながらも、頼もしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~翌日~

 

 貸し切り状態の翠屋の店内には高町家と石崎家がいてた。

 

 そして、ここからがリンディの出番だった。

 

「あら、そうなんですか?」

 

「えぇ、そうなんですよ。なのはさん、とても優秀でとても助かっているんですよ」

 

「食料のほうは大丈夫ですか?なにせ龍也は他の人より多く食べるものですから……」

 

「大丈夫ですよ。龍也君、それ以上の働きをしてるので、このくらいたやすいものですよ」

 

『………』

 

 ペラペラと1割の真実と9割の嘘を上手く混ぜ合わせて桃子と由里香と喋るリンディ。その様と、あまりにも鮮やかな語り口に龍也達は呆然としていた。

 

(何か、色々と凄いね……リンディさん)

 

(俺、あんな流暢に嘘つける自信ねーわ)

 

(あそこまで上手く嘘つけるのって、ある種の才能だと僕は思うな……)

 

 結局最後までリンディは喋り続け、上手い具合にこの10日間の出来事を誤魔化した。そして、話を続けているうちにリンディは桃子と由里香とも仲良くなり、しまいには世間話をしていた。

 

 因みに余談だが、リンディに同行していたエイミィはというと…

 

「やったー!!」

 

「うわ!?智樹君、ゲーム強いね」

 

 久しぶりに兄である龍也に会えると知り、由里香についてきた智樹とゲームしていた。なにやっとんねん!とお思いの方もいると思うが、エイミィは智樹を一眼見るとすぐに抱きついてしまい、それを見たリンディは良かったら一緒に遊んであげなさいって言って今に至るというわけだ。尚、この光景を見た龍也となのはは、デジャブを感じたらしい。

 

 気づけば日も落ちかけており、母親同士の会話も一区切りしたので、今日はここで解散となった。

 

 「もしよろしければ、またお話ししましょうね」

 

 「ええ。そうさせてもらいます」

 

 「おねーちゃん。またねー」

 

 「うん。またねー」

 

 こうして、リンディによる事情説明は無事に終わり、リンディとエイミィはアースラに、石崎一家は家に帰った。

 

 

 

 

 

  ~翌日~

 

 龍也はいつもの修行場所に足を運んでいた。理由は勿論修行だ。これまでは150倍の重力下で修行してきたが、慣れてきたので今回から200倍に設定した。

 

 宮殿の外に出ると今までより体の負荷が凄く、思わず膝を床についてしまった。それでも、龍也は意地を見せて立ち上がった。

 

「リュートは、絶対に今もフェイトの側にいる……いつ戦いになってもおかしくない……だったら少しでも強くなっておかないと」

 

 龍也はそんな事を呟きながら拳を、蹴りを繰り出す。なのはを守るために、リュートに負けないように。その時、突然脳内からなのはの声が聞こえた。

 

 ”あ、龍也君。今少しいいかな?”

 

 ”ん?どうした?なのは”

 

 ”その……少し話がしたいの。2人っきりで”

 

 ”……わかった。ちょっと遅れるけど、すぐに行くわ”

 

 

 なのはの頼みを了承した龍也は、すぐに修行を切り上げた。

 

 

 

 

 

 なのはと念話を終えた後、龍也は体の汗を流して修業場所をカプセルにし、なのはが待っている公園に向かった。ベンチを見ると、なのはがいてた。

 

「悪い、もしかして結構待ったか?」

 

「ううん。そんなに待ってないよ」

 

 龍也もなのはの隣に座った。

 

「なんか、懐かしいな」

 

 「そうだね」

 

 そう、何を隠そうこの公園、2人が初めて会った場所なのだ。少しの間、感慨深くなっていた。

 

「それでなのは。話って何?」

 

「……私ね、小さい頃1人で居ることが多かったんだ。お父さんが事故にあって、お母さんは看病、お兄ちゃんとお姉ちゃんもお店の手伝いで構って貰いづらくて。寂しいのずっと我慢していたことがあったんだ」

 

 なのはは、誰にも話したことのない自分のことを龍也の前で口にする。その時のなのははとてもつらそうに見えたと後に龍也は語っていた。

 

「だから、あの時の私と同じ寂しい顔をしたフェイトちゃんを私は放っておけない。だから次にフェイトちゃんとあった時は全力でぶつかっていきたい!私の思いを全力全開でぶつけたい!」

 

 過去の自分と今のフェイトがそっくりだったのか、なのはとしてはフェイトを何とかしたいと思っているのだろう。

 

「それが、今のなのはのやりたいこと?」

 

「うん!」

 

 なのははしっかり頷いた。それを見た龍也は、笑顔で答えた。

 

「だったら、まずはアースラの人たちに相談だな。勿論、俺も協力するさ」

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