魔法少女リリカルなのは サイヤの魂を受け継いだ戦士 作:飴玉ベジット
早朝、なのはと龍也、ユーノは、海鳴臨海公園にいた。
ちなみに、アースラクルーは艦内で待機していた。
「…ここでならいいよ。出てきてフェイトちゃん!」
すると、フェイトとリュート、アルフが現れた。
「どうやら相手もお前をご指名しているみたいだ。……頑張れよ、フェイト」
「…うん」
「なのは。…わりぃ、気の利いたこと言えそうねぇや。……頑張れ!」
「うん!」
それぞれ
なのははレイジングハートを起動し、バリアジャケットを纏う。
「ただ捨てればいいって訳じゃないよね。でも、だからといって逃げればいいって訳じゃ、もっと無い」
なのははこれまでの戦いを振り返りながら、今の思いを再確認する。
「フェイトちゃんを助けたいとか…友達になりたいとか…沢山思ってることはあるけれど、まずはジュエルシードの問題を片付けないときっと私もフェイトも先には進めない」
ユーノとの出会い、フェイトとリュートとの出会い、龍也と共に戦ったこと、ほんの一時だがここまで来るのに長く感じたなのはは、レイジングハートの宝玉を見る。
「きっかけはきっとジュエルシード。だから賭けよう…お互いが持ってる全部のジュエルシード!」
レイジングハートがすべてのジュエルシードを排出した。続くようにバルディッシュもジュエルシードを排出する。
「それからだよ……全部はそれから。私たちは、まだ始まってもいない。だから…本当の自分を始める為に!」
なのははレイジングハートを構え、同時にフェイトもバルディッシュを構える。
「始めよう…最初で最後の……本気の勝負!!」
「……望むところ!」
今、なのはとフェイトの戦いの火蓋が切って落とされた。
「戦闘開始…かな?」
「あぁ…」
クロノとエイミィは、アースラの管制室にある巨大モニターで観戦していた。
彼女たちが戦っている戦闘空間は上空まで伸ばした2重結界の他に戦闘訓練用のレイヤー建造物で構築された街。誰にも見つからないしいくら壊しても構わないと言ったお墨付きであった。
「それにしても珍しいね。クロノ君がこんなギャンブルを許可するなんて」
「まぁ、今回の場合は勝敗はどう転んでも関係ないから許可しただけさ。勿論、なのはが勝ってくれるのが一番ベストなんだけどね」
「最大の不安要素のリュート君も、あの2人の決闘に乱入しなさそうでよかったよ」
「ああ。龍也の言う通りだったな」
この決闘の際に考えられる最悪のケース、それはなのはとフェイトの戦いにリュートが乱入することだったが、それは杞憂に終わったので、2人はホッとしていた。
「さて、なのはちゃんが戦闘で時間を稼いでる間に、フェイトちゃんの帰還先追跡の準備っと……」
「頼りにしているんだ。逃がさないでくれよ」
「了解っ!」
エイミィが進めている準備、それはこのジュエルシード事件を解決へと導くか否かが掛かっているまさに大事な作業だった。
勿論、クロノたちもなのはが勝つことを祈っているが、万が一なのはが負けてしまった場合、それでもジュエルシードを全て確保したフェイトは確実にプレシアの元へと帰還すると推測されるため、勝負の前後に逃走経路に徹底して網を張り帰還先を突き止め押さえ、事件の根本を解決できるはずだ。
つまりなのはとフェイト、どっちが勝っても管理局側がミスさえしなければ結果は事件の解決へと繋がるという訳だった。
最初は元気良く返事をするエイミィであったが、次第に顔が暗くなっていく。
「どうした?」
「本当になのはちゃん達に喋らなくて良かったの?プレシア・テスタロッサの家族のことも……あの事故のことも」
「……今はなのはを迷わせたくないんだ」
フェイトの斬撃をなのははレイジングハートで受け止めた。互いのデバイスがぶつかり合ってできた火花が、この戦いの激しさを語っている。
なのははフェイトの連続攻撃を何とかではあるが捌ききっている。
ただ接近戦でぶつかり合うだけでは埒が明かないと思ったのだろう。一旦距離をおいたフェイトの周囲には金色の魔力球が発生する。
「フォトンランサー……!」
だがなのはも負けてはいない。フェイトが魔力球を発生させるのとほぼ同時、桜色の魔力球がなのはの周囲に発生した。その数は、同じ。
「ディバインシューター!」
一瞬の睨み合いの後、2人は同時に叫ぶ。
「ファイア!!」
「シュート!!」
2人の間でぶつかり合う魔力球は弾け爆発し消え去る。その爆発を潜り抜けてフェイトは突撃。バルディッシュを鎌へと変形させてなのはに斬りかかった。なのははそれを回避すると、すぐに次弾を生成した。
「シュートッ!!」
「くっ……!」
フェイトは一旦距離を取り回避行動に移った。だが、ディバインシューターは誘導操作が可能な魔法だ。故に魔力球はどこまでもフェイトを追っていく。このまま逃げていてもしょうがないと判断したフェイトは方向を転換。あえて魔力球に突撃し鎌と化したバルディッシュで、自身に迫る魔力球の大半をを切断し、なのはに迫る。だが、それを予想出来ないなのはではない。
「……っ」
フェイトの一撃を防いだのは魔法陣型の防御壁だった。その名をラウンドシールド、プロテクションとはまた別の性質を持った防御魔法だ。
なのはは、先ほど放った魔力弾の一つをフェイトに向けて誘導させた。間一髪のところで気づいたフェイトは、魔力弾を切り裂く。だが、いつの間にかなのはの姿を見失ってしまい、慌てて辺りを見回した。
「てぇぇぇぇぇぇぇいっ!!!」
なのははフェイトの真上から突撃してきた。そのままなのはは、レイジングハートをフェイトの下に振り落とした。
「サイズスラッシュ!!」
が、フェイトも行動は早かった。バルディッシュを鎌の形態に変え斬撃魔法を発動させて迎え撃った。ガキィンと言う音が響くとともにぶつかり合う2人の杖。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
真っ向からの力勝負は、フェイトに軍配が上がる。
「くっ……」
なのはは吹き飛ばされつつも体勢を立て直した。
(なのは、本当に強くなったな。今のなのはなら、フェイトにだって勝てるはずだ。だから、自信持っていけ!)
(フェイト…今のあいつは今までよりはるかに強い。だから、格下と思わずに、お前の全力をぶつけろ!)
2人の戦いを見てた龍也とリュートは心の中で応援しながら、真剣な眼差しで見ていた。
フェイトはなのはの隙を突き切りかかるが、なのはは間一髪回避する。しかし、なのはが避けた先にはフェイトが事前に仕込んでいたフォトンランサーが待ち構えていた。
「ファイア!」
フェイトの掛け声とともに次々とフォトンランサーが発射された。なのはは必死に回避しつつ避けきれないものはラウンドシールドを展開して防いだ。軌道を変えられた魔力球が何発か海に落ちて爆発、大きめの水柱を発生させる。互角、まさに一進一退の攻防だった。
(強い……!)
フェイトは困惑し、焦りを隠せないでいた。何故ならこの勝負、心のどこかで勝てると思っていた。
フェイトにとってなのはというは才能はあれど魔法を手にしたばかりの素人だったからだ。実際、これまで戦ってきた時は才能はあれどまだうまく制御ができず、戦闘経験も少ない初心者という印象が大きかった。
だが、今は違う。なのははこの一月近くの間に必死に訓練を積んできた。それだけではない、目で見た物やクロノや他の魔導士から学習して様々な魔法を身に着けて来た。もはやなのはは、ただ魔法の才能がある素人なんてものではなかった。それをフェイトは身を持って体感していた。
(初めて会った時は、魔力が強いだけで戦い慣れてないただの素人だった。でも、今はもう違う。この短期間でここまで強くなってるなんて。……迷ってたら、こっちがやられる!!)
なのはを素人ではなく、1人の魔導士と改めて認識したフェイトは、自身の足元に巨大な魔方陣を展開した。それと同時にフェイトの周りに無数の魔力弾が生み出される。これに危機感を感じたなのはは即座にレイジングハートを構えようとするが
「えっ!?」
なのはの両手足がフェイトのライトニングバインドによって拘束され、動くことができなかった。
フェイトが何をするのか気づいたアルフは、つい叫んでしまった。
「ヤバイよ!フェイトは本気であの子を潰す気だ!!」
「なのは!僕が援護に「駄目だ!」なんで!?」
それを聞いて助けに行こうとしたユーノを、龍也は止めた。
「これはなのはとフェイトの戦いだ。俺達が手を出しちゃいけないんだ」
助けに行きたいのは龍也も同じだ。それでも、なのはの意思を尊重するために彼は必死でこらえていた。
「それに、横を見てみろよ」
「え?」
ユーノは、龍也が指を刺している方角を向いた。すると、リュートが手に気を溜めていた。
「そういうことだ、フェレット人間。もし貴様があの戦いの邪魔をするというのなら俺は貴様をここで殺すことになる。無論、何処かで隠れているであろう管理局とやらの連中もな」
「それはあんたも同じだぞ。2人の決闘に余計なちょっかい出すってんなら、俺は容赦なく叩きのめす」
2人の発言にユーノもアルフも言葉を失っていた。
釘を刺した2人は、なのはとフェイトが戦っている場に目を戻した。そこでは、フェイトの周囲に次々と魔力弾が形成されていた。
「アルカス・クルタス・エイギアス、疾風なりし天神、今導きの元、撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル……」
詠唱を続けるフェイト、その間になのははバインドを破壊しようと色々試しているが、その前にフェイトは詠唱を唱え終えてしまった。
「フォトンランサー・ファランクスシフト!撃ち砕け!ファイア!!」
フェイトは無数のフォトンランサーを放つ。そして、それはバインドで拘束されていたなのはに次々と直撃した。
そして、とどめと言わんばかりにフェイトは残ったフォトンランサーを全て集め、巨大な槍のような形をした魔力弾を形成した。
「スパーク……エンド!!!」
そしてそれをなのはの方に一直線に飛ばした。その後、大爆発が起こった。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
フェイトは今の技で体力を消耗し、膝をつきそうになるが堪える。
(やった……勝った!)
自分の勝利を確信したフェイト。だが、煙が消えてそこにはバリアジャケットがボロボロになりながらもフェイトの攻撃を耐えたなのはがいた。
「そんな!?」
フェイトは愕然とした。自身の最大の必殺技とも言える攻撃を、なのはは耐えたのだからだ。
「たはぁー!撃ち終わるとバインドってのも解けちゃうんだね……」
なのははここから反撃と言うように、レイジングハートを構える。
「今度はこっちの番だよ!!」
レイジングハートの先端が砲台のような形へと変わると同時に魔力が収束されていった。
「ディバイン………バスタ―――!!!」
なのはは特大のディバインバスターをフェイトに向けて撃った。
「くぅ…!」
フェイトは咄嗟にてラウンドシールドを形式して受け止めた。だがその威力を完全に殺しきる事は出来ず、フェイトのバリアジャケットは、マントは、左手はボロボロになっていく。
「(でも、あの子も耐えたんだ。だから私も耐えてみせる!)はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
フェイトは意地になってなんとか防ぎきった。安堵の息を吐くいたのもつかの間、次の瞬間キラキラとピンク色の燐光が周囲に浮かんでいるのに気づいた。
「フェイトちゃん、受けてみて……ディバインバスターのバリエーション!!」
なのはの足元に大きな魔法陣が生成され、そこに魔力が集まっていき、上空には大きな魔力球が作り出されていく。これはなのはの魔力だけで出来る所業ではない。ではなぜできるのか、それはなのはは周囲の魔力をもかき集めていることができる
「(あれはまずい……なんとしても避けないと!)……えっ!?」
なのはの攻撃が危険だと本能的に察したフェイトは砲撃を避けようとするが、いつの間にか両手が桜色のバインドによって拘束されてしまい、身動きが取れなくなっていた。
「いつか間に!?」
「これが私の全力全開!!」
「スターライト!!ブレイカ―――――!!!!!」
なのはが杖を振り落とすと同時に、フェイトに向けて放たれる強烈な砲撃、スターライトブレイカーが放たれた。
フェイトは残り少ない魔力を全て使ってラウンドシールドを5層展開したが、あっさりと破られ、桜色の光に飲み込まれてしまった。
魔力がほぼ0に近いうえにスターライトブレイカーの直撃を受けたフェイトは気を失い、そのまま海に落下していく。だが、フェイトが着水する直前にリュートが受け止める。
「うっ、うぅぅ……」
「大丈夫か?フェイト」
リュートの手の上で目を覚ました。
「リュート……えっ!?///」
フェイトは今の自分がリュートにお姫様抱っこされていることに気付くと顔を真っ赤にする。
「どうしたんだ?」
「な、何でもないよ。///…それよりごめん。私、負けちゃった……」
「なぜ謝る?」
「え?」
自分が思っていたのと違う返答がきたことに驚くフェイトをよそに、リュートは自分が思っていることを言った。
「結果はともあれ、お前は全力を出して戦った。少なくとも、俺はお前を責めるつもりは毛頭ない。……よく頑張ったな」
「リュート……」
リュートの優しい笑みと発せられた言葉に、フェイトは思わず泣いてしまいそうになってしまった。
「あっ」
同じく魔力を使い果たしたなのはが、バランスを崩して落ちそうになった。
「おっと。大丈夫か?」
その瞬間、今度は龍也が瞬間移動ですぐになのはの下へ向かい、抱きとめた。
「あっ、龍也君」
「お疲れ様、なのは。すっごい頑張っていたな」
龍也は称賛したが、なのはは首を横に振った。
「ううん。龍也君やみんなが手伝ってくれたから、勝てたんだよ。ありがとう」
「確かに俺達は手伝ったけど、やりきったのはなのはだろ?もうちょっと自分に自信もっていいんじゃないか?」
「そ……そうかな?」
「そうだぞ」
なのはは首をかしげたが、龍也はそう言った後、2人はクスっと笑いあった。
「ねぇ龍也君。フェイトちゃんの所まで連れてってくれない?思った以上に魔力を使っちゃったみたいで……」
「わかった」
龍也はなのはを抱えたまま、フェイトとリュートの傍まで移動した。
「…ごめんね…大丈夫…?」
なのはが心配そうに声をかけると、フェイトは不安そうな顔でなのはの顔を見る。フェイトはこの時、改めて自分が負けたことを理解した。
「平気、少し休めば多分大丈夫だと思う」
「そっか、良かった。……ところでフェイトちゃん。この勝負、私の勝ちでいいよね………?」
「うん……そうだね……」
戦いが終わり、静かなひと時が流れる。
だが、そのひと時を潰すかのように、突如公園の中心に稲妻が落ちた。稲妻の光に全員が目を閉じる。その際に、フェイトが持っていたジュエルシードが全て奪われた。
その後、遅れて出てきたもう1つの雷が、フェイトとなのはのところに落ちてきて、当たるかと思われたが…
「高町!フェイトを頼む!龍也!貴様も手伝え!」
「おう!」
リュートはなのはにフェイトを預けた後、龍也と共に雷の前に立つと、同時に超サイヤ人に変身した。
「「はぁ!!」」
龍也とリュートは雷の方に手を出し、バリアを形成した。そのおかげでフェイトもなのはも無傷だった。
「魔力発射地点特定っ!空間座標…確認っ!」
「転送座標セット!いつでもいけます!」
エイミィ達オペレーターの活躍によってプレシアのいる時の庭園の座標を特定することができた。
「突入部隊、転送ポートから出動。任務はプレシア・テスタロッサの身柄確保です!」
『了解!』
アースラの武装兵が次々と時の庭園に転送された。それはつまりクロノ達の作戦は成功したというわけだ。
<外部からの転送反応、及び庭園内に侵入者を確認>
目の前にスクリーンに転移してきた管理局の武装隊の魔導師が屋敷に向かって突入してくる。
「くっ!……これ以上の次元跳躍魔法は無理ね……ガハッ!」
口から吐き出た血が床を汚す。ボロボロになった身体を引きずりながらプレシアは自室へ向かう。
小話 スターライトブレイカー誕生
ある日、なのはは龍也と模擬戦をしていた。一応制約として超サイヤ人にはなっていないが、それでも龍也が優勢だった。
(そうだ!これを機会に新技の練習しよう!)
「行くよ龍也君!ディバイン・バスター!!」
なのははディバインバスターを放ったが、それを龍也は余裕で回避した。
ディバインバスターによってできた煙を切り裂くように吹き飛ばした龍也。だが、その上にはなのはがレイジングハートを空に掲げながら魔力を収束させていた。
「やば!あんなんくらったら怪我すんのは避けられないぞ!?とにかく今は……なっ!?」
急いでこの場を離れようとした龍也だが、いつのまにか龍也の足がバインドによって固定されていたので、身動きが取れなかった。
「いくよ龍也君!私の新必殺技!!」
「(壊せるけど、その隙にあのやばそうな砲撃をくらっちまう……だったら、正面から迎え撃つ!)かぁ~…めぇ~…はぁ~…めぇ~…」
龍也は対抗しようとかめはめ波の体勢を取り、気を溜めた。
「スターライト!ブレイカ―――!!!」
「波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
なのはのスターライトブレイカーと龍也のかめはめ波が同時に放たれた。だが、競り合うことなくかめはめ波は、あっさりとスターライトブレイカーに貫かれた。
「嘘だろ!?」
かめはめ波を打ち破ったスターライトブレイカーは、あわてて防御態勢に入った龍也を飲み込んだ。
「なんじゃそら…」
龍也は黒焦げになって倒れた。
「わー!!龍也くん!ごめん、大丈夫!?」
なのはは慌てて龍也の下へと向かった。
そういえば、ドラゴンボールの新作映画に、本作でリュートのCV(イメージ)の神谷浩史さんが出るそうです。前作のブロリーはフェイト役の水樹奈々さんが出てたので、なんか不思議な縁を感じました。(勝手に色々ほざいてすいません。)
最後に、私が小説を書き始めて早くも1年が過ぎました。これまで自分の小説を読んでいただきありがとうございました。
当初はISの方だけを書く予定だったのですが、いつの間にかこのDB×なのは、このすば×スクライドを書いていました。人生って、何が起こるかわからんもんなんですね……
来年もおそらく、亀更新ばかりするであろうクソ作者ではありますが、引き続き読んでくれたら幸いです。では、良いお年を。