魔法少女リリカルなのは サイヤの魂を受け継いだ戦士 作:飴玉ベジット
武装隊の局員を転送し終えた直後、なのは達がアースラに帰還していた。そこにはフェイトとアルフの姿があった。
帰還早々にリュートとフェイト、アルフの3人には手枷が付けられる。
そしてそのまま3人を連れて龍也達はリンディのもとへとやって来た。
そこには映像が映し出されていた。
3人にはそれだけで理解出来る、そこがプレシアのいる時の庭園であると。
それもそのはず。今、武装局員達が時の庭園に乗り込み、プレシアを確保しようとしている真っ最中なのだからだ。
直ぐさまブリッジに上がり、フェイトとアルフはリンディと対峙した。
「貴女がフェイトさんね?」
「は、はい……」
「現在局員が貴女のお母さんの元へ向かっています。今回の事件の首謀者は、プレシア・テスタロッサで間違えありませんね?」
「………」
リンディは優しい声音で尋ねるも、フェイトは何も答えなかった。
<玉座の間にて、プレシア・テスタロッサを発見!!>
気まずい雰囲気の中、突入した武装兵の報告を聞いたフェイト達は、目の前にある画面一杯にある巨大モニターの方を振り向いた。そこには玉座の間の様子が映し出されていた。数多くの局員に囲まれているにも関わらず、プレシアは一切動じた様子は見せない。
〈プレシア・テスタロッサ!管理法違反の疑いで、貴方を逮捕します!〉
〈……………〉
武装局員の一人がプレシアの罪状を述べ、囲んでもプレシアは眉一つ動かさずに佇んでいる。
〈な、何だここは?〉
〈隠し通路?〉
「!?」
プレシアの背後に回り込んだ管理局の武装兵は、不自然に開いてる穴を見つけ、疑問に感じた。そして……見つけてしまった。
その瞬間、リュートは焦りの表情を見せてしまった。彼はその部屋の秘密を知っているからだ。
「やめろ!部屋の中を映すな!」
「……もしかして知ってしまったのか?フェイトの出生を」
「私の、……出生?」
そこに映し出されたのはフェイトと同じ容姿をした幼い少女、アリシアの遺体が入ったポッドがあった。
「えっ!?」
「はあっ!?」
「フェイトちゃん!?」
この事実を知っていたリュートを除いた全員が驚いた表情をしていた。
〈あら、その声はリュート……なるほど、という事は見ているというわけね〉
通信から声が届いたのか、リュートの声を聞いたプレシアは狂気の渦巻いた冷たい笑みを見せた。
それだけでこれから彼女がやろうとしている事が碌でもない事であるというのは想像がつく。
〈もう時間がないわ……たった10個のジュエルシードでどうにか出来るかは分からないけど……もういいわ、そろそろ終わりにしたかったもの、アリシアを失ってからの暗鬱な時間も、そこにいるであろう人形を娘扱いするのも〉
「……っ」
フェイトの肩がビクリと震えた。
人形、その言葉がどうしようもなく胸に刺さる。
〈聞いているのでしょう?あなたの事よ、フェイト。折角アリシアの記憶をあげたのに見た目が瓜二つなだけで中身は別物の役立たずなお人形〉
プレシアの言っていることがわからなかい龍也達、そこでエイミィは語りかけた。
「最初の事故の時……プレシア・テスタロッサは娘であるアリシア・テスタロッサを亡くしているの。彼女が最後に行っていた研究は使い魔を超える人造生命を作り出す研究、死者蘇生の秘術、その名も開発コード“F”……正式名称はプロジェクト
それを聞いたフェイトは俯く。分かった、分かってしまった。母が冷たかった理由も、あのアリシアという少女が何者なのかも。他の面々もそうだ、だが言葉は発せなかった。
〈あら、よく調べたものね。流石は管理局、その通りだわ。……確かに私はアリシアを生き返らせようと色々な実験を行ったけど、駄目だったわ。所詮造り物は造り物でしかない。失った者の代わりにはならなかった〉
「あ……あ……」
フェイトの眼から涙が零れる。
これ以上は聞きたくない。そうは思うが耳は防げない。何故だか体が動かすことも、やめてと声を発することもできなかった。心が切り裂かれていく、一言一言が鋭利な刃となってフェイトを苦しめる。
〈フェイト、やっぱり貴女はアリシアの偽物よ〉
「……」
〈最後に教えてあげる、フェイト……私はね〉
「もう……もうやめて!」
なのはは叫ぶも、その声はプレシアは勿論、フェイトにも届かない。
プレシアはニヤリと笑って最後の言葉を吐き出した。
〈貴女を作り出してからずっと……貴女の事が大嫌いだったのよ〉
「……ッ!」
フェイトが崩れ落ちた。
慌ててなのは、ユーノ、アルフが駆け寄り声をかけるも、フェイトの眼は虚ろで、アルフの声にさえ反応を示さない。
その言葉はフェイトの心に深く突き刺さった。
〈アリシアさえ生き返れば、貴女は用済みになる……はずだった〉
先程まで狂人のような笑みを見せていたプレシア。だが、急にその鳴りを潜めた、
〈でも……あの時、リュートの言葉で迷いが生まれた〉
そう、プレシアは、以前リュートが言い放った言葉が、彼女を悩ませていた。
もし、本当にアルハザードでアリシアを生き返らせたとしても、これまでやってきたことを知ったアリシアは自分を好きでいてくれるだろうか?そんな自分を在りし日のように大好きな母だと思ってくれるのだろうか?
彼女は悩みに悩んだ。そして、彼女は1つの答えを導き出した。
〈私が出した答え、それは全ての罪を被って……娘のフェイトを生かす。それが私が最後に母として…アリシアの妹を守るためにする最後の仕事よ。フェイト、私のことは恨んでも構わないわ。私は……罪を被って最後の可能性に縋り付く!〉
その瞬間、時の庭園が揺れ始め、次々とロボットの様な傀儡兵が召喚されてゆく。
「何が起こってる!?」
「内部に魔力反応を多数確認!いずれもAクラス!総数は60、いや80……まだ増えています!」
「なんだって……!」
オペレーターの報告にクロノは呆然とする。
Aクラスの敵が少なくとも80以上、しかもこちらの戦力は先ほどプレシアによって倒されてしまったため僅か。
状況は絶望的だった。
さらに追い打ちをかけるように艦が揺れる。
「今度は何だ!?」
「次元振です! 規模は中規模以上!」
「ジュエルシード10個の発動を確認! 次元振さらに強くなります!時空に歪みが生じる可能性も……!!」
「くっ……転送可能距離を維持したままで影響の薄い空域に移動して!」
リンディの指示が飛ぶ。ブリッジが慌ただしくなって来るのを余所に、アルフはリュートの胸ぐらを掴んだ。
「リュート!あんたは全部知っていたのかい!?フェイトの生まれも……あの女の目的も!!」
「ああ………済まない」
「済まない、じゃないだろう!」
アルフは怒りに任せて、リュートの顔に鉄拳を喰らわせようとしたが、その手を龍也が止めた。
「!?なんで……なんで止めるんだい!?」
「アルフはさ、このことを先に知ってたらフェイト達に言えたか?」
「そ……それは……」
言葉を詰まらせるアルフ。そして龍也は話を進めた。
「それに、リュートだって悩んだはずだ。フェイトに隠し事をするのは嫌だけど、フェイトを傷つけたくないから。どうすればいいか色々考えてただろうし、葛藤があってもおかしくはないと思うぞ」
「ッ!………ご、ごめん」
罰が悪そうにアルフが謝る。だが、リュートは首を横に振った。
「謝る必要はない。言わなかった俺も悪いからな」
その横では、クロノがリンディにある申し出をしていた。
「艦長、僕はこれから現場に向かいます。次元震を押さえて時間を稼いでください」
「待て、クロノ」
時の庭園に向かおうとするクロノを、龍也は引き止めた。
「俺も行く。今は戦力は1つでも多い方が良いだろ?」
「わ……私も行きます!!」
「僕も!!」
龍也に続くように、なのはとユーノも時の庭園に行く旨を言った。
「わかった。これからプレシア・テスタロッサの確保に向かう。誰か城のことを知っている人はいるか?」
クロノの質問に答えたのは意外にもリュートだった。
「俺が行こう。フェイトとアルフほどではないが、貴様らよりはこの城のことを知っている」
「……あてにさせてもらうぞ」
龍也達はすぐに転送装置の方に向かった。すると、リュートだけは足を止めてフェイトとアルフの方を向いた。
「アルフ、フェイトことはお前に任せる。……頼んだぞ」
「うん!」
アルフが頷くのを確認したリュートは、龍也たちと一緒に時の庭園に向かった。
次回、龍也とリュートが大暴れ!