魔法少女リリカルなのは サイヤの魂を受け継いだ戦士    作:飴玉ベジット

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今月もギリギリ……


第25話 戦闘終了。龍也の現状と今後のフェイト達の行方は?

 

「っぁ……」

 

 龍也が目を開けると、そこには真っ白な天井がまず映った。みたことがない景色だったなぁ周辺を見渡そうとして身体を少し起こす。

 

 その際、自分の状態を軽く確認すると、体のあちこちに包帯が巻かれており、服装もいつもの胴着ではなく、白っぽい病衣を着ていた。

 

(そういえばここは何処なんだ?それに、なんでこんなとこにいるんだ?)

 

 あの戦いを終えた後、全身に激痛がはしったところまでは覚えていたが、あまりの痛さに加えてもう体力も気力もなかったので気絶してしまい、そこから先の記憶がまったくなかった。

 

「ん?」

 

 扉を開ける音がしたので顔を向けると、そこには花瓶をもったなのはがいた。なのはがいることがわかった龍也は、ここはアースラの一室だとすぐに理解できた。

 

「あ」

 

「よ、よぉ」

 

 龍也が目を覚めたことに気付いたようなので、龍也は手をあげて声をかけた。

 

「………」

 

「ど、どうした?」

 

 だが、なのはは龍也の呼びかけに応えることなく、少しずつ龍也の元へ近づいて来る。

 

「いてててて!!」

 

 龍也の目の前まで来ると、なのはは花瓶を近くの机に置き、急に龍也のほっぺをつまみ出した。

 

「何すんだよ!?いくら鍛えてるって言ってもいてーもんはいてーんだぞ!」

 

 あまりの急な行動に思わず怒鳴ってしまった龍也。だが、なのはは顔を俯かせたまま動かなかった。

 

 心なしか少し震えているように見える。

 

(も、もしかして……)

 

 説教が来ると思った龍也はが少し警戒していると……

 

「う、ううう……」

 

「へ?」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

「え!?ちょっ……大丈夫なのか!?」

 

 そしてなのはは、少し顔を伏せつつ大きな声で泣きながら、龍也に抱きついた。龍也はアタフタしながらまずは慰め始めるのだった。

 

「龍也君のバカ!バカバカバカ!もう……もう目覚めないのかと思ったんだよー!!」

 

「……ごめん」

 

 彼の胸で泣き続けるなのはの頭を、龍也は優しくなでた。

 

 そして騒ぎを聞き付けてクロノ、リンディ、エイミィ、ユーノ、フェイトの5人が龍也の元にやってきた。

 

 その際、慌てて入ってきた5人は龍也が無事に回復したことを見るとホッとしていた。そしてリンディとフェイト、ユーノの3人がなのはを別室へと連れていったが、クロノだけは病室に残った。

 

「どこか痛むところはないか?」

 

「さっきなのはにつねられたところはめっちゃ痛い……」

 

 つねられたほっぺを撫でながら答える龍也。その返答にクロノも苦笑いした。

 

「それもそうか。何か聞きたいことはあるか?」

 

 聞きたいことと問われた龍也が真っ先に思い浮かんだのはなのはだった。さっき見た時は怪我とかは見当たらなかったが、泣かれるとどうも心配になってしまう。

 

「あー……えーと……なのはは?」

 

「なのはなら大丈夫だ。さっき艦長から念話で報告があった。今はもう泣き止んで、顔を赤くさせて俯いているそうだ」

 

「そっか…」

 

 ふぅと安堵のため息を吐いた龍也を、クロノは腕を組ながらこちらをジト目で見る。

 

 「なのはが泣いていたのは、君が無茶をしたせいもあるんだぞ?」

 

「う……」

 

 クロノの指摘に龍也はバツの悪い顔になる。

 

「それにしても、あの後は大変だったのだからな?倒れた後、君の体を検査したのだが、筋肉は異常なことになってるわ、全身の殆どが骨折してるわで全員思わず顔が青くなったんだぞ?」

 

「うぅぅ………」

 

 クロノは目を鋭くしながら龍也を睨む。

 

 「あの診断結果を見たなのはとフェイト、ユーノ、アルフがどれだけ取り乱したことか……。特になのはに至っては死なないで死なないでって言いながらずっと祈っていたんだぞ!!」

 

「でも考えてみろよ!あの時俺が超界王拳を使ってなかったら全員死んでしまうどころか、地球がボージャックに支配されてもおかしくなかったんだぞ!それに結果的に俺も生きてるんだから、そこまで怒る必要はないだろ!?」

 

「言い訳無用!!」

 

 クロノが大きく怒鳴る。怒られっぱなしにムカっとしたのか、龍也もつい反論してしまったが一言で言いくるめられた。

 

「俺だって2度とあんな無茶なことしたくはないって。それに、今回の件で超界王拳は反動がでかすぎることがわかったから、ホントにやべぇ時しか使うつもりはないぞ」

 

 龍也はそう言うとクロノは頭を抱えた。言い方を変えればホントにやばくなったら使うということだ。乱用されるよりははるかにマシだが、クロノとしてはもう2度と使わないと言って欲しかったのだ。

 

「できれば、2度と使って欲しくないけどね」

 

 クロノの小言に、今度は龍也が呆れる。

 

「だから、ほんとのほんとに死ぬかもって思った時にしか使わねーって言ってんだろ?……それに、本当に超界王拳を使わなくてもいいようにするんなら、あれに頼らなくてもいいくらいに強くなればいい話だからな。俺も、みんなもな」

 

「……そうだな」

 

 そこだけはクロノも同意する。龍也とリュートが苦しめられていた時、なのはとフェイトを除くと1番歯痒い思いをしたのは彼だった。それと同時に自分はまだまだ弱かったことを改めて自覚させられた。

 

「それと、君に聞きたいことがある」

 

 クロノは、自分の不甲斐なさを改めて自覚しながら、なんとか話を戻そうとした。

 

「何であんな体を壊しかねないことをしたんだ?」

 

 その言葉に思わず龍也はビクッと震えた。

 

「……言わなきゃダメか?」

 

「当たり前だ」

 

「……」

 

 よっぽど答えたくはないのかクロノから顔を晒す龍也。クロノには、この時の龍也はただの拗ねた年相応の少年にしか見えなかった。

 

「別に、特別な理由はねぇよ。ただ、あいつに負けたくなかったから超界王拳を使っただけだ。……正直、死ぬつもりはまったく無かったといえば嘘になるし、それを使えば絶対に勝てる保障も自信もなかった。だけど、それでもなのはやみんなを守る方法があれしか思いつかなった。だから……」

 

 まるで独り言のようにぽつぽつと本音を漏らす龍也。あの場で超界王拳以外にボージャック相手に逆転できる手段を思いつかなかった。だから龍也は使ったのだ。

 

「そういえば、もう1つだけ言い忘れていたことがある」

 

(なんだよ、また説教か?)

 

 口や態度には出さなかったものの、怒られるのは嫌な龍也はもうスルーしようかと思った。

 

「……ありがとう。僕たちの代わりにボージャックを倒してくれて」

 

「えっ?」

 

 だが、クロノが礼を言うとは思わなかったので少し驚いていた。

 

「さっき君が言ったように、もしあのままボージャックが生きていたら地球は……いや、下手をしたらこの次元は彼の手中だっただろう。だから、君には本当に感謝しているんだ」

 

 そう言われた龍也は少し表情を和らげた。改めてみんなを守れたことを実感したのだ。その時、自分のライバルのことを思い出した龍也は、彼らがどうなるのかと気になり始めた。

 

「なぁ、そういえばリュート達はどうなるんだ?」

 

「ああ、そのことなんだが……」

 

 一度咳払いした後、クロノは真剣みを増した表情でリンディの判断した内容を龍也に教え始める。

 

「まずはフェイトとアルフ、リュートの3人だ。彼女達は公務執行妨害や、君達民間人への魔法攻撃といった罪を犯している。このまま無罪放免というわけにはいかない。だが……言い方は悪いが彼女達はプレシアに道具として利用されただけだ。流石に裁判は避けられないだろうが、情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)の余地はある。少なくとも執行猶予は取れるよう働きかける」

 

「……それって、リュートにも言ったのか?」

 

「ああ。彼にはもし執行猶予付きにすらできなかったら、お前を可愛がってやるって脅されたよ」

 

「あいつらしいや」

 

 リュートの返答に思わず苦笑いする両者。だが、話はこれで終わりではなかった。

 

「最後に、肝心のプレシアについてだが……」

 

 その名前に龍也の表情も険しくなる。

 

「正直、現段階ではなんともいえないな。」

 

「…………は?」

 

 あまりにも意味不明さに、思わず龍也の口から素っ頓狂な声が出た。

 

「ちょっ、なんとも言えないってどういうことなんだよ?説明してくれないとわかんねぇんだけど?」

 

 龍也の疑問にクロノは冷静に答える。

 

「プレシアはこの事件の容疑者であると同時に最重要人物だ。違法実験や管理局員への公務執行妨害、ロストロギアの不法所持、次元航行艦船への次元跳躍攻撃……今考えられるだけでもこれだけの罪を犯してる。普通なら良くて数百年以上の幽閉、最悪の場合は死刑だ……」

 

「………良い方も実質死刑じゃねぇか」

 

 地球生まれの元地球人であるサイヤ人の龍也からすれば、別の次元世界出身とはいえ、人間が数百年生きられるとは思えず、釈放とかされない限り永遠に閉じ込められると思った。

 

「だが、今の彼女は全ての罪を認めて協力的な対応を見せているし、彼女の過去にも同情の余地は見られる。むしろ少し調べただけでも、プレシアがこの事件を起こすきっかけになった事故は会社側が原因だということがわかった。……まだ時間はかかるが、プレシアも過去の実験の被害者でもあるし、少しでも減刑できるよう裁判ではそこを重点的に攻めていく。任せろ。あの家族を引き離させるつもりことは絶対にさせない」

 

 そう言い切ったクロノに龍也は少し驚いた。

 

「どうかしたのか?」

 

「いや、クロノって堅物なイメージだったから、フェイト達はともかく、プレシアはそのまま連行するって思っていたから、意外だな〜って」

 

 龍也は心底意外そうにそう呟いた。その言葉を聞いて、クロノは深くため息を吐いた。そして

 

「家族と離れる辛さは、わかっているつもりだからな」

 

 そう告げた時、龍也はクロノの表情に影があるのを感じた。何とかして話題を変えようと思った矢先、龍也はあることに気づいた。

 

「なぁ、1つ頼みがあるんだけど、いいか?」

 

「なんだ?修行するっていうのならお断りだ。君はまだ安静にしてなければならない状態だからな」

 

「違うって!ただ………」

 

 クロノの呆れが含まれた睨みと言葉を、龍也は慌てて否定する。その瞬間、ぐぅ―――――!っとバカでかい音が部屋中に響いた。

 

「腹減っちゃったから、飯を持ってきてくれないかな?」

 

 あははと苦笑しながら言う龍也に、思わずクロノはズッコケてしまった。

 

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