最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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*投稿が予定より大幅に遅れてしまい申し訳ありません*


第93話 VS東京大神戦:準決勝前編(2年目)

 

 

 

■side:東京私立大神高等学校3年 田川 秋

 

 

 

 

 

 ようやくこの日が来た。

 

 全国高校生LEGEND大会準決勝

 東京私立大神高等学校 対 滋賀私立琵琶湖スポーツ女子学園

 

 去年の決勝戦は、ベンチにすら入れなかった。

 だけど今度は、スタメンだ。

 あの時の悔しい想いを全てぶつけてやる。

 

 対戦マップは市街地。

 

 

*画像【市街地:初期】

 

【挿絵表示】

 

 

 

 どうもこのマップは、例の多脚戦車を思い出す。

 それだけインパクトがあった事件だということだろう。

 そんな多脚戦車を倒したのも、この琵琶湖女子だ。

 ここ最近、何かと話題に事欠かない学校だと思う。

 

 ……そして全国で一番強い高校だろう。

 

 だからこそ私達は、琵琶湖女子を正面から倒す必要がある。

 大神こそ最強だと証明するために。

 周囲も無言ながら誰もがやる気に満ちている。

 今までの努力を全て出し切れば、決して届かない訳ではないはず。

 

 監督の演説で士気も最高潮になる。

 そしてそのままVR装置に入る。

 ベンチも隔離された。

 

 戦闘マップに全員が転送されてくる。

 誰もが無言のまま。

 それでも見ただけで解る。

 

 『勝利』

 

 全員が、ただそれだけを見ている。

 

 

 ―――試合開始!

 

 

 そしてついに試合が始まった。

 一斉に持ち場に向けて走り出す。

 それと同時にかなり手前から攻撃を始める。

 

 相手に当たらなくてもいい。

 その牽制攻撃で少しでも踏み込むのを躊躇ってくれるのならば。

 

 こちら側の大規模な先制攻撃は相手にとって予想外だったようで、相手の足が止まる。

 その間に全員が配置に就いて徹底した牽制攻撃を継続することでペースをつかむことに成功した。

 突破力がある琵琶湖女子の開幕突撃さえ止めてしまえば、あとはこちらの防御主体のKD戦に分があるはずだ。

 

 開幕からの激しい撃ち合いの中で位置情報などの報告が始まる。

 そこから解った相手のスタメンは、微妙に予想とは違った。

 

 

*画像【市街地:大神開始】

 

【挿絵表示】

 

 

 

◆北側 

・藤沢 花蓮

・新城 梓

・宮本 恵理

 

◆中央

・黒澤 桂子

・長野 誠子

・安田 千佳

 

◆南ビル

・北条 紅

・北条 蒼

・三峰 灯里

 

 

 そして私が居る最南通路は―――

 

「最南通路、田川。こっちは例のアメリカの子ですね。ブレード1本持ちの」

 

「―――どう、いけそう?」

 

「向こうがやる気みたいですよ。……まあ負ける気はしませんね」

 

 リーダーの谷町にそう返事をすると大盾を構え、警棒を持つ。

 相手はそれを見ると愉しそうに笑いながらブレードを構えた。

 

 そして互いにブーストを全開にして突っ込んだ。

 

 

 

 

 

■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園1年 北条 蒼

 

 

 

 

 

「相手さん、完全に足止めしてジワジワやる気だね」

 

「一旦は、相手に付き合ってあげましょう。タイミングを見て一気に押し込みますわよ!」

 

 大規模な牽制攻撃という予想外な展開に足を止めてしまった私達。

 だけど先輩達はそれを気にせず、体勢を立て直している。

 

 私は紅と一緒に前に出ようとしたが、相手の攻撃が激しくて前に出れない。

 あんなに弾を撒いたり守りに徹されると少し厳しい。

 あの訳が分からない強い人達だらけの場所では攻めっ気が強い人が多く、自然とその猛攻をどう凌ぐかという状況になりがちだった。

 なのでこうして完全に引きこもられると逆にやりにくい。

 

「紅、悔しいけど一旦待ちましょう。どこかが動き出してから攻めても遅くはないわ」

 

「わかったわ」

 

 紅にはそう言ったが、正直に言えば悔しい。

 あの強い人達の中でひたすら練習してきたのだ。

 そんな私達が、一時的にとはいえ抑えられている。

 相手が強いというよりは、恐らく私達がまだまだなのだろう。

 

 でもここで冷静さを失ってはダメ。

 それで何度も痛い目を見てきたはずだ。

 

 紅と連携を取りつつ何度か仕掛けてみるが、相手は徹底して付き合わない姿勢だ。

 非常にやりにくいと感じるが、弱音を吐く訳にはいかない。

 せっかく貰ったチャンスなのだ。

 

「悪いけど、ここで負けるわけにはいかないの!」

 

 

 

 

 

■side:東京私立大神高等学校2年 谷町 香織

 

 

 

 

 

 最初に決めていた通りの『足止め作戦』は成功した。

 これで最初の突撃は止めれただろう。

 しかしこれはスタートだ。

 

 次は、ここから3方向の連携を崩すためにあえてタイミングを崩して隙を見せる。

 それに食い付いてくれれば良いのだが、まず無理だろう。

 だからこそ、先手の1キルが非常に重要だ。

 

 これに関しては、鳥安と鈴木の2人任せというのが辛い所だが。

 私は、両肩ミサイルとガトリングによる牽制攻撃を徹底する。

 正面には見覚えのある顔が見えるが、それどころじゃない。

 

 とにかく足止めして接近を許さず持久戦に持ち込む。

 特に琵琶湖女子相手に乱戦など危険すぎる。

 

 いつでも上下のカバーに入れるように準備をするが、先に正面の2人が突っ込んでくる可能性もある。

 

「あぁー!考えることが多すぎるのよ!」

 

 でもやるしかない。

 琵琶湖女子に勝つためには。

 

 そんなことを考えていたら通信が入る。

 最南に例の特攻してくるアメリカ人の子がいるらしい。

 そして最南に居るのは田川先輩。

 

 確実に接近戦同士の戦いになるだろう。

 ある意味、そこでの決着で勝利者が決まりかねない。

 本当にギリギリの戦いになる。

 

 先ほどからこれだけ派手な牽制攻撃にも関わらず、相手はチラチラと前に出るタイミングを計っている。

 本当に去年とは別物のチームだ。

 牽制攻撃だってこちら側のは、本当にただの牽制でしかない。

 しかし相手側の攻撃は、的確にこちらの耐久値を削ってくるのだ。

 

「くっそー!ホントこいつらどうやってこんなに強くなったんだよー!」

 

 リーダーなので通信でこんなことは言えない。

 だからこそ通信を切った状態で思いっきり叫んだ。

 

 

 

 

 




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