最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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■芳川 浅子:かつて1年目のU-15女子日本代表監督として登場した女性。暴走し過ぎたために日本LEGEND協会会長によって夫婦共々半ば追放に近い処分を受けた。


第101話

 

 

 

■side:世界大会全日本女子監督 川上 律子

 

 

 

 

 

 ここ数週間。

 日本のLEGENDをめぐる動きは、もう混沌とし過ぎていてどうしようもない。

 

 国民投票というどう考えても馬鹿なことをやり出した結果、反霧島派最後の大物が退場するはめになった。

 そして同時に霧島派の役員の1人も同時に退場して痛み分けの形となる。

 一度決まった投票結果はどうしようもなく、かといって再度何かしらでやり直しをするというような。強引な方針を打ち出せる人材がいる訳でもなく。

 

 更には例の録音データ騒動から会議に参加していた数人が別の事件……主に利権絡みで逮捕される。

 誰も責任が取れる人がおらず、そしてこんな状況でU-18女子の監督を引き受ける者がいる訳もなく。

 結局押し付けられそうになった私は全日本女子監督に逃げた。

 例の東京ガッツの監督は、今回飛び火を警戒してか断ったらしい。

 そして比較的軽傷で済むU-15女子は、元プロが新しく監督に就任。

 なので未だにU-18女子監督だけ決まらず、選考会も行われず、世論からの声が凄まじい状態だった。

 

 もうこれは馬鹿な連中が招いたことなのでどうでもいいのだが、可哀想なのはU-18女子代表に選ばれる可能性がある子達だろう。

 せっかくの代表が、こんなゴタゴタしたようなものでは記念にもならない。

 世界中でもはや当たり前になりつつある『Liberty運動』なども、ついに日本で爆発した。

 活動家達が日本にやってきて大々的なデモを組織し始めたのだ。

 連日それらが世界中に配信され、完全に日本LEGENDは世界中からの笑いものである。

 

 最悪、世界大会不参加も視野に入り出したある日。

 突如としてU-18女子日本代表監督が決まった。

 その通知そのものにも驚いたが、その人物にも驚いた。

 よくも彼女が引き受けたものだなと。

 

 

 

 

 

 

■side:元U-15女子日本代表監督 芳川(よしかわ) 浅子(あさこ)

 

 

 

 

 

 本当に馬鹿な話だと思う。

 あの日を境に完全に終わった私達夫婦。

 それでもまあなんとかやっていけるだけの状態になって、初めて冷静に今までを振り返ることが出来たのは皮肉でしかない。

 

 しばらくぶりに静かで穏やかな生活に戻っていた。

 世の中では色々なことが取り上げられるが、最近はLEGEND関連のニュースばかり。

 中でも私達の上に居て都合良く私達を切り捨てた政治家どもは、揃って逃げ出していた。

 逃げ出し損ないや私達と同じく切られた者達は、運悪く逮捕されたりしてニュースになっている。

 特に馬鹿だと思うのは、投票による代表選出だ。

 もう既にほとんどないとはいえ、昔の伝手で聞いた話によれば……霧島派の若手にのっかって一緒に沈んだらしい。

 聞いた時は『そんなことも解らない馬鹿なのか?』と思ったほどだ。

 

 まあ、もう派閥や利権など関係無くなった私にはどうでも良い話だ。

 好きなだけ派閥争いをして好きなだけ醜態を晒せばいい。

 そして虎視眈々と相手のミスを待っている霧島のジジイにしてやられてしまえばいいのさ。

 

 そう思っていたある日。

 一通の手紙が届いた。

 

 中身を見て『何を言い出しているんだ?』と思った。

 今更私にU-18女子日本代表監督を任せたいという内容だった。

 要するに誰も拾わない火中の栗を私に……ということだろう。

 ご丁寧に手紙を送ってきたのは反霧島派の生き残りの1人で、推薦人は霧島派の人間だ。

 更には日本LEGEND協会の会長の名前まである。

 

 つまり『一度助けてやったのだから恩を返せ』ということだろう。

 本当にこういう所だけは仲良く手を取り合うのだから、どうしようもないクズどもだ。

 

「……まあ、私もそんなクズの1人だったのだけどねぇ」

 

 苦笑しながらも手紙に書いてあった連絡先に宛てて返事を出す。

 何も考えずにただLEGENDの監督をやればいいだけだというのなら、私でもやれるだろう。

 今更どのような批判をされても痛くも痒くもない。

 もう終わったと思っていた私の最後の仕事だ。

 せめて選手達だけは愉しめるような大会にしてやらなければならない。

 

 強制引退後、すっかり自宅の庭いじりが趣味になってしまった旦那に声をかけると、私は服を着替えて外に出た。

 

 

 

 

 

■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園2年 霧島 アリス

 

 

 

 

 

「意味が解らない」

 

 目の前に表示されているメールの内容を見ながら、そう呟く。

 

 周囲では世界中から集まった選手達や関係者達が好き勝手に交流を深めていた。

 そんな中、私の前では予想通りな反応を示している集団が居た。

 

「……謎が1つ解けた気分だけど、その何倍も謎が増えたわ」

 

「こりゃ凄いなぁ~。そりゃああなるのもわかるわ」

 

「……あぁ、頭が痛いわ。何よこれ」

 

 呆れた顔でその風景を見ているのは『白石 舞』。

 驚きながらもキラキラした顔をしているのは『堀川 茜』。

 頭を抱えつつ落ち込んでいるのは『谷町 香織』。

 

 アナスタシアもOKしたので、この3人を連れてきた。

 舞と茜は、前々から考えていた。

 香織に関しては最近運が無いと嘆いていたのと、投票で仲良く選外になった記念でだ。 

 

 舞と茜は、意外と海外でも有名らしい。

 舞は元から日本のエースブレイカーとして。

 茜はラストアタック動画が海外でも人気らしく、その関係で。

 そういう訳で早々に2人は輪の中に呑まれていった。

 

「で、香織はどうするの。これ」

 

 『そりゃこんなの相手に練習しまくってるチームに勝てる訳ないじゃん』と叫んでいる香織を捕まえて尋ねる。

 

「あ、ああ。アレね」

 

 そう、香織の元にも同じものが届いていた。

 

「私としては別に選手としてもう出る気が無いから、それはそれでアリかもとは思ってる」

 

「監督がアレでも?」

 

「そこが問題ではあるのだけど、一応書いてあるでしょ?」

 

 彼女が指差した所には『もしやってみて合わないと思った場合は、辞退して頂いても問題ありません』と書いてあった。

 私もそれを見て、どうしようか悩んだのだ。

 ダメならやめればいい。

 そんな感じで。

 

「誰やぁー!!元祖ミサイラーに新型ミサイル一式渡した奴はぁー!!」

 

 遠くから茜の叫び声とミサイルの爆発音が聞こえてくるが、そんなことよりもこちらの方が重要だ。

 あ、ちなみに渡したのは藤沢先輩だよ。

 お礼だってフルセット渡したおかげで今、元祖ミサイラーは絶好調。

 誰が付け始めたのか、この集まりでの戦績も右肩上がりだ。

 もはや現役復帰しても上位争いが出来そうなぐらいヤバイ状態になっている。

 

「アリスはどうするの?」

 

「う~ん、まあどっちでもって感じかなぁ」

 

 本当にどちらでも良いという気持ちだ。

 少し離れた場所では何やらアメリカ代表の選考会に出る予定のジェシカが、シャーロットを捕まえて『*英語【アナタどうしてアメリカで1戦でも良いから試合に出なかったのよッ!!】』と叫んでいた。

 アメリカ代表に選ばれるには『その年で国内公式戦に最低1試合は出場していなければならない』というルールがある。

 シャーロットは留学しているが、その気になればVRでアメリカ国内の公式戦に参加出来たのだ。

 それをしなかったためアメリカ代表の選考会にエントリー出来ないシャーロットにジェシカが『*英語【貴重な戦力がぁ~!!】』と叫んでいた。

 ちなみにシャーロットは『てへっ☆』っという感じで1ミリも悪いと思っていなかった。

 

「ならやってみようよ。ダメならやめればいい訳だし」

 

 ちなみに同じメールが来ていた1人で、同じく招集を蹴り飛ばした杉山先輩も前向きだったので全員で受けることにした。

 これにより、U-18女子日本代表の監督問題は決着した。

 そしてこの発表により批判的な運動が一気に減り、前向きや期待といった声が大幅に増えることになる。

 世の中とは、本当に下らないことで二転三転するものだなと呆れてしまった。

 

 ・U-18女子日本代表監督『芳川 浅子』

 

 ・アタッカー兼ブレイカー指導コーチ『霧島 アリス』

 ・監督補佐兼ストライカー指導コーチ『谷町 香織』

 ・選手管理兼サポーター指導コーチ 『杉山 栄子』

 

 

 ちなみに余談だが、アタッカー部門8位に選ばれながらサポーター部門7位にもなっている『石井 美羽』は、あまりにも自分が話題にならないことに落ち込んでいたという。

 そしてアリスがこうなった以上、サポーター枠の繰り上げで9位の南保珠が代表選考会に呼ばれることになった。

 後から招集された人間は全員蹴っている選考会。

 だが、南保本人だけは凄くやる気だったらしい。

 

 

 

 




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*本作に関しての方向性などについて一部で明言していましたが全体発信していませんでした。
ですので活動報告にて報告させて頂きます。
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