最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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第105話

 

 

 

■side:U-18女子日本代表監督 芳川 浅子

 

 

 

 

 

 手元に集まったデータや報告書を確認するが、苦笑しか出てこない。

 そもそも人気投票などするからこうなるのだ。

 精々、協会の連中は頭を抱えて粛清人事に怯えるといい。

 きっと今頃は、霧島のジジイが嬉々として会長と相談している頃だろうよ。

 

 ミーティングルームには、コーチとして招集した3人と私しかいない。

 とりあえず紅白戦の前に全体的な方向性などの話し合いをしておくべきだからだ。

 それに彼女達が、選手達にどういう評価を付けたのかも知っておきたかった。

 

「……まあ予想通りと言うべきか、馬鹿なことをしたものだと嘆くべきか、悩むところではあるね」

 

 私の言葉に3人が失笑する。

 そりゃそうだろう。

 まともな思考が出来る奴なら、とっくに投げ出しているような状態だ。

 

「とりあえず予定通り、方針から話そうか」

 

 その言葉で3人がこちらを向く。

 

「綺麗に各兵科から平等になんて馬鹿なことを言う気はない。戦える選手、可能性がある選手だけで固めるつもりだ」

 

「……それはつまり、最悪1名のみの兵科が出ても問題ないと?」

 

「最低2名だね。1名だと何かあった時に怖い」

 

「なるほど」

 

 質問してきたのは、ジジイの孫娘だ。

 この子は普段あまり話をせず無表情なため、何を考えているのか解らない子という印象だった。

 しかし実際に話してみると、意外と感情的な言動が見え隠れしている子だった。

 恐らく内面を出すことが苦手なのでしょうね。

 ……まったく。

 あのジジイ。

 娘は世間知らずで能天気な癖に孫娘はその真逆とか、どういう育て方をしたのやら。

 

 ……おっといけない。

 今はそれどころではない。

 

「私よりもアナタ達の方が現状に詳しいはず。だから基本的にはアナタ達の評価が選手選びに直結すると思ってちょうだい」

 

「それは、このレポートの結果がほぼ反映されるってことでしょうか?」

 

「まあ多少は私の意見も入れるが、ほとんど反映されると思ってくれて構わないわ」

 

「わかりました」

 

 この杉山って子は、本当に不遇な子だと思う。

 LEGENDのサポーターという職業は、ある意味ブレイカーよりも不遇だ。

 テレビや会場の中継は、どうしても派手な対決ばかりを映し出す。

 なので観客の視線はどうしてもそちらにしか向かない。

 

 一方サポーターは後方で支援装備を展開しつつ、味方の前進や後退の支援攻撃が中心となる。

 そのため非常に注目されにくい。

 火力もあって派手な選手は連日ニュースなどで取り上げられるが、必要だけども地味なサポーターが注目されることは絶対にない。

 だからLEGENDに憧れる選手の大半が、そういった火力重視の兵科をやりたがる。

 プロだってサポーターやブレイカーの数など、アタッカーやストライカーの半分程度だ。

 これで『どの兵科も平等』だと言い張るのだから、笑い話にもなりゃしない。

 

 この子のような堅実なサポーターによるしっかりとした支援があってこそ、強力なラインを構築できるということを知らない馬鹿が何と多いことか。

 

「……監督、どうされました?」

 

「……ああ、何でもないよ」

 

 おっといけない。

 ついつい愚痴っぽくなっちまった。

 

「では、例えばですが監督推薦枠が全てストライカーになっていますが……これは人数的な考慮はしなくてもいいということですか?」

 

「どう頑張っても今の環境ではストライカー重視になっちまう。ならば、その手札を増やすべきだろう?」

 

「ストライカー重視の戦術になると?」

 

「『基本的には』という言葉がつくけどね。それ以外の戦術も検討するが……防御KD戦術は無理そうだからねぇ」

 

「確かに」

 

 谷町が、苦笑する。

 この子は何というか、自分から苦労する場所へ行こうとする子に感じる。

 手元のレポートも一番丁寧で、この部屋にも一番に来て掃除までしていた。

 こういう子がリーダーをやってくれるのが一番なんだけどねぇ。

 

「そう言えばリーダー候補も絞らなきゃならないね」

 

「それは選んでからでいいのでは?」

 

「それだと選んだ中に適正者が居ないって事故に繋がらない?」

 

「でもリーダー出来るけど他が出来ないでは話にならないわ」

 

 リーダーの話をすると3人が持論を展開しつつ、どうするかを話し合い始めた。

 それを聞きながら……時折口を挟みつつ、選手選びの方向性を決めていった。

 

 

 

 

 

■side:U-18女子日本代表指導コーチ 霧島 アリス

 

 

 

 

 

 それなりの時間を確保していたはずなのに、気づけば結構ギリギリな時間になっていた。

 つまりそれほど白熱した議論になっていたということだ。

 

「それが良い意味でなら良かったんだけど」

 

 思わずため息を吐く。

 3人ともが『自分の所は最低限の人数で良い』と言い出した。

 何故なら『25名は、その後指導をすることになる』からだ。

 

 ただでさえ頭の痛くなるような連中を、更に指導しろというのは何の冗談なのか。

 多少マシなのは居るが、酷いのは本当に酷いからね。

 杉山先輩とか『確定でアレは外す』とか呟いてたし。

 

 という訳でついでに本日の紅白戦メンバー選びも終わった。

 

■1試合目

*レッドチーム

・大谷 晴香 AT

・三峰 灯里 AT

・神沢 蘭 AT

・一条 恋 ST

・藤沢 花蓮 ST

・温井 幸 ST

・宮島 文 SP

・石井 美羽 SP

・福田 理央 BR

・安田 千佳 BR

 

 

*ブルーチーム

・大場 未来 AT

・大野 晶 AT

・新城 梓 ST

・田川 秋 ST

・山梨 綺羅 ST

・渋谷 鈴 SP

・長野 誠子 SP

・南保 珠 SP

・田中 涼 BR

・神崎 小梅 BR

 

 

■2試合目

*レッドチーム

・大谷 晴香 AT

・北条 紅 AT

・黒澤 桂子 AT

・笠井 千恵美 ST

・池上 聖華 ST

・岡部 奈緒子 ST

・南 京子 SP

・北条 蒼 SP

・佐藤 千秋 BR

・三島 冴 BR

 

 

*ブルーチーム

・石井 美羽 AT

・大野 晶 AT

・田川 秋 ST

・宮本 恵理 ST

・宮島 文 ST

・鈴木 桃香 ST

・近藤 冬華 SP

・高橋 翠 SP

・鳥安 明美 BR

・根岸 空 BR

 

 

 これを基本としつつ、あとは状況次第で交代などを含めて様々なことを確認する形となる。

 石井と宮島は、せっかくなので別兵科もやって貰うことになった。

 既に先ほどのミーティングである程度の『代表落ち』に関しての話もしていた。

 この紅白戦で私達の評価を覆すような『何か』を残せなければ、このまま話し合っていた通りの代表メンバーとなるだろう。

 

「別に下手でも良い、失敗してもいい。……何かに『これだ』と思えるようなものが見えれば、考えなくもないんだけどね」

 

 そう呟きながら選手全員が集まっている会議室へと入る。

 今から始まる最後の紅白戦こそが、最後のアピールポイントとなるでしょう。

 選手の時とはまた違った面白さを感じながら、コーチの席へと座った。

 

 

 

 

 




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