最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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*手違いで1戦目に登場予定の佐藤を2戦目に登場予定の福田と入れ替えました。
 両方ともブレイカーであり、立場もあまり変化が無い2人なので問題ないと思っての判断です。

 また鈴木も手違いで抜けていました。
 そのため2試合とも登場する選手の中から1人削って2戦目に鈴木を入れました。

 物語を書いている最中に急遽メンバー変更してしまったため、手元の資料と違う形になってしまいました。
 私はその手元の資料でのみ確認しているためミスに気付かなかったという形です。

 そのため前に出したリストもその部分だけ変更してあります。
 ご指摘頂きありがとうございます。


第107話 選考会紅白戦1戦目:後編(2年目)

 

■side:ブルーチーム リーダー 山梨 綺羅

 

 

 

 

 

*画像【軍事施設:選考会1戦目】

 

【挿絵表示】

 

 

 

 最初に選考会に呼ばれた際は『何で私なのだろう?』という感想だった。

 もちろん今年の選考会が大炎上していることも、人気投票で選手達が選ばれたのも知っている。

 『猫ちゃん』が繰り上げ当選とはいえ選ばれ、自信満々に向かったことも含めて。

 

 監督推薦枠というのは『どうしても呼びたい選手を呼ぶ枠』だ。

 正直、私自身そこまでの選手ではないと思って居る。

 もしそんな選手だったら去年の時点で選考会に呼ばれているでしょ。

 

 しかも『嫌なら別に断ってくれても構わない』という何とも丁寧な話だった。

 なので悩んだ末に、行くことにした。

 

「あくまで選考会であって代表に選ばれるかどうかは、わからないからね」

 

 そんな気軽な気持ちで。

 

 そして今、そんな気持ちで来たことを後悔している。

 理由は目の前にいる『猫ちゃん』である。

 選考会でもそのスタイルを変更することなく堂々と最前線に立ち、支援装備を全て自分に投入していた。

 ここまで来ると清々しいとさえ思えてくるわ。

 

「弾切れしたから補給してくるね」

 

 そう通信を入れて後方の施設まで下がる。

 途中ですれ違った田中選手が不思議そうな顔をしていて、思わず吹き出しそうになった。

 だってその顔に『目の前のサポーターから弾を貰えばいいじゃない』って書いてあったから。

 

「それが出来ればウチは苦労してないのよ」

 

 弾薬補給をしつつ、私は小声でそう呟いた。

 

 そもそも今回リーダー経験者が居ないという理由だけで、この臨時チームのリーダーをさせられている。

 多少は全員の装備や初動ぐらいは考えたが、それ以上は正直コントロール不可能だと思う。

 だって全員がある意味ライバルなのだ。

 代表入りしたいという気持ちが出過ぎていて、もはや手柄の争奪戦のような雰囲気になってる。

 だから『どうぞ後は、ご自由に』といった状態だ。

 

 ホント、気軽な気持ちで来るんじゃなかったと思った瞬間。

 

「相手が下がった!前に出る!」

 

 私はまだ前線復帰しておらず、前に出れるのは彼女だけ。

 『猫ちゃん』のそんな勇ましい『鳴き声』に思わずため息を吐いた。

 

 

 

 

 

■side:レッドチーム 石井 美羽

 

 

 

 

 

 予定通りだった最初の突撃を防いだものの、相手のロケットランチャーを2丁持ったストライカーによる攻撃が非常に面倒だった。

 動き回るため弾が当てにくく、ロケットは一撃火力も高い。

 気を抜けば直撃からの大ダメージは避けられない。

 

 ただラッキーな面もある。

 相手サポーターが無駄に前に出てきてストライカーの射線を塞いでいるのだ。

 これのおかげで飛んでくる場所が限定されるため、こちらの被害がかなり抑えられている。

 しかしこのままで良い訳じゃない。

 相手ブレイカーによる定期的な狙撃もヘッドショットではなく、確実に当ててダメージを蓄積してくるのが狙いのようで意外と面倒だ。

 

 そうこうしている間に中央に相手が一度切り込んできたが、流石に無理と判断して早々に逃げていった。

 あとでそれが田川だと聞いた時は、思わず感動してしまった。

 彼女が相当苦労して今の形になったのを大神は全員知っている。

 だからこそ心のどこかでは彼女にも活躍して欲しいと思っていた。

 

 そんなちょっとした良い気分を相手サポーターの肩ミサイルが邪魔してくる。

 スグに障害物を利用して無効化したが、目の前のサポーターは支援装備を自分に全投資する自己完結型っぽい。

 初めて見るタイプではあるが、まあ無理をしている感じもするのでそこまで脅威ではない。

 

「あのサポーター、こっちに引き込めないかな?」

 

 突然そんなことを言い出したのは、私と同じ場所で戦うアタッカーの三峰だ。

 彼女には市街地での超至近距離戦という『借り』がある。

 いつかリベンジしたい所だ。

 

「具体的にはどうするの?」

 

「2人揃って下がれば向かってこないかな?」

 

 何を馬鹿なと思ったが、正面の敵サポーターの好戦的な動きを見ていると『突っ込んできそう』と思えてくる。

 私は少しだけ悩んでから……決めた。

 

「確か、安田さんだっけ?」

 

「へ? は、は―――きゃっ!?」

 

 返事をしながらこちらを向いた彼女のスグ横を通り過ぎた銃弾が、後ろの壁に命中した音が響く。

 恐らく相手側の狙撃でしょ。

 しかし思ったよりも安田というブレイカーは、怯えていた。

 これで鳥安を抑えてたって話だから、世の中わかんないよね。

 

「悪いんだけど、協力してくれない?」

 

 

 

 

 

■side:ブルーチーム 田中 涼

 

 

 

 

 

 開幕予定されていた突撃は、相手の激しい抵抗で失敗に終わった。

 でもそれでいい。

 万が一にでも一気に終わってしまったら、私のアピールチャンスが無くなる。

 

 そしてまともな撃ち合いが始まるも、正直な感想を言いたい。

 

「サポーター、邪魔」

 

 思わず舌打ちが出る。

 堂々と射線妨害をする形で陣取っている。

 おかげでロケ持ちストライカーと2人で行っている遠距離攻撃は不発気味だ。

 一度『前に出過ぎだ』と言ってみたが『問題ない』と返ってきた。

 お前が問題なくてもこっちが大ありなんだよ。

 そんな中、信じられないことが起こった。

 

「弾切れしたから補給してくるね」

 

 そう言ってストライカーが戦線を離れたのだ。

 相手との距離がある程度確保されているとはいえ、サポーターとブレイカーだけを残してそれは流石にない。

 しかも弾なら目の前に居る『サポーター(役立たず)』から貰えばいいだろうに。

 

 これは相手が突っ込んでこないから良いようなものの、本来なら間違いなくあり得ないミスでしょ。

 そう思っていたら、先ほどのは軽いジャブだったようだ。

 

 私の一撃が相手のサポーターに命中し、前に陣取るサポーターの攻撃で相手アタッカーが後ろに下がった。

 すると2人はマシンガンなどを牽制攻撃として一気に撃ちまくった後、揃って下がっていった。

 本来ならチャンスとして突撃する場面でしょうけど、サポーター1人では無理。

 ストライカーが帰ってきた時にまだ相手が姿を見せないなら、少し前にラインを押し上げる形になるかな。

 そんな予想をしていると―――

 

「相手が下がった!前に出る!」

 

 そう言ってサポーターが元気良く前に走っていくではないか。

 意味が解らなかった。

 

 前に走っていったサポーター(馬鹿)は、地雷を踏んだのか爆発と共に盾を失いながら下がってきた。

 そこを正面から盾を構えたサポーターに詰め寄られ、それに夢中で横から走り込んで来るアタッカーへの対応が遅れた。

 そのまま超至近距離からショットガンを連射され、光の粒子となって消えていく。

 

 

 ◆キル

 x ブルーチーム:南保 珠

 〇 レッドチーム:三峰 灯里

 

 

 せめて一撃とアタッカーを狙って狙撃をするも、相手の太ももに命中しただけ。

 スグに相手サポーターが大盾で、アタッカーが後退するまでカバーしたため追撃も出来なかった。

 

 

 

 

 

■side:ブルーチーム 大野 晶

 

 

 

 

 

 試合開始からそれなりに時間が経つ。

 だけど一向に前に出れる気配はない。

 

「チッ!またかッ!?」

 

 もう何度目になるか解らないグレネードを回避する。

 相変わらず彼女のグレネードは、あり得ないほど正確だ。

 しかも銃撃戦など何かのタイミングに混ぜてくるため、気を抜いた瞬間にやられてしまう。

 私もグレネードで応戦するが、そこまで神がかり的な場所には落とせない。

 

 しかもこちらは前に出ている関係で補給はサポーター頼りになってしまう。

 幸い、隣に居るサポーターは元神風特攻からサポーターに転向した誠子だ。

 あの琵琶湖女子のメンバーにいつの間にかなっていたが、あそこのメンバーらしくサポートはしっかりしていた。

 それに相手の一斉攻撃などは全て盾でカバーしてくれる。

 それもあって特に継続戦闘は出来ている方だが、時間の問題だろう。

 どこかのタイミングで一度下がる必要がある。

 何故なら―――

 

「ホント、晴香と軍事施設なんてセットにしちゃダメでしょ」

 

「おかげで無限グレネード地獄よ。アンタ同じ学校になったんでしょ?止めてきてよ」

 

「攻撃型アタッカーとして有名な大野晶様が、お手本を見せて下さるので?」

 

「どうせ私1人で行けとか言い出すんでしょ?」

 

「そりゃもうお手本ですから」

 

 元々U-15の時も黒澤と同じく仲が良かった。

 だからこそ軽口を叩きながらそれなりに戦える。

 

 それにしても回復拠点に陣取られての無限グレネード。

 しかも全て神がかり的な投擲。

 まさに地獄である。

 本気で近づくことが出来ない。

 相手サポーターもしっかり仕事をしている。

 ブレイカーはお互い微妙な感じなので相殺と見てもいいでしょうけど。

 そんな中でログが動いた。

 

 

 ◆キル

 x ブルーチーム:南保 珠

 〇 レッドチーム:三峰 灯里

 

 

「あ~、そんな気がした」

 

 思わずそう呟く。

 U-15の頃から自信家で、周囲とよく揉め事を起こす問題児だったものね。

 まあ流石にU-18には来ないでしょ。

 なんて思いながらも、また投げ込まれてくるグレネードに舌打ちをしつつ後退した。

 

 

 

 

 

■side:レッドチーム 福田 理央

 

 

 

 

 

 最初はLEGENDになんて興味が無かった。

 ただ事務所の方針で『LEGENDアイドルとしてデビュー』ということになっただけだ。

 正直、戸惑った。

 LEGENDアイドルとは言葉通り、LEGENDというスポーツをやっているアイドルのこと。

 

 何故わざわざアイドル一本じゃないのか。

 LEGENDアイドルのメリットは、その露出の多さ。

 ある程度の実力が必要とはいえ、テレビに出やすい。

 何か少しでも活躍すればインタビューに呼ばれやすい。

 そしてそれらがニュースになり、知名度へと繋がるのだ。

 そうなると応援してくれるファンも加速度的に増えていく。

 

 歌もLEGEND寄りという訳でもなく、様々な曲を出せる。

 何よりチームだとチーム内の誰かが活躍するたびにチーム名が嫌でも登場する。

 

 デメリットとしては、LEGENDアイドルの数が多いということ。

 比較的簡単に知名度を稼ぎやすいため、参入してくる数が多いのよね。

 そして一部ガチ勢と呼ばれるLEGENDファンからは『大人しくアイドルだけやっていろ』と言われてしまうこと。

 イロモノ扱いされてまともな評価などされなくなる。

 これが地味に痛い。

 この超情報化社会では、こうした話題が拡散しやすい。

 そのため一度そういうイメージを付けられてしまうと這い上がりにくくなる。

 

 まあ私は運良く、比較的実力者が多いとされるアイドルユニット【Twinkle star】のリーダーとなった。

 おかげでデビューから僅か2年で人気ユニットの1つとして数えられるほどに。

 ここから更に抜け出すにはどうすべきかと思っていた所に今回の選考会が舞い込んだ。

 

 正直、大炎上している案件だけに事務所としても『参加すべき』『辞退すべき』と意見が分かれた。

 でも私は、参加すると宣言してここに来た。

 多少のリスクは承知の上。

 自分でも『実力で代表に』なんて言えるほどの選手だなんて思っていない。

 だからこそ、この降って湧いたチャンスこそが重要なの。

 

 もし万が一にでも代表入りすれば【Twinkle star】は日本一の人気ユニットとなるはず。

 そのためにも、私がここで頑張らなきゃ。

 

 そう思って試合に臨んだのだが、やはり代表を決める戦いは厳しい。

 先ほどから前に居る2人のおかげで何とか凌げているものの、相手側のブレイカーはマシンガンのように連射出来るライフルで攻撃してくる。

 おかげで顔を出すタイミングが難しいわ。

 しかも距離があって撃っても全然当たってくれない。

 しっかり狙う時間をくれると嬉しいけど、そんなものくれる訳がない。

 

「ちょっとぐらい手加減してくれても、いいじゃない」

 

 思わずそう口にしながら、とにかくミスをして印象を悪くしないよう注意しながら様子見のために顔を出した。

 

 

 

 

 

 




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*次話に決着編が登場予定です。

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