最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる 作:のこのこ大王
■グロリア・ルエラス・オレジャナ『ST』
・スペイン三騎士と呼ばれる1人。
大型マシンガン、大盾、両肩ツインガトリング(サブアームで追加固定)、腰に大型警棒という射撃系ストライカー。
特に両肩ガトリングはアームで固定することにより足を止めずに撃てるよう改良されている。
■マリアネラ・アブレウ・エルモーソ『ST』
・スペイン三騎士の1人。
大型ブレード、サブアームに予備の大型ブレード、両肩ショルダーシールド。
典型的な突撃接近戦タイプの超高機動ストライカー。
特に同じような接近タイプを見つけるとタイマンに持ち込みたがる。
■マリサ・パンプロナ・バラゲロ『ST』
・スペイン三騎士の1人。
大型警棒、腰に予備警棒、大盾、サブアームにロケットランチャ2丁。
突撃接近タイプにロケットを追加した超高機動型。
ロケットで牽制しつつ相手との距離を詰めるスタイル。
■side:U-18女子スペイン代表 グロリア・ルエラス・オレジャナ
「―――陽動を開始する」
リーダーであるバネッサの言葉は、一斉攻撃の合図である。
「さーて、行きますかぁ」
大盾と大型マシンガンを構え直す。
「じゃあこっち側は、もらい~!」
マリサがそう言いながらブースターを吹かして相手に突っ込む。
「ちょっと!奥に居るのは私の獲物なんだからね!」
マリアネラもそう言ってブースターを吹かして突っ込んでいく。
「まったく……」
私はため息を吐くと、2人に遅れないようブースターで加速しながら突っ込んだ。
スグに相手が正面からガトリングを撃ってくる。
ガトリング1本で戦う面白いスタイルの新城だ。
例の集まりで何度か戦ったこともあったが『まあまあ』という評価。
正直、何故ガトリング1本にこだわるのか理解出来ない。
「まあ、相手にならないからいいけど」
お互い超高速起動による動きながらの撃ち合いとなる。
大型マシンガンと大型ガトリングでは射程の問題もあり不利だ。
なので早々に両肩のツインガトリングを起動させる。
この武器は本来、反動などが強いため足を止めて使用しなければならない。
そうでなければ集弾性の低下や最悪転倒などの危険がある。
しかしサブアームとカスタム要素でそれをクリアする方法を思いついた。
サブアームで両肩のガトリングを固定して支えれば良い。
そうすることで動きながら使用してもある程度集弾性が落ちるものの、転倒などはしなくなった。
「あ~、まあこんなもんだよねぇ~」
撃ち合いを始めると途端に相手がジワジワと下がり始める。
高機動ストライカーの撃ち合いで大事なのは『間合いの主導権』だ。
これをどちらが握るのかによって状況は大きく違ってくる。
主導権を握られればこちらから仕掛けることは出来なくなる。
一方的に相手有利な状態のまま防戦で耐え、流れが変わる瞬間を待つしかない。
もしくは多少の被害を容認して流れを強引に変えてしまうかだ。
だが主導権を握ってしまえば、交戦距離を自由に選択することが出来る。
攻撃するも防御して相手に仕掛けさせるも自分次第だ。
そして……今回はこちらが主導権を取った。
なので積極的に仕掛けていく。
相手側の奥からロケット弾や砲撃が飛んでくるが、脅威でもなんでもない。
余裕で回避しながら相手を追い詰める。
一気に距離を詰められ焦ったのか、無駄に動き回って何とかしようともがく相手にため息を吐く。
ガトリング1本にこだわった結果、こうなると相手はどうしようもない。
素直に逃げるしかないのに、それすら理解出来ていないのだ。
「さっさと潰すか」
盾で相手の弾を弾きつつツインガトリングと大型マシンガンの一斉射撃をしながら距離を詰め続ける。
距離が詰まるほどにこちらの攻撃が回避出来ず一気に被弾量が増す。
それに気づいて距離を取ろうとするが、そもそも遅すぎる。
圧倒的な火力で一瞬にして耐久値を削った結果、そのまま撃破判定となった。
◆キル
x 日本 :新城 梓
〇 スペイン:グロリア
■side:U-18女子スペイン代表 マリサ・パンプロナ・バラゲロ
「じゃあこっち側は、もらい~!」
私はそう言うと、2人の返事を待たずに前に出た。
こんなつまらない撃ち合いは、さっさと終わらせるに限る。
相手側から飛び出してきたのは、先ほどから温い撃ち合いをしてきたストライカーだ。
名前は何だったかな?
例の集まりで何度か戦う機会があったような気がするが、覚えていない。
まあその程度ということでしょ。
腕部ロケットと両肩のミサイルを撃ってから高速移動でガトリングを追撃として構えてきた。
それに対して正面から大盾を構え、速度を調整しつつ突撃する。
相手は思うでしょうね。
『これで相手の盾にダメージを与え、ガトリングで潰して逃げようとしたところで再度ミサイルだ』って。
「でも、そうはならないんだよねぇ~」
ロケットを回避し、僅かに遅れてやってきた誘導ミサイルを確認する。
そして、ギリギリのタイミングでブーストを最大にして加速した。
急激な速度変化で身体に負荷がかかる。
しかしこの程度、どうってことないわ。
誘導ミサイルを直前で正面から超高速で避けながら突撃してきた私に、予想通り相手は驚いている。
この程度は出来て当然でしょ。
そのままサブアームについているロケットランチャーを撃つ。
反動がほぼ無いタイプだとサブアームでも十分使えるのがコイツの利点と言えるだろう。
迫ってくる2つのロケット弾に慌てながらも相手は回避した。
しかしそこで速度を殺してしまった時点で、お前は終わりだ。
大盾を構え、シールドバッシュを狙うように突撃する。
ガトリングを撃っていた相手は、これ以上は無理と判断してシールドバッシュ対策を取る。
それはガトリングを跳ね上げられて体勢を崩されるぐらいなら―――というやつだ。
ガトリングの持ち方を変え、鈍器として持ち上げこちらに向かって振り下ろしてくる。
「だから、もう終わりだっての」
そんなことは想定内だ。
フェイントだったシールドバッシュの構えを解いて相手のガトリングによる打撃をブーストを吹かして回避する。
目の前で急激に横移動を入れたため、相手からは急に消えたように見えただろう。
そして側面から盾を構えて体当たりを入れた。
衝撃と共に相手が大きく体勢を崩す。
相手は倒れまいとガトリングを手放し、腰にあるロケットに手を伸ばしながら距離を取ろうとする。
それはもちろん、私が持っている大型警棒による追撃を恐れたから。
でもね、それがダメなのよ。
相手がロケットランチャーを構えながらこちらを見た瞬間、驚いた表情をしていた。
それはそうだろう。
大型警棒で迫ってきたのを何とかしようと思っていたら、相手はサブアームのロケットランチャーを構えて発射していたのだから。
距離を取ってしまったことで、私がロケットランチャーを使えるようにしてしまったのだ。
ここまで全て想定内。
予想通りだった。
驚きながら、もはや回避不可能なロケット弾をただ見ているしかない相手。
そんな間抜けに私は別れの言葉を口にした。
もう二度と戦うこともないだろうという意味を込めて。
「
◆キル
x 日本 :笠井 千恵美
〇 スペイン:マリサ
■side:U-18女子スペイン代表 マリアネラ・アブレウ・エルモーソ
「あ~つまんない!日本ってこの程度なのぉ?」
田川との出会い頭の衝突で相手の警棒を回避しつつ大盾に一撃。
そのまま互いにブースターを吹かしながら旋回しての2回目。
相手の警棒を受け止めるフリをして避け、そのまま盾にもう一撃入れて盾を破壊。
再度旋回からの3回目は、相手の大型警棒を持つ腕を狙っての一撃が腕に決まり、相手が警棒を落とした。
予備の警棒を左手に。
リボルバーを右手に。
それぞれ持った相手が何やら相打ちでも狙っているかのような表情で、4度目の突撃をして来ようとしていた。
高速移動に慣れてはいるが、超高速移動になると反応が遅れる相手。
接近戦も盾を主体にしている癖に、その盾の扱いが悪い。
何より大型警棒の利点を生かしきれていない。
こんな相手にどうやって盛り上がれというのか。
「もう興味ないし、ちゃっちゃと終わらせよっと」
こちらがブースターを吹かして前に出た瞬間、相手もブースターを全開にして突撃してくる。
そしてリボルバーを牽制に撃ちながら迫ってきたので、それを大きく回避するフリをして一回転しながら膨らむように動く。
こちらの速度が落ちたのを見て、相手は最速の一撃を入れるためか真っ直ぐ突っ込んでくる。
そこに一回転した私が投げた大型ブレードが迫った。
いきなりのことに驚き多少体勢を崩すも何とかそれを回避する相手。
だが次の瞬間、最大加速で突っ込んでいた私がもう目の前にいた。
手にはサブアームに持たせていた予備の大型ブレード。
上段に構えた私の一撃を何とかしようと警棒を上に向ける相手。
その瞬間、一瞬で横薙ぎの構えに変化させ、勢いのままに横薙ぎ一閃。
相手は光の粒子になって消えた。
◆キル
x 日本 :田川 秋
〇 スペイン:マリアネラ
「せめてシャーロットちゃんぐらいの手ごたえは欲しかったなぁ~」
■side:U-18女子日本代表 大野 晶
「ホントに前に出れないぞ、これ!」
10分を過ぎた頃、突然相手が一斉攻撃を開始してきた。
といっても激しい弾幕だけで前に出てこないのが幸いだ。
ただ異常な命中精度と火力インフレによる高火力で、迂闊に前に出ると即撃破判定となるでしょう。
恋も最初は前に出ていたけど、今では石井先輩にカバーして貰いながらじゃないと危ない感じになっている。
これは一体どういうことだ?と思う。
スペインがこんなに強いなんて聞いたことが無い。
もし強ければとっくに特集されているはずだし、ロシアのように嫌でも情報が出てくるはずだ。
そう思っていると撃破ログが一気に動いた。
しかも全てこちらの選手が撃破されるものばかり。
相手はまだ1人としてやられていない。
「―――うそでしょ」
まさかここまで一方的になるなんて。
―――スペインチーム、発電所制圧!
◆キル
x 日本 :池上 聖華【L】
〇 スペイン:マリサ
―――スペインチーム、司令塔への攻撃を開始しました!
リーダーが撃破されて通信障害が発生するが、もうそんなことはどうでもいい。
司令塔が攻撃を受け、ほとんどが撃破され生き残りの私達は動けない。
気づけば後ろや側面にも敵が来ていた。
完全包囲という状態だ。
本来ならここで一斉攻撃を受けて全滅という流れなのだが、そうはならなかった。
何故なら相手が攻撃してこないからだ。
囲まれた時点で攻撃せず、こちらが足掻けば攻撃してくるという感じになる。
つまり『大人しくしていれば撃破しないでおいてやる』という温情みたいなものだ。
しかし既に残り3人ではどうしようもない。
叫び声が聞こえたかと思えば、恋の奴が無謀にも突撃した。
だが奇跡など起こるはずもなく。
◆キル
x 日本 :一条 恋
〇 スペイン:グロリア
ふと石井先輩を見ると両手を上げて『お手上げ』だとジェスチャーで示した。
その時点で、私ももはや抵抗する気力が無くなる。
抵抗が終わってしまえば、あとはもう簡単な話だ。
そのまま司令塔が破壊されて試合が終わった。
司令塔破壊による完全試合。
つまり日本代表のこれ以上ない完敗だった。
「くそ!くそ!」
現実に戻るとVR装置のパネルを思わず殴りつける。
頑張ってきた。
努力してきた。
常に最強を目指して戦ってきた。
なのに現実は残酷だ。
ただやられたのではない。
『撃破を見逃されて』の負けだ。
これほどの屈辱があるだろうか。
そして何より。
恋のように突撃して散るだけの根性すら見せることが出来ずに諦めてしまった。
それが一番……悔しかった。
■side:U-18女子日本代表監督 芳川 浅子
「まあ予想通りというか、予想外というか」
今日の試合を振り返って思わずため息を吐く。
海外の予想以上の強さにも驚いたが、それ以上に日本勢の負けっぷりにも驚いた。
正直、もう少しは粘れるのではないかと思っていただけに、予定を大幅修正しなければならないだろう。
本日のスペイン対日本の親善試合。
3戦3敗で日本の負け。
しかも全ての試合で司令塔破壊されるという完全敗北だ。
アタッカー組は基本的に全員が前に出ることすら出来ずに撃ち合いで足止め。
そこに狙撃が入って一方的に撃破されていくだけ。
ストライカー組も超高速機動戦に慣れておらず、その異常な速度に対応出来ず各個撃破されていく。
支援勢も高機動白兵ストライカーに迫られると対処出来ずにやられていった。
唯一、藤沢だけは相打ちに持っていけたがそれだけだ。
サポーター組に関しては杉山が散々支援に関しての説明をしていたのに……。
結局何故か支援と撃ち合いを両立しようとしてアタッカー同様に狙撃されるか、高機動ストライカーに接近されて撃破されていくだけだった。
ブレイカーに関してはスペインのリーダーであるバネッサが徹底して安田を避けていたのが印象的だったぐらいだ。
その安田は地雷によって接近を許さないようにするのが精一杯で、それ以外での活躍が無かった。
鳥安も突撃してくる相手に対処出来ず、かといってそれを警戒し過ぎてレールガンに撃たれるなど散々である。
アイドル組に関しても、経験・技術共に不足していて試合ではまったく良い所などない。
「つまり何をしても勝てなかったという訳ね」
「まあそうでしょうね。今の彼女達では勝てないでしょう」
私の呟きが聞こえたのか、霧島が返事を返してきた。
「それで、アナタはここからどうするのかしら?」
「これで多少は練習をする気になるでしょう。例の練習プログラムを行います」
「もしこれで折れたままの子が出たら?」
「そんなのまとめて粗大ごみとして捨てますよ?」
『そんなの当然でしょ』という顔でそんな台詞を言う彼女に思わず笑ってしまう。
確かに、この程度で折れて使い物にならなくなるのならLEGENDを辞めるべきでしょう。
本人のためにもね。
「……それで、上手く行けば勝てるようになると?」
「さあ?本人達次第でしょう、そんなの」
「ずいぶんとハッキリ言うね」
「結局、それらを決めるのは本人達以外居ませんからね」
歳の割にずいぶんと割り切った考え方に苦笑する。
本当にどうすれば、こんな娘が育つのやら。
「……とりあえず今日の試合に関しての反省会から始めましょうかね」
そう言って私はミーティングルームへと向かった。
今回のスペイン戦は、大方の予想通りに日本がボコボコにされました。
弱点を指摘されながらも、それを改善しなかった選手は大半がそれを突かれて。
基本技術からの差がある選手では、圧倒的に状況を支配されての完敗。
ここから彼女達が復活するのか?
それとも失意の中での世界戦となるのか?
そしてアリスが用意している練習とは?
次話からその辺りの話に移行します。
あと一部でありました、マリサ・マリアネラの名前似てて面倒問題。
これは素直に申し訳ないです。
仲間を考えるのも一苦労でして、名前を決めた時は大丈夫と思ったのですが……。
名前似てるなと気づいた時には既に投稿後であり変更するにも色々修正が大変でして。
名前は何故かいつも似通った感じになってしまうんですよねぇ。
今後はもう少し注意したいとは思ってます。
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