最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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■福田 理央:LEGENDアイドル【Twinkle star】のリーダー。選手としては凡人レベル。周囲よりちょっと上手いかな?レベル。

■佐藤 千秋:LEGENDアイドル【Arcadia】のメンバー。ひたすらストイックに努力をする努力型で、LEGENDアイドルに青春全てを注ぎ込むと宣言している少女。選手としては普通よりは上だが凡人の域を出ない感じ。


第121話

 

 

 

 

 

■side:U-18女子日本代表 福田 理央

 

 

 

 

 

「大人しくアイドルとして頑張った方がマシだと思うけど?」

 

 私が彼女に言われた最初の台詞だ。

 まさか自分が代表入り出来るなんて思ってなかった。

 だからこそ頑張ろう、これはチャンスだと練習に打ち込んだ。

 でも、なかなか簡単には上達しない。

 しかも周囲と比べても圧倒的に遅れていると、嫌でも解るほどの差を見せつけられる。

 

 それが嫌で……何とかしたくて、私はコーチである世界一の天才選手と呼ばれる霧島アリスに声をかけた。

 その返答が先ほどのアレだった。

 

 どうして最初から拒絶されるの?

 彼女も『LEGENDアイドルなんて』と蔑んでいる連中と同じなのだろうか。

 だけど、彼女の次の言葉に思わず返答に困ってしまう。

 

「他の選手はLEGENDに全ての時間を注ぎ込んでいる。でもアナタはそこにアイドルとしての時間がある。ならどちらの方に可能性があるかなんて言うまでもないでしょ」

 

 確かにそれを言われるとどうしようもない。

 アイドルとしての練習時間などは、どうしても発生してしまうから。

 その時間の差だけ純粋にLEGENDをやっている選手との差に繋がる。

 

「別にアナタがそれでもLEGENDでちゃんと結果を残せているのなら構わないけど、そうじゃないでしょ?なら中途半端なことをせずアイドルに徹すればいいじゃない。心配しなくても勝ちか負けが確定したようなタイミングの試合があればそこで出してあげるから」

 

 お前は所詮、単なるお飾りだと言われた気がして落ち込んだ。

 数多くのLEGENDアイドル達の中でも有名になった所は、ほとんどがこの問題にぶつかってLEGENDを辞めアイドル1本になっていく。

 そして周囲から『やっぱりそうなった』と失笑され、馬鹿にされる。

 

 でも、私はそれが嫌だ。

 最初は言われてやり始めただけのものだった。

 それでも今ではLEGEND選手としても頑張りたいと思えるぐらいに努力をしてきたつもりだ。

 【Twinkle star】は、絶対にLEGENDアイドルとして成功してみせる。

 どちらもしっかり評価を得て『LEGENDアイドル』というものの評価を変えてみせる。

 それが私達【Twinkle star】の目標。

 

「それじゃダメなんです!お願いします!」

 

 相手に思いっきり頭を下げる。

 しかし私の想いは通じなかった。

 

 大きくため息を吐かれると、何も言わずに去っていかれてしまった。

 

 それからは練習の時にある程度のアドバイスが貰えるものの、それだけだった。

 しかしスペイン戦が終わった後。

 

 これじゃやっぱりダメだと改めて思った。

 今のままじゃ、どう頑張っても勝ち目なんてない。

 試合に出ても足を引っ張るだけだ。

 

 だからこそ、再び頭を下げに行く。

 

「お願いします!私に一から指導して下さい!」

 

 私にはもうこれしか出来ない。

 断られても何度でも頭を下げるつもり。

 だってこのまま自主的な練習では絶対にみんなとの差は埋まらないから。

 

「わ、私もお願いします!このままじゃ終われません!」

 

 いきなり誰かが割り込んできたかと思えば、私の隣で一緒になって頭を下げた。

 【Arcadia】の『佐藤 千秋』だ。

 

「私には、これしかないんです!お願いします!」

 

 隣で必死に訴えかける彼女の気持ち、少し解る気がするわ。

 そしてそのまま2人で頭を下げ続ける。

 頭を下げているから相手の顔が見えないが、ため息が聞こえる。

 オーディションの合格発表よりもある意味緊張する。

 しばらく無言が続いた。

 

 

 

 

 

■side:U-18女子日本代表指導コーチ 霧島 アリス

 

 

 

 

 

 練習中の選手達の雰囲気を見て回る。

 紙束を手に唸る者。

 ひたすら何かを練習する者。

 誰かに指導を頼む者。

 まあ、色々だ。

 

 そんな中、サポーター達を相手に笑いながらダメ出しをしている杉山先輩が居た。

 それを見て『ああ、ついにぶっ壊れたか』と両手を合わせて拝んでおく。

 

 そして危ないものから遠ざかろうとすると、目の前にアイドルが現れた。

 

「お願いします!私に一から指導して下さい!」

 

 いきなり頭を下げられたが、これが初めてではない。

 前に一度あったがアイドルらしくしておけと言ってスルーしたはず。

 それがまたどうして同じことをし始めたのか。

 ……まあ間違いなくスペイン戦の影響だろうけど。

 でもあれは全体的にボコボコにされたから、アイドルだけが悪いってことでもないんだけどなぁ。

 

「わ、私もお願いします!このままじゃ終われません!」

 

 そんなことを考えていると、もう1人アイドルが追加された。

 

「私には、これしかないんです!お願いします!」

 

 必死になって訴えかけて強くなるために指導をという気持ちは解らなくはない。

 だが重要なことが1つある。

 

「……とりあえず2人のマネージャーを呼んできなさい」

 

 そう言われて思わず『えっ!?』と声をあげる2人。

 それでも再度『さっさと呼べ』と言うとスグにマネージャーを呼びにいった。

 

 そして5分ほどで2人のマネージャーが現れた。

 2人ともスーツの女性だ。

 

「とりあえず2人が真面目にLEGENDやる、練習するって言ってるのですがその辺どうなんです?」

 

 正直、アイドルを優先するなら邪魔なので広告塔程度でいいですよね?と確認してみる。

 すると意外なことに、どちらからも同じ答えが返ってきた。

 

「本人がそうしたいなら事務所としては可能な限り協力します」

 

 その言葉を聞いてスグに私は用意していた言葉を口にした。

 

「ならあの密着ドキュメントのテレビクルーを全員追い出すけど構わないですよね?」

 

 ぶっちゃけ邪魔だった。

 練習風景を撮りたいとか言い出すまでは許容するが、正直選手達の気が散るからやめて欲しかった。

 これで堂々と追い出せる。

 

「それに関してなのですが―――」

 

 そこから多少条件面で話し合い、マネージャーが遠くから邪魔にならない程度に撮影する。

 テレビクルーは全員追い出す。

 ということで話が付いた。

 

 ちなみにこの撮影を捻じ込んできたアホ協会役員は、事情を知った協会会長によって閑職に追い込まれたらしい。

 

 そして全てが片付いた後、再びアイドル2人を呼ぶ。

 

「せめてあの的当てで命中率9割を出しなさい。それが出来ないなら試合に出ても恥をかくだけよ」

 

 スペイン戦でボコボコにされたのを考えれば、それが最低条件だ。

 正直、今回はレールガンが1人だけだったが世界は広い。

 アナスタシアのようなガチなブレイカーなどとぶつかれば、アレどころの騒ぎじゃない蹂躙となるのは確実だ。

 

「指導はする。でも泣き言を言った瞬間、見捨てるから」

 

 元気良く返事をする2人の声を聞きながら千佳を呼んで3人まとめて同じ練習をさせる。

 構えなどの基本的な所からの指導になるため、基礎的な所を千佳に復習を兼ねて教えさせた。

 何故か嬉しそうに指導する姿が何とも言えず緩い空気になってしまったが、まあ大丈夫でしょう。

 私が引き締めればいいだけだ。

 

「昔やってた選抜兵士達のプライドを叩き折って鍛え直すアレだと思えば何とかなるでしょ」

 

 

 …………………。

 ……………。

 ………。

 

 

 そして1週間ごとに行われるテストの日。

 ブレイカー組は全員『的当ての命中率9割越え』という課題。

 そこで面白い結果が出た。

 

 安田 9割 

 鳥安 8割

 福田 8割

 佐藤 9割

 

 三島 8割

 

 これにより安田・佐藤の2人は第二課題へ。

 そして残りは再び第一課題の9割命中へと別れることになった。

 

 

 

 




こうしてまずはアイドル達が動き出しました。
佐藤はギリギリ、福田は一歩足りずですが、どちらも最初は3割程度の命中率だったことを考えれば上達した方でしょう。
何より鳥さんが8割なのを考えれば結構厳しい課題なのは解ると思います。

これにより鳥さんが何を思うのか。
三島もようやく8割になりましたが、追い付けるのか?

しばらく練習などの話が続きますが、よろしくお願いします。


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