最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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第152話

 

 

 

 

 

■side:新潟県立田所高等学校3年 南保 珠

 

 

 

 

 

「ウザい!ウザい!ウザいッ!!」

 

 私の叫びに周囲から不満そうな目が向けられるが、そんな不満ならこの状況を何とかしてみせろ。

 全部お前らのせいだろうが。

 狭い場所に無理やり詰め込んでいるかのような状態になっている連中を見て思う。

 

 せっかくの高校生大会最後。

 しかも決勝トーナメント。

 ここで勝ち上がり、実力を示せば道は開かれる。

 谷町だろうが、アリスだろうが、恋だろうが、誰だろうが今の私の敵じゃない。

 あれからどれだけ練習してきたと思ってるんだ。

 

 それを―――

 それを―――

 

「こんなはずじゃないのにッ!!!」

 

 自軍の『スタートエリア』から出ることも出来ず撃ち合いを強いられる状況に、叫ばずにはいられない。

 

 そもそも東京私立大神高等学校との対戦と聞いてチャンスだと思った。

 優勝候補とされる一角を崩せばそれだけ注目度は増す。

 引き気味な攻撃で大して活躍してないのに声を上げてリーダーやってますって顔をしている谷町。

 ちょっと運良く迫撃砲が決まるからって調子に乗ってる鈴木。

 前に出るしか能の無い大野にアリスの後ろでピーピー泣いてるだけの鳥安。

 こんな連中と一緒にされてたまるか。

 

 序盤は中央をしっかりと抑えていたはずなのに。

 使えない連中のせいで上も下も押されて、最終的にはスタートエリアに完全に封じ込められてしまった。

 こうなると一斉攻撃でないと返せないのに、使えない連中は怖がって前に出ない。

 こんなところで撃ち合って何の意味がある。

 どうして私がこんな格下連中に苦労しなければならないんだ。

 

 やはり高校に入ってから活躍出来なくなってきたのは、選んだ場所が悪かったのだろう。

 こんな使えない連中では作戦も何もあったものじゃない。

 結局、半包囲を食らって抜け出せない。

 相手がやる気を出して突撃してきたらあっさり終わる可能性の方が高い。

 

「―――にも関わらず、どいつもこいつもッ!!」

 

 大型マシンガンを構えて相手の頭を抑えようとして―――

 

 ガンッ!!

 

 大きな音と共に手に衝撃が走る。

 そして弾かれたマシンガンが後ろに吹き飛ぶ。

 

「チッ!」

 

 舌打ちしつつ肩のミサイルを撃とうとして―――

 

 ガンッ!!

 

 またも大きな音と共に肩に衝撃が走ったかと思えばミサイルユニットが地面に落下する。

 むなしく転がるミサイルは、根本のマウント部分が打ち砕かれていた。

 

 思わず正面を見ると、そこにはライフルを肩に担いだままこちらを見下すようにしている鳥安の姿。

 

「アイツゥゥゥ!!!」

 

 思わず下唇を噛む。

 VRなので特に痛い訳ではないが、それでも痛みを感じた錯覚に陥る。

 

 スグに使えない味方をかき分けてスタート位置で武装変更を行う。

 

「無理に前に出ないで欲しいんだけど?」

 

 武装交換を終え、サポーターからアタッカー装備へと換装を終えた所で、冴の奴が止めに来た。

 

「アンタだってわかってるだろっ!!押し返すしか道なんて無いんだよッ!!」

 

「わかってるけど今じゃないって話よ!」

 

 ただでさえ狭い場所に押し込められているのに、更に苛立つ言葉をかけられても腹が立つだけだ。

 

「じゃあいつなら反撃すんのよ!」

 

「せめて相手の半数以上が一斉リロードに入った段階じゃないと押し切れないわ」

 

「そんなの待ってる間に突撃されたらどうするんだよ!!」

 

「勝ち目のない突撃される方が迷惑なんだけど!」

 

 お互いに譲らない喧嘩になったと思った所で、春枝が入ってきた。

 

「私も珠の意見に賛成。あいつらの半数以上がリロード?そんなミスする?」

 

「でも―――」

 

「冴。アンタの言い分は聞いた。その上で私と珠はやる」

 

「良く言った春枝!」

 

 そう、ここで一矢報いなければどう考えても勝てる訳がない。

 そして周囲の役立たずを囮にして2人で行けば局地的に押し返すことも出来るはず。

 そうなればそこを足掛かりにジワジワと押し返していけばいいだけ。

 

「私は止めたわよ」

 

 そう言う冴を無視して2人で一番脆弱な上側の連中に向かって攻撃しながら突っ込む。

 ゴチャゴチャとした連中の中から急に飛び出したからか、相手の反応が鈍かった。

 一気に押し込むと相手は焦って全力で後退しはじめる。

 

 そのまま次の角まで押し込めば軍事施設を取り返すことが出来る。

 そうなればここを拠点として粘ることも、一気に崩れた相手戦線の裏取りをして奇襲することも可能だ。

 

「ほら、やっぱり行けるじゃないッ!!」

 

 相手は反撃らしい反撃もせず防御を固めて下がるだけ。

 前には施設が見えてきた。

 これでようやく反撃が出来る。

 

 そう思った瞬間―――

 

 ふと上から影が差す。

 VRの天気はそう変化無いのだけどもと思いながらも、何気なく空を見上げた。

 

 空から降ってきたのは―――黒くて無骨な迫撃砲の弾が作り出す雨だった。

 

 

 

 

 

■side:東京私立大神高等学校3年 鈴木 桃香

 

 

 

 

 

 レーダー上に映る相手の動きから、タイミングを予想して大型迫撃砲を撃ち込む。  

 腹の底に響くような音がしたかと思えば、空に向かって弾が飛んで行く。

 

 

 ◆キル

 x 新潟田所:南保 珠

 〇 東京大神:鈴木 桃香

 

 

 ◆キル

 x 新潟田所:安東 春枝

 〇 東京大神:鈴木 桃香

 

 

「はい、2人釣れた」

 

 淡々と報告する私に周囲から「ナイス撃破」と称賛の声が入る。

 

「しかし釣れたのが、よりにもよってあの2人か」

 

 リーダーの香織が苦笑しているのでログを確認すると、その理由を察せた。

 

「あの2人、そこまで強くなかったから」

 

「プライドだけは高かった感じじゃない?」

 

 包囲攻撃が飽きてきたのか晶まで会話に入ってくる。

 

「プライドで勝てたら苦労しない。それこそ一時期の先輩みたいなので勝てるならむしろ勝って欲しかった」

 

 私がそう言うとみんなから苦笑の声が聞こえてくる。

 一時期、白石先輩がヤバかったからね。

 

「それで、いつまで包囲続けるの?もっと点数削るの?」

 

「本音を言えばこのまま削り続けて確定勝利を狙い―――」

 

 途中で香織が会話を辞める。

 何事かと思えばスグに理由を説明してきた。

 

「ああ、終わったわ。相手側監督のサレンダーだって」

 

 彼女がそう言った瞬間に試合終了アナウンスと共に試合結果画面が表示される。

 試合後にVRから現実世界に帰ってくると、香織が全員に声をかける。

 

「まだまだこの程度で消耗してられないわ。今年こそ優勝するのが私達の唯一の目標よっ!!」

 

「はいっ!!」

 

 元気の良い声を聞きながら、私はドリンク片手に帰る準備をする。

 

「今年こそアリス達を倒さなきゃならないからね」

 

 

 

 

 




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