最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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7月16日に4巻が発売予定です。

【挿絵表示】


よろしくお願いします。


第178話

第178話

 

 

 

 

 

■side:シャーリー

 

 

 

 

 

(……待ちかねたわ、黄 若晴!)

 

 下段通路のゲートが開放され、滑り込んだ私は、真正面に立つ彼女を見据えて不敵に笑った。

 他ルートではすでにチーム同士の激しい銃撃戦が始まっている。

 だけど、この通路だけは世界から切り離されたように静まり返っていたわ。

 私達には、言葉にせずとも分かる暗黙の了解があった。

 日本の『霧島 アリス』。

 あの絶対強者に決勝で挑む権利は、私達のどちらか一人にしかない。

 何より、敵陣へ単騎で切り込み、大剣一本で戦場を蹂躙するスタイルは、私達二人とも全く同じ。

 大剣使いとしてのプライドという暗黙のライバル意識が、この前代未聞の一騎打ちを成立させていた。

 

「ハァァァッ!!」

 

 背部ブースターが限界までチャージを完了する。

 私は一歩を踏み出し、エネルギーを一気に解放した。

 ストライカーの特権たる、肉体を置き去りにするような圧倒的なパワーとスピード。

 直線的な超高速の突撃。

 

 何度目かの激しい攻防。

 黄は私の突撃の慣性を見切り、カウンターの軌道を作ろうとする。

 

(甘いわ……ッ!)

 

 衝突の直前、私は最高速からあえて強烈な急制動をかけ、ブースターの指向性を変えて軸を横へとずらした。

 ただの力任せの猪突猛進じゃない。

 極限の速度の中で完全に制御された、技術的なステップ。

 

「しまっ――」

 

 黄の驚愕の声を置き去りに、死角へと滑り込んだ私のブレードが、彼女のブレイカー装甲を鮮やかに切り裂く。

 激しい爆発エフェクトが散り、まずは私が先制の1撃破(キル)を毟り取ったわ。

 

 

 

 

 

■side:黄 若晴

 

 

 

 

 

 リスポーンを終え、私は再び下段通路へと走る。

 頭のどこかでは、チームのために他ルートを援護すべきだという冷徹な計算もあるわ。

 だけど、あの金髪の少女――シャーロット・ヴァレリー・オルコットを前にして、退くことなんて絶対にできなかった。

 

(『最強』の名は、誰にも譲らないわ。自分こそが最強だって、証明してみせる)

 

 彼女は確かに強い。

 驚異的な突撃速度の中に、あれほど精密なステップを交ぜてくるなんて並のストライカーではないわね。

 だけど、単騎で戦場を切り開いてきた誇りは、私にだってある。

 再び下段通路の正面で刃を交える。

 火花が散り、金属音が幾度も響く。

 相手の強さを認め、敬意を払うからこそ、私の闘志は内側から激しく燃え上がっていた。

 何度目かの緊迫した攻防の末、その瞬間が訪れる。

 

「ここよ……!」

 

 シャーロットが再び超高速の突撃を仕掛けた瞬間、私の脳内は完全にその軌道を捉えていた。

 ブレイカー装甲の柔軟性を限界まで引き出し、ミリ単位の身のこなしで刃をかわす。

 そのまま、大剣の重さを一切感じさせない超絶技巧の連撃を繰り出した。

 シャーロットが防御を固めるより早く、その防御を潰し、武装ごと切りつけ、上半身の装甲を強引に叩き斬る。

 

『やり返したぁー!! 黄 若晴、完璧なカウンターでリベンジ達成!!』

 

 ポイントは五分。

 私は再びブレードを構え直し、静かに相手がやってくる方角を睨んだ。

 

 

 

 

 

■side:シャーリー

 

 

 

 

 

 火花が散り、装甲が削れる金属音が何度も響く。

 試合時間が残り少なくなり、精神的にも精一杯。

 仲間達も互いに撃ち合いから、どちらも突撃準備を隠そうとしていない。

 

 そんな中で、私は相手を睨みつける。

 黄 若晴、本当に強い。

 心の底から敬意を払わざるを得ない怪物ね。

 

(だからこそ――私はあいつに勝ちたい! 勝ってアリスの前に立つのよ!!)

 

 決着がつかないまま、制限時間だけが減っていく。

 

 残り時間、5分。

 

 私達は、ほぼ同時に互いの全てを賭けた最大の大勝負に出た。

 ブースターを全開にして黄の懐へと飛び込む。

 

 ――だけど、それは黄の狙い通りだった。

 

「……捕らえたわ」

 

 冷徹な声が響く。

 私の突撃の全慣性を利用するように、黄の大剣が私の防御を強引に弾き飛ばし、姿勢を完全に崩しにきた。

 勢いがついた突撃である以上、慣性が発生しており逃げれない。

 回避不能の防御崩し。

 そこへ、容赦のない必殺の連撃が私を襲う。

 大剣の刃が、私の視界を埋め尽くしていく。

 これで、決まった――誰もが、そう確信したその瞬間だった。

 

(―――終わってたまるものかぁぉぉぉッ!!!)

 

 脳が沸騰するような強烈な感覚が、全身のシステムを突き抜けた。

 

 

 

 

 

 

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