最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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■霧島 アリス:琵琶湖女子1年。主人公。
■藤沢 花蓮:琵琶湖女子2年。リーダー。メーカーのお嬢様。
■鳥安 明美:U-15代表でリーダー。耐久値の減った相手を的確に落とす好戦的な子。
■白石 舞:東京大神3年リーダー。去年U-18代表リーダー。天才ブレイカー。


第32話

 

 

 

 

 

■side:琵琶湖女子1年 霧島 アリス

 

 

 

 

 

 この進んだ世界では、何か買うのなら主に通販が使われる。

 店舗を一切持たない会社なども数多く存在する。

 しかしそれでは店舗は不要なのか?と言われるとそうでもない。

 様々な理由により店舗も未だ一定の需要がある。

 特に実物をその目で確認してから購入したいという声は、ジワジワと増えているほどだ。

 

 LEGENDも店舗があるタイプだ。

 デジタルの代名詞たるVRなのに、データなのにと言われることも多い。

 しかし地味に色々な事情によりその辺は旧来のままなのである。

 

 まず、装備は小指ほどのサイズのスティック型のデータ保存装置に入っている。

 これをVR装置に差し込んで読み込ませることで装備が使えるという訳だ。

 これが無ければレンタル品を使うしかない。

 そして面倒なことにこのスティック型の保存装置、なんとメーカーごとにそれぞれ専用化されている。

 そのため全てが使いたいなら全てのスティックをVR装置に差し込む必要が出てくる。

 これを聞けば誰もが思うだろう。

 『こいつら馬鹿だろう』と。

 『メーカーで統一しろよ』と。

 しかし独自の技術でブラックボックス化されているため、統合するとその辺りの技術が流出してしまうと各メーカーとも統一する気が一切ない。

 そしてその手間だけが選手に丸投げされている状態だ。

 なので全メーカーのスティックを持ち歩くことになり、非常にメンドクサイ。

 そこで国際LEGEND協会は、そのスティックを全てまとめて保存出来てそれを1つそのまま差し込むだけで全てのスティックが接続できるようになるケースを作った。

 そんなものがあればそりゃ飛ぶように売れるだろう。

 一部では、そのためにメーカーとグルなのでは?と言われているぐらいだ。

 

 もう1つ面倒事がある。

 それは装備を購入した際、イチイチその専用スティックを店舗もしくは郵送で専用の部署に送ってデータを更新して貰わなければならない。

 この時に使用者情報などの登録も行われる。

 なのでデジタル全盛期の中を逆行しまくっているのがLEGENDのデータ関係なのだ。

 そして何故こんな話を延々としているのかと言えば、今日は琵琶湖女子全員でLEGEND装備を買いに来たからだ。

 

 あの面倒くさい大人の事情だらけだった練習試合の後で、日本LEGEND協会の会長から連絡があった。

 そしてあの事件に関して何も話さないで欲しいと頼まれ、面倒事を嫌って全員がそれを承諾した。

 その口止め料にしか見えないが、迷惑をかけたお詫びとして好きなものを買っていいと言われて指定されたLEGEND関連販売店に来ている。

 もう店側とは話が付いているそうで、ここで私達がお金を支払うことはないらしい。

 

 『これって色々何かに引っかからないのか?』と思ったが、その辺が引っかからないように色々としたそうな。

 お爺ちゃんに聞いても『あまり堂々と言えることではないが、不正というわけでもない。まあ受け取っておきなさい』と言われたので、まあいいやって感じである。

 他のみんなは、高価な装備が貰えると純粋に喜んでいる。

 藤沢先輩だけ『まあ私は、自社製品しか使いませんけどね』と言っていたぐらいだ。

 

「それで、先輩は何を買うんですか?」

 

「私としては、それより何でアナタが居るのかの方が知りたいのだけど?」

 

 しれっと私達の中に明美が混ざっていることに突っ込みを入れる。

 

「私も買って良いらしくて、それで先輩の意見を参考にしようかなと」

 

「ああ、そう」

 

 何だか面倒になって会話を早々に打ち切る。

 お店の中に入ると、高級感溢れる黒を基調とした店内にズラリと並ぶLEGEND用商品のレプリカ。

 そして奥にはVR装備を確認出来るエリアにVR装置を利用して実際に試射などが行える所もあった。

 

「ようこそ、琵琶湖スポーツ女子学園の皆様。お話は伺っております。どうぞお気に入りの装備が見つかるまで店内をご覧くださいませ」

 

 ここの店長なのか、身綺麗で上品な30代ぐらいの女性が出てきた。

 無骨な装備を売る店なのに高級なクラブに来たような感じに見えて少し面白い。

 しかし、さすがは会長が指定するだけはあるお店である。

 

 みんながそれぞれ欲しい商品を探すように店内をウロウロし始める。

 私は既にほとんどの装備を持っているのであまり興味がない。

 なのでレプリカコーナーを覗く。

 実物ではないので重量などが違ったり若干玩具っぽく見えてしまうが、それでも久しぶりにこういったものを直接手に持った気分だ。

 ふとレプリカの零式ライフルが目について持ってみる。

 VRとほぼ変わらない重量感だ。

 

「先輩、それ好きですねぇ」

 

 気づけば明美がこちらに来ていた。

 

「そう言えば練習試合の時は使ってなかったわね。使ってみたいって言ってなかったっけ?」

 

「ああ、先輩から貰ったあの特別製のスティックですよね?入ってましたよ。ただアレ人間が使うものじゃないですよ」

 

 ガンッ!

 

「いったぁぁぁぁ~!!現物のライフルの後ろで頭殴らないで下さいよぉぉぉぉ~!!」

 

「人間が使うものなのよ、アレは」

 

「いやいや、あれはダメですって!一定距離超えるとまず精度悪すぎて真っ直ぐ飛ばないわ、毎回ブレて変な方向飛んでいくわ、連射力が無いから追撃しにくいわで!」

 

「そりゃあれは、一撃必殺が信条の狙撃銃だからね。手数で追撃するようなものじゃないし」

 

「その一撃必殺の火力も真っすぐ飛ばなきゃ狙えないですし、狙えないから当たらない、当たらないからそもそも火力の意味がない!」

 

「ちゃんと狙えば当たるわよ」

 

「それは先輩だからできるんですって!」

 

「でも確かこの前の全国の決勝で同じ零式を真っ直ぐ飛ばしてきたのが居たわよ?」

 

「……それ白石舞じゃないですか」

 

「名前はイマイチ憶えてないけど、居たわよ」

 

「あのですね、先輩。その先輩が気にも留めてない人は日本で先輩の次……つまり2番目に強いブレイカーって言われてる人でして。先輩と同じく天才と呼ばれてる人なんですよ」

 

「うん、で?」

 

「つまり先輩と白石舞が天才だから使えるだけで、私のような凡人には扱い切れない訳ですよ」

 

「……そんなものかしら」

 

「……そんな簡単そうに言わないで下さい。地味に凹みます」

 

 ため息を吐く明美を見て、仕方が無いなと思って真面目に付き合うことにする。

 

「とりあえず付き合ってあげるからVR装備品エリアに行くわよ」

 

 そう言って明美の返事を待たずに歩き出す。

 すると明美もスグに付いてくる。

 

「そもそも自分の持ち味を活かせば良いでしょうに」

 

「相手を追い回せ?」

 

「そう、弱った獲物を掻っ攫うハイエナ」

 

「悪口にしか聞こえないんですけどっ!?」

 

「でもそれがアナタのスタイルでしょう?」

 

「……う~、ハイエナと言われると素直にそうだと言えない」

 

「ハイエナを馬鹿にしないことね。アレはちゃんと群れで狩りもするしライオンなどに挑んで獲物を奪い取るだけの力もあるのだから」

 

「それと私に何の関係が……」

 

「まずアナタの持ち味は、狙った獲物を追い詰める精度。これは正直凄いと思ってるのよ?いつもこの精度が出せればヘッドショットを常に狙えるのだけどね」

 

「褒めるか貶すかどっちか片方にしてくれませんかっ!?」

 

「褒めるとスグに調子に乗るし、貶すとスグに拗ねるでしょ」

 

「ソ、ソンナコトナイデスヨー」

 

「で、その精度を活かすために火力か連射力を取るべきなのだけど、零式ライフルは正直不向きね」

 

「火力でも良いのにですか?」

 

「火力があり過ぎるのよ。耐久値半分以下のを狙うことが多いのに、オーバーキルして何か意味がある?」

 

「無いですね」

 

「なら必要なのはある程度の火力か連射速度になる」

 

 丁度、VR装備売り場に着いたのでカタログを広げて説明する。

 

「例えばG.G.GのSR44Gライフルだと高威力で精度もそれなりだから、追撃で1~2発主要な場所に当てるだけでいい」

 

「その分、連射が悪そうですね」

 

「次にFUJISAWAのFND03ライフルは、火力・精度・連射速度と平均的で扱いやすい」

 

「まあその代わり当てる数が増えそうですね」

 

「で、S.Lのジャッカル。これは低威力・そこそこの精度・高連射速度の手数重視タイプ。アナタが一番持ってるメーカーね」

 

「追撃もそうですが、連射で相手が萎縮する効果もあるので。ただそこそこ撃ち込まないとダメだったり相手が硬いとどうしようもないんですよね」

 

「アナタの持ち味と武器性能を考えると、これじゃない?」

 

「どれですか?」

 

「レクイエム」

 

 表示されたのは、見た目だけは普通に見えるライフルだ。

 

「……こんなのありましたっけ?」

 

「まあビビットがまともな頃の奴だし」

 

「……ああ、それで」

 

「とりあえず使えば解るわ」

 

「はいはい、大人しくVRに入ってきますよと」

 

 私は店員の1人を呼ぶと試射をお願いする。

 すると一瞬でセッティングが完了した。

 流石は謎の高級感がある店。

 

 私もついでにVR装置で中に入る。

 

「で~、これ適当に撃っていいんですか?」

 

「最初は弾入ってるからそのまま撃てばいいわ」

 

 許可を出すと早々に明美が発砲した。

 

 それなりの距離の的のど真ん中に弾が命中する。

 そしてスグに爆発した。

 

「……爆発したんですけど」

 

「そういう弾を撃つやつだからね」

 

「えぇ……しかも撃ち切りですか」

 

 撃ち切りとは弾を全て撃ち切らないとリロードが出来ないタイプを言う。

 

「まあ2発撃ち切りだからそこまででもないでしょ。それにその分、2連射出来る訳だし」

 

「確かに」

 

 そう言いながらもう1発的に撃ち込んで爆発を確認した後、明美はリロードをしようとして止まる。

 

「何です、この無駄なカバー」

 

「そのマガジンカバーが無いと撃つ人が危ないかもしれないんだってさ」

 

「どうしてそんなイカれたものを……」

 

「だから誰も使わないんでしょ?」

 

「あ~、リロードが思ったより面倒ですねこれ」

 

「そして弾の威力は爆発の方がメインで火力的にはそこそこ」

 

「そりゃ誰も使いませんよ。2発当てても耐久値8割いけば良い方でしょ?それでこのリロードの手間とか」

 

 文句を言いながら弾を装填した明美から銃を取り上げる。

 

「これの使い方を見せておくわ」

 

 端末を操作してリアルな的を呼び出す。

 出てきたのは標準タイプのストライカー。

 ただし正面に大盾を構えているタイプで、正面からヘッドショット出来ないようになっている。

 相手の耐久値を6割に設定する。

 

「耐久値6割のストライカーね」

 

 的を指差した後、銃を構える。

 そして発砲。

 

 弾は相手が大盾でカバーしきれていない腕の一部に当たると爆発する。

 その衝撃でストライカーが体勢を崩す。

 それを見逃さず2発目を盾が一瞬ズレて見えた胴体へと命中させる。

 胴体に命中した弾は爆発し、相手ストライカーは消えた。

 

「これでダメージ計算上は相手の耐久度78%のダメージで撃破判定」

 

「なるほど、1発目をどこでもいいから当てて爆発で体勢を崩し、2発目を当てやすくする訳ですね。しかもこれなら2発とも腕や足でも耐久値計算で5~6割出ますよね?」

 

「そこがポイント。リロードに時間がかかって威力も中途半端。だから人気が無い。でも逆にこれを使えば2発を1セットで半死状態の敵なら必ず仕留められる」

 

「逆に1発でも外した時点で威力的にもリロード的にもアウトってことですか。……シビアですね」

 

「でも慣れれば面白いわよ、これ」

 

 会話をしながらリロードを終えると、端末を操作する。

 出てきたのは、先ほどの大盾持ちのストライカー。

 ただし耐久値は100%だ。

 

 銃を構えて狙いをつける。

 そしていつも通り引き金を引く。

 

 弾は相手の足のかかと近くの地面に着弾して爆発する。

 爆発によって相手の盾が一瞬だけ下がったのを見逃さずに2発目を頭に撃ち込む。

 頭に刺さった弾が爆発し、ストライカーは消えた。

 ダメージ表示には『ヘッドショットキル!』と書かれている。

 

「……相変わらず人間やめてません?普通あんな一瞬でよろめく相手の頭に当てるとか無理ですからね?」

 

「慣れればこれくらい出来るってことよ。……で、どう?この爆発メインの不人気な子は」

 

「私のスタイルには合ってると思うんですけど、外しちゃダメってプレッシャーが凄そう」

 

「そこは慣れるしかないわね」

 

「そうですよね~」

 

「それがイマイチならもう好きなの選びなさい」

 

「……うん、先輩のオススメですからこれ練習してみようかな。値段は……げっ!!」

 

「それが今になって薦めた理由よ。解るでしょ?」

 

「たっかっ!!メッチャたっかっ!!その辺のライフルの5倍ぐらいの値段してません、これっ!?」

 

「ビビットってKAWASHIMAと同じで変な会社よね」

 

「うわ~、マジか~。こんなの私のお小遣いじゃ絶対手が出ませんよ、これ」

 

「せっかく会長がくれるって言うのだから、こういう時にこそ買えば?」

 

「……これ後で怒られませんかね?」

 

「本人が『なんでも』って言ったのだから問題ないでしょ」

 

「う~ん、あ~、ど~しよ~」

 

 唸り始めた明美は、他のメンバーが全員購入し終えるまで悩みに悩んだ。

 そして結局、誘惑に負けてレクイエムを購入したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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