最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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*今後登場機会が大幅に減るので、最後にもう一度紹介を。

■白石 舞:東京大神3年リーダー。U-18代表。霧島アリスの登場で一時期自分を見失っていたエースブレイカー。血の滲むような努力の末に世界クラスの技術力を手に入れた努力の天才。周囲の仲間達のおかげで立ち直ってからは、大活躍を続ける選手。

■堀川 茜:大阪日吉3年。U-18代表リーダー。全国大会で琵琶湖女子相手に行った集団突撃は、その勝ちへの執念・足掻きがアリスの興味を大きく惹いた。また勝ちへの意識が低い今のLEGEND業界へ一石を投じるような結果となり一躍有名人となる。ストライカー選手としての腕も高く最前線で戦う指揮官として地元大阪のヒーロー扱いされている。

■飯尾 明日香:佐賀大附属3年リーダー。指揮に定評があり集団攻撃を見事に制御する姿は有名。U-18でもサブリーダー的な立ち位置で優勝に貢献した。プロ選手を夢見ていたので、念願の夢が叶って今が一番嬉しい時期。

■大里 朱美:京都青峰3年リーダー。U-18では集団体調不調の影響であまり参加出来なかったものの存在感はアピール出来ていた。指揮官としてもストライカー選手としても高い性能を維持しており、特に戦術に対する知識と理解が深い。


第67話

 

 

 

 

 

■side:とあるLEGEND関係者

 

 

 

 

 

 私は、LEGEND関係の仕事をしている者だ。

 ……私が誰かって?

 そんなことはどうでもいい話だ。

 むしろこれからの日本LEGENDの行く末の方が何倍も重要さ。

 

 何故ならまたも日本LEGEND関係は大荒れするからだ。

 

 まず中学生のLEGEND関係。

 U-15を含めた選手達は、結局可能な限り全国に散っていく方向性となった。

 これはLEGEND議員と呼ばれるLEGENDに関わっている議員達と日本LEGEND協会内にある『戦力バランス派』の影響だ。

 彼らは『全国的に戦力が均等になればお互い切磋琢磨出来て強くなるし、接戦が多くなるほど盛り上がる』という考えである。

 普段は無害を装いながらいざという時だけ権力を振るってくる面倒な連中でもある。

 これにより当初は琵琶湖女子や東京大神など全国上位の強豪校に次世代エース達が集中すると思われていた状況を変えた。

 

 これに最後まで反発していたのは、スポーツ振興大臣である霧島氏を筆頭とした『戦力集中派』である。

 彼らは『分散すれば埋もれてしまう選手が多くなる。強豪校に集中させることでレギュラー争いを含め切磋琢磨させる方がよほど育成に繋がる』という考えだ。

 去年、これで新設校の琵琶湖女子に人が行かなかったという例がある。

 そして今年こそはという戦力集中派に対し、やはり徹底抗戦した戦力バランス派は見事それを成し遂げた。

 この裏では、かなりの額の金が動いたと言われている。

 

 『だからプロLEGENDがダメなのだと何故解らないのかっ!!』

 

 霧島氏が大声で関係者を怒鳴りつけたことで、この件は記事となり日本中に拡散した。

 それにより今、大炎上しているネタと言えるだろう。

 

 次に高校生LEGEND。

 U-18優勝ということもあり、プロも大学も積極的にスカウトを行った。

 その中でも注目されたのは4人。

 

 『白石 舞』

 『堀川 茜』

 『飯尾 明日香』

 『大里 朱美』

 

 である。

 結果として言うなら3人は、プロを選んだ。

 そのため大学LEGEND関係者は目に見えてガッカリしていた。

 

 大学LEGENDは『高校でプロになれなかった選手』が最後に賭ける場所。

 そういうどちらかと言えばマイナス面で見られがちだ。

 実際には、高校をはるかに超える専門的な教育が受けられる場所である。

 しかし欠点が1つ。

 

 大学卒業後に確実にプロに行けるか解らないという点だ。

 高校卒業時にプロからスカウトを受けたからと言って大学卒業後にも同じくスカウトが来るとは限らない。

 更に言えば、LEGENDはVRスポーツであるが故に身体的な衰えを感じにくく、引退に関してもリアルスポーツと比べればはるかに長い方だろう。

 それでもやはり元々の肉体的な衰えは確実にプレイに影響することから、やはりどうしても早くからプロへ行く方が活躍しやすい。

 そういった事情などもあり、大学LEGENDはイマイチ盛り上がりに欠けているのだ。

 

 話が逸れたが、今年は最近不調な『博多ファルコンズ』が飯尾を単独1位指名して交渉権を獲得した。

 白石はくじ引きの結果、最大手の『東京ガッツ』が交渉権を獲得し、堀川は『大阪ジャガー』が交渉権を獲得。

 3人とも奇跡的に本拠地が近いチームとなったことで大いに盛り上がった。

 特に東京ガッツの元U-15監督は『当たりくじ』をマスコミ関係者にこれでもかと見せつける。

 大阪ジャガーの名物監督も当たりを引いた瞬間、飛び跳ねて喜んだ。

 また取り合いに参加せず確実に飯尾獲得に動いた博多ファルコンズの監督も、ドヤ顔で交渉権獲得を関係者と喜び合っていた。

 

 これにより常に優勝争いに食い込んでいる東京ガッツは、更に安泰と言えるだろう。

 その東京ガッツのライバルとされてきた大阪ジャガーも、これで面白くなってきた。

 博多ファルコンズは最近なかなか上位に浮上出来ずに悩んでいるチームなだけに、飯尾がどうなるのか注目したい所である。

 

 そして1人だけ大学への進学を選んだ大里が『今の自分に満足していない』と言ったことで記者会見は盛り上がった。

 その大里は、そのまま推薦で京都青峰大学へと進学し大学リーグへと挑戦することになる。

 

 さて、ここで少し話を戻そう。

 そう……炎上している高校LEGENDだ。

 

 面倒な大人の事情に巻き込まれた哀れな少女達。

 世間での評判は、そんな感じだ。

 まあ高校ぐらい好きな所を選ばせてやれと言いたくなるのは当然だろう。

 何故そこで戦力の平均化などと言い出すのか、残念ながら私には解らない。

 霧島大臣が言うことの方がよほど理解出来る。

 

 結局注目されていた3選手。

 

 『鳥安 明美』

 『渋谷 鈴』

 『岡部 奈緒子』

 

 彼女達はそれぞれ

 

 鳥安は、東京私立大神高等学校。

 渋谷は、京都私立青峰女子学園。

 岡部は、大阪府立日吉女学園。

 

 という進路になった。

 これに琵琶湖女子の理事長である霧島大臣の妻であり元都知事も盛大に怒ったらしく、今年から来年度にかけて大きく政治が動くと政治関連の関係者達が噂している。

 

 ただ一応優勝校ということや、世界レベルの選手が多く在籍している関係でそれなりに選手が集まってきているため、人数不足は解消されるだろうとは言われていた。

 そんな感じで、未だ世間では『政治と金』に絡めてこの騒動が語られ続けているが……。

 まあ選手に飛び火しないことだけを願いつつ、私も仕事をしよう。

 これから霧島大臣の記者会見だ。

 この時期に会見となると今回の騒動に関してか、それとも新たな騒動となる会見なのか……。

 

 

 

 

 

■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園2年 霧島 アリス

 

 

 

 

 

 最近、珍しく祖父母が怒り狂っている。

 まあ何が原因かなどテレビを見ればスグに解る話だ。

 

 今年もどうやら大人の事情が絡んだ妨害とやらがあったらしい。

 

 『連中全てに対抗馬を立てて追い落としてやる』と言っていたので愉しい愉しい大人な勝負が起きるのだろう。

 まあ好きにしてくれと思う反面、こっちを巻き込まないで欲しいとは思う。

 

 特にクソバードは、クソバードだった。

 アイツ、琵琶湖女子に来ると言っていたのに、数々の優遇措置を東京大神側から提示され両親が陥落してしまったらしい。

 まあ一般的な家庭で高校3年間にかかる費用全額が免除となれば、そりゃ心も動くか。

 特にLEGENDの費用など馬鹿にならない。

 何度も謝罪を繰り返すアイツに『全国を愉しみにしている』と言って脅しておいた。

 それぐらいは許されるはずだ。

 

 卒業式を迎えたが、琵琶湖女子LEGEND部に3年生は居ない。

 そのためどこか他人事ではある。

 まあ何かと学園内でこちらに寄って来ては話をしていた新体操の先輩は、今年卒業して大学に行くらしい。

 なので何かあったかと言われても彼女の見送りぐらいである。

 

 今年こそまともな人数と選手をと思っていたが、どうやら期待出来ないようだ。

 ただ人数だけはそれなりになりそうだと聞いているので、そこだけはマシと言えるだろう。

 最悪紅白戦さえ出来れば初心者だろうが、それなりに育つ。

 そういう意味で、今年は初心者組を中心に試練の年となるだろう。

 ようやく発生するレギュラー争いが、どうなるのか少し愉しみでもある。

 

 舞や茜は、悩んだ末にプロ行きを決めた。

 飯尾先輩や大里先輩も悩んだ末にそれぞれの道を決めたそうだ。

 私はまだ先な話ではあるが、どうしたものかと悩んでいる。

 プロに行くのか、それとも海外に出るのか。

 軍属という手もあるが……。

 まあこの話はまた今後考えよう。

 

 ふと外を見ると満開の桜が春の訪れを告げている。

 あっという間に1年が経ち、気づけば2年生になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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