最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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2年目
第69話


 

 

 

 

 

■side:琵琶湖スポーツ女子学園2年 霧島 アリス

 

 

 

 

 

 

 気が付けば早いもので、高校生活はもう1年経った。

 最初の頃は色々と慣れないこともあったが、今ではもうなんてことはない。

 

 寮では卒業生達が次々と荷物を運んでいくため、少し寂しい感じになっていた。

 しかしそれも少し間を空ければ新入生達が次々と入ってくるため、また騒がしくなっていく。

 今年もほとんどがスカウトや推薦枠で、一般枠はほとんど無い。

 入学式後に他校ではあるとされる勧誘合戦も無い。

 

 まあほとんどが推薦やスカウトなのだから勝手にその部活に入ってくる。

 行先が決まっているため勧誘合戦をする意味が無いという訳だ。

 では一般枠は?と思うだろう。

 一般枠は少なく、しかも一般枠からならほぼ素人確定である。

 頑張るのなら育てるが、そうでないならわざわざ戦力外であろう素人に手間などかけていられない。

 ここは、そういう所だ。

 だからこそ勧誘などせず自主性に任せているといった感じだ。

 

 さて、何だかんだで本日は入部希望者が部室に来る日となっている。

 そのためどこも普段より一段と賑やかだ。

 ウチは例の炎上案件のせいでどうなるのか不明だが、せめて6人は欲しい。

 16人なら8対8でギリギリ紅白戦モドキもやれるだろう。

 でもまあ、高校に入っていきなりLEGENDって人は圧倒的に少ないから期待出来ないけど。

 それでも去年は素人が3人も入ったのだ。

 少しぐらい希望を持っても構わないだろう。

 

 そう思って部室の扉を開け、中に入る。

 

 

 …………………。

 ……………。

 ………。

 

 

 部室に集まった部員と新入部員が顔を合わせる。

 若干、突っ込みどころも多いが……とりあえず自己紹介をすることになった。

 まずは私達から。

 そしてそれが終わると次は新入部員となる。

 

「初めまして。『北条(ほうじょう) (あお)』と言います。地元中学のLEGEND部でサポーターをしていました。よろしくお願いします」

 

 肩にかかるかどうかのミディアムに右側のみの編み込みと青いリボンが特徴的な少女だ。

 

「初めまして。『北条(ほうじょう) (あか)』と言います。地元中学のLEGEND部でアタッカーをしていました。よろしくお願いします」

 

 肩にかかるかどうかのミディアムに左側のみの編み込みと赤いリボンが特徴的な少女。

 

「……一応確認だけど双子?」

 

「はい、そうです」

「一応、蒼が姉で紅が妹になってます」

 

 見た目がそっくりな2人に一応確認をしてみたがやはり双子だった。

 

「つ、次は私ですか?えっと『卯月(うづき) 結菜(ゆいな)』です。LEGENDに憧れて参加しました。よろしくお願いします」

 

 ショートヘアの小柄な少女は、緊張しながらもそう言って頭を下げた。

 やはり居たか初心者枠。

 などと思っていると次も個性的なのが現れた。

 

「私は『神宮寺(しんぐうじ) (うた)』と申します。LEGEND歴は3か月ほどですが、優秀な家庭教師から指導を受けておりますので少しはマシかと思います。よろしくお願い致しますわ」

 

 腰まであるストレートの綺麗な黒髪を靡かせて優雅に礼をする姿は、まさに一流の令嬢のようである。

 

「お久ぶりですわね、詩さん」

 

「ええ、お久しぶりですわね、花蓮さん」

 

「お二人は知り合いなんですか?」

 

 私よりも先に杉山先輩が質問する。

 

「ええ、何度かパーティーでお会いしておりますわ」

 

「最後に会ったのは、確か花蓮さんの誕生パーティーだったかしら?」

 

 いかにも上流階級のお嬢様といった感じの会話に他のメンバーは参加も出来ず困ってしまう。

 彼女は、神宮寺建設という超大手ゼネコンの社長令嬢だ。

 話を聞くと、どうやらLEGENDに興味が沸いてやる気になったらしい。

 元プロを何人も家庭教師として雇い、指導を受けているそうだ。

 

 一瞬『ならもう部活入らなくても大丈夫なのでは?』と思ったが、チームスポーツである以上はどこかに所属しないと公式戦に出場できない。

 なのでまあどれほどの実力なのかも含め、後で確認しなければならないだろう。

 

「ワタシ『シャーロット・ヴァレリー・オルコット』デース!アメリカカラキマシタ!サムライ!ブシドー!ダイスキデース!ヨロシクオネガイシマース!」

 

 カタコトの日本語で話すのは、留学生としてやってきた少女だ。

 高身長でスタイルもよく、胸元まである髪は全体的にウェーブしている。

 確かビーチウェーブ?とかいう髪型だったような。

 

 日本語は少しだけ話せるらしく、現在2年生で1年間の長期留学予定らしい。

 まあ個性的なのが来たなと思う。

 

 しかし問題はここからだ。

 

「……なんでいるの?」

 

「いやいや、それは酷いでしょ!」

 

 1人が即反論し、残り2人が苦笑している。

 

「とりあえず自己紹介ぐらいさせてよ」

 

 そう言って彼女は姿勢を正す。

 

「私は『笠井(かさい) 千恵美(ちえみ)』です。奈良大東院から転校してきました。こちらの方が私にとってプラスになると判断したからです。よろしくお願いします」

 

 まさかの笠井千恵美である。

 最初見た時は、思わず『何しに来たんだよ』と思った。

 ウチの制服を着ているのもネタか何かかと思ったのだが……。

 

「私は『黒澤(くろさわ) 桂子(けいこ)』と言います。佐賀大学附から転校してきました。環境を変えて心機一転頑張りたいと思っています。よろしくお願いします」

 

「最後は私か。『長野(ながの) 誠子(せいこ)』です。桂子と同じく佐賀大学附から転校してきました。私も自分をもう一度鍛え直すつもりでやってきました。よろしくお願いします」

 

 そしてもう1つの問題が、まさかの神風特攻コンビが揃ってウチに来たことだ。

 あれ?ウチって政治闘争に巻き込まれて人来ないって話じゃなかったっけ?

 何でそれなりに選手来てるの?

 10人には届かなかったが8人も来れば十分だろう。

 『これで紅白戦が出来る』と先輩達が騒いでおり、それを新入部員達が困惑した顔で眺めていた。 

 

 監督の前橋さんが『何とか引き抜きが上手くいった』と言っていたので聞いてみると理由はスグに解った。

 どうやら転校組の3人は、それぞれ様々な事情で前の環境に不満があったらしい。

 そこでスカウトをして引き抜いたという単純な話だった。

 

 『仕掛けてきた以上、こちらがやり返しても文句など言える訳がない』とは理事長のお言葉らしい。

 

 今日は顔合わせで明日からゆっくり始動する予定だったが、変に盛り上がった先輩方の意見により急遽練習試合を開催することになった。

 これは全員の実力を把握するための軽い運動の延長だと主張し、完全初心者である卯月結菜も参加するそうだ。

 何を無茶なと思わなくもないが、まああくまで軽くだと言うのだから後輩達に拒否権などない。

 

 双子は宣言通り。

 姉はサポーター。

 基本に忠実な小盾にマシンガンと肩3連ミサイルにパック2種である。

 

 妹はアタッカー。

 こちらもアサルトライフルにドラム式オートショットガン。

 時限式グレネードにスモークグレネード。

 

 留学生はサムライがどうとか言っていたので嫌な予感がしたが、やはり高機動ストライカーのブレード1本というAC馬鹿だ。

 

 ゼネコンのお嬢様は、大盾と盾に内蔵されているマシンガン。そして背中から両肩を使用する大型滑腔砲という一撃必殺スタイル。

 これはストライカーの中でも結構古いスタイルなのだが、何故これを選んだのか興味はある。

 

 初心者に関しては色々相談してとりあえず今回は基本的なアタッカーのレンタル装備を付けて貰った。

 やはり最初は平均的なところからでないと変な癖がついては困るからだ。

 

 笠井千恵美は、ブースター装備の高機動スタイルになっていた。

 ガトリングではなく大型マシンガンを持ち、腰にサブアームを付けてそれに大型ロケットランチャーを搭載していた。

 腕には相変わらず腕部2連ロケット砲を装備。

 全体的には、更に攻撃を意識した感じになっているという印象を受ける。

 

 黒澤と長野は、2人ともアサルトライフルに時限式グレネードとスモークグレネード。

 変化しているのは以前はポンプアクション式ショットガンを腰に下げていたのが『マスターキー』になっていたことだ。

 接近戦ではひたすら撃つことで相手を萎縮させていた2人が一撃必殺武器を持つということは、それだけ心境の変化でもあったのだろうか。

 

 

 練習試合をするためにVR装置のある所に移動すると新入生達が騒ぎ出す。

 そりゃそうだ。

 新型装置がこれだけ並んでいるなど思わないだろう。

 特に笠井千恵美は『ズルい』と何度も言い出し、黒澤と長野も『何この待遇』と呆れていた。

 

 こうして我ら私立琵琶湖スポーツ女子学園の新たな1年は、ある意味予想外な展開で幕を開けた。

 

 

 

 

 




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*新キャラの数やその他色々考えてこのような感じにしました。
 賛否あるとは思いますが、このまま進めたいと思います。

*最近『イラスト・挿絵』などがあった方がイメージできるという声を頂きます。
 入れても構わないのですが、恐らくそれをすると週1ぐらいのペースに落ちます。
 しかも作者のクッソ下手なイラストという罰ゲーム的なものが出てきます。
 それでも良ければ検討しますが、ぶっちゃけそこまで欲しいですかね?

*毎回、誤字脱字報告ありがとうございます。

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