最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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第73話

 

 

 

 

 

■side:とある国際LEGEND協会役員

 

 

 

 

 

「そういった意味でもだねぇ―――」

 

 今、白熱した会議の真っ最中である。

 それも下らない方向で。

 

「積極的な賛成をしたのは、そちらだと記憶しているが?」

「私だけでなく全員が何も言わず賛成に回ったではないか!」

「それは心外だ。少なくとも私は『そうなる可能性を考慮すべきだ』と言ったはずだが?」

「単なる責任問題でもあるまい」

「方向性の問題だ。少なくとも修正可能だろう」

「これ以上の批判が起こってからでは遅い」

「だから言っただろう、こうなると!」

 

 誰もが周囲の言葉など聞かず、誰に対して話をしているのかも解らない。

 ただ言いたいことを言っているだけといった感じになっている。

 

 大の大人が何を馬鹿なことをしているのかと言えば、簡単な話だ。

 この前の『LEGENDルール改定』に伴う世界的な批判。

 それは誰のせいなのか?という責任の押し付け合いだ。

 

 ルール改定は、確かに良い部分もあった。

 だが圧倒的にまずかった部分もある。

 それがアタッカー問題とストライカー問題だ。

 

 まずアタッカー問題。

 これは今までもストライカーに食われ気味だと言われてきたアタッカーが本格的に食われてしまったという問題。

 サポーターの火力上昇に加え、盾という防御面まで奪われたアタッカー。

 そのためアタッカー選手が目に見えて減少し、兵科転向が続出した。

 こうなってしまうとある意味ギリギリのバランスで成り立っていた兵科ごとの役割が崩壊する。

 

 実際、ストライカーとサポーターだけで戦線が支えられてしまうため、その2兵科がやたらと多い。

 ルールの問題で必ずアタッカーとブレイカーが1人ずつ居るが、それだけだ。

 まるで『ルールなので仕方なく入れている』といった感じである。

 

 これに更に追い打ちをかけているのがストライカー問題だ。

 ブースターという機動力を得たストライカーによる高機動戦闘。

 元々の高火力・高防御力に加え、欠点だった機動力がブースターにより長所になってしまった。

 その分だけ火力が落ちたという連中も居るが、落ちた火力など大したことはない。

 

 ガトリングは手に持てばいい。

 大型キャノンやミサイルは、論外だ。

 当てやすかったストライカーは、高機動力による回避で当たらなくなった。

 サポーターは大盾を持てるため、最悪盾を犠牲にすれば問題ない。

 アタッカーは機動力がそれなりにあるため、そもそも当てにくかった。

 要するに、ほぼ命中しない火力武器を外した所で『火力が落ちた』とは言わないだろうということだ。

 

 防御面でも大盾に加え、今まで使用されなかった『ガーディアン』という装甲がある。

 未だこれを超える装甲が無いと言われるほどの完成度。

 下手な武器ではダメージがほとんど無いため、強引な戦闘を行うことが出来てしまう。

 

 これらが問題となって、国際LEGEND協会には世界各国からの批判が集中していた。

 特にLEGEND強国と呼ばれる国ほど深刻な問題なようで、その抗議の内容も過激である。

 中には早々に支援を取りやめると言い出す所などもあり、こうして連日会議をするハメになっていた。

 

 元々は、企業連の提案に何も考えずに乗っかったのが悪い。

 彼らとは対立しても良い事は無い。

 それは理解できるが、こういうことも想定すべきだろう。

 

「―――少し良いかね?」

 

 不毛な罵倒合戦の中、ふと今まで沈黙していた会長が手をあげる。

 突然のことに周囲は一瞬にして静寂に包まれる。

 それを了承と捉えたのか、その場で立ち上がると落ち着いた声で話始めた。

 

「そもそも『アタッカー救済』というのがよろしくない。これでは我々が『アタッカーを窮地に追いやった』と言っているようなものだ」

 

 その言葉に何人もが頷き出す。

 

「よって我々が行うべきは『全体的なバランスの見直し』であるべきだ。……そう、ある程度の『制限解除』も含めてね」

 

「会長、お言葉ですが流石に制限解除となりますと―――」

 

「君はほんの数か月であのガーディアンを標準とした装備環境が生まれると思っているのかね?」

 

「それは……」

 

「この際、いい加減少しグレードを上げてしまおう。LEGENDはLEGENDとしてね」

 

 会長の言葉に会議場の役員達が唸り始める。

 制限解除とは、ある程度兵科や装備ごとに『ここまで』と決めている制限だ。

 

 例えばスタングレネード。

 これはブレイカー専用装備になっている。

 何故ならこれを最前線で比較的撃ち合えるアタッカーが持てるようになれば、最前線は間違いなくスタングレネード合戦になるだろう。

 だから『スタン系武器は、これ以上作ってはいけない』などという制限が設けられている。

 また武装なども『この武器種類はこの火力まで』と数値上の火力制限などもあったりする。

 今までは、そうした制限もあってバランスが取れていたと言える。

 それを多少緩めて自由度を高め、高いレベルでバランスを再度取り直すべきだというのが会長の発言だ。

 

 これには相応のデメリットもある。

 下手をすれば今より更に状況が悪化する可能性があることだ。

 またこれにより更なる各種兵科への影響というのも出てくるだろう。

 制限があればそれもある程度は予想出来るが、緩和してしまうと一切予想出来ない。

 

 会長が落とした爆弾により、会議は更に紛糾することになった。

 

 

 

 

 

■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園 監督 前橋 和歌子

 

 

 

 

 

 

 誰も居ない部室の扉を開ける。

 そして目についたあれこれを片付けていると、予定通り業者がやってきた。

 今日は、VR設備の定期メンテナンス日だ。

 そのため練習も休み。

 

 彼女達は交流を深めるためだと言って全員で街に遊びにいった。

 その後ろ姿は、とてもLEGENDという疑似戦争をしている選手には見えない。

 どこにでも居る普通の女子高生集団といった感じの彼女らにふと学生時代を思い出し、『自分も歳を取ったな』と苦笑する。

 

 VR装置のメンテナンスを始めた彼らは、1つ1つ丁寧にメンテナンスを行う。

 未だ放置するのは良くないという意味で全てを動かしているが、基本的に動かす装置は決まっていた。

 というよりも未だ琵琶湖女子は18人。

 VR装置は30台もあるため、1人ごとに専用装置化してしまっている。

 毎回メンテナンスに来る彼らも、その専用化している装置の中身を見て毎回苦笑していた。

 

 何故なら、普通ならそのままであるはずの中身が装飾されているのだ。

 それぞれの好みというべきか、完全に個室と化している。

 座席にクッションが置いてある程度なら可愛らしいものだと思うが、そんな程度ではない。

 

・ぬいぐるみが置いてある

・鏡がセットされている

・超小型冷蔵庫までおいてありお菓子とジュースが完備されている

・装置内全体にキラキラ光る電光装飾がついている

・レプリカの銃が置いてある

・オプションパーツが知らないうちに増設されている

・操作版などが全て特注品に差し替えられている

・可愛いシールなどが張られている

 

 など数えるとキリがない。

 別にどれも違法ではないし、構わないと言えば構わないのだが……。

 

 こんな自由人達を私はまとめなければならない。

 差しあたっては、今度の練習試合でのメンバー選びだ。

 ある程度はこちらで選んだ後、リーダーである藤沢さんと話をしなければならない。

 

 出来れば最近伸び悩んでいる子を中心に経験を重ねさせてやりたい所だが……。

 前回の紅白戦では『レギュラー選びの参考にする』と言った途端に調子を落とした子も居た。

 

「指導者ってのはホント難しいわ」

 

 これでも何とか1年が経ち、新人監督からは脱却出来たと思っている。

 だがこういうものに区切りなどない。

 次から次へと様々な問題に対応しなければならない。

 

 気づけば、業者の1人が私を呼んでいた。

 私はそれに返事をしつつ彼らの所へと走るのだった。

 

 

 

 

 




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