最強の女傭兵 近未来でスポーツ美少女となる   作:のこのこ大王

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第82話

 

 

 

 

 

■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園 監督 前橋 和歌子

 

 

 

 

 

 私は、いまだかつてないほどのピンチを迎えていた。

 

「……ヤバイ、ヤバすぎる」

 

 かつてこれほど追い詰められたことはあっただろうか?

 現役時代に味方のミスで1VS5という馬鹿な戦いを強いられた時もあった。

 今回は、それ以上にヤバイかもしれない。

 

「―――練習相手が、見つからない」

 

 そう、見つからないのだ。

 もうスグ夏の予選が始まる。

 それに向けてどこも最後の追い込みを兼ねて練習試合をやりまくっている。

 去年はそれでかなりの所と戦えていた。

 

 しかし今年はおかしい。

 どこに声をかけても断られるのだ。

 ついに政治が直接介入を開始したのか?と疑ったこともあった。

 なのであまり頼りたくはなかったが理事長にお願いして色々と調べて貰ったりもした。

 だが、問題はそれ以上に深刻だったのだ。

 

 『昨年度全国大会優勝校』

 

 まさかこれが邪魔をするとは思わなかった。

 何処に声をかけてもこれを理由に断られる。

 要するに『ウチに手札を晒したくない』のだ。

 

 これに気づいたのは『東京大神』に声をかけた時だ。

 向こうの監督に言われてしまった。

 

「そういう訳で流石にこの時期に練習試合は出来ないね。まあどうしてもというなら2軍相手になるけど」

 

 正直2軍でも良いかな?と思わなくもなかったが、こちらの手札を一方的に晒すのもどうかと思って何とか踏みとどまった。

 これがもし紅白戦すら出来なかった去年なら、迷わず飛びついたかもしれないが。

 

「全国の高校から警戒される立場になったということを自覚するんだね」

 

 と言われてしまって、少しへこんだ。

 そういう意味では、まだまだ監督として全体が見れていないのだなと。

 結果を理事長にも報告すると『それは喜ぶべきか、悲しむべきか難しい所ね』と苦笑された。

 

 そんなこんなで練習試合の相手が見つからずに困っている。

 うんうんと唸っていると霧島さんに『面倒だから言いたいことは言って下さい』と怒られてしまった。

 なのでそういう話になっているのだと説明すると『要するにそれなりの練習相手なら問題無いんですよね?』と聞かれたので『そうね』と返事をしたのだが、まさかあんなことになるとは―――

 

 

 

 

 

■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園1年 神宮寺 詩

 

 

 

 

 

 最近紅白戦と例の練習ばかりでウンザリしていた所で、急に練習試合が決まったと言われました。

 相手は当日になってのお愉しみということで、ようやくその日がやってきたわけですが……。

 

「……えっと、私もそこまで暇じゃないのだけど」

 

 諦めたような顔でそう言ったのは、今年プロになった白石舞選手。

 向こうでは東京ガッツの監督が、我が校の監督と仲良く話をしているようですね。

 

 聞いた話によるとアリス先輩が練習試合を企画したとか何とか。

 昨年の全国大会優勝校だとしても、そうそう簡単にプロとの練習試合など組めないはずなのですが……。

 流石は世界的プレイヤーというべきでしょうか。

 

 その本人ですが―――

 

「きゃー!本物ー!」

「テレビで見たより可愛いぃ~!」

「お肌モチモチのツルツル!」

「おっぱい大きいなぁ~」

「髪も綺麗だわ。何使ってるの?」

「サインちょうだい!」

「一緒に写真撮って良い?」

「家に持って帰りた~い」

 

 プロ選手のお姉様方に捕まって揉みくちゃにされていました。

 完全に諦めた顔でされるがままになっている姿など見たことが無いだけに、ある意味珍しいものを見た気分です。

 

 我々の方は、なるべく練習が必要な選手を中心にと言われメンバーが決まりました。

 

・藤沢 花蓮

・杉山 栄子

・宮本 恵理

・三峰 灯里

・黒澤 桂子

・長野 誠子

・北条 蒼

・北条 紅

・卯月 結菜

・神宮寺 詩

 

 プロ選手と戦えることは嬉しいですが、反面このメンバーに入ったということはそれだけ実力不足だと言われている証拠でもあります。

 ……ちなみにアリス先輩は、プロチームのベンチに連れていかれて帰ってきませんでした。

 向こうできっとマスコットのようになっているのでしょう。

 

 まあ私は今、他人の心配をしている場合ではありません。

 ここで結果を出して、このメンバーで呼ばれないようにしなければ。

 ただ意外だったのが、花蓮さんが呼ばれたこと。

 彼女は3年でリーダーだったはず。

 

 サポートのために出てきたという感じでもないのですが……。

 いけませんね。

 どうも集中出来ていません。

 一度大きく深呼吸をして落ち着きます。

 

 私は、私自身を証明するためにLEGENDを始めたのです。

 結果を出さねばなりません。

 

「さあ、行きますわよ!」

 

 

 

 

 

■side:私立琵琶湖スポーツ女子学園2年 安田 千佳

 

 

 

 

 

 最初の試合のメンバーが呼ばれた。

 練習が必要な選手を中心に呼ぶって聞いていたので、てっきり呼ばれるものだと思っていた。

 

 呼び忘れかなと思って何度も数え直すが、どう見ても10人だよね?

 あれ?どういうこと?

 

 ほら、恵理ちゃんも灯里ちゃんも驚いた顔してこっち見てる。

 だから私は、思い切って聞いてみた。

 

「あの~、私呼ばれてないんですけど~?」

 

「ああ、心配しなくても大丈夫よ。ちゃんと2戦目、3戦目もあって一応全員出て貰うから」

 

「あ、やっぱりそうなんですね」

 

 ああ、よかった。

 忘れられた訳じゃなかったみたい。

 安心していると、やっぱり恵理ちゃんと灯里ちゃんがこちらを見ている。

 そんなに見なくても私も一緒だって。

 ちょっと人数多くて後回しになってるだけだろうから。

 

 だってアリスっちにいつも怒られながら練習してるんだから。

 『お前は素人か』と何度言われたことか。

 そして最近、ずっとまた違うことをさせられている。

 

 え~っと、何だっけ?

 なんちゃら~ライフル。

 

 何だっけ?

 ああ、またアリスっちに怒られそう。

 最近、あのライフルで頭を叩いてくるんだよね。

 VRで痛みなんてほぼ無いけど、やっぱり精神的に沈んじゃう。

 

 ああ、思い出した。

 零式ライフルとかいうやつだ。

 

『どうせ狙って当てれないのだから、これを使えばいい』

 

 そう言って渡された。

 地雷といい、最近色々と装備をくれる。

 恵理ちゃんに聞いたら結構な金額のもので、遠慮したことがあった。

 でもアリスっちは『それを使いこなして試合で活躍してくれればいい』って言ってくれる。

 普段素っ気ないし、口も悪いけど良い子だよねアリスっち。

 

 そう言えばアリスっちがプロのお姉さん達に可愛がられていてビックリした。

 普段ああいうのを嫌う感じなのに珍しい。

 今も向こうに連れていかれたみたいで帰ってこない。

 

 監督も『彼女は今回試合に出ないと思うから良いのよ』と苦笑していた。

 そういうものなのだろう。

 

 色々考えているとさっそく試合が始まっていた。

 

「ちゃんと見ておかないと、またアリスっちに怒られちゃう」

 

 

 

 

 

 




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 本作に全く関係ない独立した作品の話ですので、興味のある方だけどうぞ。
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