今回はフューチャリング・レオンハルトをお話。
伝説の仮面ライダー・スカイライダーとの共闘。
そして新たなる形態・ランサードパラディンを手に入れたジェイナス/一登と優奈。
大きな出会いと新たなる力を手に入れた二人だが、それに浮かれているほど単純ではなかった。
ブラックバロン……もといドロリンゴとの決戦後、多少のトラブルがあったものの城南大学附属高校の入学式は無事に終わった。
ミネラリオンの乱入も大半の生徒は何らかの催し物と勘違いしてくれたのだ。
だが今回のように無事に済むわけではない。いずれまた向こうからやってくるのだと一登と優奈は何となく感じ取っていた。
謎の敵に迎え撃つためにも、二人は【とある決断】をした。
頼打地区外、とある林の中。
そこでは既に変身を済ましたジェイナス・ブレイジングロードの姿があった。
その手にはライドキャリバーと、一つのライドクリスタルが握られていた。
「じゃあ、行くぞ」
「うん」
【BARON・MATERIA-RIDE】
ライドキャリバーにクリスタルを装填し、目の前にある仮面ライダーを呼び出した。
先日の戦いで仲間に加わったライダーの一人・仮面ライダーバロンが姿を現すと、手に持った槍型武器・バナスピアーを構えて言い放った。
『いくぞ、いくら鍛えるといえど手加減はせんぞ』
「大丈夫だ」
「かかってきて!」
バロンの好戦的な言葉を返事した後、ジェイナスはバロンへと立ち向かっていった。
ジェイナスが振るうライドキャリバーをバロンはいなして弾くと、素早くバナスピアーをふりかざす。
咄嗟に避けたジェイナスは上段へと振り上げて斬り付けようとするが、バロンはそれを見越したようにバナスピアーで防いだ。
『どうした? そんなものか!』
「いいや、違うな!」
「まだまだこれから! ハァァァァァ!」
鈍い金属音と共にジェイナスとバロン、両者が相手と距離をとると、武器を構えて走り出した。
一撃、二撃と火花を散らしながらお互いの武器がぶつかり合う。
激しい戦いとも言える仮面ライダー達の特訓の光景……それを少し遠くの方から見つめる者がいた。
「たっく、頑張るねぇ。まったくお兄さん感心しちゃうぜ」
バロンと戦うジェイナスの姿を見ていたのは、XF-Zに跨ったレオンハルト。
助手席に置かれた買い物袋から総菜パンを取り出すと、そのままかっ食らった。
咀嚼しながらジェイナスの特訓する光景を身てレオンハルトは感心していた。
「こういう場合、今時のヒーローなら痛い目見るまで調子乗るのが定積だって聞いていたが、あいつらはそうじゃないんだな」
昔誰かからまた聞きした"どこかの漫画のヒーロー"の話を思い出しながら、ジェイナスの特訓模様を眺めるレオンハルト。
今の所の
事実、バロンはアームズチェンジという形態を変える能力を持っており、武装の切り替えによって使い分けるのだが、それを今は披露していない。
つまるところ本領をまだ発揮してないままジェイナスと戦っているのだ。
事実、ブラックバロンの時とは違い、
どうやらバロン自体、相当強いライダーだったとレオンハルトは感じ取った。
「アイツを倒せるようになるのは一苦労するぞぉ……」
ジェイナスを打ち負かそうとするバロンの姿を見ながら、総菜パンを食べ終えるレオンハルト。
彼らの特訓がまだまだ続きそうな予感を感じていると、ふと空を見上げた。
すると、昼空を駆ける赤い流星が見えた。
まだ太陽が落ちるには早すぎる時間帯のはずなのに、夜に輝く流星のように光強く輝き、こちらの方向へと向かって飛んでいく。
レオンハルトに続いて、ジェイナスやバロンもその赤い流星に気づいた。
「ん、なんだ?」
「あれっ、流星?」
『ッ……! 避けろ!』
バロンが叫んだと同時にジェイナスは咄嗟に地面を蹴って落ちてきた赤い流星を避けた。
赤い流星は地面を抉りながら不時着し、数十メートル先にあった広場へと引きずられながら止まった。
一体何なのか、と広場に駆け付けたジェイナスとレオンハルトが恐る恐るクレーターを覗き込むと、そこにあったのは……赤い光に包まれた、一台の小さな赤い車。
ミニカーにも見える"それ"は爛々と光を放っており、ただの玩具ではない事を悟らせる。
「おいおいおい、一体何なんだよこれ?」
「隕石……いや、小さい車?」
「いやいや優奈、車にしては光ってるだろ」
『……この感じ、前に何処かで』
レオンハルト、ジェイナス――優奈と一登、バロンが口々に反応する。
そんな最中、突如ミニカー型の装置から言葉を発し始めた。
『ライドクリスタルの気配を辿って来てみれば、なるほど……君が、この世界の仮面ライダーか』
「「ッ!?」」
「喋った!?」
『貴様、やはり……』
ジェイナスとレオンハルトが驚く中、バロンは何かに気づいたように言葉を漏らす。
それと同時にミニカー型装置は浮かび上がり、ジェイナス達の前に留まった。
そして装置の上に映像が浮かび上がり、心臓の意匠が入った大柄な赤い怪人の姿がそこに現れた。
『俺は、ロイミュード002。またの名を、ハート……俺の友を、助けてほしい』
赤い心臓の怪人――『ハート』と名乗ったその存在はジェイナス達と出会ったのであった。
これが、今回起きる事件の前触れであることを誰しもが薄々と感じ取っていた。
~~~~
その同時刻、某所。
数々の機械部品が納められた空間、そこに八上 志々雄の姿があった。
見慣れない機械に眉を顰めながら、八上は最奥に立つ【その人物】に声をかけた。
「おい、とっつあんよ。クリスタルの一つが逃げたようだな」
「ああ、流石は仮面ラーイダの意思を継ぐ者だ。ここから揚々と抜け出すとは」
「おい、なんだその発言の仕方は? 鬱陶しいからやめろよ、ドクトル
八上が名前を呼んだのは、鎧を纏った一人の男性。
『ドクトルG』と呼ばれたその男は、目の前に佇む大型の装置を見て、八上の言葉に答えた。
「いずれココに奴らラーイダ達が嗅ぎ付けてやってくるだろう。だが、それは我々にとっても好都合なことだ」
「あん、つまるところアレを出すってことか?」
「あぁ、奴らに目に物を見せてくれよう」
そう言いながら、ドクトルGは大型装置の中を覗いた。
緑色の電気が迸り、バチリと激しく渦巻くその中では……。
――光を失ったライドクリスタルが収まっていた。
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一時間後、近くの公園にやってきた一登、優奈、レオンハルトの3人。
そこで改めて突如やって来たハートから話を伺う事にした。
目の前でミニカー型装置……"シフトハートロン"の立体映像として浮かび上がるハートに対し、優奈が口を開いた。
「ねぇ、ハートさんでしたよね」
『なんだ、麗しいお嬢さん』
「さっきの話……友達を助けてほしいって言っていたけど、あれってどういうことなの?」
『言葉の通りだ。君達が戦っている奴らに、俺の友が捕まり、囚われているのだ』
ハートの口にした言葉に一登と優奈は顏を見合わせ、驚いた表情を浮かべた。
自分達が戦っている相手……ショッカーライダーやブラック将軍、ドロリンゴを差し向けた奴らなのだろう。
その奴らに
疑問が尽きないところへレオンハルトがハートに尋ねた。
「その友達や捕まえている奴らも気になるが、そもそもお前は何なんだ? 仮面ライダーってヤツなのか?」
『仮面ライダー、か……難しいところだな。そもそも俺が認められていることになるのだろうか』
「あん?」
ハートの口走った言葉を聞いて、レオンハルトは首を傾げる。
意味深な言葉を口走ったハートに一同が不思議そうに眺めていると、一登の持っていたライドクリスタルが浮かび上がり、一人の仮面ライダーの幻影が浮かび上がる。
立体映像のハートの姿を視認すると、ため息をつきながら口を開いた。
『おいおい、名乗ったときに言っただろ。コイツはハート……いや、ハートロイミュード。かつて俺達仮面ライダーと戦った機械生命体だ』
「マッハ?」
一登が見ると幻影としてマッハが姿を現した。
マッハの姿を視認したハートは感慨深い声を出しながら、名前を口にした。
『仮面ライダーマッハか。こんな形で再び出会えるとはな』
『まったくだよ、ハート。あの時争っていた相手とこうして再会するとはな』
「おい、どういうことだ? お前達知り合いだったのか?」
言葉を交わすハートとマッハの二人に対して、レオンハルトは口を挟んで訊ねる。
一登と優奈も、以前あったアナザーアギトとレーザーやバロンといった所謂"元の存在となった人同士での既知の仲"なのかと思っていた。
だが、マッハの口から伝えられた事実によってそれを打ち破った。
『元々、機械生命体ロイミュードを倒すために生まれたのが俺がよく知る仮面ライダー……つまるところ、俺とハートは互いに争い合う敵同士だったんだ』
「「敵同士……!?」」
『ああ、驚くのも無理はない。ロイミュードは自分達の進化のために事件を起こし、その事件を解決するために仮面ライダー達は戦った。それだけの事だ』
マッハとハート、両者の関係に驚きの声を上げる一登と優奈。
それを諭すようにハートは自分達のした事を軽くだが語ってくれた。
『俺は、108体しかいない同族……いや友達を守るために戦った。今となっては悔いはない。勝ち残った仮面ライダーに対しては賞賛すら誇っていいほどだ』
『ハート、お前は……』
『それ以上の言葉は不要だ、マッハ。あの時、この俺を友達になってくれた男がいてくれた。あの時があるから、ロイミュードとしての未練はあの時から断ち切った』
ハートの語った自分自身の結末をマッハは感慨深く受け止め言おうとするも、ハートがその先の言葉を制止する。
【当事者】だった二人にしかわからないやりとりを一登達三人は見ていることしかできなかった。
口を出す余地がない、二人が知る"遠き彼方の世界での戦い"……それを出す権利は、一登達を含めたこの世界の誰にもないだろうと悟る。
二人のやりとりが終えると、再びレオンハルトは話を訊ね始めた。
「話を戻すぞ。例の怪人軍団から友達を助けたいってことは、その所在を知っているのか?」
『ああ。そもそも俺は奴らの秘密基地から抜け出してきたのだ』
「秘密基地ねぇ、またそいつは厄介な所があったもんだ」
『場所は何処なのか覚えている。俺が案内しよう……お前達、大丈夫か?』
レオンハルトの問いに答えると、今度はハートの方が様子を伺ってくる。
どうやら人間である一登達を彼なりに心配しているようだ。
その子千葉を聞いて、一登と優奈は答えた。
「大丈夫だ、俺も優奈も、一筋縄ではいかないよ」
「そうだよ。ナイトさんとバロンさんでの新しい力も手に入れているし、いけるよ」
一登と優奈は先の戦いで手に入れたランサードパラディンの事を思い返す。
スカイライダー/筑波洋から手渡されたあの力なら、多少の出来事を乗り越えられるはずだ。
何より、自分達を信じてくれた彼の期待に答えたい……そう思った二人は元気強く答えたのであった。
二人の決意を耳にすると、ハートはレオンハルトの方に向いた。
『君はどうするんだ?』
「どうするもこうするも、こいつら二人だけ行かせるわけにはいかないだろ? 俺もついていく」
レオンハルトは当然のように同行を了承してくれた。
その言葉を聞いたハートは少し思案した後、彼へ向けて提案をしてきた。
『だったら俺は君に付こう』
「あっ!? 一登達じゃなくて俺なの!? なんでぇ!?」
『彼らにマッハがいるなら、俺は必要ない。むしろ心配なのは人間である君の方だ』
「俺に心配する様子が何処にあるんだよテメェ!?」
少なくとも身を守れるほどの実力を持っているにも関わらず、ライドクリスタルの力を発揮できる一登と優奈の方ではなく、レオンハルトについていくというハートの言葉。
レオンハルトは容赦なくツッコミを入れ、猛抗議する。
二人のやりとりを傍らで見ていた一登と優奈は困り果てた表情で見合わせた。
「一登君、どうしよう」
「どうしようって……場所は俺達知らないし、少なくとも同行するしかないよ」
「ハートさんとレオンハルトさんで一緒か。大丈夫かな」
「大丈夫、だと信じたい」
互いに顔を見合わせながら、すぐ近くで声を荒らげる大の大人と冷静な機械仕掛けの友人に一抹の不安を覚え始めた一登と優奈。
巨悪が潜む場所が何処かにあると関わらず、決して譲らないハートへ声を荒げるレオンハルトの叫びが木霊するのであった。