仮面ライダージェイナス   作:地水

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第7話:龍星の友情 後編

 ――その日、私は流星を見た。

もちろんこれは比喩であり、実際の流星とは異なるものだ。

 

その流星と出会う旅に、私は【彼】と仲良くなった。

性格も好みも何もかも異なるが、意外とウマが合った。

気が付けば、かけがえのない親友となった。

 

ある日、私は彼に自分の夢を打ち明けた。

それは『外宇宙への旅立つ』という大それた夢。

今の技術では難しい所でもあるその内容の夢を彼に打ち明けると、彼はこう口を開いた。

 

 

『いいんじゃねえか、お前の夢』

 

 

『きっとでっけぇ夢なんだろうな。お前の抱えてるものって』

 

 

『ぜってぇ叶えろよ。俺ができることは、お前の夢を実現させるために戦い続けることだけだから』

 

 

彼は私の夢を信じるように言葉を投げかけた後、何処か嬉しそうな表情を浮かべた気がした。

気がしたという言葉を選んだのは、彼の姿が普段の私のような姿と似たような形をしていたからだ。

 

これは、私の記録装置(メモリー)に刻まれたかけがえのない思い出。

青い流星の『友』との忘れられない会話。

 

 

~~~~

 

 

軌道エレベーター・望月の宇宙ステーション内部。

外部から侵入してきた怪人・コマサンダー、そして突如現れた新手の怪人・バチンガル。

二体の怪人は仲間割れしながらもRV-9を追い詰めていく。

そこへ、一登と優奈の変身したジェイナスが姿を露にする。

 

「「ハァ!」」

 

「ぐぎゃっ!?」

 

ジェイナス・ランサードパラディンが振るい下したランサードスピアがバチンガル・コマサンダーの両者を薙ぎ払った。

吹き飛ばされた怪人達を他所に、ジェイナスは傷ついたRV-9を持ち上げると、そのジェイナスの姿を見たRV-9は彼に尋ねる。

 

「君は、いや、君達は一体……!?」

 

「なんていうかその……優奈?」

 

「うん一登君……実は私達、仮面ライダーなんです」

 

「仮面、ライダー……!?」

 

ジェイナスの口から発せられた言葉を聞いて、RV-9は驚いた。

一登と優奈、彼ら二人がライドクリスタルを集めている持ち主だとはわかってはいたが、変身して仮面ライダーとなる事までは予測できなかったのだ。

それも自分の知っている仮面ライダーの男達より、ずっと若い彼ら二人……青春真っただ中であるはずの彼らが戦うことに、機械の体を有しているRV-9は一抹の不安を覚えた。

だが、一時の気の迷いを待ってくれるほど相手は呑気ではなかった。

 

「喰らえ、冷熱ハンド!!」

 

「「「ッッ!?」」」

 

バチンガルの両手から噴射されたのは炎と氷の二つの攻撃。

火炎放射と冷凍ガスがジェイナスをRV-9へと襲い掛かり、体から火花を散らす。

膝をついたRV-9はバチンガルの備え付けたその【腕】を見て、驚きの声を上げる。

 

「ファイブハンド!? 何故貴様がそれを使える……!?」

 

「かつてジンドグマが作ったとされている対仮面ライダー用ロボット、その力を取り込んだまでよ!」

 

バチンガルはRV-9の問いかけに乱暴気味に答えると、再び火炎放射を繰り出す。

周囲の物を焼き尽くしながら迫る火炎放射に避けるRV-9だったが、隣から聞こえてきたジェイナスの声に気を取られる。

 

「「ぐあっ!?」」

 

「出たな、仮面ライダー! そのマスク、コマハンマーで叩き割ってやる!」

 

見ればジェイナスはもう一人の敵であるコマサンダーと対峙しており、体を回転させながら独楽の如く周囲を旋回するコマサンダーに翻弄されていた。

ランサードスピアーを駆使してコマサンダーに反撃を試みようとするが、頑丈なボディによって大した一撃を与えてはいない。

ふざけた見た目に反した手強さを誇る独楽の怪人に苦戦を強いられているジェイナス――一登は弱音を零す。

 

「コイツ、強い……!」

 

「この膂力、今の私達じゃ対抗できるの……グッ!?」

 

コマサンダーから繰り出される力強い攻撃に仮面の下で苦虫を噛み潰したような表情を浮かべたジェイナス――優奈。

その間にも振り下ろされるコマサンダーのコマハンマーを防ぎながら、ジェイナスは打開策を考える。

 

今自分達が変身できるのは三つの姿。

不可視の超スピードを誇る高速形態のブレイジングロード。

変幻自在の攻撃を繰り出す野獣形態のワイルドハート。

場所を選ばない聖騎士形態のランサードパラディン。

だが目の前に立つ敵であるコマサンダーは剛腕から放たれる重い一撃を耐えられるフォームはこの中にはいない。

しかも建物の外は宇宙、空気も何もない真空だけが存在する世界だ。

放り出された場合、どんな目に遭うのかわからない……下手になれない戦場で不利になるよりは、被害を最小限にしないために回避優先で攻略するしかない。

 

そう思ったジェイナスは臨機応変に対応できるランサードパラディンへ変身し、コマサンダーとバチンガルを対応していた。

だが、現実はそう上手くは行かない……両腕を変えて攻撃を仕掛けるバチンガルと、剛力によるコマサンダーの両者により、苦戦を強いられていた。

RV-9と背中合わせになると、挟みこまれる形で二大怪人達に向き合った。

 

「「くっ、このままじゃ……!」」

 

「食らえ、仮面ライダー!コマハンマースイング!」

 

繰り出されたコマサンダーの回転しながらのハンマーによる一撃が迫った。

ジェイナスは咄嗟にミラークラックを展開し、その中へRV-9と共に入る。

振り下ろされたコマサンダーのハンマーはミラークラックへと直撃し、割れた鏡の如く砕け散った。

 

「どうだ! 見たか!」

 

「ふん、調子に乗るな」

 

高笑いをするコマサンダーと、横からその様子を見て鼻で笑うバチンガル。

だが、彼らの背後にミラークラックが出現し、彼ら二人を飲み込んだ。

 

「「ぬおおおおおお!?」」

 

無数の鏡面世界の空間を超えて、二体の怪人が放り出されたのは宇宙空間。

望月の宇宙ステーションを足場にしながら態勢を立て直したジェイナスとRV-9達の姿があった。

被害が比較的少なく済む場所へと移した今、ジェイナスは己の獲物を、RV-9は自らの拳をそれぞれ構えた。

 

「「いくぞ!」」

 

「Change:Thermal Hand……うぉぉぉぉ!!」

 

ジェイナスは慣れない足取りで低重力化の世界でランサードパラディンを振るい、RV-9は自らの拳を冷凍ガスと火炎放射の機能を有する緑の両腕へと変えてそれぞれ向かっていく。

 

 

~~~~

 

 

同じ頃、軌道エレベーター・望月、内部。

未知の外敵から奇襲を受け、避難所としてcielo Nasicaに集められた城南大学附属高校の生徒達は驚きと戸惑いの表情を浮かべていた。

局員達も予想外の状況であり、その様子を傍らから見ていた里子はイラついた様子で呟く。

 

「たっく、こんな危なくなってるのに一登は何処で油売ってるのよ!」

 

「それに優奈さんの姿もないですよ! ど、どうしましょう!?」

 

「どうするって言ったって珪花、今のアタシたちじゃ探すことすらできないじゃない」

 

「た、確かにそうですけどぉ~……」

 

この場にいない一登と優奈の二人に気づき、慌てふためく珪花を里子はしっかしとした言葉を投げかけた。

確かにいつも能天気だが放っておけない性格のアイツと、そんな彼を慕う優しい少女がいないのは心配だが、緊急事態に自分達が勝手な行動をして結果的に状況を搔き乱す事はしたくない。

そう思って里子が今にも飛び出そうとしている珪花を落ち着かせていると、窓の外を見ていた吾郷が何かに気づいて叫んだ。

 

「おい、なんだありゃ?」

 

「どうしたんだ……って、あれって!?」

 

「仮面ライダー!?」

 

吾郷の言葉につられて蒼汰と有栖が窓の外を見ると、そこにあったのは宇宙空間で戦うジェイナスの姿だった。

ジェイナスは目の前にいるハチ型の怪人・バチンガルと交戦しており、その横ではコマの怪人・コマサンダーに火炎放射を放つRV-9の姿があった。

ぶつかり合う二つの戦いを目にした蒼汰と有栖は眼を見開いて驚く。

 

「なんで、仮面ライダーがこんなところに!?」

 

「外は宇宙のはずですよ。なんでこんなところに……」

 

「――RV-9!!」

 

「「うわっ!?」」

 

外の宇宙で戦うRV-9の姿を見て、二人を押しのけてやってきたのは真理愛。

彼女はステーションの外壁でコマサンダーと死闘を繰り広げるRV-9を真摯に見つめていた。

 

「RV-9……あなた、皆を守るためにその手を、その拳を振るっているのね」

 

真理愛は悲痛な声を上げながら拳を握る。

……本来、RV-9は惑星開発用人型ロボット。地球外生命体のような外的要因から身を護る力は持っている物の、戦闘用には作られていない。

望んでもない脅威と戦わせることは戦いの術を教えた真理愛にとっては苦痛だった。

それでも、目をそむくことはできない……弟子であるRV-9()の姿を見守るために。

 

 

~~~~

 

 

場面を変えて、RV-9とコマサンダーの戦闘。

RV-9はコマサンダーの顔面目掛けて片腕の射出口を向け、白い冷凍ガスを噴射させていた。

 

「冷凍ガス、発射ァ!」

 

「なんのなんの、そんなもの効くかぁ!!」

 

噴射口から噴射された冷凍ガスはコマサンダーの顔面へと直撃するが、それに対してコマサンダーはまるで効果がないように突き進んでくる。

両者の間の距離がほぼ僅かになった所へ、コマサンダーが腕のハンマーを振り下ろしてくる。

 

「喰らえ! コマハンマー!」

 

「……ここだァ! 赤心少林拳・蟷螂拳稲妻落とし!」

 

コマサンダーが腕を振り下ろす寸前、RV-9は右手に纏った超高熱火炎を噴出したまま、手刀を打ち出した。

まるで炎の刃と化したそれは、コマサンダーの顔面へと迫る。

コマサンダーの振り下ろしたハンマーはRV-9の胸部へ、RV-9の放った手刀はコマサンダーの顔面へとそれぞれ炸裂。

重い衝撃を受けて吹っ飛ばされたRV-9は胸部の破壊された装甲から火花を散らしながら宇宙空間へと投げ出されてしまう。

 

だが、そこで終わるような鍛え方をRV-9はしていなかった。

 

炎の一撃を受けたコマサンダーの顔面はヒビが入り、今にも砕け散ろうとしている。

頭に響く痛みを堪えながら、コマサンダーは叫んだ。

 

「く、くそぉ!? こんなところで……こうなれば、このオデ自身が、コマ爆雷としてぇ!」

 

苦し紛れに自爆を図って望月へと飛び込もうとするコマサンダー。

こちらへと突っ込んでくる光景を見て、中にいる人々は悲鳴を上げた。

このままでは望月ごと皆が危ない……そう思ったジェイナスは向かおうとするが、慣れない無重力の世界に戸惑い、上手く助けに入れない。

そのままコマサンダーは独楽の如く回転しながら望月へと勢いよく突っ込んでいく。

 

 

――――その時だった、青い流星が割って飛び込んできたのは。

 

 

青い流星は望月との間に割って入ると、そのまま突っ込んできたコマサンダーを受け止めた。

コマサンダーが驚きながら受け止めた"それ"を見ると、そこには『見知った顔』があり、驚きのあまり目を見開いた。

 

「き、キサマは!?」

 

「――お返しするぜ! タァ!」

 

青い流星……否、その中にいた『その存在』はコマサンダーを望月から離れさせるように思いっきり殴り飛ばした。

宇宙空間へと投げ飛ばされたコマサンダーは自身を殴り飛ばしたその者を見て、こう叫んだ。

 

 

 

「おのれ、沖一也ァァァァァァ! 負けたァァァァァァァ!!!」

 

 

――轟音。

宇宙空間に鮮烈な光を放ちながらコマサンダーは爆発した。

仮にも共に戦う仲間であったコマサンダーの最後の言葉を聞いて、バチンガルが驚きの声を上げる。

 

「なに、沖一也だと!?」

 

「ああそうだ! 人の夢を紡いできたこの場所を守るため、俺は戻ってきた!」

 

青い流星の中にいるその男はそう叫ぶと、咲き誇る花のような独特の構えを取る。

そして、一気に両手を回転させ勢いよく叫んだ。

 

 

「変身!」

 

 

迸る閃光と共に、青い流星は光が収まり、代わりに銀色の閃光が辺りを照らす。

やがて光が収まるころには一人の仮面の戦士が立っていた。

その姿は黒いボディに銀色の手足、赤い双眸の銀色のマスクという何処かRV-9に酷似している。

違うのはスズメバチを思わせるデザインと赤いマフラー、そして変身ベルト『サイクロード』を有していた。

 

その姿はまるで『仮面ライダー』であった。

 

新たなる仮面ライダーの姿を見て、ジェイナスは訊ねる。

 

「「アナタは!?」」

 

「俺は、スーパー1……仮面ライダースーパー1だ!」

 

 

男の名は、『沖一也』。

 

受け継いだ名前は、『スーパー1』。

 

彼はステーションを足場として蹴り、ジェイナスと交戦するバチンガルへと向かって飛んで行った。

 

「タァ!!」

 

「ぐぅ!? スーパー1! なぜここに!?」

 

「火星で見つけた()と共に超特急で戻ってきた!」

 

かつての宿敵であるスーパー1の登場に驚きながらも、バチンガルは向かってきた彼を受け止め、取っ組み合う。

宇宙空間に投げ出されながらも拳と拳をぶつけ合いはじめる二人。

ジェイナスも加勢しようとするが、そこへスーパー1の制止が入る。

 

「手を出すな!」

 

「えっ、でもそれじゃあアナタが!」

 

「今の君達じゃ宇宙空間での戦いは不利だ! 君達に『彼』を託す!」

 

そう言いながら、スーパー1が投げ渡したものを受け取るジェイナス――優奈。

それは、群青色の色を放つ水色のライドクリスタルだった。

新たなるライドクリスタルを手に入れた事に驚きながらも、ジェイナスは優奈の声で訊ねた。

 

「えっと、あなたは?」

 

『仮面ライダーメテオ、君達の運命(さだめ)を変えに来た』

 

そう言いながら幻影として出てきたのは、一人の仮面ライダー。

星々のように煌く黒い体を持ち、左肩から胸元まで流星を模した装甲を有し、青く燃える隕石のような頭部を有したその姿。

 

――仮面ライダーメテオ

流星の名を冠し、己の友を取り戻すために戦い抜いた拳法の達人。

 

メテオのクリスタルを有する事になったジェイナスだが、新たなる姿をもたらすであろうもう一つの片割れであるライドクリスタルは見つかってない。

どうしたものか、と考えているとふと視線の映ったのは……。

 

 

「「ドラゴン!?」」

 

 

――青い龍(ドラゴン)であった。

 

光の体で青い龍は体をくねらせながら望月へ近づいていくと、宇宙空間へと放り出される寸前だったRV-9へ近づく。

彼を回収すると、厳格そうな見た目に反して若い青年の声で話しかけてくる。

 

『おーい! 大丈夫か!?』

 

「君は……戻ったのか?」

 

『あたりめーだ馬鹿! お前のピンチに戻らねぇわけにはいかないだろ!』

 

「普段は馬鹿のくせにこういう時は聡いんだな、クローズ」

 

『誰が馬鹿だ!? 筋肉つけろ!』

 

口喧嘩を混じ合わせながら青い龍は別の姿へと変わっていく。

青いボディに金色の模様が入ったドラゴンの翼のような装甲、龍の頭部が組み合わさったマスク。

その姿は仮面ライダーそのものであった。

 

――仮面ライダークローズ

自分の信じた人のため、愛と平和のために戦ったもう一人の英雄(ヒーロー)

 

彼は望月へとRV-9を運び上げると、そのまま青いライドクリスタルとなってジェイナスの下へと飛んでいく。

彼を受け止めたジェイナスへ、クローズは話しかける。

 

『おい、お前達がライドクリスタルを集めている仮面ライダーか?』

 

「ああ、そうだ」

 

『だったら、アイツを倒すために戦うぞ。俺を信じてくれたヤツのために!』

 

「わかった、一緒に戦おう!」

 

クローズとの利害が一致したジェイナス――一登はクローズクリスタルを握りしめると、それぞれベルトの装填口に装填しようとする。

一登の意思はクローズを、優奈の意思でメテオを。

二人が装填を終えたと同時に電子音声が鳴り響く。

 

「クローズ!」

 

【CROSS-Z】

 

「メテオさん!」

 

【METEOR】

 

「「フュージョンチェンジ!」」

 

【METEOR×CROSS-Z】

 

【RIDER FUSION】

 

前方でスーパー1が宇宙空間でバチンガルと未だ抗戦する中、ジェイナスは新たなる姿へと変わっていく。

夜空に輝く星々のような黒いアンダースーツ、流れる星のようにも飛竜の翼にも見える金色の模様が入った青い装甲、右腕にはガントレット型武器・ドラゴニックギャラクシーが備え付けられていた。

頭部にはドラゴンの頭部を模したクリアパーツに赤い瞳が覗かせている仮面がつけられている。

友のため、仲間のため、その拳を振るった闘士達の力を受け継いだ姿の名は……。

 

 

【DRAGONIC STAR】

 

 

――仮面ライダージェイナス・ドラゴニックスター

 

 

他の形態と異なる雰囲気を出している形態となったジェイナスはスーパー1とバチンガルの姿を捉えると、地面を蹴り上げて一気に駆け出した(・・・・・)

無論、今ここにいる戦場が真空と無重力が支配する漆黒の世界にも拘らずにだ。

 

―――ジェイナス・ドラゴニックスターの特性は『銀河格闘(ギャラクシーアーツ)

メテオとクローズ、宇宙を手にして拳法として振るう彼らが合わさった能力により、周囲にある気力やコズミックエナジーを干渉・操作、自分の手足のように集めて自由自在に扱う事ができる。

例え水中だろうと宇宙だろうと、この形態にかかれば駆けだせる足場を生み出し、思うがまま拳を振るう事ができるのだ。

 

まるで重力下のように近づいていくジェイナスは、バチンガル目掛けて拳を突き放った。

 

「「タァ!!」」

 

「ぐあぁぁ!?」

 

ジェイナスの気力を纏わせた正拳突きがバチンガルを捉え、直撃したバチンガルは吹っ飛ばされる。

新たなる姿になったジェイナスを見て、スーパー1は声をかけた。

 

「来たか、ジェナイス」

 

「「はい!!」」

 

「投げかける言葉は不要だ……今は共に行くぞ!」

 

スーパー1はジェイナスの肩に手を置いて頷くと、バチンガルの方を向いて構えを取った。

ジェイナスもドラゴニックスターの影響なのかボクシングに似た構えを取ると、同時に一緒に踏み出した。

 

「タァ!」

 

「「ハァ!」」

 

「なにを……こっちにはファイブハンドがある! 喰らえ、エレキ光線!」

 

二人になった仮面ライダーに負けじと、バチンガルは両腕を青い腕に変えて電撃光線を繰り出した。

降り注ぐ電撃を掻い潜りながら、ジェイナスとスーパー1は向かっていく。

まず先に飛び出してきたのは、スーパー1だった。

 

「お返しだ! 四段旋風蹴り!」

 

「ぐあぁぁぁ!?」

 

バチンガルの突き出した両腕を足場にして、スーパー1は宙返りをしながら顔面に蹴りを叩き込む。

スーパー1が繰り出した絶技・四段旋風蹴りを受けたバチンガルが一瞬のうちに怯んだところへ、ジェイナスがドラゴニックギャラクシーを操作しながら右腕を突き出した。

 

【OK Jupiter!】

 

「「トリャァァァ!」」

 

右腕から繰り出されたのは木星を巨大な斑模様の球体。

ジェイナスの身の丈ほど巨大な球体・ジュピターハンマーをバチンガルへ思いっきり叩きつけた。

とてつもない質量に殴りつけられ、吹っ飛ばされるバチンガル。

装備していた青い腕を打ち砕かれ、バチンガルは激高する。

 

「キサマラァァァァ! どこまでも邪魔する気かッ! 仮面ライダーァァァァ!」

 

「当然だ。バチンガルよ。俺が守るのは人の夢が作る未来だ」

 

怒号を上げるバチンガルに対し、凛とした言葉で返すスーパー1。

右腕を縦に立て、右肘に左手をつけた独特の構えを取りながら、次の言葉を述べた。

 

 

「人の夢のために生まれた……この拳、この拳はそのためのものだ。そして……」

 

 

「俺達が守ってきた未来()は、彼らが答えてくれた!」

 

 

自信ありげに言いながら、ジェイナスの構えた腕を足場に蹴り上げてバチンガルへ飛んでいく。

そして一回転しながら必殺の蹴りを繰り出した。

 

「スーパーライダー月面キィィィィックッッ!!」

 

「ぐぅ!? なんのぉ……パワーハンドォ!!」

 

スーパー1が繰り出した『スーパーライダー月面キック』を、バチンガルは赤い腕に変えて受け止めようと図る。

暫しの拮抗をした後、赤い腕から火花を上げつつもバチンガルはスーパー1の一撃を跳ね飛ばした。

 

「うおぉぉぉっ! どうだぁ!?」

 

投げ飛ばしたスーパー1を見ながら、機能停止になった赤い両腕を外すバチンガル。

いくら宇宙でも足場のないこの場所ならスーパー1に勝てるとバチンガルは思った……だが、その甘い考えを打ち破るようにとある電子音声が聞こえてきた。

 

【RIDER FINISH!】

 

「「ドラゴニックライトストーム!」」

 

二人の男女の声が聞こえ、バチンガルが振り向くと……そこで目に映ったのは、拳の嵐を放つジェイナスの姿。

無数の拳が荒れ狂う嵐の如く乱舞し、バチンガルへと届き打ちのめしていく。

もはや止めるすべはなく、一撃一撃が叩き込まれ……最後の一撃が叩き込まれる。

 

「「ハァァァァ!!」」

 

「ぐ、ぐおおおおおおおおお!? またしても、またしても敗れるのかぁぁぁ!!」

 

ジェイナスが繰り出した拳の嵐『ドラゴニックライトストーム』、その最後の一撃がバチンガルへと決まり、大爆発を起こした。

最後の敵を倒した後、放り出されていたスーパー1を掴まえるジェイナス。

彼らに手を握られたスーパー1はジェイナスに向けて感謝の言葉を口にした。

 

「ありがとう、君達のおかげで望月は守れた」

 

「「そんなことないですよ……」」

 

「いいや君達のおかけだ。ありがとう」

 

地球を背に並び立つジェイナスとスーパー1。

彼ら二人は自分達の守り抜いた望月の姿を見納めた後、宇宙ステーションへ戻っていった。

 

 

~~~~

 

 

コマサンダーとバチンガル、二大怪人の激闘の後。

深い傷を負ったRV-9が目覚めると、そこはステーション内に設けられたメンテナンスルームだった。

自分はチェックマシーンを入れられており、傍らには修理作業の操作を行っている石動の他に、真理愛の姿があった。

RV-9が目覚めた事に気づいた石動が気軽な声を上げて声をかけた。

 

「よぉ、お目覚めか」

 

「石動さん……私は一体」

 

「俺が傷を負ったお前を宇宙ドローン使って回収したんだよ。よく頑張ったな」

 

「あなたが?」

 

「中々捨てたもんじゃないだろ? こんなイケてる宇宙飛行士は中々いないぞ?」

 

軽口を叩きながら、操作盤で作業を続ける石動。

RV-9は彼から真理愛へ視線を向けると、彼女は泣きはらした顔で怒鳴り声を上げた。

 

「もう、RV-9! どうして無茶したの!?」

 

「すみません、あのような輩から守るためには傷の一つや二つ覚悟してました」

 

「もう! 無茶させるために私はあなたに赤心少林拳を教えたのではないのよ!」

 

「すみません、師匠」

 

未だに無茶したことを怒っている真理愛に対し、たじたじになるRV-9。

自分の損傷具合を見て、結構な無茶をしたなと判断がつく。

これでは夢である外宇宙への旅立ちもまだまだ先ということになるだろうか。

 

そう思っていると、メンテナンスルームの扉が開き、そこへ一人の人物が入ってくる。

その人物を見て、その場にいた人物……特にRV-9は驚いた。

 

「アナタは……!」

 

「どうやら復帰できそうで何よりだな。RV-9……もう一人のヒーロー」

 

やってきた、はつらつとした雰囲気の黒髪の男性。

――沖一也、一人の宇宙飛行士であり、同時に赤心少林拳の拳士である男。

 

自分自身のルーツでもある伝説の男に、(RV-9)は巡り合ったのだった。

 

 

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