仮面ライダージェイナス   作:地水

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第8話:強襲、地獄の鋼魔 後編

 謎の敵に攫われてしまい、里子と珪花の前に現れた八代悠二。

謎の侵入者に彼女達を取り戻すのを阻まんとミネラリオンの何体かは襲い掛かる。

危ない、と危機感を感じた里子と珪花の二人は叫ぼうとするが、その直言に悠二が動いた。

 

「おらよっ!」

 

悠二はミネラリオンが振り下ろした腕を避け、逆にその腕を掴み、勢い良く投げ飛ばす。

投げ飛ばされたミネラリオンは他のミネラリオンと衝突し、その硬質な体に皹が入る。

まるで柔道のような見事な技を披露してミネラリオンを対処する悠二に珪花は驚いていた。

 

「うそっ、あの怪物達をああも簡単に……!?」

 

「なぁに、昔とった杵柄ってヤツさ!」

 

珪花の言葉に反応して、悠二は突っ込んできたミネラリオンの首を腕を回して捕らえ、そのまま別のミネラリオンにぶつける形で投げ飛ばした。

今度は先程のものより派手にぶつかり、壊れたガラスのように粉々に砕け散る。

粉砕されたミネラリオンを見て、悠二は再び不敵な笑みを浮かべる。

 

「銃や剣も通さないその硬さは厄介だが、それが仇となっているようだな。って、お前らには言葉を発することはないんだっけか」

 

皮肉交じりの台詞を口にしながら、牽制代わりのパンチを繰り出す悠二。

放たれた先にいたミネラリオンは防御姿勢も取らずにその拳をその身で受け止め、逆に剣の如く鋭利にさせた腕で切り裂こうとする。

だがそれを見透かしいた悠二は殴りつけた拳を力を籠め、さらに突き出した。

 

「ハァッ!!」

 

バキィン、と何かが弾くような音が響き渡った途端、ミネラリオンの姿が掻き消えた。

いや、消えたのではない。文字通り殴り飛ばされたのだ。姿が消えたと思った後に地面へバウンドしながら、激しく叩きつけられた。

大の字になって倒れたミネラリオンは何とか立ち上がろうとする。だがそこへ悠二が勢いよく走って迫る。

途中で何かを拾うと、それをミネラリオンの上へと投げた。そして自分は地面を蹴って空中へと舞い上がり、そして足を突き出した。

 

「おらよっ!!」

 

悠二は先程空中へ投げた物――砕けたミネラリオンの破片を蹴り飛ばした。

まるでサッカーボールをシュートするかの如く破片は真っ直ぐ飛んでいき、勢いよくミネラリオンの胴体へと突き刺さった。

その瞬間、ミネラリオンの体は突き刺さった箇所から皹が入り、全身まで回った後に砕け散った。

あっという間にミネラリオン達を撃破した悠二はうまく着地すると、吊るされた二人の元へと近づく。

 

「今これを解くからな」

 

「や、八代さん? なんであなたがここに?」

 

「ん? いやぁ、実はあの後一登が慌てて戻ってきてな……事情を聞いたら、なんか悪い奴らに捕まった君達を助けに行くって慌てて出かけてな」

 

「えっ、アイツが?」

 

悠二が話した言葉を聞いて、里子は眉を傾げた。

彼が助けに来てくれたのは事実だろうが、何処か違和感のある部分に引っかかった。

勿論攫われた所を見られたという事なら仕方がないが、あの一登が誰かに話して助けを求めるのか?

もっとも一登はなんも変哲もない一般人だ。勇気と蛮勇を間違えて危険に頭を突っ込む馬鹿ではないことは重々承知だ。

だが何か違和感がある……そんな些細な違和感に感じていると、悠二が二人を吊るしている鎖に手をかけようとした。

 

――だがそこへ、鎖に手を伸ばそうとする悠二へ迫る影があった。

 

「シャッ!!」

 

「ッ!?」

 

殺気に気づいた悠二が咄嗟に避けると、自分が先程まで立っていた場所へ鋭い拳撃が掠め取った。

バク転で距離を取り、新たに現れた敵の姿を確認した。

そこにいたのは、飛蝗の怪人と形容すべき存在――ショッカーライダーだった。

悠二はその姿を見て静かに身構えると、襲い掛かってきたショッカーライダーを迎え撃った。

 

「オラァッ!」

 

「フンッ……効かんなぁ!」

 

悠二とショッカーライダーによる殴り合いの応酬が繰り広げ、その後ショッカーライダーの口が大きく開く。

口の中から放たれたのは、異臭を放つ溶解液……当たればただでは済まないと感じとった悠二が咄嗟に避けると、近くの柱へと直撃し、瞬く間に溶かす。

その光景を見て珪花は顏を青ざめ、里子は叫んだ。

 

「あわわわわ!? あんなのに当たったら危ないですよ!?」

 

「悠二さん!」

 

「安心しろ。お二人さん……なぁに、何も俺一人で来たわけじゃないからな」

 

心底心配しているであろう二人へ向けて、再び不敵な笑みを向ける悠二。

誰がどう見ても打開策がない状況の中、ショッカーライダーは再び口を開けて溶解液を放とうとする。

里子と珪花が"危ない"と思った瞬間、……一同がいるその場所で緑の疾風が駆け抜けた。

 

「ガァッ!?」

 

まず攻撃を受けたのは、ショッカーライダー。

死角から放たれた一撃が見事に炸裂し、壁を突き破って廃工場の外へとぶっ飛んでいき、眩い閃光と共に爆発音が聞こえた。

 

「きゃぁ!?」

 

「あぁっ!?」

 

次に起こったのは、里子と珪花の二人が吊るされていた鎖が綺麗に切られた。

まるで包丁で切った野菜の如く切られた鎖は綺麗に断面を見せ、吊るされていた二人は落ちようとした。

だが地面へ落下する直前に悠二によって受け止められ、大事には至らなかった。

 

「だ、大丈夫ですか八代さん!?」

 

「そりゃこっちの台詞だよ里子ちゃんよ。ほら、珪花ちゃんも」

 

「ああ、はい……ところでさっきのは一体?」

 

助け起こされた珪花は先程見えた緑の疾風に疑問符を浮かべていた。

あのおどろおどろしい雰囲気を纏った謎の怪人すら一撃で撃破したあの何かは一体何だったのか……結果的にとはいえ何故助けてくれたのか?

珪花は不思議に思っていたが、悠二の言葉で中断させる。

 

「さぁて、なんなんだろうな。だが今はココからいち早く去るのが優先だ」

 

「でも八代さん、いいんですか? その、私達は……」

 

「あん? なんか悔やむようなことでもあるのか?」

 

言い淀む珪花の言葉に悠二は聞き返す。

何処か浮かない様子の二人に悠二は首を傾げるが、その理由を里子が話した。

 

「だってあたし達、醜い嫉妬心で出て行ったんですよ? そんな失礼な事したのに助けられる道理なんて……」

 

「バーカ、そんなこと気にしてないっての」

 

「わっ!?」

 

どうやら優奈を住まわしている事を知って機嫌を悪くしたことを悔やんでおり、それを聞かされた悠二は里子の頭に優しく手を置いた。

そして誰かに聞かせるわけでもなく呟いた。

 

「お前らが何に悔やんでるんだろうと知った事か。危険な目に遭っている知り合いを放ってはおけるかよ」

 

「「八代さん……」」

 

「ほら、逃げるぞお前ら。帰ったら美味しいの淹れてやるからよ」

 

里子と珪花の二人を元気づけるために悠二は言葉をかけると、彼女達を連れて廃工場から抜け出した。

外へと出た里子、珪花、悠二の三人……その様子を別の建物から見つめる存在がいた。

その存在――先程悠二を助けたライドキラーだった人物が静かに見届けると、大きくジャンプし、別の場所へと飛んでいった。

 

 

~~~~

 

 

一方、ジェイナスは苦戦を強いられていた。

火炎、放電、爆雷と特殊な攻撃をしてくるショッカーライダー達の対処に追われており、避ける事が精いっぱいだった。

幸いにもブレイジングロードによる超加速によって何とか耐え凌いでいるが、何時までもこの状況を続けるわけにはいかない。

 

「ぐぅ、どうすればいいんだ……!?」

 

「前のあいつらにはこんな能力なかったはず……きゃっ!?」

 

放たれた火炎や放電を避け、飛んできた爆雷をライドキャリバーで断ち切って、迫りくる二体のショッカーライダーを蹴りやパンチを叩き込む。

何とか退かせようとするが、相手は5人でこちらは1体。いくらジェイナスが2体以上相手をしてなお優勢なほど強いといっても流石に多勢に無勢にも程がある。

おまけに息の乱れない機械的なコンビネーションに、徐々に追い詰められつつあった。

 

「一登君、このままじゃあ……」

 

「くそっ、せめて……せめて攻略法があれば」

 

殴り掛かってくる3人のショッカーライダーに追い詰められていくジェイナス。

さらに追い打ちをかけんと勢いで、二人のショッカーライダーがそれぞれの特殊能力を繰り出す。

片方は上空へ向けて毒霧を巻いて逃げ場を塞ぎ、片方は片腕を地面に突き刺してそのまま地震を引き起こす。

足元から伝わるすさまじい揺れを受けてしまい、ジェイナスはその場で膝をついてしまう。

 

「「ぐぅっ!?」」

 

「ハッ!!」

 

身動きができなくなったところへ、ショッカーライダーが殴り掛かる。

あわや振りかざした拳がジェイナスの顔面へと直撃する……その直前。

空中を舞っていた毒霧を切り裂いて、緑の疾風が現れた。

 

「ハァッ!」

 

「ぐぅ!?」

 

突如ショッカーライダー蹴り飛ばして現れたのは、ライドキラー。

ライドキラーはジェイナスを腕を掴む形で回収すると、そのまま上空へと飛んでいく。

最初に出会ったあの時戦った相手と、しかも今度は助けられジェイナスは驚きの声を上げた。

 

「えっ! お前は!?」

 

「ライドキラー!? なんでここにいるの!?」

 

「黙ってな。舌噛むかもしれないだろ」

 

ライドキラーは驚いているジェイナスに冷たくあしらうと、背部にある推進ユニット・キラーブースターを吹かせる。

炎を吐きながら飛ぶライドキラーを狙って、地上にいるショッカーライダー達は追撃を仕掛けてくるが、当の本人は簡単に避けていく。

自分達を抱えたまま回避行動をとる彼に感心していると、ライドキラーは口を開いて告げてきた。

 

「おい、お前らであのショッカーライダー達を倒してみろ」

 

「あいつらをって、もしかして俺達だけで……?」

 

「テメェらはいつから一人だと勘違いしているんだ? いるんだろ、仲間が」

 

「仲間……あっ!」

 

ライドキラーに言われて何かを思い出したジェイナスは二つのライドクリスタルを取り出す。

その二つのライドクリスタルを見たライドキラーはショッカーライダー目掛けて勢いよくジェイナスを投げ飛ばした。

敵からのいきなりの行動に驚くショッカーライダー……だがジェイナスは迷うこともなく、ベルトにライドクリスタルを装填して叫んだ。

 

「「フュージョンチェンジ!」」

 

【KNIGHT×BARON】

 

【RIDER FUSION】

 

【LANCERD PALADIN】

 

電子音声が鳴り響いた後、ジェイナスはランサードパラディンへと変化。

両翼のアーマードウィングを広げ、投げ飛ばされた勢いに乗ったままランサードスピアを構えた。

対してショッカーライダーは迎え撃とうと、それぞれの能力を繰り出そうとする。

だが、次に起きたジェイナス・ランサードパラディンの行動だった。

 

「「タァ!」」

 

「「「「「ッッ!?」」」」」

 

ショッカーライダー達の周囲に出現するいくつものミラークラック。

そのミラークラックの一つに潜り抜けると、全てのミラークラックからジェイナスが出現。

数体に及ぶジェイナスはランサードスピアをショッカーライダーへと突き刺した。

 

「「ハァァァァ!!」」

 

【RIDER FINISH】

 

ジェイナスの突き出したランサードスピアは見事にショッカーライダー達を捉える。

鋭い一撃が炸裂したそこへバナナ型エネルギーが突き刺さり、その瞬間爆発が舞い上がる。

『ソニックビクトリー』による同時撃破という快挙を成し遂げたジェイナス……そこへ地上へ降りてきた。

 

「やるじゃねえの、お二人さん」

 

「「ライドキラー……」」

 

「あの判断でここまでやれるとはなぁ。前々から思っていたが、やっぱお前ら凄いや」

 

賞賛の言葉にもとれる台詞を口にして、ライドキラーはその赤い複眼でジェイナスを見抜く。

異形らしい仮面をつけた彼の真意は分からないが、少なくとも嘘をついているわけではないとジェイナスは感じた。

 

「……悪いがアンタに付き合ってる暇はない。俺達は」

 

「人質にとられた子なら、既に助けられたぜ」

 

「えっ、里子と珪花ちゃんが……!? 一体誰が!?」

 

「さぁてね、そこは本人たちに聞きな」

 

攫われていた二人を助け出された事にジェイナスは驚愕する。

一体助け出したのは誰かとジェイナス――優奈が問いただそうとするが、ライドキラーに適当にあしらわれる。

それでも引き下がれないジェイナスはライドキラーへと迫ろうとする。

 

だがそんなやり取りを阻むように、第三者の声が聞こえてきた。

 

 

「どうやら、ショッカーライダーだけじゃ対処できないほど強くなっているようだね」

 

 

こつり、こつりと革靴の履いた足音が聞こえてきた。

ジェイナス・ライドキラー双方が見やると、そこに現れたのは黒一色のスーツ姿の人物。

長身な見立てから少なくとも男性であることは想像できるが、怪物にも悪魔にも見えるその漆黒の仮面がジェイナス――一登に異質感を覚えさせた。

 

「お前、一体何者だ?」

 

「仮面ライダージェイナス、キミにはお初にかかる。我が名はプルート」

 

目の前に現れた男・プルートはそう名乗り上げた。

その瞬間、ジェイナスの体に一瞬の違和感を一登は感じた。

まるでラグのような今まで襲ったことのない感覚に疑問を覚えるが、その答えはすぐに分かった。

ジェイナスの半身……優奈が、動揺と怯えた表情による影響だ。

 

「そんな、なんで、あなたがここに……?」

 

「おい、優奈? しっかりしろ優奈!」

 

一登の意志でジェイナスは自身の肩を掴み、正気に戻そうと揺さぶる。

その様子を見たプルートは顎に手を乗せ、考える仕草をした後言葉を口にした。

 

「ああそうか。優奈、キミはまだあの事(・・・)を片割れへ口にしていないというわけか」

 

「なっ、お前……優奈の事を知っているのか!?」

 

優奈の事を知っている様子にジェイナス――一登は驚いていた。

一体こいつが優奈とどういう関係なのか気になる所。

前々から気になっていた……彼女が何故家からクリスタルを持ち出してまで逃げてきたのか。

その原因が今、このプルートという男にある。そう思った一登は逃げるにしろ戦うにしろ今動き出さなければと思った。

その一方で、プルートはジェイナス達を一瞥すると、ライドキラーに対して疑問をぶつけた。

 

「ライドキラーシステム、完成していたとは驚きだ……だが、それを着ている君は一体何者かな?」

 

「ハッ、仮面ライダーを倒す者以外名乗る必要があるか?」

 

「なるほど……まあいい。優奈、君には積もる話はいっぱいある。まずはそっちを優先させよう」

 

ぶっきらぼうに言葉を返したライドキラーに素直に受け取ると、優奈との話を優先すべくプルートはある物を取り出した。

それは、一つのライドクリスタルと片手で掴めるほどの大きさのボール型の機械。

何処となくライドキラーが変身の際に使っていた機械――ライドジャイロと酷似しているが、こちらは黄金色と黒をベースにしている。

プルートはその機械――ボーグジャイロのスイッチを押すと中身が開き、そのライドクリスタルを装填した。

 

【SHOCKER-RIDER】

 

電子音声が鳴り響くと共に、プルートの周囲に浮かび上がるのはいくつもの骸骨を模した黒い幻影。

歪なほど同じ姿形が整ってない骸骨の幻影が9体にも及ぶほど出現すると、プルートは静かに、しかしジェイナス達へと届くほどの声量で呟いた。

 

 

【Standby】

 

 

「改変」

 

 

【Up-Great】

 

 

電子音声が鳴り響いた後、9体の黒い骸骨の幻影はプルートへと纏わりつき、彼の姿を一体の異形の姿へと変貌する。

鋼鉄の黒いボディ、体中に装着された9つの頭蓋骨を模したパーツ・アビリティスカル、そしてプルートの頭部を覆い尽くす大きな白い骸骨・ヘルヘッドスカル。

空虚な双眸に血のように赤い光が二つ灯ると、おどろおどろしい電子音声がその場に鳴り響いた。

 

 

【Nine war demons, already justice has fallen】

 

 

「――ヘルボーグ、ここに顕現」

 

 

ジェイナスとライドキラーの前に現れたのは、1体の戦鬼。

その名は『ヘルボーグ』、ヘルボーグ・デモンスティール。

黒き幻影を纏って、ジェイナス達の前にその異形の姿を現したのだ。

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