仮面ライダージェイナス   作:地水

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 何ヵ月ぶりかの投稿。
今回は某雑誌のハイパーバトルDVD風味の展開やノリでやっていく感じ。


幕間その10:(ハイパー)バトルノベル!仮面ライダージェイナス

 例え幾星霜、幾万の時が過ぎて彼らを忘却の彼方へ押しやっても。

 

 

――時代が望むとき、仮面ライダーは必ず蘇る。

 

 

 

 

~~~~

 

 

日本の関東地方、首都・東京都の所に位置するとある街があった。

その名は頼打地区。

世界初の軌道エレベーター『望月』へ続く数少ない連絡道路を有している事以外は普通の都会と同じ。

だが、この街には一つの『悪意ある集団』が暗躍を蔓延薔薇せていた。

 

動植物の能力に有機物と無機質の融合体といった異形の怪人。

人々に仇名す彼らの正体はかつて滅び去ったはずの悪の組織ショッカーやゲルショッカーをはじめとした怪人組織が生み出した改造人間達。

何の因果か現代の世界に蘇った彼らは人々を仇名す恐怖の軍団として再び猛威を振るおうとした。

 

だが、悪の牙の脅威に晒された無辜の人々を守るために彼ら怪人軍団へ立ち向かうのは二人の男女だった。

一人は飄々としていながら熱い正義感を有する若き少年・夏川一登。

一人はショッカーの怪人達に追われていたうら若き少女・飛鳥優奈。

幼馴染であった彼らはひょんなことから再会を果たし、そして大きな陰謀に巻き込まれた。

現れた怪人達に狙われ、絶体絶命の二人……その彼ら助けたのは仮面を纏った戦士達だった。

 

未知の結晶・ライドクリスタルに刻まれた記憶の中の戦士、その名は『仮面ライダー』。

 

一登と優奈の二人はライドクリスタルと変身ベルト・ジェイナスドライバーを駆使して仮面の戦士『仮面ライダージェイナス』へと変身。

 

見事怪人達を倒したジェイナスは平和を脅かす怪人達を撃破していった。

復活する怪人達の目的は一体何か?

一登と優奈、二人が共に戦う先に何があるのか?

彼らが行く道を示すのは一体なんなのだろうか

 

 

これは、仮面ライダージェイナスの一つの物語。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

頼打地区、喫茶店NewAmigo。

普段ならモーニングメニューを狙ってやってくるであろう客が入ってくるこの時間。だが内側から勢いよく開け放たれて現れたのは二人の男女だった。

 

「やっばい、遅れる!急ぐぞ優奈!」

 

「もう、一登君が二度寝しようとするからだよ!」

 

慌てて出てきた黒髪の少年と榛色の長い髪の少女は共に制服姿であり、手にしたカバンを持ちながら勢いよく飛び出ていった。

短く整えた黒髪が特徴的な少年――夏川一登。

長い榛色の髪を靡かせる少女――飛鳥優奈。

そう、彼らこそ仮面ライダージェイナスに変身する二人である。

 

並大抵の怪人すら圧倒するジェイナスだが、変身していなければ彼ら二人はどこにでも普通にいる青春を楽しむ高校生だ。

 

今彼らは登校時間が遅れてしまい、遅刻しようとしていた。

 

一登と優奈は一生懸命に通学路を走っており、通り過ぎる通行人に気にせず学校へ向かっている。

二人とも互いに遅れず息を揃えて走る姿はまるで二人三脚をしながら勢いよく走っているような光景だった。

そこまで息ぴったしの光景をお見せしていると、不意に優奈が名前を叫んだ。

 

「一登君! ちょっと待って!」

 

「えっ、どうしたんだよ? 走らないと学校に……」

 

「何か、視界の端に写ったような……」

 

優奈はふと足を止め、近くの裏道に視線を移す。

そこでは野良猫が何かに威嚇しており、その小さな人型らしき影は悲痛な面持ちで叫んだ。

 

『たっ、たすけぇ!こらっ、こっちによるな!』

 

聞こえてきたのは女性の声。

二人がよく目を凝らしてみると、道の片隅でいるのは小さな一体の人影。

手のひらサイズに乗るほどの『ソレ』の姿を見て、一登と優奈は異口同音で口を開いた。

 

「「仮面ライダー……?」」

 

そう、体は若干透けているのだが、その姿はまるで仮面ライダーそのものだった。

銀色のラインが走った黒いボディスーツに、茶色を主体とした軽装甲。

頭部はゴーグルの形をしたツインアイに栗饅頭を思わせるカラーリングをしたマスクがあり、まるでデフォルメされた目が覗いているようにも見える。

一見すると仮面ライダーと一登と優奈は思ったが、胸部装甲につけられた愛らしいシール型ワッペンや背中に背負った缶バッチがつけられたリュック、そしてカラフルな帽子がその異質さを醸し出していた。

この茶色の仮面ライダーらしき小さい人は何とか野良猫から逃れようとしていた。

 

「どうする?」

 

「うん、助けよう」

 

こっそりと小さなライダーの攻防劇を見ていた二人は暫く顔を見合わせ、一登に聞かれた優奈は即決に応えると一歩足を踏み出す。

その瞬間、瞬く間にライダーと野良猫のあいだに割って入った。

両者が驚いている中で、優奈はその手をガバッと野良猫へと手を伸ばす。

猫は抵抗する暇もなく優奈の腕の中に納まり、彼女は優しく声をかける。

 

「こーらっ、弱い者いじめはダメだよ」

 

「にゃぁっ」

 

猫は目を丸くしながらも短い鳴き声で答え、大人しく丸まって収まる。

恐らく彼女の凄みに気圧されたのであろう……一登はやれやれと苦笑しながら、謎のライダーの方へ近づく。

一方でライダーは自分が助かった事に安堵していた。

 

『た、たすかったー!』

 

「えっと、大丈夫か?」

 

『ん、あんたたちが助けてくれたの?さんきゅー!』

 

軽口交じりに感謝の言葉を述べるライダーは一登が差し伸べた手に乗っかる。

やがて野良猫を逃がした優奈と共に一登へ"彼女"は自己紹介をした。

 

『あたしはライドプレイヤーニコ! 天才ゲーマーNというのはわたしのこと!』

 

「「ライドプレイヤー?」」

 

『あたしのことはニコって呼んでね!』

 

謎のライダー……改め、『ライドプレイヤーニコ』は自らをそう名乗った。

とりあえず野良猫に襲われるほど小さなこのライダーを前に一登と優奈は互いに顔を見合わせた。

 

「あなた、仮面ライダーなの?」

 

『うーん、あくまでライドプレイヤーだから厳密には違うけど、そう受け取って大丈夫! これでも強いんだからね!』

 

優奈の問いかけに対しニコはそう答える。

その自信満々な様子から見て結構自分のことを自負しているのだと一登は思った。

自分がそんなことを思われていると内心知らないニコに一登は話の口を変える。

 

「ニコだったよな。お前何で猫になんか追われていたんだ? 仮面ライダーってこう、もうちょっと人並みに大きさのはずじゃないのか?」

 

『それがね、わたし気が付いたら変な奴に捕まっていてね……ライドクリスタルっていうの? あの状態からなんとか踏ん張ってココまでやってきたんだけど、あのドラ猫に食べられそうになったんだよね』

 

辟易とした表情を表すニコと、彼女が言った言葉に何か引っかかったものがあった。

変な奴らに捕まっていたライドクリスタル……つまりこのニコはライドクリスタルの力で実体化した存在であり、彼女を捕まえていた邪な輩がいることになる。

その考えに至った一登はニコに訊ねた。

 

「なぁ、その変な奴って一体どんな奴らなんだ?」

 

『えっと、確か……』

 

ニコが自分を掴めようとした奴について言いかけようとした時だった。

自分達の元にやかましいほど大きな声が聞こえてきたのは。

 

 

「バーエバエバエ!ようやく見つけたぞ!ライドプレイヤーのクリスタル!」

 

 

「そこの二人、ソイツを渡せ!」

 

 

大きな声に気付いて二人が振り向くと、そこにいたのは1体の怪人。

どちらもテレビを模した大きな複眼とハエの意匠を有した外見を持っている。

片方は毛むくじゃらの両腕と両足を有したそのハエ型怪人は一登達を見ると高らかに名乗り上げた。

 

「オレはデストロン怪人のテレビバエ!」

 

突如出現したデストロン怪人『テレビバエ』。

それを見て警戒する一登と優奈。そしてテレビバエ達を見て驚いた声を上げるのはニコだった。

 

『あーっ!アンタたちアタシを捕まえようとした奴じゃん!』

 

「じゃあ、アイツらがクリスタルを集めている奴らってことか!」

 

ニコを捕まえようとした怪しい奴らがテレビバエ達の怪人と判明した一登は身構える。

するとテレビバエは抵抗する意思があるとみてとある行動に移す。

 

「お前達などこれで蹴散らしてやる!」

 

相槌を打ったテレビバエは懐からとある物を取り出す。

――それは、銅色・琥珀色・黒色にそれぞれ彩られた三つのライドクリスタルだった。

怪人が取り出した意外なものを見て一登と優奈は驚く。

 

「「ライドクリスタル!?」」

 

一登と優奈が驚愕の表情を浮かべていると、テレビバエはライドクリスタルを放り投げる。

そして空中へと放り投げられたクリスタルに向かって、テレビバエの複眼のモニターは怪しい光を集光させ、解き放った。

 

「いざ、実体化光線!!」

 

"実体化光線"と表されたその光線は三つのライドクリスタルは浴びると、眩い光が溢れ出す。

ライドクリスタルから溢れ出した光は肉体を形成し、人型を象った仮面の戦士の姿へと変わっていく。

やがて地上に降り立ったのは仮面の戦士達だった。

 

ライオトルーパー。

黒影トルーパー。

そして仮面ライダーメイジ。

 

しかもライダー達は三体ずつだけではない。何体ものライダー達が無限の兵士の如くその場に出現。

まるで軍団とも集団ともいうべき数がその場に現れると、一斉に一登と優奈へと構える。

 

これでこの人間達はライドプレイヤーを置いてあっけなく逃げ出すことだろう。

そう高を括るテレビバエ達だったが、一登は優奈と互いに視線を交わすと、とある物を手にする。

それは自分達が使っている変身ベルト・ジェイナスドライバーとライドクリスタルだった。

 

「アクセルさん!」

 

【ACCELE】

 

優奈のジェイナスドライバーに装填したのは、仮面ライダーアクセルの力が刻まれた赤いクリスタル・アクセルクリスタル。

 

「マッハ!」

 

【MACH】

 

一登のジェイナスドライバーに装填したのは、仮面ライダーマッハの力が刻まれた白いクリスタル・マッハクリスタル。

 

二人はそれぞれのライドクリスタルをジェイナスドライバーに装填し、二人は叫んだ。

それは、その身を超人へと変えるための合言葉。

 

「「変身!」」

 

一登と優奈が叫んだ後、出現したのは漆黒に染まった人型の素体。

ライドボディと呼ばれるその素体に二人は一体化する形で融合すると、漆黒だったボディが鮮やかな白と赤へと変化していく。

 

【ACCELE×MACH】

 

【BLAZING ROAD】

 

やがて姿を現したのは一体の仮面の戦士だった。

――仮面ライダージェイナス・ブレイジングロード。

 

今まで忘れ去られたはずの仮面ライダーがこの世界に舞い戻り、再び姿を現した事に二体のテレビバエ達は驚く。

 

「ば、バエバエー!?」

 

「貴様、仮面ライダーだったのか!?」

 

驚愕の声を上げるてれびばえくんと、指を指して問いただすテレビバエ。

かつて自分達を葬った仮面ライダー……それも見たこともない登場に二体は取り乱すしかなかった。

だがジェイナスはそんな二体のテレビバエを気にせず、ニコを抱えたまま彼女に呟く。

 

「掴まっていろよ」

 

「大丈夫、私達がキミを守るから」

 

ジェイナスは一登の声と優奈の声を発しながら姿勢を低く構えると、そのまま走り出す。

目に追いつけないほどの不可視の速度で駆け抜けていき、ライオトルーパー達ライダー軍団を蹴散らしていく。

ニコはジェイナスの戦闘スタイルを見て思わず口を開いた。

 

『すごい、量産型の仮面ライダー達をあんな一瞬で!』

 

戦場を猛スピードで駆け巡るジェイナスの手に乗ってニコは驚く。

自分の中に刻まれている記憶の中に存在する『誰かの命を救うために戦った仮面ライダー』も一番強いと感じていたが、それとはまた異なる強さを実感していた。

 

「「ハッ!」」

 

高速移動の勢いを乗せた蹴りを炎を纏わせながら黒影トルーパーを攻撃。

黒影トルーパーの一体は槍型武器・影松を突き出して防ごうとするも、武器ごと蹴り飛ばされてしまい、他のライダー達へとぶつかってしまう。

そこへ負けじとライオトルーパー達は銃剣型の専用武器・アクセレイガンを構え、銃口を向ける。

引き金を引いて無数のエネルギー光弾が発砲され、ジェイナスの元へと真っすぐに飛んでいく。

このままでは撃ち抜かれてしまう……だが、ジェイナスは迫りくる光弾を見て動き出した。

 

「一登君、地面に向かって殴って!」

 

「わかった!おりゃあ!」

 

ジェイナスは炎を纏わせた拳で地面を勢いよく殴りつけた。

爆炎からなる火柱とアスファルトの瓦礫が砕け散り、迫るアクセレイガンの光弾がそれらに飲み込まれる。

結果的にライオトルーパー達の攻撃は相殺されるが、次なる一手を繰り出さんと動くのは仮面ライダーメイジ。

【魔法の国】の住民達が変身するこのメイジ達は様々な魔法を駆使して戦う彼らは魔法の指輪・ウィザードリングを使ってその魔法を発動させる。

 

【アロー・ナウ】

 

メイジ達がウィザードリングをベルトへ翳すと、目の前に魔法陣が展開、そこから光の矢が放たれる。

目に止まらぬほどの勢いで飛んでいったそれはジェイナスが立っていた場所へと向かって行く。

そして爆炎を突き抜けて仇名す仮面ライダーを貫こうとした……だが、それは空振りに終わる。

突き抜けた所で爆炎は晴れると、そこにはジェイナスの姿はいない。

 

代わりに聞こえてきたのは、背後から聞こえるバイクのエンジン音……振り向けばそこには加速のあまり炎を纏ったジェイナスの姿。

纏わりついた炎熱をその両足に集め、今必殺の一撃を叩き込もうとする。

 

【RIDER FINISH!】

 

「「フレイムグランツァー!」」

 

炎を纏わせた蹴りによる一撃『フレイムグランツァー』が量産型ライダー達へと炸裂。

体は結晶のように砕け散り、ライオトルーパー・メイジ・黒影トルーパー力の源であるライドクリスタルを残した消えていった。

 

これで一安心……とういうわけにもいかず、地面へと降り立ったジェイナスへ目掛けて禍々しいほどの光線が飛んでくる。

地面を直撃したソレを見てジェイナスが警戒すると、今までライダー達に戦闘を任せていたテレビバエが姿を現す。

 

「やってくれたな、ライダー! 今度は俺が相手になってやる!」

 

そう言うとテレビバエは再び自身の眼から強烈な破壊光線を放つ。

ジェイナスは軽い動作で光線を躱していくと、片足を一気に踏み出して、空高くジャンプ。

やがて新たなる必殺の一撃を決めるべく自慢の武器を何処からともなく取り出した。

 

――自在変剣ライドキャリバー、ジェイナスの愛剣でもあるそれを掴むと勢いよく振り上げた。

 

「「おりゃああああ!!」」

 

重力落下の勢いで振り下ろされたその一振りはテレビバエへと炸裂しようとしていた。

これはまずい……、と思ったテレビバエは思わず飛びのいて避けようとする。

鋭く切り裂くライドキャリバーの刀身はテレビバエがいた場所を容易に切り裂き……そこへ返す刃をお見舞いする直前、ジェイナスは新たなるライドクリスタルをライドキャリバーへと装填した。

 

【G3・MATERIA-RIDE】

 

「「キャリバーソードラッシュ!」」

 

ライドクリスタルの力が刀身に籠ったライドキャリバーを振るい上げ、斬撃を飛ばすジェイナス。

そしてテレビバエに必殺の一撃である『キャリバーソードラッシュ』が炸裂し、ものの見事に真っ二つする。

 

「フ、フラァァァァイッッ!?」

 

轟音。

大爆発と共に跡形もなく消えたテレビバエの姿を見て、今度こそジェイナスは安堵につく。

勝利を収めたジェイナスへライドプレイヤーニコが肩に乗っかり、声をかけてくる。

 

 

『改めて、助けてくれてありがとう。仮面ライダー』

 

 

『もしも私達の力が必要になったら、その時は惜しみなく貸してあげるから』

 

 

ニコはジェイナスーー一登と優奈の二人にそう言い残すと、ライドクリスタルを残してその姿を消えた。

ライドプレイヤークリスタル、そして他の三つのクリスタルを手に入れ、ジェイナスは一息つこうとした……。

その時であった優奈が大きな声を張り上げたのは。

 

「一登くんどうしよう! 学校!そろそろチャイムの時間!」

 

「あっ……やばい! このままだと間に合わない! 急ぐぞ!」

 

一登の慌てる声と共に、行きつく暇もなくジェイナスは走り出す。

ライダーの姿のままで向かう先に自分達が通っている高校……。

 

 

戦い続ける彼らが向かうのは一体何処か。

それは神すら知る術がない未知の世界の物語にて。

 

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