突如乱入してきた仮面ライダージェイナス・ブレイジングロード。
自前の能力である加速能力でショッカーライダー達を翻弄し、打撃攻撃を仕掛けていく。
「ハァァァァ!!」
灼熱の炎を纏った一撃でショッカーライダーの一体を蹴り飛ばし、近くにいたもう一体のショッカーライダーを炎を纏った拳で殴り飛ばす。
一撃一撃的確に攻撃を当てていく様子を見て、ライドキラーと交戦していたヘルボーグは少し驚いていた。
「……ジェイナスが戦えている? 何があった?」
「何時までもお前の記憶の中にいるあの娘じゃないってことだよ!」
ヘルボーグの隙をついて、容赦のない膝蹴りを叩き込むライドキラー。
彼に殴り飛ばされ、廃墟の壁まで飛んで叩き込まれてしまうヘルボーグであったが、すぐさま復帰して反撃を仕掛けようとする。
【Number 007・Boot On】
アビリティスカルに触れて歪な音声が鳴り響くと、彼の両腕が変形。
まるでゴムのように伸縮自在に伸ばすと、思いっきり両腕を振って近くの木々ごと薙ぎ払う。
それを見たライドキラーは咄嗟にキラーブースターを生み出し、ジェット噴射させて空高く飛びあがった。
そしてライドキラーはヘルボーグ目掛けて真っすぐ飛んでいく……その左腕には既に刃を展開したキラースラッシャーがある。
勢いよくジェット噴射し続けるキラーブースターの勢いを利用したまま、ライドキラーはヘルボーグへ接敵してキラースラッシャーを振り上げた。
だが、ライドキラーが突き出したキラースラッシャーを前に、ヘルボーグはそのまま迎え撃つと……その骸骨部分でキラースラッシャーの刃を受け止めた。
本来だったら通常の怪人すら真っ二つになるはずの一撃だが、キラースラッシャーの刃は眼前で拮抗したまま停止。
「なっ……!?」
一体何が起きたのか、とライドキラーは自身の強化した複眼でその正体に驚いた。
ヘルボーグの頭部から生やした【不可視の刃】でキラースラッシャーの刃を受け止めていたのだ。
少しだけの鍔迫り合いが繰り広げられた後、ライドキラーの両腕はヘルボーグの伸びた片腕によって捉えられる。
蜷局を巻いた蛇の如く拘束されたライドキラー目掛けて、空いた片腕を残したヘルボーグは新たなる能力を発動する。
「決めさせてもらおうか」
【Number 005・Boot On】
ヘルボーグが空いた片腕を振り上げると、禍々しい赤い光と共に巨大化。
それが筋力増大による影響だと理解したライドキラーは一瞬嫌な汗を浮かべる。
当たれば瀕死確実なその一撃をヘルボーグが思いっきり振り下ろした。
空気をなぎ倒さんとするほどの轟音を以て振り下ろされる一撃……逃げ場がないライドキラーは全身の力を込めて身構える。
その瞬間だった、別の電子音声が響いてきたのは。
【RIDER FINISH】
突如響いてきた、ジェイナスの必殺技を繰り出す時に鳴り響くシステムボイス。
何事かと視線を向ければ、ジェイナスが繰り出したフレイムグランツァーに巻き込まれて蹴り飛ばされたショッカーライダー達。
そのうち二体のショッカーライダーが火達磨と化して蹴り飛ばされてくるが、ヘルボーグは振り下ろそうとしていた剛腕でなぎ倒した。
飛ばされてきたショッカーライダー達は物の見事に粉砕され、爆炎を散らして消えていく。
舞い落ちる炎と、ショッカーライダーを構成していたクリスタルの粒子が散っていく中。
ジェイナスとヘルボーグ、両者の間に炎と光の粒子が舞う中で睨みつけ合う。
しばしの沈黙の後、最初に口を開いたのは……ヘルボーグだった。
「どうやら、反抗期のようだね。優奈」
「何とでも言いなさい、地堂さん……いえ、プルート! 私は、彼と一緒に生きて、戦い抜くって決めたんだから」
仮面の複眼越しに見えるのは、ジェイナスーー優奈の決意に秘めた瞳……。
決して揺るがぬであろう意思をジェイナスから感じ取ったヘルボーグは肩をすくめる仕草をして言葉を零す。
「やれやれ、随分と嫌われたようだね。まあいいさ、また倒して……」
まるで我儘な子供に呆れる親のような言葉を零しながら、力づくで連れて行こうとジェイナスの元へ近づこうとする。
だが、そんなヘルボーグを力づくで止めようとしている者がいた。
……それは、片腕で拘束されていたライドキラーだった。
「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ……困るんだよ!」
ライドキラーは力づくで巻き付いていたヘルボーグの片腕を抜け出すと、逆に掴み、勢いよく引っ張る。
何をする気なのか、とヘルボーグが思った次の瞬間。
――思いっきり、一本背負いで投げ飛ばした。
「おっらあああああ!!」
ライドキラーにヘルボーグは思いっきり投げ飛ばされ、瞬く間に大空の彼方へと消えていった。
凄まじい膂力によって生み出されたそれは、ライドキラーが無茶を重ねて行ったモノなのか、両手や両腕の生体装甲や複眼に罅が入っていた。
それを垣間見たジェイナスはライドキラーへ駆け寄ろうとするが、生き残っていたショッカーライダーに阻まれる。
一体どうしたらいいのか、と思っているとジェイナスが持っていた赤いライドクリスタル……ギャレンクリスタルが光り輝いた。
『俺を使え、ジェイナス』
「「アナタは……」」
『俺はギャレン……話は後だ。アナザーアギトと組み合わせてくれ』
ギャレンクリスタルの言葉通りに、ジェイナスはアナザーアギトとギャレンのライドクリスタルを構えて、ジェイナスドライバーへと装填。
【ANOTHER AGITΩ】
【GARREN】
「「フュージョンチェンジ!」」
【ANOTHER AGITΩ×GARREN】
電子音声が鳴り響いた瞬間、ジェイナスの姿が真紅の炎となってその姿を変えていく。
両腕は巨大な両翼となり、下半身は尾羽がついた鉤爪がついた逆関節の足となる。
そして頭部は鷹のような鉤のついた嘴を有する鳥の頭部へと変わる。
【BURN GARUDA】
――ジェイナス・バーンガルーダ
炎を纏う火の鳥のような人ならざる異形の姿はその両翼で羽ばたかせる。
燃え盛る炎の羽根・バーニングフェザーがミサイルのように飛び、ショッカーライダー達へと襲い掛かる。
大爆発と共に消滅する何体かのショッカーライダーを他所に、何とか生き残った6体のライダー達は空中へとジャンプ。
空高く飛び上がったショッカーライダー達は指から放つミサイル攻撃へ移ろうとする。
だが、それを見たジェイナスは両翼を羽ばたかせて再び動き出す。
【RIDER FINISH】
「「■■■ッッ!!!」」
鳥が鳴く様な怪鳥音を放ったジェイナスはそのまま飛び立ち、大空へと舞う。
降り注ぐショッカーライダー達のミサイルを掻い潜った後、一回転して両足の燃え盛る鉤爪を向ける。
そのままの勢いでショッカーライター6体目掛けて突撃し、必殺の一撃『バックドラフトクロー』で切り刻んだ。
轟音。
ジェイナス・バーンガルーダの一撃を受けて、ショッカーライダー達は全滅。
空高く舞い上がるジェイナスは悪魔の尖兵達を文字通り焼き払ったのだった。
その光景を見て、ライドキラーは人知れず去っていく。
ジェイナスに変身した二人がライドキラーの姿がない事に気付くのは、その後であった。
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頼打地区から少し離れた、とある建物の敷地内。
そこにはライドキラーに投げ飛ばされてできたであろうクレーターの中にいるヘルボーグの姿。
ヘルボーグはゆっくりと起きあがると、変身解除してその姿を元のスーツ姿へと戻っていく。
彼は自分の仮面を被り、顔を隠した状態で戻すと……そこへ一人の人物がやってくる。
「手酷くやられたようだなぁ、プルート」
「ああ、ゼネラルモンスター……見ての通り、手酷くやられました」
そこに現れたのは、ゼネラルモンスター……どうやらジェイナスとの交戦の後、成り行きに潜めて、こうしてプルートの前に再び現れたのである。
彼の登場にプルートは仮面の下でニコリと笑う。
「失敗した私を粛清に来たのですか?」
「正直そうしたいのは山々だが、負傷した今のお前をやるとしても一筋縄ではいかぬとみた……それに、邪魔が入ったのでな」
そう言いながら視線を別の方向へと向けると、鳴り響いてくるのはバイクの排気音。
それが見知らぬ追手だとプルートが気づくと、ゼネラルモンスターは彼の体を掴んだ。
「ココは退くぞ。お前にはまだまだ利用させてもらうからな」
「ハハハ、こんな一筋縄ではいかないモノでよければ」
そう言いながらプルートはゼネラルモンスターに担がれてその場所から立ち去った。
あとに残されたのは、砕け散った瓦礫に出来上がったクレーターと……そこへやってきた、オフロードタイプの一台の謎のバイクだけだった。
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ヤモリジン、ショッカーライダー、ヘルボーグとの戦いの後。
一登と優奈の二人はNew Amigoへ戻る帰路を辿って歩いていた。
クロスサイクロンを押して歩いている一登と、彼と並んで歩いていく優奈。
彼ら二人はあの戦いの後殆ど言葉を交わしてなかったが、意を決したのか優奈が口を開く。
「ねえ一登君」
「なんだ?」
「今まで黙っててごめんなさい」
「いいよ、優奈。ようやくだけど話してくれてありがとう」
申し訳なさそうにしょんぼりと落ち込んで謝る優奈に対し、笑顔で受け止める一登。
あの後、自分達を助けたライドキラーは何処にもいなかった。
一体どこに行ったのかと思いながら周囲を探ってみたが、姿形さえなかった。
彼には自分達や理子と珪花を助けてくれたお礼も言いたいが……それを告げる前に何処かへいなくなっていた。
彼への感謝の言葉を飲み込んだまま、二人が郊外から街の入り口辺りへ辿り着くと……。
そこへ、二人の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
「一登さん! 優奈さん!」
一登と優奈が顔を上げると、そこには自分達が探していた珪花が立っており、すぐ傍には理子の姿もあった。
珪花の方は二人の姿を見つけると一目散に駆け寄ってきて、二人へ安否の確認をしてくる。
「うぇええええ! ぶ、無事でよかったですー!」
「それはこっちのセリフだ、珪花……そっちこそ、大丈夫だったか!?」
「最初は理子さんと一緒に掴まっていたんですが、八代さんに助けてもらいましたぁ……ふぇええん! 無事で、無事でよかったですー!」
訊ねてきた一登に対し、今にも泣き出さん勢いで珪花は歓喜の声を上げる。
……一瞬、何故八代のおやっさんの名前が出てきたのか? と思い、一登は質問をぶつける。
「なあ、なんでおやっさんが助けにきたんだ?」
「へっ? 一登さんが事情を話したんじゃないんですか?」
キョトンとしている珪花に、一登は訝しむ。
自分達は二人だけで黙って出て行ったはずだから、おやっさんが知っているはずがない。
ましてや一般人であるはずのおやっさんがいくら腕っぷし強いからとはいえ、頼りにはできない……いや、したくない。
それなのに何故おやっさんが俺達のピンチを知って、なおかつ俺達に知らずに一人で乗り込んで救出できたのか……。
一登の中で八代のおやっさんに対する謎が深まっていく……。
その傍ら、優奈の元へ理子が近づいて、こっそりと呟いた。
「ねぇ、優奈……ごめんね、あの時動揺しちゃって」
「理子さん……」
「……無事に帰ったら、根掘り葉掘り聞いちゃうから、揃って覚悟してね」
理子は耳元でそういった後、優奈の元から立ち去っていく。
その際に見えた泣きそうにも笑っているにも見える複雑そうな顔を優奈は見逃さなかった。
「り、理子さん……!」
「理子でいいよ、優奈」
「ッ……」
「私も勝手に、優奈って呼ぶから」
そう言いながら、いつの間にか先に行っていた一登と珪花を追いかけるように走っていく。
そんな彼女を追いかけるべく、優奈も走って追いかけて行った。
時刻は既に夕方に差し掛かる頃。
4人は無事を祝うためにNew Amigoへ向かって帰っていくのであった。
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某所。
深夜の暗闇を裂いて残光を走り抜けるバイクがあった。
そこのバイクを駆るのは、一人の仮面をつけた戦士。
「さぁて、と。どこに行ったんだ? 奴さんは……」
そう言いながら、仮面の戦士は赤い複眼の双眸を輝かせて去っていく。
新たなる仮面ライダーと遭遇するのは、そう遠くない未来に……。