仮面ライダージェイナス   作:地水

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第0話:BEGINS・ROAD 後編

【BLAZING ROAD】

 

 

 この世に再び現れた伝説の戦士・仮面ライダー。

その名を受け継いだジェイナスは、自身が変身した姿に驚いた。

 

「凄い、俺達変身できた」

 

「というか、合体しちゃってるよ!? 大丈夫なのこれ!?」

 

ジェイナスは変身を遂げた自分の両手を見ながら戸惑っていた。

自分が思ってたものより予想斜めを行く変身に、ジェイナスに変身している優奈は驚きを隠せない。

だが、そんな時間を与えないようにショッカーライダーが銃口の狙いを定める。

 

「死ね、ライダー!」

 

「「うわっ!?」」

 

ライフル銃から放たれた銃弾が真っ直ぐジェイナスへ飛び、着弾する。

大きな火花を散らしながら仰け反るジェイナスだが、すぐに体勢を立て直すと足を踏み出す。

 

「息を合わせろ、優奈!」

 

「うん! せーのっ!!」

 

「「―――はぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

「なに……ぐはぁ!?」

 

バイクの排気音のエフェクトと共に、ショッカーライダー目掛けて走り出すジェイナス。

その瞬間、ショッカーライダーの眼前にジェイナスが現れる。

ショッカーライダーは身構えようとするも、その前に振りかざしてきたパンチが炸裂。

空高く舞い上げられたショッカーライダーはそのまま地面へ叩きつけられ、一瞬何が起きたか困惑する。

 

「一体、どういうことだ!?」

 

「俺達も知らないよ、なんせこれがデビュー戦なんでな」

 

「ほら一登君、無駄口叩かない!」

 

「はーい」

 

優奈に諭される一登というやりとりをジェイナスは繰り広げながら、再びショッカーライダーへ接近戦を仕掛ける。

 

―――ジェイナス・ブレイジングロードの特性は『高速戦闘』。

アクセルとマッハ、どちらも常人を凌駕する高速移動の力を宿す二人の力を受け継いだ特性は、相乗効果によって素早い相手にもぶちぬくほどの超スピードを生み出すことができる。

一度火のついたら最後、どんな相手でも電光石火の歩みで追い詰めていく。

 

二人はその特性に何となく気づいているか、一登の身につけた格闘術を目にも止まらぬ連撃で叩き込んでいく。

 

「はぁぁぁぁ……はぁ!」

 

「ぐはぁ!? こいつらめぇ……」

 

超高速で繰り出される打撃を受けて、追い詰められていくショッカーライダー。

このままではいけないと思ったのか、足に仕込んだナイフを展開すると、それを蹴り上げる形で牽制。

ジェイナスが距離をとったところでライフル銃を狙撃を叩き込もうとする。

 

「これならどうだ」

 

「やっば……!」

 

「任せて、―――はぁぁぁぁぁ!!」

 

優奈の言葉と共にジェイナスは右手を握り拳で作り出して構える。

すると赤と白の入り混じった炎が生まれ、ジェイナスの拳が炎に包まれる。

ジェイナスは炎の拳を勢いよく突き出した。

 

「はぁ!!」

 

「なにっ、ぐああああ!?」

 

ジェイナスの放った炎の拳がショッカーライダーへと炸裂。

手元からライフル銃は炎に包まれて爆散、粉々に砕け散ってしまう。

ショッカーライダーはそれを見て舌打ちを打つ。

 

「ちっ、貴様ァ!!」

 

「サンキュ、優奈! これで自慢の得物もオシャカだな」

 

「まだだ、ショッカー最高傑作の我らが負けてなるものか!」

 

ジェイナスの言葉に怒号を上げるショッカーライダーは10本の指を向ける。

そこから放たれた小型ミサイルがジェイナスへと飛んでいく。

それを見たジェイナスは互いに叫ぶ。

 

「優奈!」

 

「一登君!」

 

「「いくぞ(いくよ)!」」

 

一登と優奈、二人が変身したジェイナスは再び、高速移動の炎をつける。

一歩足を踏み出し、目にも止まらぬ速度でミサイルを駆け巡り、ショッカーライダーへと迫ると今度は手刀蹴りを叩き込む。

 

「「はぁ!」」

 

「ぐあぁぁぁぁぁっ!?」

 

ショッカーライダーは蹴り飛ばされ、土煙を巻き上げながら倒れこむ。

常人離れした握力で地面へと指を喰いこませながら、目の前で起きてる劣勢を信じまいと叫ぶ。

 

「馬鹿な、貴様は! 仮面ライダーなど……仮面ライダーは消えたはずだ!」

 

「……確かに俺達は、仮面ライダーについても、何にも知らないよ」

 

「正直変身できた今でも、私達でよかったのか分からない」

 

変身している一登と優奈は、先程の勢いとは異なり、静かな口調で呟く。

二人は変身して理解していた。この仮面ライダーという力は神にも悪魔にもなれるという事に。

ひとたび使い方を間違えれば、目の前にいる悪魔達と一緒になってしまう。

―――それでも、それでもだ。

ジェイナスはショッカーライダーに対して自分の気持ちを、想いを言い放った。

 

「それでも俺は、優奈と一緒に戦う。仮面ライダーって事を背負ってでも」

 

「私も同じだよ。英雄になんかなるつもりはないけど、私達は戦い抜くよ」

 

「「俺/私達が未来の道を切り開く!」」

 

二人の声が重なりあい、ジェイナスはドライバーの上部につけられたスイッチギミックを押した。

ジェイナスドライバーから鳴り響いたのは、必殺の一撃の合図。

 

【RIDER FINISH!】

 

「「はぁぁぁぁぁ……はぁっ!!」」

 

燃え盛る炎が身体を包み込み、ジェイナスは地面を蹴り上げて上空へと舞い上がる。

炎はタイヤの形へと変わり、ジェイナスと共に回転し始める。

そして、最長点まで舞い上がった時、ジェイナスは叫ぶ。

 

「「フレイムグランツァー!」」

 

ジェイナスは炎のタイヤ型を蹴りだす形で飛ばし、ショッカーライダーへとぶつける。

爆炎に包まれながら拘束されたショッカーライダーに目掛けて利き足を突き出し、飛び蹴りを放つ。

一閃。

ジェイナスの繰り出した飛び蹴りによる必殺技『フレイムグランツァー』が炎のタイヤ跡の軌跡と共に叩き込まれる。

タイヤの軌跡が刻まれたショッカーライダーは仮面の下で見開く。

 

「ショッカーの改造人間を粉砕するほどの力……これが、クリスタルの力……仮面ライダーの力!」

 

「「……」」

 

「例え私を倒しても……ショッカーは不滅だぁぁぁぁぁ!!」

 

叫ぶように悪魔の軍団への忠誠心を讃えながら、ショッカーライダーは爆発した。

爆炎に包まれながら消えていった悪魔を最後まで眺めたジェイナスは、変身を解いた。

白と赤の光となって消え、ライドボディが消失すると共に現れた一登と優奈は互いの顔を見合わせる。

 

「勝てたの、かな」

 

「うん、……倒したんだよね」

 

「……ごめん、本当なら俺だけが」

 

「それ以上言うと怒るよ」

 

例え悪しき存在に魂を売ったとはいえ一つの命を共に葬った事を謝罪しようとする一登。だがその言葉を遮る様に優奈は声を上げ、彼の手を握る。

優しい眼差しで一登を見ている彼女はにこやかな笑みで告げる。

 

「君の犯した罪は私の犯した罪だよ。どうせ忘れられないと思うから、一緒に背負っていこう」

 

「……ああ」

 

和人と優奈の二人は、繋いだ手をしっかりと握りしめる。

目の前で燃え盛る炎から出ている煙は、天に昇っていく魂のように青空へと消えていった。

 

 

~~~~~

 

 

同時刻、とある廃墟。

新たなるライダーの誕生の横で、もう一つの戦いが起こっていた。

敵は一人、こちらは三人……本来ならば、悪魔が微笑む状況。そのはずだった。

だが、実際の戦況は……。

 

「―――ハァ!!」

 

「なっ、ぐああああああ!?」

 

目にも止まらぬ一撃を叩き込まれ、鋼の刀を持ったショッカーライダーは地面に倒れ伏して沈黙する。

既にすぐそばでは沈黙して倒れ伏したショッカーライダーの一人があり、残されたショッカーライダーは【敵対者】を睨みつける

 

「馬鹿な、何故貴様がここに!」

 

「当ててみろよ、ハワイへご招待してやるぜ」

 

「ぬかせぇ!」

 

最後のショッカーライダーはキックボクシングの要領で鋭い一撃を叩き込もうとする。

本来ならばこの一撃に耐えられる者などこの世には存在しない……。

だが、敵対者はそれを両手で受け止めると、そのまま投げ飛ばす。

 

「どっせぇぇい!」

 

「なに、うおっ!」

 

投げ飛ばされたショッカーライダーは天井、地面とバウンドしながら叩きつけられる。

サイボーグの身体は悲鳴を上げ、火花と人工液が滴り落ちる。

ここまでの戦力差で圧倒されている事が信じられないという顔を仮面の下で浮かべながら、敵対者へ問いかける。

 

「貴様、何故アイツらの味方をする!? クリスタルの力に魅入られたか!?」

 

「あん? そんなわけないだろ、仮面ライダーの力を使うほど、俺は落ちぶれちゃいないんだよ」

 

「ならなぜ!?」

 

「はぁ、まあしいて言うなら……責任ってやつだよ」

 

敵対者はショッカーライダーにそう答えながら、背を向ける。

―――しめた、そう思ったショッカーライダーは床を蹴り上げ、飛び蹴りを放つ。

このままなら敵対者の胴体を貫くことならできるだろう……そう思った矢先、『彼』は動いた。

 

「―――そんなに見たいなら見せてやる、ってな!」

 

「なッ―――」

 

『彼』の言葉にショッカーライダーは驚いた。

何故なら彼は自分と同じく飛び蹴りを披露していたからだ。

まるで、自分自身を見ているような……。

それに気づいた直後、力負けして必殺の一撃を胴体に叩き込まれたショッカーライダーは爆炎と包まれた。

燃え盛る爆発の中から出てきた敵対者は一人なった所で愚痴を呟く。

 

「まったくよぉ、世話が掛かるぜ。なんでまたショッカーの改造人間が動き出してるんだ? そーれーにー!」

 

もったいづけたように懐から取り出したのは、色とりどりな宝玉。

ライドクリスタルと呼ばれるそれを見た『彼』は眉を顰める。

 

「たっく、因果なもんだねぇ。こんな時代になって新しい仮面ライダーを拝めるとは」

 

皮肉めいた顔を浮かべながら、男は去っていく。

自身が謳歌する仮初の日常に戻るために……。

 

 

~~~~~

 

 

喫茶『NewAmigo』。

一登は優奈を連れて、我が家に戻ってきた。

中に入ると、珈琲をマグカップにいれている悠二の姿があり、戻ってきた隣人の姿に気づくと声をかけた。

 

「おい、なにやってんだよ。一登、もうお昼すぎだっつーの」

 

「すみません、その」

 

「……お前、なにかあったのか?」

 

「!?」

 

悠二の何気ない言葉に一登は強張らせる。

怪物に遭って仮面の戦士に変身した、なんてことを話すことはできないし、どう説明したものかと考える。

すると優奈の方が口を開いた。

 

「あの、すいません。一登君を困らせてしまって」

 

「え、キミは」

 

「優奈、飛鳥優奈です。私、今家出をしていて、頼れるところがない所に彼と会ったんです」

 

「優奈……え、一登お前? お前?」

 

悠二の素っ頓狂な表情を浮かべ、二人の交互に見やる。

そして一人納得したかのような表情を浮かべた悠二は、―――号泣をした。

 

「そっかー! 一登お前彼女できたんだな!?」

 

「はっ、はぁ!?」

 

「え、えっとその……まだ、これからです」

 

顔を真っ赤にしながら驚く一登と、頬を赤らめながら俯く優奈。

悠二は涙を流しながら、拳を作って胸を叩く。

 

「任せろ! 俺に任せて置け! もう一人くらい居候しても問題ないって!」

 

「え、えっと、お手伝いしますよ」

 

「それはありがたい! いやぁおじさん嬉しいねえ!!こうしたおれねえ、ちょっとお祝いの準備でもすっか!」

 

一人はしゃぐ悠二はそういうと、彼は店を奥へと引っ込んでいく。

取り残された二人は、困惑した表情を浮かべながらこそこそと話し合う。

 

「あの、一登君」

 

「なんだい、優奈」

 

「不束者ですがこれからお世話になります」

 

「俺こそ不甲斐ない野郎ですがお願いします」

 

互いに挨拶を交わした二人は、互いに笑い合う。

喫茶店・NewAmigoでの昼下がりはまだ迎えたばかりであった。

 

 

―――比翼連理

 

―――始まりの名を関する仮面ライダーの物語は、ここから始まった。

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