ガンダムBUILD DIVERS:Dragon&Chevalier 作:麻婆炒飯
作者の脳内アイデアが許容量を大幅に超えて溢れ返ったので、フライング初投稿です。
ガンプラバトルネクサスオンライン、略称GBN。
ガンプラ───機動戦士ガンダムやその近縁シリーズに登場するメカを元にしたプラモデル───を専用機器にスキャンする事で、VR空間に自分だけのガンプラを投影し、自ら操縦し戦う事が出来る。
まさに夢のゲーム。そんな夢と希望に満ち満ちた世界は、この日もまた鮮烈な物語を描いていた。
GBN内バトルエリア───彼方に巨大な岩盤を覗かせた、リアルでは見かけない風体の荒野地帯。
上を見上げれば雲一つ無い青空、眼下には無限に広がっていると錯覚しそうな一面の赤茶けた大地。
そんな場所で、複数の閃光が輝いていた。
「くっ…!流石決闘機…やはり格闘には強い…!」
『お褒め頂き光栄だよ、無名の騎士君。だが…!』
「ッ!?しまった…!」
片やガンダムエピオン。
新機動戦記ガンダムWに登場した決闘用MSにして、所謂”ラスボス”の肩書きを持つ機体。
相対するは、ガンダムAGE-1の改造機。
両肩と下半身をF91、両腕をデスティニーガンダムのものに変更し、背中にはトライエイジガンダムの背中パーツを採用した、剣と盾をその手に正面から闘う、騎士然としたビルドのMS。
始まって暫くは互角の戦いを演じていたものの、その戦いは気付けば終局を迎えようとしていた。
エピオンが左手に装備したヒートロッドが、AGE-1の持つ剣を遥か彼方へ弾き飛ばしたのだ。
AGE-1を操るダイバー、フリードは息を呑む。
目の前の敵は大出力のビームソードを振りかぶり、手元にあるのは射撃に対する防御用の盾1枚。背中にビームサーベルの発振器は2本収められているものの、今から手にするのでは到底間に合わない。
『グッドゲーム、久しぶりに悪くない戦いだった。君の闘志には敬意を示そう、…さらばッ!』
エピオンがビームソードを振り下ろす。
撃墜、フリードは目の前の光景にその二文字を明確に意識し、自身の敗北を認めようとしていた。
その時────、
『私のお兄ちゃんに、触るなァァーッ!』
甲高い絶叫、フィールドを震わせる憤怒の叫びと共に、無数の無骨な刃がエピオンを襲う。
想定外の奇襲…否、これは”フォースバトル”であるのだから、最低限の予想は出来たはずだ。それでもこの攻撃を受けてしまった辺り、相手が数段上手だったか或いは…柄にも無く夢中になってしまっていたのだろう。ビームソードを弾かれたエピオンの操り手は咄嗟に距離を取りながらもそう思考する。
そうして間も無く、エピオンとAGE-1の間に割り込むように現れたのは……鋼の巨竜であった。
ベース機は、機動戦士ガンダムAGEの後半に登場する敵量産MS、ダナジン────ただしその巨体は販売されている既存品とは異なるMGサイズであり、フルスクラッチである────、その特徴的な尻尾はおよそ2倍の長さに、両手足には鉄血のオルフェンズに登場するMAハシュマルのクローを加工し複数移植する事で、原作のダナジンよりも遥かに凶暴性が高められている。…更には背から4本の超硬ワイヤーブレードが伸び、頭部も鋭角さを増している…
正しく、「鋼の竜」の名が相応しいその威容に、今度はエピオンの操り手が息を呑まされた。
「リュー!?他の相手は…」
『大丈夫だよお兄ちゃん、全部倒したから!お兄ちゃんの事は、絶対に私が護るからね…!』
フリードが下に────先程までリューと呼ばれる声の主がいた筈の場所に視線を向ける。
そこには、無数の鉄屑…眼前のエピオンを取り巻いていた部下のようなフォースメンバー達が操っていた総勢12機のMSの残骸が遺されていた。
リューは…鋼の竜は1人で、12機もの敵を討ち果たしたのだ。それに比べて自分は────、
心の奥を締め付けられたフリードはAGE-1のコックピットの中でただ1人、強く拳を握り締める。
そうしている間に、目の前で繰り広げられる1つの戦いが決着の瞬間を迎えようとしていた。
『やぁァァァァァッッ!!!』
『ぬゥ…ッ!苛烈だな、正しく竜だ…!』
鋼の竜がその巨躯を突撃させて鋭利な爪を振るい、エピオンがその機動性を活かして回避する。
だがエピオンが反撃しようとすれば、それを縦横無尽に襲い来る超硬ワイヤーブレードが妨害する。
状況は完全なワンサイドゲームとなり、エピオンとその操り手は一方的な防戦を強いられた。
そしてその防戦も、すぐに終わる────、
『遅いッ!!』
『──────ッ!?』
幾度目かになる鋼の竜による格闘攻撃を回避して見せたエピオンだが、直後攻めに転じた4本の超硬ワイヤーブレードが左肩、右脚、頭部、腹部を次々と貫き、僅かな挙動すらも封じていく。
だがこれだけでは終わらない、眼前で貫かれ拘束されたエピオンに鋼の竜がその頭を差し向け、突如としてその頭が、まるで口を開くように割れる。
それは本来ならばダナジンには存在しない機構であり、どちらかと言えばブレードや爪の元であるMAハシュマルに備えられた機構のような……否、”のような”では無い、それはMAハシュマルの頭部にダナジンのパーツを被せ、違和感を消し去った代物だ。
開かれた口の内部には、通常ハシュマルに装備されているソレよりも大きな……4本の銃身を束ね、収束用のロングバレルを追加した、艦載兵器級の超大型ビーム砲の銃身がその姿を見せていた。
『フ……驚いたな、少女よ。彼に護られるようであった君が、まさかこんなにも勇ましく強いとは。』
『────もう、心配させたくないから。お兄ちゃんの為に、お兄ちゃんは、私が護る。』
『フフッ…素晴らしい気概だな。先の言葉を訂正しよう。この戦い…紛うこと無き、君達の勝利だ。』
その言葉に、リューと呼ばれた少女は答えない。言葉は最早不要である、そう判断したエピオンのパイロットもまた、不敵な笑みを浮かべ────、
鋼の竜かな放たれた濃桃色の閃光が彼方の岩盤ごと敵を消し去り、遥かな空へと高く伸びた。
『Battle Ended. 』
戦いの終わりと、自身のフォースの勝利を告げる電子音を背に、近くの足場へ降り立ったAGE-1とフリードは1人静かに呟く。その言葉は彼の心を現し、その自覚がまた、彼の心を強く締め付けた───。
「─────俺、弱いなぁ……」
『────いちゃん、お兄ちゃん!』
「───ッ!あぁ…リュー、助かったよ。」
『大丈夫ですかお兄ちゃん?アイツにやられて痛いところとか、何処もありませんか?』
「うん、大丈夫。リューが早く助けに来てくれたからな。…強くなったな、リュー。」
『えへへぇ、これもお兄ちゃんの為ですっ!』
紅い巨躯の竜が、騎士に擦り寄り甘えつく。騎士は困ったように小さな手を竜の頭に乗せて撫で、互いに鋼でありながらその心を通わせる。
竜と騎士、物語においては敵対する機会の方が多いその2つがこうなるに至った物語、その始まりは、今この瞬間よりも、暫しの時を遡る─────。
0話でした。1話からスタートなので連載前の読み切り回みたいな感じで考えて頂けると幸いです。
※投稿時点でまだ本命が完結していないので、拙作1話の投稿は当分先のつもりです。