仮面ライダーW Hの狂気/もう一人のライダー   作:八咫ノ烏

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久々の更新になりました。
一年以上お待たせして大変申し訳ないです。まあ、色々あったんです。色々。
決して忘れていたわけではございません。ウマ娘に浮気してたり新しいの色々書いたりしてましたけど、決して忘れていたわけではないんです。
投稿頻度上げるのでお許しください。

書き方が若干変わった気もしますが、そこはまあ成長というか退化というか。お気になさらず。


第13話 神速のL/命の重さ

「俺も混ぜやがれ!!」

 

 廊下に響いた声。思わず新手かと思い振り返ったが、そこにいたのはドーパントではなく以前ブチギレて俺に襲い掛かろうとしてきた茶色い仮面ライダーだった。確かディノスとかいう名前だったはずだが、今はそんなことはどうでもいい。

 

 ディノスは俺と対峙していたドーパントの首元に飛びつくと、ヘッドシザース・ホイップの要領で投げ飛ばす。ドーパントは柱の角に頭をぶつけ、打ち所が悪かったのか頭を抱えて悶絶している。

 そんなドーパントをよそにすっくと立ち上がったディノスは、次はお前だと言わんばかりに俺の向き直った。

 

「お前も俺を倒そうってのか?」

 

 ディノスにそう問い質す。ここで一番最悪なのは、ディノスとドーパントの二人を相手どった戦闘を強いられることだ。もしそうなれば数の差で俺が押し切られるのが目に見えている。ただ、まさかあの正義感に満ち溢れていそうなディノスがドーパントと共闘する、なんてことはないだろう。

 だが何せ前回会った時の感触は最悪である。ドーパントを殺すことを是とする俺と、ドーパントであろうと殺すことを否定するディノス。そんな奴らの価値観が合うはずもなく、あの時ドーパントを殺したことに対する怒りでぶん殴って来てもおかしくないだろう。

 

 若干身構えつつ返答を待ったが、どうやら戦い方は荒いくせして理性は弁えているらしい。

 

「……殴り飛ばしてやりたいのは山々だが今は我慢してやる。まずはドーパントをどうにかするぞ」

 

 と言い、ふらふらと立ち上がったドーパントに体を向けて斧を構えた。俺もそれに倣い鎌を引き抜こうとしたが、こんな閉鎖的な空間では満足に振るえないだろうと思い直し拳を握る。

 どうして俺の武器は鎌なのだろうか。いや、鎌だけというわけではないが、銃を使うのであれば装甲を犠牲にしなければならない。彼方が立てば此方が立たぬ、という言葉がこれほど似合うものを俺は他に知らない。どうしてこうも両極端なのだろう。

 

「あいつのメモリはなんなんだ?」

「電気やら光に関係するもんだってことくらいしかわからねえ」

「ふむ、なるほど……」

 

 ディノスは顎に手を当て、ドーパントの使用しているメモリを推察し始める。しかしドーパントはそんな暇を与えるつもりはないらしい。手を俺たちに向けて何やら叫び出した。

 

「俺の邪魔をする奴はみんな死んじまえばいいんだ!! くらえ!!」

 

 それと同時に手のひらから眩い閃光が放たれる。それを知覚するよりも先に、反射的に体が動いて攻撃を回避していた。ディノスも危なげなく攻撃を回避したらしい。

 そもそも攻撃ではなくただの目眩しかと一瞬思いはしたが、そんな考えはすぐに消えた。

 

「今出たのはなんだ……?」

 

 ディノスの呟きを俺の耳が拾った。手のひらから確かに何かが放たれたのを彼は見たらしい。よくもまあ見ることができたものだ、と彼の動体視力の良さに感嘆する。

 そんなことを呑気に考えている中、彼はハッとしたように顔を上げて口を開く。

 

「まるで雷みたいな軌跡だったが……まさか放電したのか?」

 

 放電、というとテスラコイルなんかでよくバチバチ言ってるあの現象だろう。であれば彼が言う雷みたいな軌跡、というのも頷ける。

 

「となるとメモリはエレクトリカル、とかそんなところか?」

 

 俺がそう問いかけるとディノスは俺に聞かれても、と言わんばかりに肩を竦める。俺の使っているメモリじゃないんだから、という彼の心の中の声が不思議と良く聞こえてくる気がした。

 ドーパントはメモリの推理をしている俺たちに向けてもう一度何かを放った。それをギリギリのところで避け、視界の端で確かにヤツの手から放電されているのを確認して光ではなく電気関係のメモリだという確信を得る。

 

「どれだけ放電しようが当てられなきゃ意味はないんだ!!」

 

 猛々しく吠えながらドーパントに接近したディノスは勢いよく斧をドーパントの腹に当て、それを力任せに振り切った。怯んだ隙を逃さず手のひらを返してもう一撃。

 最後に斧を持っていない手を握り締め、それをドーパントの顔に向かって突き出した。

 

「ふん!!」

 

 だがそれがドーパントの手によって掴まれており、顔面を撃ち抜くことはなかった。ディノスは即座に引き抜こうとするが、ドーパントはそうはさせまいと力を込めているらしい。焦燥感を抱いたのか、ディノスは片方の手に持っていた斧を振り上げて自分の手を掴むドーパントの腕に振り下ろさんとする。

 どうしてディノスが焦っているのか。ドーパントが何をしようとしているのかなど、火の目を見るより明らかだろう。

 

「俺に触れられたが運の尽きだぜ!!」

 

 ドーパントがそう言った次の瞬間、ディノスは斧を落とし体は小刻みに振るえ出した。電流を流されているのだろう。苦しむディノスの声が廊下に響く。

 

 ドーパントが手を離さない限り、ディノスの体には電流が流れ続ける。電流を流されているディノスが自分で手を解けるわけもない。この状況はかなりマズイだろう。最悪の場合、彼が死ぬかもしれない。

 

「俺を忘れてもらっちゃ困る!!」

 

 それもこれも俺がいなければ、の話だが。ディノスの体を飛び越え、勢いのままドーパントの顔面にドロップキックをぶちかます。その衝撃で思わずドーパントはディノスの手を離したらしい。数メートル吹っ飛んでいった。

 その一方で電流から解放されたディノスは膝から崩れ落ち、肩で息をするほど消耗してしまっていた。これではまともに戦うことはできないだろう。

 

「後は俺が片付ける。お前はそこで見とけ」

 

 彼にそう言い残し、立ち上がろうとしたドーパントに飛びつく。いきなりのことで気が動転したのか、これだけ密着していると言うのに電気を放ってくることはなかった。腹の辺りを何度か蹴られたが、別に痛いかと聞かれるとそんなわけでもない。

 

「とりあえず学校で暴れんのやめろや!!」

 

 廊下の窓から外へ放り投げる。窓ガラスを盛大に割ってしまったが、すでに教室のドアが吹き飛んでいるのだ。窓ガラスが一枚割れたところで大して被害は変わらないだろう。

 二階から宙に放り出されたドーパントは重力に引かれてそのまま地面に落下。上手く着地できなかったのかゴッという鈍い音を辺りに響かせる。

 

 俺もそれに続いて二階から飛び降り、ドーパントが放ってきた電撃をかわして接近する。

 

「ちょこまかと……!!」

 

 俺が殴るか蹴るかすると踏んだのか、ドーパントは手を開いて防御の姿勢を取る。自分の手で相手の体を掴みさえすれば、後は電流を流して感電死させればいいだけ。

 俺はそれを見た瞬間殴ろうと握り締めていた手を開いて背中へ持っていき、背負っている棒を引き抜いてそれを乱雑に振り下ろした。

 

「ガッ!?」

 

 鎌へと変化したそれによる斬撃を回避する手立ては残念ながら持ち合わせていなかったらしい。容赦無く袈裟斬りにされ、火花を散らしてよろめいた。

 

「俺が丸腰だとでも思ったか雑魚が!!」

 

 追い討ちをかけるように鎌を振り回す。ここは外であり、壁やら何やらといった鎌を振り回すのに邪魔な物が一切ない。存分に振るえるというわけだ。

 ドーパントは為す術もないといった様子で俺の良いように斬られていく。抵抗されるのは面倒だからその分楽と言えば楽だが、少し物足りないと感じる自分もいる。

 

 だが、これ以上時間をかけてももったいない。

 

「断罪の時間だ……!!」

《Hazard!! Maximum Drive!!》

 

 ベルトからメモリを引き抜き横のスロットに挿入し、叩くようにボタンを押した。黒いオーラのようなものが右手に集まっていく。

 ドーパントはそれを見て嫌な予感がしたらしい。俺に背を見せ一目散に逃げようと走り出した。確かにこれを食らえば大抵のメモリを破壊できるわけだから、逃げようとするのも無理はない。むしろ良く逃げるという判断をしたなと感心する。

 

 ただ、それとこれとは話は別だ。

 

「逃がすわけあるかよッ!!」

 

 地面を強く蹴り上げ、ドーパントとの距離を詰める。

 ドーパントは一瞬だけ振り返り俺との距離を確認しようとしたが、時すでに遅し。

 

「あっ……」

「終わりだッ!!」

 

 手の届く距離まで接近していた俺は躊躇することなくドーパントの背に拳を全力で叩きつけ、そして振り抜いた。ドーパントは殴られたことにより姿勢を崩し、そのまま爆発。メモリが砕け散る音と共に中から風都高校の制服を着た青年が転がり出る。

 

「少しは頭冷えたか?」

 

 胸ぐらを掴んで引き寄せ、話しかけた。どうやら意識は保っているらしく、メモリを破壊されたというのに反抗的な目線を俺に送ってくる。

 

「んだよお前……あのクソジジイみてえに説教でもするつもりかよ」

「するわけあるか面倒臭い」

 

 どうやら叱られるものだと思っているようだ。自分が悪いことをしたと言う自覚があるのか、それとも単に面倒くさがっているだけなのか。どちらにせよ、俺は説教を垂れる気はない。

 

「ただちょっとばかしお灸を据えるってだけだからよ」

 

 そう言って青年の首を掴もうとしたとき。

 

「待て!!」

 

 後ろからそれに待ったをかける声が響く。一体何だと思い後ろを振り返ると、そこには先ほどまで体力を失い項垂れていたはずのディノスの姿があった。

 まさかこの短時間である程度動けるようになるまで回復するようになるとは思わなかった。邪魔されることはないと思っていたが、どうやら俺の読みが甘かったらしい。

 

「その人を殺すのか?」

 

 前置きも何もない、ストレートな質問。仮面に隠れていて見えないが、何となく鬼のような形相で睨まれているような気がする。

 俺としてはその殺意を否定しなければならない理由もない。それに以前出会した時に目の前で殺しているのだから否定したとしても疑われることだろう。そう判断して俺は適当に言葉を返した。

 

「だったら何だ。邪魔するのか?」

「当たり前だ。殺させはしない」

 

 覇気なのか怒気なのかわからないが、とにかく威圧感を放っておりその言葉に嘘はないと嫌でもわからされる。

 

「めんどくせえやつだな」

 

 どうしてドーパントの命如きでここまで躍起になれるのかわからない。なぜ邪魔されているのかわからない。考えていると苛立ちが湧き上がってくる。

 苛立ち紛れに青年の鳩尾を殴りつけ、意識を刈り取ってから適当なところに放る。ディノスが何か言ったような気がしたが無視することにした。

 

「おら、邪魔するんだろ? そんなとこで突っ立ってねえでかかってこいよ」

 

 手でジェスチャーしてディノスを挑発する。以前はメモリブレイクされる可能性を恐れて早々に逃げたが、今はどうにも腹の虫の居所が悪い。こいつを一発殴らないと気が済まないのだ。八つ当たりさせてもらうとしよう。

 

 ディノスは俺の挑発に乗せられたのかそうでないかはわからないが、勢いよく俺に向かって駆け出した。

 俺はそれを迎え撃つために拳を固く握り締め、一歩前に踏み出して体を捻る。

 

「ッラァ!!!!」

「セイッ!!!!」

 

 ほぼ同時に裂帛の気合を放って拳を突き出し、互いの頬を撃ち抜いた。その衝撃でよろけることもなく、俺はディノスの鳩尾を狙ってもう一方の拳を突き出す。

 ディノスはそれを受け流すと俺の胸に拳を叩きつけてきた。俺は負けじとディノスの左脛を蹴り、体勢が若干崩れたところを鎌で横一文字に斬り払う。よろけたところに一閃、更にもう一撃と追撃を加えていく。やがてディノスは防戦一方になり、攻撃する素振りを見せなくなった。

 

「おいおいそんなもんかよ!!」

 

 どうやら口先だけだったらしい。溜まっていた鬱憤を晴らすべく、鎌を大上段に振りかざし。

 これでトドメだと言わんばかりの勢いで振り下ろそうとしたその時。

 

「舐めるな!!」

 

 反撃の時間だと言わんばかりにディノスが突進してきた。咄嗟の出来事に俺は何も対応することができず、その突進を真正面から受け止める形になってしまった。踏ん張ろうとしたがそれも叶わず吹っ飛ばされてしまい、鎌を手放してしまわないようにするので精一杯だった。

 

「油断する隙を狙ってたってわけかよ……!!」

 

 彼の意図を見抜いて歯噛みする。俺は彼の狙っていた通りの動きをしてしまったようだ。体勢を立て直そうと顔を上げたその刹那、視界に斧を振り被るディノスの姿が映る。

 

「ヤバッ……!!」

 

 と言い出すのと同時に反射的に鎌を構え、柄の部分で斧の刃を受け止める。大きな金属音が辺りに響いた。

 

「っぶねえ……」

 

 判断が、行動が、どちらか一つでも遅れていたらと考えると背筋に冷や汗が流れそうな気がした。

 お互いを潰し合うための鍔迫り合い。あちらも一歩も引くつもりはないらしく、少しずつ、ジワジワと押し込まれてしまう。

 

「なぜ殺す!!」

 

 顔がぶつかるのではないかと思うくらいに近づけてディノスが叫んだ。目的語が欠けているため一瞬何を言っているのかわからなかったが、十中八九ドーパントのことだろう。

 それを理解した俺は鼻で笑い飛ばすと

 

「前も同じことを聞いてきただろ。その時に言ったはずだ」

 

 と言い返す。ディノスはその返答に苛立ちを増したようで、声を荒げるのを必死に抑えつつと言った様子で質問を重ねてくる。

 

「あの時からその独善的な思考に変わりはないって言いたいのか?」

「独善的? いいや、違うね。これが真実だ」

 

 質問を重ねてくるディノスに冷たく言い放ち、鎌を持つ手に力を込めた。どうしてこいつはこんな生温いことを言うのだろうか。全くもって理解が出来ない。

 抑えられぬ苛立ちをぶつけるかのように俺は口を開けて声を荒げた。

 

「ドーパントになった奴らに更生の余地なんていう生温いことを言ってやる必要なんてどこにもない。いいか、あいつらはクズなんだ。生かしておいても社会に悪影響しか与えない。だから殺すんだよ。言わば間引きってことだ」

「そんな……そんなふざけた理由で命を奪って良いわけがないだろ!!」

 

 怒気を込めて言い返してくるディノス。確実に奴の地雷を踏み抜いたことだろう。押し込まれる力が徐々に強くなってきている気がする。

 まずい、と思うよりも先にグッと斧が押し込まれ、そして奴はこう言葉を続けた。

 

「人の命はみんな重たいんだぞ!! 犯罪者だからってそう簡単に奪って良いもんじゃない!!」

 

 と。彼は一般論を述べただけに過ぎない。少なくとも、それが当たり前とされる考え方であることくらい、いくら俺でもわかっている。

 ただ、俺はそれが昔から解せなかった。

 

「みんな重たい、だって……?」

 

 乾いた笑いが口から漏れた。それを不快に思ったのか、ディノスは「何が可笑しい!!」と叫んで激昂する。

 俺は鼻で笑い飛ばし、グッと鎌に力を込めてディノスを押し返した。バランスを崩してたたらを踏む彼に俺は言い放つ。

 

「平等なわけねえだろ、バカが」

「何だと……!!」

 

 すでに体勢を立て直したディノスが何か言いたげな様子だが、俺はそれを無視してメモリを引き抜き鎌にあるスロットへ差し込んだ。

 

《Hazard‼︎ Maximum Drive‼︎》

 

「人の命はそれぞれ重たさが違う。殺人鬼と聖人が同じ命の重たさだって言うんならそれはただの綺麗事でしかねえ」

 

 話している間にも黒いオーラのようなものが鎌の刃に集まっていく。ディノスは俺の言葉に上手いこと反論できないらしく言葉に詰まっていた。

 

 もし、全ての人の命が同じ重たさで尊きものであるとするなら。俺の父さんと母さんの命と、二人を俺の目の前で殺したクソッタレの命が同じ重たさで同じくらい尊いということになる。なってしまう。

 

「そんなふざけたことがあっていいはずがない」

 

 ディノスには聞こえないであろう声量で呟いた後、鎌のトリガーを引いてマキシマムドライブを発動させる。

 それと同時に地面を蹴って奴との距離を詰めた。ディノスは焦ってメモリを引き抜こうとするがもう既に遅い。

 

「喰らいやがれ!!」

 

 無防備なディノスの胸へ鎌を振り下ろした。圧倒的な威力を持つそれをモロに受けたディノスは苦悶の声を上げて後退る。先ほどの油断を誘うための演技ではなく、確実にダメージが入っているのだと確信して鎌を返し振り上げる。

 

 ディノスはやはり俺の攻撃を防ぐことができずに直撃し、勢い良く植え込みの中へと吹っ飛んでいった。流石に二回もマキシマムドライブの直撃を受けたのだからまともに立っていられないだろう。意識が飛んでいる可能性だって大いにある。

 少なくとも、これで邪魔されることはない。

 

「ようやく始末できる」

 

 ゆっくりとその辺に投げ捨てた青年の元へ歩み寄る。まだ気を失っているらしく、その場から一切動いていなかったのはありがたい。

 首へと指を這わせ、ガッチリと掴んで持ち上げる。ここまでされてまだ気を取り戻さないというのは図太いといえば良いのか無警戒といえば良いのか。ともかく、無駄に抵抗されるよりは楽に済む。

 

「じゃあな、クソ野郎」

 

 そう吐き捨てて一層力を込め、首の骨をへし折った。青年の体から遺体と化したそれを適当に放り投げ、その場から早々に立ち去ろうと背を向ける。

 

「……二度とその面見せんなよ、ディノス」

 

 聞いているのか聞いているのかわからないが、その一言を残して俺は逃げるように走り去った。

 

 

 

 

 

 意識が朦朧とする。視界が霞んで、体の端々が痛んで自由に動かせない。記憶も若干曖昧だ。

 

「確か、あの黒いのに斬られて……」

 

 徐々に思い出してきた。あいつのマキシマムドライブが直撃して、それに耐えきれなくて吹き飛ばされたんだ。

 

「あいつ、マキシマムドライブを撃つ時黒いオーラみたいなの放ってたな……」

 

 マキシマムドライブを撃つから、という理由だけであんな黒いオーラのようなものを放てるものなのだろうか。いや、あれはオーラというより炎といった方が表現的には正しいだろう。

 本能が逃げろ、危険だと警告してしまうほどの威圧感。あれは一体何だったんだろう。彼がドーパントに向ける異常なまでの復讐心の現れだろうか。

 

「何なんだかよくわからんが……とりあえず生きてて良かった」

 

 そう呟いて痛む体を何とか起こして辺りを見渡す。どうやら植え込みにつっこんでいたらしく、あちこちに葉が張り付いている。

 うわ汚いな、と思わず顔を顰めたが、その感情もすぐにかき消えた。

 

「あ……」

 

 目線の先に横たわる青年の姿があった。先ほどまでドーパントであった青年である。

 無事なのだろうか。あの黒いやつに殺されていないだろうか。少し足を引きずりながら彼の元へ寄り、口元に手を近付ける。

 

 息は感じない。息が止まっているだけであってくれ、そう思いつつ首に手を当てて確信した。この人はもう死んでしまっている。

 呼吸もなく、脈もない。それどころか絞殺されたような赤い跡さえある。こんな状態でまだ生きていたら、それこそ奇跡というものだろう。

 

「救えなかった……」

 

 また、目の前で殺されてしまった。口では止めるだなんだと威勢の良いことを言っておきながらこの始末。しかも以前より酷いことに俺は意識を奪われてしまっていた。止めてみせるなどと言いながら、戦いに負けてしまった。だから、彼は殺されてしまった。全ては俺が無力なせいで起きた出来事だ。

 

「ちくしょう……」

 

 自責の念に駆られて俺は強く手を握りしめる。俺があいつを止めることが出来ていたら救えていたはずの命だ。

 その力が今の俺にはないというのなら、何とかして強くなるしかない。強くなって、次会った時にあいつを止められるようになっておかないといけない。

 

「次こそは、必ず止めてやる」

 

 仮面ライダーとして、必ず。決意を胸に秘め、ひとまずは家に帰ろうと校門の方へ足を進めた。

 

 課題を廊下に放ったままだと気がつくのは、家に辿り着いた後だった。




なんともまあ間抜けな終わり方でしたがいかがだったでしょうか。
次回をお楽しみに。


そう言えば投稿していなかった一年と少しの間に大ちゃんネオさん作の仮面ライダーツルギとのコラボ作品が始まり、そして()()()()()()

()()()()()()()()()()

嘘じゃありません。本当です。あまりに投稿しなかった期間が長かったせいでここで宣伝するよりも先に完結してしまったんですね、ええ。本当にお恥ずかしい話です。

このHの狂気を読んでくださる方にはぜひ読んでいただきたく思います。

コラボ作品はこちら→ハーメルンジェネレーションズ外伝 仮面ライダーツルギVS仮面ライダーシェリフ
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