仮面ライダーW Hの狂気/もう一人のライダー   作:八咫ノ烏

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最終回です。
戦闘シーンもないし文字数も前回の四分の一くらいになっています。
あっさりした内容になっていますが、どうか最後までお付き合いください


Epilogue

 マジックドーパントとの戦いから一年。

 それだけの長い期間が経ち、蒼は平穏な日々を過ごしていた。

 

「ダルい宿題出しやがってなぁ、あのクソ教師がよ」

 

 出された課題に対して悪態をつき、彼は天井を仰ぐ。ただ難しいというだけだったらまだ良いが、そこに苦手な教科だという事実までプラスされるとやりたく無いと思ってしまうのも仕方がない。

 

 深い溜め息を吐き、彼は項垂れる。周りにいる友からの呆れ気味な目線などお構い無しだ。

 

「やりたくねぇ〜。ほんとに嫌だ」

 

 口を開けば文句ばかり。それを見かねたのか、友人の中の一人が蒼の肩を叩きながら助け舟を出す。

 

「まぁそう言うなよ。土日空いてるだろうし、課題一緒にやろうぜ?」

 

 今の蒼にとってそれは強い魅力を放つ提案である。断る理由は無い。

 何せ一人でやっても太刀打ち出来ない課題に手を貸してくれるのだ。断る理由がないどころか喜んでその申し出を受けるべきだろう。

 

 そのはずだった。

 

「あ~悪い。土日は用事があってな」

 

 しかし蒼は申し訳無さそうな表情を浮かべながら断った。予想外の返答に、思わず友人は驚きながら

 

「用事? なんの?」

 

 と聞き返す。蒼は少しだけ考える素振りを見せ、こう答えた。

 

「報告会……?」

 

 と。

 

 

 

 

 

 風都某所にある墓地。その隅の方に彼は眠っていた。

 

「よう。半年振りだな、恵理也」

 

 そう言いながら、墓に水を掛けて綺麗にしていく。新し目のものというだけあってさほど汚れてはいないが、だからといって何もしないのは礼儀がなっていない。

 

 あらかた掃除し終わり、お供えにと買ってきたチョコ菓子を置いた。学校帰りに寄ったコンビニで、よく奢ったものだ。多分チョコが好きだったのだろう。きっと喜んでくれるはずだ。

 そんなことを考えながら手を合わせる。

 

 今日は恵理也のお参りに来ていた。お参りするのは半年に一回、そう決めたのは間隔を決めないと毎日来る気がしたから。

 

「……色々あったよ、あれから。何から伝えれば……いや念じるのか? ともかく多過ぎてわかんねえな」

 

 本当に、色々あった。それこそ、彼が心から望んでいたであろう事から、失望しそうなものまで。

 少し考えた上で、彼が一番望んでいたであろう報せを口にする。

 

「……ガイアメモリの製造元、なんとかいうグループだか忘れたけどあれが壊滅したらしい。赤い服着た警察の人……あ~、テルイだっけな。確かそんな名前の人がそう言ってたぞ」

 

 なんという名前のグループだか忘れたが、仮面ライダーアクセル──赤い服を着た警察の人と、仮面ライダーダブル──噂の半分こライダーこと探偵二人組の手によって壊滅したらしい。

 ついでにそれらを支援していたというなんとか財団も街から叩き出すことに成功したのだとか。

 

 ガイアメモリを憎んでいた彼にとって、これ以上ない朗報だろう。

 製造元とその支援者が消えたのであれば、もうこれ以上ガイアメモリが増えることはない。ならドーパントが出てこなくなる未来が、少しだけ見えた事になる。

 

「ま、俺は完全に蚊帳の外だったからどういう経緯で、とかは全くわかんねえんだけどさ」

 

 惜しむらくはその過程を全く知らないこと。

 最終決戦とも言うべき戦いに、俺は参加していないのだ。

 

 元凶を叩きに行くという話になったらしいときに、テルイから電話でこんなようなことを告げられた。

 

「君は来なくて良い。安全な場所にいてくれ」

 

 ただ危険な場所で命の危険が伴うから来ない方が良い、という理屈だ。きっと足手まといだからとかそんな理由ではないだろう。

 そもそも場所すら知らなかったため──とはいえ大体見当は付いていたが──行くつもりにもならなかったのだが。何せ元凶を見つけていて拠点まで特定していて、さらにはもう叩きに行く事になったというのは電話を受けて初めて知ったくらいなのだ。

 

 そんなことは置いておいて。テルイの言葉を守り、俺はその戦いに行くことはなく、いつも通りの日常を過ごしていた。

 事の顛末を知らされたのは、支援者の打倒も含めてその戦いの全てが終わった後である。

 

「お前が生きてたらどんな反応をしてたんだろうな」

 

 ガッツポーズをして大喜びすることだろう。なんとなく、そんな光景が瞼の裏に映る気がした。

 そんなイマジナリー恵理也に笑みを浮かべ、俺はもう片方の報せを伝える。

 

「……ただ、街からドーパントが消えるには時間が掛かるだろうな。あの野郎ども、未だに出てきやがる」

 

 製造元が潰れた後。こうなったら流通することはないだろうと期待したのだが、残念ながらそんなことはなく。未だにドーパントによる被害が後を絶たない。

 何せ出回ってしまっていた量が多過ぎる。売り手のいなくなったガイアメモリをどうやってか入手して、違法に──まぁ元より違法だがそれは置いておいて──売り捌く集団がいくつもあるらしい。

 

 警察が頑張って摘発しているようだが、それにも限界がある。この街からガイアメモリが完全に消え失せるには年単位の長い長い時間が掛かることだろう。

 

「だからしばらくお前の道具一式は返せねえ。二度とドーパントが出てこなくなったら返しに来るから、少しの間待ってほしい」

 

 今日伝えるのはこれくらいだろうか。

 ゆっくりと立ち上がり、彼の墓を見下ろした。

 

「……俺も頑張ってドーパント倒すからさ。長い目で見ててくれよ、まぁ殺しはしねえけど」

 

 そう呟き、供えたチョコ菓子を回収してそのまま口へ放り込み、それを咀嚼しながらその場を後にする。

 口の中に苦味がじんわりと広がった。




これにてこの物語は完結ということになります。

だらだらとあのときはこうで〜とかこれはこういうあれで〜みたいなものを書き散らそうかと思いましたが、それをやっていると本文より長くなるような、言葉に出来ないような、そんな気がしたのでやめておきます。仮に書くとしたらツイッターですかね。

それでは、ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。
心からの感謝を。
またどこかでお会いいたしましょう。



追伸
現在ハーメルンジェネレーションズ略してハージェネというオリライ作品コラボ企画に参加しております。そちらで本編とはまた少し違った恵理也を書いております。
もし気になった方は、今のところ恵理也が出てくるコラボ回のリンクを置いておきますのでそちらもぜひご一読ください。

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