ダンジョンに最弱の敵がいるのは間違っているだろうか? 作:マスタード
中には長文で書いてくださる方もいてとても嬉しいです!
引き続きお楽しみ下さい!
早朝、俺はベルとメインストリートを歩いていた。
「はぁ・・・」
「どうした?」
不意にベルが溜息をつく。それになんだか疲れているように見える。
「いや、別に(朝から神様のあの双丘に殺されかけたなんて言えない)・・・」
「?」
「それより、サンズさんは今日初めてダンジョンに潜るけど緊張しないの?」
「特段しないな。だってほら、ベル君のよりも強いらしいし」
「うっ。…そ、それはそうだけど」
「それより、俺のことはサンズって呼び捨てしてくれよ。昨日聞いたけど、【ファミリア】って家族みたいなもんなんだろ?それなら先に【ファミリア】にいたベル君が俺の兄貴なんだからな」
「えっ。あ、うん。あ、兄貴か…へへ」
ベル君の嬉しそうに微笑む。兄貴って呼ばれただけでそんな嬉しいもんなのか。
まぁいいか。
そんな事より、昼間のメインストリートとは雰囲気が全然違うな。人が少なくてやけに広く感じる。
東の空は既に明るい。早朝といっても人影がまばらにあ
り、露店の準備をしている小さい奴や冒険者らしきずんぐりした男達が徒党を組んで何か話しあっている。これからダンジョンへ向かうのだろう。
不意にベルの腹がくるくると音を立てる。
「あ〜、朝ご飯食べてないや・・・」
「そういえばそうだな」
そこまで腹減ってないがな。
…ん?
「・・・!?」
ベルが突然ばっ、と振り返る。
ああ。
視られてたな、お前が。
品定めするかのような不躾な視線。気味悪いぜ。
「あの・・・」
「!」
後ろからの声に、ベルが反転して身構える。
おいおい、いちいちそんな事してたら気が持たないぜ。
ベルに声をかけたのは、人間の女だった。
どこからどう見ても無害な一般市民・・・見た目はな。
「ご、ごめんなさいっ!ちょっとびっくりしちゃって・・・!」
「い、いえ、こちらこそ驚かせてしまって・・・」
ベルが慌てて謝ると女も頭を下げてきた。
歳はベルより少し上くらいだろうか?
ん?この女さっき見たカフェテラスでテーブル運んでいたような。
「な、何か僕に?」
「あ・・・はい。これ、落としましたよ」
差し出された手の平に乗っていたのは、紫紺の色をした結晶だ。
「え、『魔石』?あ、あれっ?」
ベルが腰巾着を見る。
違うぞベル。お前は落としてなんかいない。
この女、嘘ついてるぞ。
まぁちょっと面白いからそれを教えたりはしないが。
「す、すいません。ありがとうございます」
「いえ、お気になさらないでください」
女が笑みを返すが俺がベル君なら笑えないぜ。
おい、今お前はいつもニヤニヤしてるだろとか思った奴。
怒らないから手をあげな。
・・・冗談はさておき。
「こんな朝早くから、ダンジョンへ行かれるんですか?」
「はい、ちょっと軽く行ってみようかなぁなんて・・・」
ベルと女が会話してたのだがベルの腹は空気を読まず、グゥと情けない声を吐く。
「・・・」
「・・・」
・・・。
いや俺が1番「・・・」だ。
ベルは顔を赤くし、女がぷっと笑みを漏らす。
「うふふっ、お腹、空いてらっしゃるんですか?」
「・・・はぃ」
「もしかして、朝食をとられてないとか?」
正解。
ベルは顔を赤くしたまま頷く。
女は何か考える素振りをすると、パタパタと音を立ててその場を離れる。
しばらくすると戻ってきたが、腕にちんまりとしたバスケットを抱えていた。
「これをよかったら・・・。まだお店やってなくて、賄いじゃあないんですけど・・・」
「ええっ!?そんな、悪いですよ!それにこれって、貴方の朝ご飯じゃあっ・・・?」
女は照れたようにはにかむ。
「このまま見過ごしてしまうと、私の良心が傷んでしまいそうなんです。だから冒険者さん、どうか受け取ってくれませんか?」
「ず、ずるいっ・・・」
あぁ、ずるいな。そんなの俺くらいしか断れないぜ。
「冒険者さん、これは利害の一致です。私もちょっと損しますけど、冒険者さんはここで腹ごしらえできる代わりに・・・」
「か、代わりに・・・?」
「・・・今日の夜、私の働くあの酒場で、晩ご飯を召し上がって頂かなければなりません。」
「・・・」
「ちなみにそちらの方もです」
え?
「俺も?」
それは聞いていない。
「もう・・・本当にずるいなぁ」
「うふふ、ささっ、もらってください。私の今日のお給料は、高くなること間違いなしなんですから」
遠慮することはありません、と女が言う。
計算高いな。それにさっきの動きもただ者ではない…警戒すべきか?
「・・・それじゃあ、今日の夜に伺わせてもらいますっ」
「はい。お待ちしています」
・・・はっ。
しょうがないから女の茶番に乗ってやるか。
「僕・・・ベル・クラネルって言います。あっちの相方はサンズさんです。貴方の名前は?」
「シル・フローヴァです。ベルさん、サンズさん。」
ダンジョンのモンスターは俺のいた世界と違い、コミュニケーションがとれない。
まぁだからこそ躊躇なくぶっ殺せるが。
「畜生ー!卑怯だぞおおおおっ!?」
先行していたベルが犬頭のモンスターを、いち、にぃ・・・
計六匹も連れてきてる。
「さ、サンズさーん!逃げてー!?」
なんで逃げる必要がある。
「ベル君、しゃがめ」
「へっ・・・?」
キィィイン
不穏な音がなり響く。
俺はブラスターを召喚していた。
「ちょっとばかし地獄の業火に焼かれてもらうぜ」
「え、あ、ちょ!?」
ドンッ
「うわあ!?」
ブラスターから光線が放たれ、モンスターを包み込む。
光が消えると・・・そこにはもう何も無かった。
「さ、サンズさん・・・」
「ん?」
ダンジョンの床で盛大に転けたベルが真顔で俺に言った。
「次は、僕の安全が確保されてからにして下さい。」
いやぁ、サンズのブラスターって強いですよね。
あ、感想お待ちしています!
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