マブラヴオルタネイティブ~~怪獣達の逆襲~~ 作:ユウキ003
京都防衛戦を、勝利という形で生き残った
唯依達。しかし、だからといってBETAに
勝利した訳ではないため、今も彼女達は
首都防衛の為に、嵐山の仮設補給基地に
守備隊として配属されたままとなっていた。
しかし、数日はBETAの侵攻も無く、5人
は手持ち無沙汰なまま、機体の整備などを
しつつ数日を過ごしていた。
そんな中で……。
「なぁ、結局の所、彼奴らって何なんだろうな?」
「何なんだ、とは?」
BDU姿のまま食堂で休憩中にポツリと呟いた
安芸の言葉に首をかしげる上総。
「あの3匹って、結局どういう存在なんだろう
って話だよ。どこから来たのか。今どこに
いるのか。なんで今更出てきたのか、とかさ」
「それについては、まぁ確かに疑問しかない
よねぇ」
安芸の言葉に頷く志摩子。
「どういう存在なのかは、分からないけど、
生き物、には違いないよね?」
「それはまぁ、確かにBETAよりは、
何て言うか生き物らしかったけど」
和泉の言葉に、唯依は少し曖昧な返答を返す。
「まぁ、ですが私たちがここで首を
かしげていてもはじまりませんわ。
それより、今後の為にも訓練などを……」
と、上総が言っていた時。
『基地内の嵐山守備中隊総員に連絡。
直ちに第2会議室に集合せよ。
繰り返す。嵐山守備中隊の全衛士は
第2会議室に集合せよ』
「ッ。何だ?私達の呼び出しか?」
突然の放送に、食堂に居た唯依や他の
女性衛士たちも戸惑いながら動き出した。
そして会議室に集まると、彼女達の
隊長である佳織が話し始めた。
「さて、突然ではあるが、本日付で
私を含めたここに居る12名は
嵐山仮設補給基地の守備中隊の任を
解かれ、新設された部隊へ全員
移動する事になった」
突然の話題に、皆が驚く。
「静かにしろっ。まだ話は終わってないぞ」
と、彼女の言葉に、一瞬で彼女達は
静まり変える。
「我々12名は、今後斯衛軍内部に新設
される事になった、例の正体不明
巨大生物の調査を主任務とする
『特別調査班』の実行部隊となる」
との彼女の説明に、上総が手を上げた。
「質問をよろしいでしょうか?」
「何だ?」
「あの巨大生物を調査するとしても、
なぜ実行部隊に我々のような新兵の
部隊が起用されるのでしょうか?」
「上総の指摘はもっともだ。が、
お前達が選ばれた理由は二つある。
一つは、熟練の斯衛衛士を正体不明
生物の調査に割く余裕が無い事。
そしてもう一つは、各国軍衛士の中で
最初にあの3匹を目撃した事。更に
和泉と安芸は2匹と接触までしている。
だからこそ、我々が選ばれたのだ」
「それで、私たちが?」
「そう言う事だ。そういうわけで、明後日の
明朝9時に我々はこの基地を出て東京に
設立予定の特別調査班の仮設基地へ
戦術機と共に移動する事になる。BETAの
突然の襲来などが無ければ予定通りに
動くだろう。
各自、それまでに荷物をまとめておけよ。
以上だ。解散」
そう言って部屋を出て行く佳織。
こうして、唯依達は新たな部隊に配属される
事になり、各々家族などにその事を連絡
した後、荷造りを始めた。
そしてBETAの襲来も無かった為、彼女達
は新たに来た守備中隊と入れ替わる
ように嵐山を出て、そのまま東京へと
向かうのだった。
それから更に数日後。
唯依達は仮設基地で生活しながらも、
特別調査班の実動部隊としていつでも
動けるように、愛機の整備や訓練などを
自主的に行っていた。これも、彼女達なりに
責務を果たそうと考えての事だ。
とは言え、彼女達の目的は巨大不明生物
の調査であるが、戦時下、しかもBETAに
国土を荒らされている状態である以上、
戦術機と衛士を遊ばせておく理由は無い、
として特別調査班の設立に否定的な意見
も多い。
加えて、BETAの群れを単独でも撃退
可能な巨大不明生物を、調査の名目で
下手に刺激して、自分達を敵とみられる
事も気をつけなければならない。
そのため、不用意な調査は許可出来ない、
として斯衛軍上層部も、特別調査班に
対してどこまでやらせて良い物か?
と悩んでいたのだ。
そのために、基地での待機ばかりの日々
が続いていた唯依達だったが。
ある日、彼女達の元に来客があった。
そして唯依達5人の前に現れたのは、
日本人、それも中年くらいの男性だった。
「はじめまして。私は、こういうものです」
そう言って男性は、彼女達にそれぞれ名刺
を差し出した。
それを受け取る5人。
「えっと、『モナークアジア方面調査
責任者』、『芹沢大助』博士、で
よろしいのでしょうか?」
「えぇ。私はモナークで生物学者を
している者です。今日、皆さんに会いに来た
のは、先日皆さんが接触した3匹の
怪獣、『彼等』について話を聞きたい
からです」
「あの、その怪獣、と言うのは?」
「あぁ、失礼。怪獣、と言うのは私が考え
採用された、貴方方が目撃した3匹の
ような、巨大不明生物の総称です。漢字
で、怪しい獣と書きます」
上総の言葉に応える芹沢。
「それでその、モナークって何なんですか?」
と、そもそもな疑問を投げかける安芸。
「失礼。まずはそこも、だったね。そもそも
モナークとは、1944年のある事件以降、
世界各地で目撃されるようになった
巨大不明生物の調査を目的に設立され
ました」
「1944年の事件ですか?」
「えぇ。……原爆です」
首をかしげる和泉に答える芹沢。
「「「「「っ!」」」」」」
すると、彼女達はその単語に息を呑んだ。
「1944年。ドイツに2発の原爆が投下され、
ドイツは連合軍に降伏。更に帝国も
条件付きで降伏し、戦争は終結した。
しかしこの原爆投下後、まるでそれが
引き金となったかのように、世界各地で
怪獣が目撃されるようになり、その調査を
目的に国連によって結成された組織が
モナークなのです」
「それで、モナークはずっと怪獣の調査を?」
「いえ。それからしばらくして火星での
BETA発見もあり、それに伴って規模を
縮小。更にBETA大戦が始まった事で、
今では数少ない面々が細々と活動している
ばかりだ」
上総の言葉に応える芹沢。
そして彼女達は、確かに、と言わんばかりの
表情だ。
実際、戦争中に居るかも分からない怪しい
存在に力と金と人員を割く事など
言語道断に近い行為だ。
「しかし今、この世界に変化の兆しが
見え始めている」
「……怪獣達、ですか?」
芹沢の言葉に問いかける唯依。
「えぇ。最初に朝鮮半島で目撃された
怪獣アンギラス。そして今回
目撃された3匹。バラン、バラゴン、
ガーディー」
「え?ちょっと待って下さい。今の名前って?」
突然芹沢が彼等の名前を呼び出した事で
首をかしげる志摩子。
「実は、我々の調査によって、怪獣は
我々人類が生まれるずっと前、有史以前
からこの地球に存在している事が確認
されました。実際、世界各地にある
巨大な生き物の伝承などは、現実には
人々が怪獣を目撃したものだろう、と言う
のが我々モナークの見解です。
そして、今回出現した3匹と朝鮮半島の
アンギラスも、それぞれ過去の伝承など
から名称を付けたものです」
「つまり、あの3匹は昔からこの帝国に
いた、と?」
「えぇ。恐らくは。……アンギラスは
中国の伝承の中で、『暴龍』。
暴れる龍と呼ばれていました。
アンギラスという名称は、モンゴルで
発見された古文書から読み解いたもの
です」
「つまり、昔の中国やモンゴル、東アジア
で活動していた、と?」
「えぇ。恐らくその辺りがアンギラスの
活動エリアなのでしょう」
上総の言葉に応える芹沢。
「じゃあ、あの3匹についても博士は
何か知ってるんですか?」
「えぇ。まず、あの飛行していた怪獣
ですが、あれは東北地方の隔絶された
部落において、伝説の怪物、
婆羅陀魏山神として恐れられていた
ようで、我々はそれを縮めて、
バランと呼称しています」
更に和泉の言葉に応える芹沢。
「それと、他の2体、バラゴンと
ガーディーでしたが、彼等は少し
特殊でした」
「特殊、と言うと?」
彼の言葉に首をかしげる唯依。すると
芹沢は持っていた鞄の中から一冊の本を
取り出して彼女達の前に置いた。
それを手に取る唯依。
「『護国聖獣伝記』?」
彼女はタイトルを読み上げると、開いて
中を見ていく。それを横から覗いている
安芸達。
「私も、バラゴン達について調べる中で
たまたまその本を発見したのですが、
その本の中に、護国聖獣としてバラゴン
とガーディーの名があったのです」
「護国聖獣、と言う事はあの2匹は
帝国を護る存在なのですか?」
「いえ。正確に言えば古い大和言葉での
『くに』となります。このくにが指す
のは、自然や命の事であり、決して
特定の国家や人間を護る存在では
ありません」
上総の言葉に応える芹沢。しかしふと、
和泉に疑問が浮かんだ。
「あの、そもそも怪獣達って大昔の、
言わば古代生物なんですよね?
それがどうして聖獣になってるんですか?」
「あくまでも推察ですが、帝国には古く
から自然信仰があった。八百万の神、
と言うように、古来から神道において神は
万物に宿るものとして、自然を始めとした
もの全てが信仰の対象だった。
そんな中で、巨大な生き物である怪獣は、
十分信仰の対象になりえたのではない
ですか?」
「確かに。昔の人からしたら、怪獣みたいに
デカくて強けりゃ、信仰されてもおかしくは
ない、か」
芹沢の言葉に頷く安芸。
「えぇ。そして、バラゴンやガーディーは
人々から信仰を集め、そしてその結果、
聖獣や霊獣としての『格』を得た。
そう、私は考えていますし、その本にも
同じような記載がありました」
「強い信仰心によって存在そのものが
昇華された、と?」
「おそらくは」
上総の言葉にそう応える芹沢。
「古くからこの星に生きていた獣たち。
それが怪獣。そして、今その怪獣達が
目覚めつつある、と言う事ですね?
芹沢博士」
上総の問いかけに、彼は静かに頷いた。
「えぇ。そして、だからこそ怪獣を、
バラゴンやガーディーを間近で見て、
戦術機越しとは言え触れた貴方達に
話を聞きたいのです」
という彼の言葉に、姿勢を正す唯依達。
そして芹沢から聞かれたのは、怪獣の
能力や戦い方などを始め、他に何か
気づいた点などを質問された。
そんな中で……。
「あ、そういやバラゴンとガーディーってさ。
何て言うか、犬みたいじゃなかった?
人懐っこいって言うか」
「うん。撫でたら喉を鳴らしてたの、
ちょっと可愛かった」
安芸の言葉に和泉が頷く。
「でも、相手はその、獣なんでしょ?
いくら神聖な存在だからって、下手に
近づいたりするのは……」
と、若干苦言めいた事を口にしてしまう唯依。
彼女も、バラゴン達に助けられた身ではあるが、
やはり相手は人知の及ばない存在。それ故に
恐れてしまうのも無理は無い。
しかし……。
「いや。少なくとも、バラゴンとガーディー
に関しては極端に恐れる必要は無いだろう」
芹沢がそう言って静かに首を振った。
「それはどうしてですか?」
「皆さんの話を聞いて思ったんですが、
貴方方4人はバラゴンとガーディーの危機
を救った、と言うのは間違い無い事ですね?」
首をかしげる和泉の言葉に応える芹沢。
「それって、あれかな?バラゴンとガーディー
に取り付いた戦車級を倒したって言う」
「えぇ」
安芸の言葉に、芹沢は静かに頷いた。
「そして戦闘終了後、あなた達のお礼を
言うように、声を掛けたと。そこ
から言えるのは、彼等にも『心』や
『知性』がある、と言う事です」
「心や、知性?」
芹沢の言葉に、志摩子は首をかしげた。
「えぇ。知性や心を持つのが、人だけだと
考えているのなら、はっきり言わせて
貰えば、それは人間の傲慢です」
どこか鋭い視線の彼の言葉に、咄嗟に
口をつぐむ唯依。先ほどの発言は、怪獣達
を獣と=で結びつけるような発言だったからだ。
「すみません、先ほどの私の発言は、失言でした」
「あ、いや。こちらこそ失礼を。
責めている訳ではないのですが……。
やはり、怪獣をただの獣と断じる、愚かな
大人を、私はたくさん見てきたので。
……失礼しました」
そう言って唯依に頭を下げる芹沢。
「あの、芹沢博士は、怪獣をどんな存在
だと思って居るのですか?」
不意に、そんな事を問いかける和泉。
「私にとって、怪獣とは即ち、この世界
のバランスを保つ存在です」
「世界のバランスを、保つ?」
「えぇ」
唐突な表現に首をかしげる上総。
他の面々も少し驚いている様子だ。
そんな中で頷く芹沢。
「自然界には、調和を取り戻そうとする
力があると、私は考えています。
そして怪獣達は、その調和を取り戻す
力なのではと、私は考えています。
そして、だからこそ怪獣達は目覚め、
BETAと戦うでしょう」
「それは、BETAがあらゆる物を食い尽くす
存在だから、ですか?」
「えぇ。BETAは全てを食い尽くす。
自然も、命も、生命の調和も。全て。
だからこそ、バランスを保つ存在
である怪獣達は、この星を食い荒らす
BETAを決して許しはしない」
唯依の言葉に芹沢は頷き、話す。
「これから恐らく、世界各地で怪獣が
目覚めるでしょう。そして彼等は、
この星の破壊者であるBETAと戦う。
そしてそれは、変化となるでしょう」
「変化?」
彼の言う言葉の真意が分からず、首を
かしげる安芸。
「えぇ。これまで、BETAを相手に
戦線の後退を続ける人類でしたが、
彼等がBETAと戦うのであれば、
それは少なからず戦況に変化を
もたらすでしょう。そして、それを
生かすも殺すも、全ては人間の行動
次第です」
「それはつまり、怪獣達と共に戦うか否か。
博士はそう仰りたいのですか?」
「……えぇ」
鋭い視線のまま問いかける上総に対して、
芹沢は静かに頷いた。
「彼等と共に、この星に生きる同じ命
として降り注ぐ災いに立ち向かうか。彼等
を獣と侮り、この混沌の世界で三つ巴の
戦いを繰り広げるか。
……全ては、我々人類の選択に掛かっている。
私は、そう確信しています」
今の芹沢の目は、彼の確固たる信念を表すかの
ように、5人を真っ直ぐ見つめていた。
そうして、改めて防衛戦の時の話をしていた時。
唯依の目がとあるページで止まった。
「これは……」
「あぁ。それは3体目の護国聖獣ですよ」
ポツリと呟いた唯依に答える芹沢。
「え!?護国聖獣って、バラゴンとガーディー
だけじゃないんですか?!」
驚いた様子で声を上げる志摩子。
「えぇ。この護国聖獣伝記に記されている
聖獣は、全部で3体。その内の2体が、
皆さんの遭遇したバラゴンとガーディーです。
そして、残された最後の1体。それこそが
最強の聖獣。『彼』は成長が遅いとされ、
完全体になるには1万年の眠りが必要だと
その本には記されています」
「最強の、聖獣」
唯依は本の中にある単語に目を落とす。
そして、彼女は漢字で記されたその名を
読み上げる。
『ギドラ』、と。
その後、話を聞いた芹沢は帰っていき、
残った唯依達。
すっかり話し込んでしまっていたので
外はもう既に暗く、彼女達は基地の食堂で
夕食を取っていた。
そんな中で……。
「バラゴン達と、共闘かぁ」
ポツリと、安芸が食事の手を止め呟いた。
更にその言葉に、唯依達も手を止める。
「どうかしたの?安芸」
「あ、いや。博士に言われた事を思いだして
たんだけどさ。……バラゴン達と一緒に
戦うのか、それとも対立するのか。
正直、分かんなくてさ」
「分からない、って?」
安芸の言葉に首をかしげる和泉。
「いや、だってさ。私らは斯衛軍の衛士だろ?
だったらもし、バラゴンやガーディーが、
もし斯衛の敵になったら、それってつまり
私達の敵になるって事だろ?」
「ッ、それは、そうだよね」
志摩子は息を呑みながらも、彼女の言葉に
頷く。しかし納得は出来ていない様子だ。
「もし仮に、斯衛や帝国の偉い人達が、
ガーディー達を敵だって言ったら、
私達はガーディー達と戦うしかない、
って事だよね」
志摩子の言葉に、他の4人も俯く。
「嫌だな。あの子達と戦うのなんて」
ポツリと呟く和泉。
「私って、きっと、あの子達が居てくれたから、
京都を生き残れた気がする」
「それは、私達もだよ」
彼女の言葉に、志摩子が頷く。
「そうですわね。あの2匹が、バラゴンと
ガーディーが居なければ、防衛戦も
どうなっていた事か。そして、私達も
どうなっていた事か。あの2匹は、
言わば私達の、いいえ。あの戦いで
生き残った人間たちにとって、恩人にも
等しい存在。……『彼等』の助け
なくして、果たして私たちが生き
残れたでしょうか?」
彼女の問いかけに、4人は皆、視線を落とす。
そして更に彼女は続ける。
「衛士の立場で言えば、あの戦闘力を持つ
彼等と敵対するのは、はっきり言って
策として下の下。ただでさえBETAを
相手に押されている今、愚策の極。
……そして、ただ1人の人間として
言うのなら、あの日彼等に助けられ
繋いだこの命。その恩を仇で返すような
事は、絶対に避けなければなりません」
確固たる信念を思わせる瞳で、4人を
見つめる上総。すると4人とも静かに
頷いた。
「そして、幸運にも今の私たちは、彼等の
調査をする立場にある。だからこそ、
今は私たちの立場を生かすべきでは
ありませんか?」
そう言うと、上総は不意に笑みを浮かべた。
「そう遠くない将来。彼等と共に、人類が
BETAと戦うために。同じ星に生きる、
同じ命として。彼等と共に戦えるように。
彼等と敵対すると言う愚策を、人類が
犯してしまう前に。……初めて、怪獣と
接触した人間として」
笑みを浮かべながら語る上総の言葉に、
他の4人も、笑みを浮かべながら頷くの
だった。
しかし、決心したとしても、彼女達の立場
は一部隊の一パイロットに過ぎず、発言力
に関しては無いも等しいものだった。
そして、折角設立された調査隊も、
前線でも兵力不足から調査をするどころか
その前線に回されてしまった。
ある日、前線に配置されてしまった唯依達の
中隊。一応、後方の部隊だが、それでも
戦闘地域に居るのだ。そして彼女達にとって
はまだ2回目の実戦。緊張するな、と言う
のは無理な話だ。
そして戦闘が始まり、案の定物量で押してくる
BETAを前に第1陣の防衛ラインが突破され、
唯依達の元へと迫る先鋒、戦車級の群れ。
「来るぞっ!各機兵器使用自由!
迎え撃てっ!」
「「「「「了解っ!」」」」」
隊長である佳織の指示に従って武装を
構える瑞鶴たち。と、そんな中で……。
「バラゴン達が居てくれれば……」
志摩子がポツリと呟いた。
と、その時。
『ドガァァァァァァァァンッ!!!』
彼女達の前方の大地が突然爆発し、その下
から現れたバラゴンが、ちょうど真上を
通過していた戦車級達を吹っ飛ばした。
「え!?え!?」
突然の登場に和泉が驚く中、バラゴンは
咆哮を上げた。
「ば、バラゴン!?なんで!?」
突如現れたバラゴンに対して、困惑と喜びの
半々、と言った感じで叫ぶ志摩子。
佳織を始め、他の中隊衛士達も、皆困惑した
様子だ。
更に……。
『ガルルルッ!』
「ッ!?このうなり声って!?」
聞き覚えのあるうなり声に振り返ると、
そこにはガーディーの姿が。
「バラゴンに、ガーティーも。
また、来てくれたの?」
2匹を見つめながらポツリと呟く和泉。
そしてガーディーはズシンズシンと音を立て
ながらバラゴンと合流すると、揃って
咆哮を上げる。
そして、少しだけ後ろに見える、佳織達
の中隊へ。正確に言えば、その中の志摩子達
の瑞鶴へ向かって振り返る2匹。
そして、2匹は互いにうなずき合うと前に
踏み出した。護国聖獣として、くにを荒らす
異星起源種をぶちのめすために。
そして、彼等の出現にハッとなる佳織。
『ここは、再びあの2匹と共に戦うべきか』
彼女もまた、京都防衛戦の勝利の要因が、
怪獣にある事は百も承知していた。
そして今、彼女の前に怪獣が居る。しかも
2匹は明らかに志摩子達を意識している
様子があった。だからこそ……。
「中隊各員へっ!我々はこれよりバラゴン
とガーディーを支援するっ!各機
兵器使用自由っ!行くぞっ!」
「「「「「了解っ!」」」」」
佳織の赤い瑞鶴に続いて、唯依の黄色い
瑞鶴と残り10機の白い瑞鶴が前に出る。
そして、2匹が要撃級や突撃級に専念
出来るように、2匹の傍で突撃級や光線級
に対して撃ちまくる志摩子達。
そして、彼等と彼女等は、お互いをカバー
するように戦った。
バラゴンとガーディーを左右から包囲しよう
とする戦車級を唯依達の瑞鶴が退け。
逆に向かってくる突撃級をバラゴンの熱線
で足を溶かして倒し。
ガーディーのぶん投げた突撃級がぶつかって
倒れた要塞級の頭を、集中砲火で潰す。
更に、あの日のように各地から部隊が
集まり、怪獣を狙うBETA群を更に包囲する。
加えて京都防衛戦よりも小規模な侵攻で
あった為、戦いはあの戦いよりも遙かに
短い時間で終了した。
それでもやはり、戦闘が発生する以上
犠牲は出る。
しかし、怪獣たちの傍で戦い、お互いに
フォローしあう戦いをした結果か、
唯依達は再び、戦死者0で戦いを乗り切る
と言う奇跡を経験するのだった。
そして、戦いが終わると、あの時のように
バラゴンとガーディーが、志摩子達の元へ
と歩みを進める。
「また、助けてくれたね。ありがとうバラゴン」
そう言って和泉の瑞鶴がバラゴンを撫でる。
「ガーディーもありがとう。ガーディーは
強いねぇ」
更に志摩子の瑞鶴もガーディーを撫でる。
すると2匹とも、気持ちよさそうに喉を
慣す。
それを見ていた佳織は……。
『やはり、この2匹には感情がある。
喜怒哀楽を感じている様子だ。
その辺りも上に報告するか』
と、佳織は内心呆れながらも、笑みを
浮かべながら怪獣と戦術機を通して
触れあう志摩子達を見守るのだった。
そうして、京都防衛戦以降、帝国の最前線
は緩やかな後退を続け、京都を放棄する事に
なってしまうのだが、しかし怪獣達の
活躍もあって、その後退はとても緩やかな
ものであり、その理由が怪獣達にある事は、
もはや誰の目にも明らかであった。
しかし、それでも相手は億越えの怪物の群れ。
人類と怪獣の戦いを嘲笑うかのように、
ジリジリとその勢力圏を伸ばしつつあった。
そして、BETAの波は、確実に東京へと、
次なる目標へと着実に迫りつつあったの
だった。
第3話 END
次回もう少し唯依達ベースで話を書いてから武たちが
登場すると思います。また、彼等の友人として
2名ほどキャラを出します。設定は所々オリジナル
ですが、ゴジラシリーズの登場人物です。
感想や評価、お待ちしてます。