マブラヴオルタネイティブ~~怪獣達の逆襲~~   作:ユウキ003

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今回は殆どオリジナルです。あと、黄金ってタイトルで大体の人は
察したと思いますが、あの黄金龍が目覚めます。



第6話 黄金の目覚め

バラゴンとガーディーという、防衛の要を

失った帝国軍はBETAの攻撃を受け後退

せざるを得なかった。更に米軍の撤退。

佐渡島のハイヴ建造という目を覆いたくなる

状況。そんな中で、横浜に迫るBETA。

しかしそれは、突如として出現したゴジラ

によって排除された。が、高濃度の

放射能汚染によって横浜は人の住める街

ではなくなり、その隙を突くかのように、

BETAは横浜に22番目のハイヴを建造

し始めるのだった。

 

 

横浜ハイヴの建造が始まって、早数日。

 

そんな中で、人類にとっては朗報とも

凶報とも言うべき報告が上がってきた。

 

放射能汚染された横浜のハイヴ建造地に

『新種のBETA』が発見されたのだ。

とは言え、人類にとってまだ朗報なのは、

今現在においてその新種が戦闘タイプ

ではない事だ。

 

遠方より発見されたその新種は、小型の

光線属種に似ているが、体が白く、目の

ような光線の発射機関が閉じられている事。

そして背中の体毛のような部分から白い

粒子を周囲に散布し続けている。

 

その粒子には人体や機械への悪影響は無く、

効果は『放射能の除去』だったのだ。

これについては、『BETAも高濃度の

放射能汚染は嫌っているのだろう』という

予測が為された。実際、ゴジラによって

汚染された場所の放射線数値は、戦術核の

爆心地の数倍だ。普通なら生物が生きられる

環境ではなかった。だからこそBETAは

この新種を生み出したのだろう、と言うのが

専門家達の意見だ。

 

その後、この新種は『光線級変異種』と呼ばれ、

前線では皮肉を込めて『清掃(クリーナー)級』等とも

呼ばれている。

 

一度はBETAの侵攻を退けたゴジラ。

しかし残された高濃度放射能汚染。

 

横浜に建造される新たなハイヴ。

しかし結果的に横浜の地はBETAに

よって除染されつつある。

 

どちらも、何とも皮肉な結果だ。

どちらにもメリットとデメリットがある

のだから。

 

 

しかし、横浜の一件の後、ゴジラは帝国に

出現する事は無かった。

 

次にゴジラが現れたのは、ビルマ領

マンダレー。つまり、世界で17番目に

ハイヴが建造された場所だった。

 

最初にその存在を確認したのは、世界各地の

ハイヴの動向を探っている人工衛星の1機だった。

 

 

マンダレーに接近したゴジラ。それをまず

真っ先に迎撃したのは超射程を誇る光線級と

重光線級だ。

だが、何十、何百、何千と光線の掃射を

受けてもゴジラは意に介した様子も無く

その足を進める。

 

そこに今度は突撃級を先頭に、戦車級。

要撃級の群れが向かってくる。その数は、

数万を超える規模だ。

BETAの規模に応じて、規模の表現を

分けている。

3万以上ならば軍団。

1万から2万ならば師団。

3000から5000で旅団、と言った具合にだ。

 

そして今、ゴジラに向かっているのは5万を

超える数のBETA。

だが、それさえもゴジラにとっては烏合の衆

に過ぎない。

 

『バチバチッ!!』

ゴジラの背鰭が放電し、そして彼の口元に

エネルギーが収束。放たれた熱線がBETAの

群れのど真ん中に命中し、一撃で数千の

戦車級が蒸発する。しかしそれでも、今の

一撃で葬られたのはマンダレーハイヴに

巣くうBETAの、1%程度に過ぎない。

 

そして、だからこそ、ゴジラは更に攻撃を

放つ。熱線で蒸発させ、超振動波攻撃で

バラバラにし、プラズマカッターで全てを

切り裂く。

 

BETAも負け時と、ハイヴの地下から

周辺の地表に繋がる『門(ゲート)』を通って

次々と現れてはゴジラに襲いかかる。

 

しかし、それもゴジラにとっては数が多いだけ。

そしてテラワットクラスのエネルギー量を

持つゴジラならば、熱線や超振動波を連続で

放つ事も可能だ。

 

そして約30分。ゴジラの前には砕け散り、

バラバラになったBETAの死骸の大地が

広がる。そして最後に、今も攻撃を続けていた

光線属種の群れを熱線で焼き払う事で、

ゴジラはマンダレーハイヴのBETAを

全滅させてしまった。

 

光線属種を全て蒸発させた熱線の余波で、

ハイヴ上部のモニュメントと呼ばれる

構造物も瓦解。バラバラになった瓦礫が

荒れ果てた大地に散らばる。

 

しかし、直後ゴジラは自分の前方の大地を

静かに見つめ、唸った直後。再び放電を

始める。しかし、普段よりも数秒長い

チャージのあと、ゴジラは突然地面に

向かって熱線を放った。

 

だが、それは大地に対して攻撃したの

ではない。ハイヴの最下層、『縦坑(シャフト)』

と呼ばれる大きな縦穴を降りていった一番下、

『大広間(メインホール)』という巨大な空間

に、『それ』はある。

 

『反応炉』。一言で表現すれば、ハイヴの心臓だ。

 

そして、ゴジラの放った熱線は大地を貫き、

ハイヴの奥底にある反応炉に命中。

『ドォォォォォォォォンッ……!』

と同時に、反応炉は大爆発を起こした。

地下で反応炉が爆発し、振動が地震となって

周辺の大地を揺らす。

 

だがそれだけに留まらず、ゴジラはハイヴ

と言う存在を抹消するかのように、何発も

熱線を地下に向かって発射し、終いには

ボロボロになった周辺の大地が陥没し、

巨大なクレーターになってしまった。

 

そして、ハイヴ跡地にクレーターが出来た事

でようやく満足したのか、ゴジラは踵を

返して海へと帰っていった。

 

 

それから数時間後。ゴジラによるマンダレー

ハイヴ攻略。いや、ハイヴ殲滅という報告は

全世界を駆け巡った。

 

しかし、憎きBETAのハイヴが破壊されたと

言うのに世界中の人々は、手放しでそれを

喜ぶ事が出来なかった。

なぜならそれは人類の偉業ではなく、たった

一匹の怪獣によって為されたからだ。

確かにハイヴが破壊された事自体は喜ばしい

ものだ。だが、それを行ったのはゴジラ、

つまり怪獣なのだ。そしてこれは、結果的に

ゴジラ単独での戦闘能力が、如何なる国の

軍隊よりも上回っている事に他ならない。

 

仮に、ゴジラによってBETAが滅ぼされた

としても、地球にはその後もBETA以上に

強大なゴジラが居座る事になる。その現実に

人々は、素直にこのニュースを喜べ

なかったのだ。

 

 

更に、とある国の会議室では……。

「これは由々しき事態だ」

円形のテーブルを囲み、座る数人の男女。

その中で男、この中では一番に偉い男が

そう呟いた。

 

「高々一匹の獣によって、ハイヴが攻略

 された。加えて付近に展開していた

 BETA群の殆どが壊滅。僅かに残存

 していたBETA群も、北上にH16、

 『重慶(チョンチン)ハイヴ』へと逃走。

 結果的に、ビルマ付近が解放された事で

 大東亜連合軍はこれを生かして防衛ライン

 の再構築と軍備強化に乗り出した」

「……ハイヴ付近が高濃度放射線によって

 汚染されているため、『あれ』が他国の手

 に渡らないだけでも、まぁ良しとするしか

 ありませんか」

男の言葉に、中年の女性の1人がため息交じり

に呟いた。

 

「何を悠長な事を。もし仮にあの化け物が

 他のハイヴを攻撃して、今回みたいに

 全て破壊しなかったとしたら?

 『あれ』を狙っているのは我が国だけ

 ではない」

彼女の言葉に、このメンバーの中では

最高齢の男が反応する。

 

その時。

「そうだ。我々は、このBETA大戦に

 勝利した後の事も考えなければならない。

 そして、だからこそあんな怪物如きに

 好き勝手をさせる訳には行かないのだ」

 

そう言うと、男は立ち上がる。

 

「全ては、祖国のために」

 

男は、静かにそう呟いた。皆もそれに

同意するように、静かに目を伏せる。

 

 

だが、彼等は知らない。ゴジラという存在

の強大さを。

そして何よりも、『この星の支配者が誰

である』かを。

 

 

それから数日後。再びゴジラが出現した。

今度は旧ソ連領、19番目のハイヴ、

『ブラゴエスチェンスクハイヴ』に

対して攻撃を仕掛けた。

当然、BETAも迎撃をした。

だが、マンダレーのハイヴよりも若い

このハイヴに、マンダレーハイヴを

上回る数のBETAは居らず、こちらもまた

精々1時間といった程度で簡単に壊滅

させられてしまった。

 

そしてマンダレーのようにハイヴ跡地を

陥没させるほど攻撃した後、ゴジラは

海に帰っていった。

 

正に連戦連勝。この事実に人々は、ゴジラ

に対する畏怖と恐怖を強めつつあった。

 

しかしBETAもやられっぱなしではなく、

新たにハイヴを建造し始めた。23番目の

『オリョクミンスクハイヴ』と、24番目

の『ハタンガハイヴ』だ。どちらもソ連

の領土に建造され始めた。

 

そうやって、人間を後目に戦うゴジラとBETA。

しかし人類側もただそれを傍観している

だけではない。

 

とある1人の女性が、光線級変異種によって

横浜の除染がある程度進んだ段階で

その横浜ハイヴの攻略を国連に進言。

これは国連司令部によって即決され、

更に大東亜連合軍もこれに参加する事に

なった。よって、国連軍、帝国軍、

大東亜連合軍の共同による横浜ハイヴ

攻略作戦、『明星作戦』が実行される事

になり、急ピッチで作戦準備が進んでいた。

 

 

そうやって、帝国国内が慌ただしくなる中、

唯依や志摩子達は今も、バラゴンと

ガーディーを失った失意の中にあった。

 

 

彼女達にとって、あの2匹はただの怪獣

ではない。言わば戦友であり、恩人。

それを失った事による失意。更に彼等の

加護を失った事で、戦いに恐怖を覚える

事になってしまったのだった。

『もう彼等の守護は無い』、と言う現実は

10代の彼女達の心を怯えさせるのに、

十分だったのだ。

 

そして、明星作戦の決行が迫る8月1日。

そんな、失意の内にある彼女達の元を

訪れる男があった。芹沢だった。

 

「久しぶりと言うべきか。よくぞ無事

だったと言うべきか」

「博士」

ポツリと呟く唯依。

「とにかく。君たちが無事で良かった」

「そんな。私達なんて、バラゴン達が

 護ってくれなかったら……」

そう言って視線を落とす志摩子。

その隣では、安芸と和泉が、2匹の事を

思いだして今にも泣きそうになっている。

「あの、それで博士はどうしてこちらに?」

5人の中で、比較的元気な上総が問いかける。

 

と言っても、彼女も周囲を元気づけようと

必死にそれを演じているだけで、本心では

バラゴンとガーディーの消滅をずっと

引きずっていた。

 

「実は、君たちに話しておきたい事がある。

 君たちに渡した不思議な形の石だが、

 その後、何か変化は無いか?」

「それでしたら、ずっと安芸さんと和泉さん

 が持っていたはず」

そう言って、2人の方へ視線を向ける上総。

すると……。

 

「変化……?そう言えば……」

ポツリと、和泉が呟いた。そして彼女は

ポケットからあの石を取り出した。

「あの。これ、時々暖かくなるんです」

「何?石が?」

「はい。温めた訳でもないのに、暖かく

 なって。それに、これを握って眠ると、

 いつも同じ夢を見るんです」

 

「え?和泉、も?」

すると今度は彼女の発言に安芸が反応した。

「え?安芸も?」

「あ、あぁ。いつも、これを持って寝ると

 いつも同じ、変な夢を見るんだ」

「すまないが、どんな内容の夢なんだ?」

すぐに問いかける芹沢。

 

「ふと、夢の中で気づくと、自分は真っ白な

 空間にいるんです。そしてすぐ目の前に

 バラゴンが現れて、まるで私を呼ぶように

 鳴くんです。それからバラゴンは

 振り返って、いつの間にか奥に見える富士山

 に向かうんです。それで何度も振り返って、

 また私を呼ぶように鳴くんです」

「そんな夢を。安芸君、君は?」

「え、と。私も同じです。私の場合は

 ガーディーが、ですけど」

 

「……2人とも、殆ど同じような夢を

見ている、と言う事か。そして更に富士山。

……どうやら、待っているようだね。

いや、この際呼んでいると言った方が

正しいだろうか」

「えっと、どういうことですか博士?

 呼んでいる、とは」

彼の発言の意味が分からずに戸惑う唯依。

 

「実は、護国聖獣の最後の1匹、ギドラ

 は富士の樹海の地下に眠っていると言う

 旨が以前見せた、護国聖獣伝記に

 記されていたんだ」

「でも、どうしてバラゴン達が……」

ポツリと呟く和泉。

 

すると芹沢は……。

「あくまでも私の仮説だが、かつての

 アメリカインディアン、コビ族の言葉で

 『石が記憶する』とされていた。更に

 花崗岩に圧力を掛けると電気を帯びる

 と言う性質がある。もしかすると、

 過去の人間たちはこの性質を利用して、

 花崗岩の石を記憶ディスクのように

 使って居たのかもしれない。更に、

 霊魂は電気だという説がある。それを

 合わせて解釈すると……」

「花崗岩のディスクに、魂を封じ込める事が

 出来る。そう仰りたいのですか?」

そう言って、半信半疑と言わんばかりの上総。

 

「無論確証は無い。だが、もしそうなのだと

 したら。その石の中に、バラゴンとガーディー

 の魂が宿っているのかもしれない」

彼の言葉に、安芸と和泉は視線を手の中の

石へと落とす。

 

そして、静かに涙を流すのだった。

 

2人が落ち着くのを待ってから、芹沢は

5人に声をかけた。

 

「改めて君たちに話したい。明星作戦の事は

 聞いてるか?」

「えぇ。横浜ハイヴ攻略作戦ですわね?」

芹沢の言葉に上総が応えた。

「あぁ。だが、実はその作戦において、

国連軍の主力が新型爆弾を使う動きが

あるらしい。しかも、帝国軍や

大東亜連合軍にそれを通達した様子が

一切無い」

「ッ。それってつまり……」

彼の言葉に、唯依は表情を青くしながら

問いかける。

 

「いや。まだ確証があるわけではないんだ。

 だが、仮に新型爆弾を使ったとしても

 BETAに勝てる証拠がある訳じゃない。

 だからこそギドラの力が必要なんだ」

「しかし、以前見せて貰った伝記によれば

 ギドラは成長が遅いとありました。

 仮に今目覚めさせたとしても、それは

 言わば不完全体ではありませんか?」

芹沢の言葉に、上総はあの本で読んだ事

を思いだし問いかける。

 

「それも最もだ。だが、恐らくその石が

 ギドラ復活に鍵になるのかもしれない」

「え?これ、が?」

突然振られた話に和泉が戸惑う。

 

「そうだ。そして今、この国は聖獣の力が

 必要だ。多くの人が絶望する中で、彼等

 の希望となる聖獣、怪獣の存在が。

 そのために、君たちに協力して欲しい」

「協力って、私達が何を?」

思わぬ言葉に首をかしげる志摩子。

 

「その石と、私を連れて行ってほしい。

 ギドラの眠る場所へ」

 

そうして、彼女達の任務が決まった。

 

 

芹沢の話はモナークを通して帝国斯衛軍に

打診された。内容は、特別調査班の実動

部隊である瑞鶴1個中隊を一時的に貸して

ほしい、と言う旨の物であった。

これには斯衛上層部も難色を示したが、

五摂家当主の1人、恭子ともう1人、

『斑鳩家当主』『斑鳩 崇(たか)継(つぐ)』の進言もあって

この行動は容認された。

 

無論、崇継の方はモナークに対して

貸しを作るためであったが、それでも

結果的に唯依達は富士に向かう事が出来た。

 

だが、準備に数日を要してしまった為、

彼女達は横浜で明星作戦が展開される中、

モナークが少し前に帝国海軍より購入して

いた一隻の『大隈級戦術機揚陸艦』と、

同じくモナーク所属の駆逐艦に

乗って唯依達は太平洋側から伊豆半島を

迂回して、静岡県沖に向かった。

そで12機の瑞鶴が大隈級より発進。

 

更に彼女達の後に続いて、芹沢や

モナークに所属する武装兵士を乗せた

1機の輸送ヘリが駆逐艦より離陸。低空

飛行で12機の瑞鶴と1機のヘリが富士の樹海

を目指して進んだ。

 

幸いな事に、周辺にBETAの姿は無い。

どうやら明星作戦が、彼女達の行動を

助ける陽動になったようだ。

 

しかし、富士山の周囲にあった自然は

BETAによって荒らされていた。その光景を

一瞥しながらも彼女達は進んでいく。

 

「この辺りだ。降下してくれ」

芹沢が指示を出すと、瑞鶴たちとヘリが

荒れ地へと降下する。

 

更にレーダーで周辺を調べると……。

「ッ。博士、地下に大きな空洞のような物

 を発見しました」

周辺を調べていた上総から報告が上がる。

「よし。その天井付近を戦術機の120ミリ

 で破壊してくれ。恐らくそこに、ギドラが

 いるはずだ」

「了解っ」

 

指示を受けた上総は、瑞鶴が手にする突撃砲

の120ミリ砲弾で、空洞上部の大地を攻撃し

これを破壊。すると地下へと通じる入り口が

出来た。

 

「よし。では、私と唯依君たち5人は、あれ

 を持って付いて来てくれ」

「「「「「了解っ」」」」」

「では、私と残りのメンバーはここで待機だ。

 周辺警戒を厳と為せ」

「「「「「了解っ!」」」」」

唯依たちは瑞鶴を降りて、それぞれが念のため

拳銃と、安芸と和泉は例の石を手に、芹沢と

共に地下へと降りていく。

 

残った佳織たちは、その場で周辺の警戒を

始める。

 

 

そして、ライトを手に攻撃で出来た穴から

降りていった6人を待っていたのは……。

 

「ッ!これ、が……」

 

 

巨大な氷の中に封印されている、『黄金の

三つ首龍』、『ギドラ』だった。

 

「そうだ。これこそが、ギドラ。最強の聖獣だ」

 

芹沢は、ギドラを見上げながら、ポツリと

呟いた。

 

そして、石を手にした安芸と和泉が

ギドラに近づいた時。

 

『『カァァァァァァッ!』』

突如として、2人の手にしていた石が

白い光を放ち始めた。

 

「な、何がっ!」

突然の事で志摩子が驚く。そして白い光

が次第に光量を増し、6人とも目を覆った。

 

やがて光量が収まり、6人が目を開くと、

皆驚いた。

 

なぜなら自分達の前に、人間大の大きさで

半透明の、さながら幽霊のようなバラゴンと

ガーディーが浮いていたのだから。

 

「ば、バラゴン?それに、ガーディーまで」

唯依は幽霊のような彼等を見つめながら

ポツリと呟く。

 

その時、安芸と和泉は、自分の手の中にある

石が、今も光を放っている事に気づいた。

そして、2人は理解する。この石の中に、ずっと

彼等がいた事を。

 

バラゴンとガーディーはまるで再会

を喜ぶように喉を鳴らす。

すると、5人が笑みを浮かべながら涙を

流す。

 

「ガーディー。ずっと、私の傍にいて

 くれたんだな」

「バラゴンも。ずっと、ずっと私達と

 一緒だったんだね」

安芸と和泉の言葉に答えるように二匹は

喉を鳴らす。

 

「でも、なんでお前等、あの時私や

 和泉を庇ったんだよ。私達なんかの

 ために、あんな無茶して……」

安芸は、震えながらそう呟く。

 

彼女は、あの時の自分が許せなかった。

 

自分の弱さ故に、ガーディーやバラゴンに

無茶をさせてしまった自分が許せなかった。

 

 

だが、ガーディーは静かに安芸に歩み寄ると、

その場に屈んで彼女の頬を舐めた。

「ッ!」

それは、まるで犬が主に愛情表現をするよう

だった。それに驚く安芸。

 

そしてガーディーは静かに鳴く。まるで、

安芸を心配し、励ますように。

すると、安芸は更に大粒の涙を溜める。

 

「あの時は、守れなくて、ごめん。

 そして、あ、ありがどう」

彼女は大粒の涙を流し、声を震わせながら

呟いた。

 

その涙に吊られて、志摩子達も涙を流す。

 

それを見たバラゴンとガーディーは、最後

に大きな咆哮を上げた。

 

すると、安芸と和泉の手に握られていた

石の中から、白い塊、霊魂のような物が

浮かび上がるとそのまま氷塊の中で眠る

ギドラへと自ら飛び込んでいった。

 

そして氷塊の中のギドラが一瞬光輝いた

かと思ったその時。

 

『ゴゴゴゴゴゴゴッ……!!』

 

周囲の大地が振動し始めた。

 

「ッ!?ここは危険だっ!一旦退避をっ!」

そう叫ぶ芹沢に従って、彼女達は外へと急ぐ。

 

しかし、そんな中で安芸と和泉だけは、

何度も後ろへと振り返る。

 

そして5人は瑞鶴へ。芹沢はヘリに搭乗する。

すぐさま中隊とヘリは離陸して一旦その場を

離れた。

 

直後。

『ドォォォォォォォンッ!!!』

 

荒れ果てた大地を突き破り、一対の翼が

現れた。そして、それに続くように、大地

を割って黄金の三つ首龍、覚醒した

『キングギドラ』が姿を現す。

 

バラゴンとガーディーの力を糧として、

彼は一気に成長したのだ。

 

「あれ、が、最強の聖獣」

それを、宙に浮く瑞鶴から見下ろす唯依。

 

黄金の鱗に覆われた体は、太陽の光を

受けてキラキラと輝く。

それは正しく、神秘的という他無い。

 

「そうだ。あれが、『千年竜王』、

 キングギドラだ」

そこに、彼女達の耳へと届く芹沢からの通信。

 

「キング、ギドラ」

静かにその名をリピートする上総。

 

と、その時。3本ある首の内、右の首が

和泉の瑞鶴を。左の首が安芸の瑞鶴を

見つめた。

 

そして、2人はすぐにその意味を理解し

笑みを浮かべた。

「あぁ、そうか。そう言う事なんだなガーディー」

「バラゴンも。そこに居るんだね」

 

2人は笑みと嬉し涙を流す。

 

そして、完全体となったキングギドラは、

その大きな翼を広げると飛び立った。

翼を羽ばたかせながら、彼は東へと向かう。

 

この『くに』を荒らす侵略者を退けるために。

そして、それを見送る瑞鶴たち。

 

だが……。

「中隊長っ、我々もすぐに帝都に戻りましょう」

安芸が涙を拭いながら佳織に進言した。

そして彼女はその言葉の意味を理解した。

「……良いんだな?最前線だぞ?」

 

「分かってます。でも、もう彼奴らに

 頼ってばかりなんて、情けない自分は

 いやなんです。今度こそ、私は 

 彼奴らの隣で一緒に戦いたいっ!」

 

それこそが、安芸の決意だった。

 

あの日、一度は失って失意にくれた後悔を

二度としない為に。

 

今度こそ、大切な戦友を護りたいが為に。

 

そして、その思いは和泉や志摩子、上総、

更には他の少女達も同じだ。何より、

佳織自身も。

 

「よしっ!中隊各機!我々はすぐに

 沖合の大隅級に帰還し、その足で

 帝都方面に急行っ!明星作戦

 ならびに、キングギドラを援護するっ!」

「「「「「「了解っ!」」」」」」

 

そして、彼女達も動き出す。戦うために、

生き残るために。そして、勝利するために。

 

今、最強の護国聖獣が誕生した。

そしてこの『くに』を守る為に動き出した。

 

 

確かに、ゴジラの残した爪痕によって怪獣を

快く思わない存在は多い。

だが、それが全てではない。

 

彼女達のように。ともに歩もうとする人々も

確かに存在している。

 

そして、少女達は急ぐ。

『共に生き、共に勝利を勝ち取る』ために。

 

     第6話 END

 




って事でキングギドラ覚醒です。姿形、更に立場は魏怒羅(大怪獣総攻撃のギドラ)ですが、強化として初代のように自由自在に引力や重力を操る力などを持っています。
あと、次回は明星作戦がベースです。まぁ結果は色々異なる予定ですが。

感想や評価、お待ちしてます。


登場怪獣の紹介

『キングギドラ』
初出・『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)
モスラやラドンと並ぶ有名東宝怪獣の一匹
でありゴジラの永遠のライバル。
本作では『大怪獣総攻撃』に登場した
護国聖獣としてのギドラと同じ姿形や立場
に加え、初代のような重力を自在に操る力
を備えている。
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