【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第104話 隣にいくのは?

「な、なんだ! 勘違いだったんだ! あ、その、知ってたけど、そりゃ何回もあんなことやこんなことあったしね! えへへ」

「普通に疑ってる目してたわよ」

「私も近くで聞いとったけど、『やっぱり……』って言うてたで」

「まったく。俺たちはそんなんじゃないっていつも言ってるだろ?」

「あんたが千里をお姫様抱っこしてるからじゃない?」

「おい、聞いたか。君が僕をお姫様抱っこしてるからだぞ」

「おいおいマジか。俺が千里をお姫様抱っこしてるからだって?」

「広がりもなんもないならむやみやたらに喋んなアホども」

「言葉強すぎねぇ?」

 

 確かに今のは俺たちが悪かったけども。

 

 光莉はちゃっかりウエディングドレスに着替えて、日葵と腕を組んでいる。正直光莉は日葵と千里に比べたらあぁうんって感じだが、二人がとんでもないだけで光莉も十分綺麗。というか可愛い? 背が小さいから可愛さが勝つ。なんだろうこの、絶対必要ないけど守りたくなるというかなんというか。

 日葵は間違いなく綺麗。好き。嫁にしたい。一生に一回無許可で人に抱き着けるけどその後死ぬ権利があったら間違いなく今ここで行使して、光莉に邪魔されてそれで死ぬ。俺、光莉を許せねぇよ……。

 

「というか、織部くん綺麗だし可愛すぎ……私タキシードにしてこようかな」

「待ちなさい日葵。タキシードだと外と中身イケメンと外イケメンの二人がいるのよ。ドレスを着るより無謀だわ」

「でも男の子に負けるんだよ……?」

「何言ってんのよ、あいつはメスよ。性別すら超越した存在なんだから負けても仕方ないわ」

「千里。聞いたか? 光莉が日葵の負けを認めるくらいお前は完璧なんだ」

「実は一番ショックを受けてるところだよ」

 

 光莉は何があっても日葵が頂点って言うやつなのに、日葵の負けをはっきり認めた。光莉の日葵に対する執着が薄れたのか、千里がものすごすぎたのか、どちらかと言えば後者だろう。俺を好きになったからと言って日葵への執着が薄れるなんてことは絶対ない。俺か日葵どっちが好きかって聞いたら間違いなく日葵って答えるだろうし。

 

「さて。なんとなく察しついてるけど薫たちは?」

「ゆりちゃんが倒れちゃったから、薫ちゃんと聖さんが介抱してるの」

「ちなみに春乃のタキシードを見ただけで泡噴いて倒れたわ」

「まぁ仕方ないな」

「ゆりちゃんからしたらそれが礼儀だもんね」

「これに関してはほんまに倒す気なかったんやけどなぁ」

 

 いつもは倒すつもりでやってんのかよ。

 

 しかし、残念だ。ゆりちゃんもウエディングドレス着たかっただろうに、イケメンのせいで着れないかもしれないなんて。でもゆりちゃんのことだから着れなくても見れただけで満足だって絶対言うはずだ。だってそれくらいカッコいいんだもん。俺男なのに完全敗北してるもん。

 

「ん。ほな先に五人で撮ってもらおか!」

「このままじゃ結婚した二人を新郎一人と新婦二人が祝ってる図になっちまうから、流石に下ろすわ」

「でもそうすると全員で結婚するみたいになっちゃうわよ」

「この際全員ドレスを着るっていうのはどう?」

「おい。俺はお前みたいにメスじゃないからとんでもなく悲惨なことになるぞ」

「案外化粧したらいけそうやけどなぁ」

「見てみたいかも……」

 

 日葵に見てみたいって言われても絶対着ないからな。こういうのは女の子みたいな男がやるからまだ面白いんであって、俺みたいな完全な男がやったらキショいだけだ。見てみたいって思ってるのは日葵と千里と春乃だけ。おい、この場にいる過半数じゃねぇか。

 

「さっさと撮ってもらおう。このままじゃ変な流れで俺がドレスを着させられる」

「えー? 着てくれないのー?」

「日葵。タキシード姿の恭弥と写真撮られるのは今だけよ」

「絶対にドレス着ないで」

 

 そういうのは俺に聞こえないところで喋ってくれ。

 春乃が「どっちも着て撮ったらええんちゃう?」と言い出しそうだったので指でそっと唇を抑えてウインクし、「静かに」のジェスチャー。やり返された。俺よりカッコよかった。どうやら春乃は俺の男としての自信を根こそぎ奪いに来たらしい。もう自信ないから奪うものないぞ。

 

「どうやって撮ろうか」

「まず千里は真ん中だろ?」

「異議あり。紛い物の僕を中央に置くのはどう考えてもおかしい!」

「紛い物……?」

「???」

「?????」

「あぁそうか。僕は女の子だった。続けて続けて」

 

 千里がすべてを諦めたような表情で可愛いポーズを模索し始めた。お前、とるポーズ全部可愛いってどういうこと? 実は家でこっそり練習してた? いや、練習してる方がまだいいな。練習してなかったら素のポテンシャルでこれってことだから。多分練習してないだろうから、聞くのはやめておいてやろう。

 

「千里に中央でしゃがんでもらって、千里を挟むように日葵と光莉に中腰になってもらって、千里の後ろに俺たちが立つか」

「僕を中心に回ってる……」

「胸を寄せるポーズすればいいのよね?」

「おい。私に喧嘩売ってるんやったら正面からこいや」

「ぷぷぷ。被害妄想すご」

「春乃ストップ! 今着てるやつ借り物だから! 汚したり傷ついたりしたら弁償だから!」

 

 光莉に襲い掛かろうとした春乃を羽交い絞めにして、いい匂いと女の子特有の……一部女の子じゃなくても柔らかいやつはいるが、女の子特有の柔らかさを感じて、イケメンなくせにやっぱり女の子なんだなと思いつつ、「覚えとけよ」と光莉に睨みを利かせた春乃に震えあがって自分の位置に戻る。

 

「あ。恭弥側に日葵がいったら妊娠させられるから私がそっちに行くわね」

「妊娠させられてもいいからこっちにいるね」

「大至急」

 

 少し離れたところに行って、千里と春乃を呼ぶ。何やら火花を散らす日葵と光莉を置いて、俺たち三人を顔を寄せ合って会議を始めた。

 

「今日葵何て言った?」

「わからん。私の中の日葵のイメージが清純すぎて、いやそら脳内ピンクやったけど、あんなはっきり言うわけないと思って、何がなんやらわからんくなってもうた」

「僕は僕の中のオスが準備を始めた」

「嘘つけ」

「ないもん準備できひんやろ」

「僕はいつでも君たちのことを嫌いになってもいいんだぞ?」

 

 ほんとにな。なんでこんなに言われてて俺たちのこと嫌いにならないんだろう。まぁ千里ってドがつくほどのMだから何の不思議もないけどな。好きな女の子の前だとSになるタイプだけど基本はM。こいつ男であり女でもあって、SでもありMでもあるのかよ。四刀流奥義じゃん。

 

「そうじゃない。ちょっと整理しよう。日葵は今ドレスを着てちょっと気が舞い上がってる可能性がある」

「それか恭弥の隣を取られるかもしれないって思って気が動転したのかも」

「よう考えたら、恭弥くんの隣におられへんのって今の光莉の位置だけやしな」

「つまり俺が真ん中にいけばいいんじゃないか?」

「それや!」

「よし、なら早速提案しに行こう」

 

 名案を引っ提げて、火花を散らす二人のところに戻る。二人とも笑顔だがなんとなく笑っていないような気がして、光莉にしては珍しいな、とも思う。光莉なら日葵になんでも譲るというか、そういうイメージがあったのに。

 日葵も、光莉と争うイメージ何てまったくなかった。それだけ俺のことが好きってことかな???

 

「二人に提案がある。俺が真ん中に行くってのはどうだ?」

「ん-。ちょっとバランス悪いかもだけど、いいわね」

「私だけ妊娠させて欲しいからだめ」

「大至急」

 

 さっきの二人を連れて距離をとる。千里と春乃は笑いをこらえていた。笑い事じゃねぇよ。

 

「なんで妊娠したがってるの? ドレスに引っ張られすぎだろ。純粋のベクトル間違ってるよあの子」

「正直僕も責任感じてるんだ。僕らと一緒にいるからあんなにおかしくなったんじゃないかって」

「なくはないってか100そうやな。ていうか今思ったんやけど、日葵私のこと男としてカウントしてへん?」

「確かに。あの理論なら岸さんも妊娠するもんね」

「というか隣にいるだけで妊娠ってなんだよ。少子高齢化社会に対する秘密兵器か俺は」

 

 何千年後かの人類でも隣にいるだけで妊娠なんて無理だろ。セックスをいくら効率化しても交わらずになんてこと人類がするはずない。突き詰めたら動物だし、愛のある行為って素敵じゃん? はーきもきもしねしね。

 

「とにかく日葵がおかしくなってるからまず止めるところから始めないとな」

「どうやって止めよう。恭弥にゴムかぶせたら納得するかな?」

「タキシードゴム人間か。ええやん」

「何がいいの???」

 

 春乃。面白そうだからってなんでもやらせようとするのはやめてほしい。今日葵が妊娠妊娠って卑猥なワード口走ってるんだよ? どうにかしないとだめだろ。日葵は俺たちがおかしいことしてるのを見てあははって笑うか、困ってるかのどっちかだったのに。まさか日葵が俺たちを困らせる日が来るなんて……感動的じゃねぇか。やっと日葵もおかしくなってくれたか。

 

 俺、なんて言って日葵のご両親に謝ろうかな……。

 

「とにかく、妊娠はしないって説明した方がいい」

「どうやったら妊娠するかも教えた方がいいかもしれないね」

「千里ちゃん。誰にどうやって教えるの?」

「すーみれちゃんっ! 今のは聞かなかったことにして?」

 

 千里の背後に近づいていた薫に気づかないふりをしていたら、狙い通り千里は失言してくれた。しめしめ。これで薫からの好感度をどんどん下げて……下がんねぇか。けっ。流石俺の妹だぜ。千里を嫌いになんてなるはずないもんな。はーあほらしあほらし。

 

「ありゃ、ゆりちゃんは?」

「聖さんが、私が見ておくからいってらっしゃいって言ってくれたんです」

「流石僕の姉さんだ。クソみたいなタイミングで送り出しやがって」

「お前ってなんでそう心が汚いの?」

「自分を省みたらわかるんじゃない?」

「ははは。面白いこと言うなぁ薫は」

「冗談ちゃうで」

 

 んなこと知ってんだよ。

 

 さて、どうしよう。薫がやってきたところで日葵が止まってくれるか……。もしかしたら薫の言うことなら聞くかもしれない。そうだよ。日葵を止めるのに一番適任なのって薫じゃん。よく来てくれた!

 

「よし、いけ薫!」

「うん。いこ」

「?」

 

 薫が俺の腕を掴んだ。そのままずんずん歩いて行き、少しよろけながら薫と一緒に日葵と光莉の前に出る。

 そして薫が一言。

 

「うだうだしてるなら、私がもらっていきます」

「……えっ、かわゆ」

「……えぇ!?」

「薫ちゃん、僕は!!!!!???」

「ドレス着てるからやろ」

 

 薫の発言に一人は顔をだらしなく緩ませ、一人は驚愕し、一人はもっと驚愕し、一人は冷静にツッコんだ。なぜか薫はむすっとしていて、俺の腕を掴んだままカメラマンさんの方へ行く。

 

「お前、さては千里がドレス着てるから不機嫌なんだろ。ごめんて。あとで着替えさせるから」

「ちがう」

 

 下から俺をきっと睨みつけて、それから申し訳なさそうに俯いた。

 

「兄貴が困ってたから、つい……日葵ねーさん、怒ってないかな」

「おい!!!!!!!!! 薫が可愛いぞ!!!!!!!!!」

「兄貴きらい」

 

 小躍りしながらみんなに薫の可愛さを報告しに行ったら嫌われてしまった。なんで?

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