【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第110話 ぼろりん

「……? もしかして薫ちゃんが水着で、一緒にお風呂に入るっていう状況?」

「お、現実を目の当たりにして酔いが醒めやがった」

「わ、どうしたの薫ちゃん?」

「……」

 

 外に出て、シャワーを浴びている時。隣に水着の日葵がいるっていうとんでもなく幸せな状況を、妹である薫で中和して、千里のお世話をしていた時。ふと千里の酔いが醒め、水着姿の薫を脳に焼き付けようと瞳をぎょろぎょろと動かし始めた。お前目悪いから見えねぇだろ。

 そんな千里が気色悪かったのか、それともただ単純に恥ずかしかったのか、薫が日葵の後ろに隠れてしまった。薫やめて。それやったらやっぱり千里が日葵を見ちゃうから。現に千里は今日葵の向こうにいる薫を見ようと必死になってるし。クソ、気に入らねぇ。俺の大事な大事な日葵を舐めまわすように見やがって。

 

「おい千里」

「ん? なんだい恭弥。そういえばごめんね? なんか色々お世話してくれてた気が」

「俺だけを見ろ」

 

 シャワーヘッドで殴られた。おま、お前。シャワーヘッドはダメだろ。俺じゃなきゃたんこぶの一つや二つや三つや四つや五つや六つできてたぞ。まったく、なんでこんな暴力的な子に育っちゃったのかしらね?

 

「よ、酔った僕に何もしてないよね!?」

「してないけど、胸隠して上目遣いで俺を見るんじゃねぇよ。新しい扉開けてやろうか?」

「日葵ねーさん。いこ」

「え、ちょっと気になるところ……」

「大丈夫。二人がそうなることはないから、先にお風呂行って待ってよ」

 

 千里が俺を警戒している隙に、日葵を連れて薫が行ってしまった。先に光莉や春乃や聖さんと入っていたゆりちゃんが気になってるっていうのもあるんだろう。あの三人、見た目だけで言ったら性的破壊力抜群だからな。多分ゆりちゃんは死んでるだろ。

 じゃなくて、こんな状況で千里と二人きりにしないでほしい。女の子とお風呂に入るっていうのに、なんで(女の子みたいな)男と二人切りなんだ?

 ……悪くないね。

 

「あーあ。恭弥が変なこと言うから薫ちゃんいっちゃった」

「お前が気色悪い感じで薫を見ようとするからだろ。でもさっきのも可愛かったぜ」

「おい。その彼女が可愛くて何をしてても可愛いとしか思えない彼氏みたいなやつやめろ。ほんとに酔った僕に何もしてないよね?」

「むしろお前が密着したりしてきたぞ」

「さぁ僕たちもお風呂にいこう」

 

 なんとなく覚えているところがあるのか、俺が言っていることが事実だとわかった千里は話を変えようと俺の手を引いてお風呂へ向かった。お前まだ酔ってんじゃねぇの? なんで手を引くの? お前手柔らかいんだから油断すんじゃねぇぞ。俺がその気になったら一瞬で押し倒せるんだからな?

 

 千里と一緒に歩いていくと、正面の方に洞窟が見えた。最初見た時は嘘だろと思ったが、マジで洞窟がついている。幻想的な見た目のお風呂には、やはり幻想的な美しさと可愛さを持つ女の子たちがいた。俺の手を引いている男の子の姉にあたるサキュバスも交じっている。

 

「やっときた。あまりにも遅いから千里とセックスしてるのかと思ったわ」

「お前はオブラートに包むってことを覚えろ」

「恭弥。それだと僕らがほんとにセックスしてたみたいになるから頼むから否定してくれ」

「ゆり! ゆりー!!」

 

 俺と千里のセックスを想像してしまったのか、ゆりちゃんが沈んでしまった。薫が必死にゆりちゃんをお湯の中から助け出すと、「死ぬ……ほんとに死ぬ……」とぼそぼそ呟いていた。可哀そうが過ぎる。俺と千里のセックスを想像して死ぬって世界一不名誉な死因じゃね?

 

「じゃあお邪魔します」

「はい、どーぞ!」

「恭弥。夏野さんの『はい、どーぞ!』が可愛かったからって固まるのはやめてくれ」

「千里が言うた『はい、どーぞ!』も可愛かったで」

「え」

 

 千里も固まってしまい、俺と千里はお湯に片足だけつかった状態で固まってしまった。まるで絵画みたくなってしまった。あれ? めちゃくちゃ芸術じゃね俺たち。この場面を絵画にしたらめちゃくちゃ売れそう。俺の部分だけ切り取られそう。は?

 ムカついたので千里をお湯に叩きつけたやった。水しぶきがあがり、びっくりした光莉にぶっ飛ばされていた。可哀そう。

 

「はぁ。お風呂に飛び込んじゃいけないって知らねぇのか?」

「恭弥が叩きつけてたような……」

「千里が足滑らしたんだよ。な? 信じてくれ」

「織部くんおっちょこちょいなんだね」

「お互いがお互いに盲目なんどうにかした方がええで」

 

 当然日葵の隣は緊張するので千里の隣に行こうとしたが、聖さんが千里を救出していたためえっちすぎて耐えられなくなり、光莉と春乃の近くも緊張するため薫の隣に行った。薫が呆れた目で俺を見てくるが、仕方ないだろ。そんな目で見てくるならお前千里の隣行ってみろ! 行けないだろ? だってお前俺の妹だもんな! やーいやーい! 俺の妹!

 やめよう。俺が悲しくなってきた。

 

「兄貴。お願いだからゆりに話しかけないでね」

「なんか俺がゆりちゃんにめっちゃ嫌われてるみたいじゃん……」

「私がお兄様を嫌うことなんてありません!! むしろ大好きです!!」

「待て、今のは違う。違うんだよ!」

 

 ゆりちゃんが俺に大好きと言った瞬間、そこはかとなく殺気のようなものを感じで必死で弁解する。過激派すぎだろ。ゆりちゃんだぞ? 多分この子顔がいい相手になら誰にでも大好きって言うぞ? だから恋愛的なそれとかじゃないんだって。

 

「ぷぷぷ。よかったね恭弥。ゆりちゃんに大好きって言ってもらえて」

「ゆりちゃん。千里のことはどう思う?」

「愛してます!」

「ちょっと待て。好きと愛してるじゃ話が違ってこない? 違うんだよ薫ちゃん。僕がこっそり手を出してたから愛してるって言われたんじゃなくて、ゆりちゃんはおかしいんだ」

「べつに」

「織部くん織部くん。薫ちゃんが『しらない』とか『べつに』とか言う時は大体拗ねてるときだよ」

「そもそも! 考えて欲しいんだ! 僕が誰に愛されていようと、僕が愛してるのは薫ちゃんだけなんだ!!」

「恭弥くん。千里の親友としてのあなたに聞くけど、来週の予定は?」

「式場を予約する上に俺にスピーチを頼もうとしないでください」

 

 千里の熱烈な叫びを聞いて、聖さんが俺ににじり寄って結婚式の相談をしにきた。正直聖さんが聖さんすぎて結婚式どうこうの話はまったく頭に入っていない。なんだこの人。雰囲気と見た目がいやらしすぎないか? ゆりちゃんも「いやらしセンサー! ビビビビビビビビ!!」って言ってるし。ほんと面白いなあの子。

 

「ふぅ、これだから男ってやつはだめね。こんなに可愛い女の子がいるのに、結局エロさに釣られちゃうんだから」

「ほんまにな」

「あの、春乃が同意するのはちょっと違うと思う……」

 

 日葵の言葉に俺と千里とゆりちゃんが深く頷いた。この中で聖さんとタメ張れるくらいえっちだぞ君。そんなえっちな格好自分から狙わないと無理だぜ。スタイルのよさを武器にして俺たちを殺そうとしてくるなんて、春乃は優秀な殺し屋だな。すでにゆりちゃんは五度死んだ。

 かといって、日葵と光莉がえっちじゃないかと言えばそうでもない。日葵はまぁ、えっちというより可愛さ抜群ラブ&ピースって感じだが、光莉はおっぱいだけで勝負できる。変化球を小細工だと思ってるタイプの投手だ。変化球を駆使して抑える投手を嘲笑うかのような180キロストレートを投げ込み、高笑いしながら四死球出しまくるタイプ。

 

 つまり化け物。そりゃあんなおっぱいしてるやつが化け物じゃないわけないでしょ。

 

「ん-、なぁなぁ恭弥くん。ちょっと聞きたいことあるんやけどさ」

「俺にはないぞ」

「なくても構わんで。この中で誰の水着が一番好き?」

「ち」

「千里はなしで」

「ちんちん……」

「なんで逃げ道なくなったらちんぽって言っちゃうのよ」

「おい、いやらしい音声作品みたいな言い方はやめろ」

「いやらしい音声作品……?」

「こら恭弥くん。日葵が興味示してまうからやめなさい」

「し、示してないもん!」

 

 俺もいやらしい音声作品のことはよく知らないから、「知らないもーん」と言ってかわいさアピールをしておく。水面を割る光莉の拳によって叩きのめされた。お前格闘漫画から現実にこんにちはしてきた感じの人? 水面割るなんて漫画でしか見たことないんだけど。あとで俺にもやり方教えてくれない? 何? 俺は弱いから無理? ざぁこざぁこ? 

 

「っし。裸にひん剥いて吊るし上げるか」

「そんなことしたら朝日さんが興奮しちゃうからやめときなよ」

「日葵の前で裸で吊るし上げられるって、光莉からしたらご褒美やしな」

「黙っときなさいよ!! せっかくやってくれそうだったのに!!」

「日葵ねーさん。親友は考えた方がいいよ」

「うん……?」

 

 日葵が首を傾げながら頷いた。そりゃそうだ。薫の親友もそこはかとなくというか結構というか大分おかしいからな。というかここにいる全員の親友は頭がおかしい。全員親友選びを失敗したんじゃないかってくらいひどい。いや、日葵と薫はおかしくない。むしろ、そういう視点から言えば光莉とゆりちゃんは親友選びに成功した形だろう。

 はぁ。どっちもいいやつで素晴らしい人間性なのは俺たちくらいだぜ。なぁ千里?

 

「ところで結局誰の水着が一番好きなの?」

「絶交してくれ」

「なぜ」

 

 なにが素晴らしい人間性だ。せっかく逃げれそうだったのに掘り返してくるとかドブのやることじゃねぇか。見た目女のゴミカスがよ。せめて地球の養分となって死んでくれねぇかな。俺こいつのこと普通に嫌いだわ。

 

 うそうそ。ちゅきちゅき!

 

「俺が誰の水着が一番好きかなんて、誰も気にしてないだろ? そんなことよりのぼせるといけないからそろそろ上がろうぜ。じゃあな」

「逃がすか!」

 

 どれだけ話していても逃がしてくれないだろうから、無理やり立って逃げようとすると、千里が俺の海パンを掴んだ。このままじゃ脱げてしまう! なんて慌てることはない。俺はとある理由から海パンがつっかかって脱げなくなってるんだ。ふふふ。脱げたら終わりだなマジでこれ。みんな俺から目を逸らしてるから絶対察してるけど。あ、聖さんだけ見てる。

 

「千里、離してくれ。俺はこの通りなんだ」

「……その、ごめっ、あ」

 

 千里も気まずそうに目を逸らし、俺の海パンから手を離そうとした、その時。俺の海パンを無理に掴みに来たからか、元から足元が安定していなかったようで、千里はそのままお湯の中にダイブした。

 

 俺の海パンをずり下ろしながら。

 

「……」

「……ふーん」

「ほーん」

「わ……」

「あらあら」

「──」

 

 光莉がちらちら見ながら、春乃が感心したように、日葵が顔を手で覆いながら、聖さんが穏やかに微笑んで、ゆりちゃんは死んだ。

 

 唯一反応してくれそうな千里と薫を見てみるが、千里は俺から潜水で逃げて、薫は俺を軽蔑した目で見ていた。こりゃ話しかけても死ねって言われるな。

 

 しかし俺は慌てない。今まで何度も修羅場を潜り抜けてきた俺は、この場においても最適解を出せる優秀な頭脳を持っていた。

 

「あぶねぇあぶねぇ。もう少しで脱げるところだったぜ」

「脱げてるわよ」

 

 俺の『脱げたように見せかけて実は脱げていなかった作戦』は光莉の手によって一瞬で台無しにされた。流石に無理があったかと思いながら、これでどうにかうやむやにできただろうと確かな自信とともに海パンを履き直す。

 

「さて、俺が誰の水着が一番好きか聞きたいんだったよな?」

「や、なんか違う意味に聞こえてまうからもうええわ」

 

 千里が遠くの方で、お湯の中で土下座しているのが見えた。いいよいいよ。後で絶対ブチ犯してやるから。

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