【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第118話 以心伝心

「大丈夫薫ちゃん!? 僕が興奮したいから脱いでみて! あ! 間違えた! 怪我がないか確認したいから脱いでみて!」

「兄貴。千里ちゃん沈めて」

「もう死んだぞ」

 

 千里がまた死んだ! 可哀そうに!

 

 ナンパ男どもは俺たちが海面を走ってきたことに恐怖し、情けない悲鳴をあげながら蜘蛛の子を散らすように逃げていった。海で本気でバタフライして人間から逃げるやつ初めて見た。俺たちはサメか何かか? つまりナンパ男どもは俺たちを褒めてくれてたってことか? だってサメってカッコいいし。もう、おジョーズな人たち!

 

「日葵、何もされてない? 大丈夫?」

「うん、大丈夫。ありがと光莉」

「ゆりちゃんは平気か?」

「私の心配なんてそんなそんなそんな、私の心配に貴重なリソースを割かないでください世界の損失でございます」

「薫。ゆりちゃんと一生親友でいてくれ」

「当たり前じゃん」

 

 こんな面白い子二人といない……まぁジャンル違いの面白い子は結構いるけど、俺たちの周りにいないタイプだからな。ぜひいい男を捕まえて、俺たちの近くに住んでほしい。ゆりちゃんの彼氏は大変だな。俺たちを見る度にゆりちゃんが倒れるって彼氏からしたら面白くないだろうし。

 

「みんな平気ー? なんか若干一名姿が見えへんけどそれはいつものこととして」

「千里の命を軽率に扱うなよ」

「散らした本人が何か言ってるわね……」

「ちなみに僕は生きてるよ。見て、ウニ」

「おいおい。逆立ちして陰毛見せてウニなんて下品なこと……ほんとにウニじゃん」

「なんで僕がそんなことすると思ったの?」

 

 俺たちに見せたかっただけならしく、千里はウニを「ありがとね」と言いながら海に戻した。ウニって一回拾ったら死んだりしない? 俺ウニについて詳しくないから何もわかんないけど大丈夫だよな。

 まぁいいや。ウニ如きに感情移入する心なんて持ち合わせてねぇし。

 

「まったく、俺たちから離れるからナンパされるんだぞ。ただでさえ魅力的なのにそんな水着着て……っていうか薫とゆりちゃん中学生なのに声かけるってやべぇな」

「ほんとにね。中学生に手を出すなんて頭おかしいんじゃない?」

「確かに。千里は頭おかしいわね」

「犯人の自供シーン初めて見たわ」

「薫ちゃん、ゆりちゃん。こっちおいで」

「夏野さん。僕を所かまわず女子中学生を狙うとんでもないド変態と勘違いしてない?」

 

 日葵はちょっと天然なところがあるのでほんとに千里が中学生を狙うド変態だと勘違いしたらしく、薫とゆりちゃんを自分のところに引き寄せて千里から守った。日葵が動くたびに日葵を見てしまい、それはつまり日葵のえっちな水着姿を見てしまうということで、つまりつまり俺はものすごいことになるわけであって、光莉と目を合わせて頷いてハイタッチまでしてしまうのである。

 そして同時に春乃を見て頭を下げた。お礼。よくやってくれた。日葵は自分じゃこんな水着選ばないし、頼まれても着ない。でも日葵なら誕生日プレゼントであげれば「じゃあ着たいな」って思ってくれる。春乃は日葵のことをよくわかってる。

 

「閃いた!」

「自分の脱ぎたてパンティあげようなんてとんでもねぇこと考えんじゃねぇよ」

「恭弥が私の考えてること当ててくる方がとんでもないわよ」

「光莉もよくやってくるじゃん」

「それもそうね。以心伝心って感じ???」

 

 光莉が俺の方にすすすと寄ってきて、周りに挑発的な目を向ける。最近光莉、めちゃくちゃ喧嘩売るようなこと言うよな。そのおかげで俺の精神がものすごいすり減るんだけど。俺の考えてることわかってるならぜひやめてほしい。それでも止まれないからするんだろうな。それもわかるからなおのことすり減ってくる。

 ほら、光莉の挑発に乗せられてまた嫌な空気が……。

 

「それは聞き捨てならないな朝日さん」

「何でお前なんだよ」

「やはり二人は……?」

「できてないからねゆり。千里ちゃんは私の」

「ぎゃひーん!!!! 薫ちゃんカワユス!!!!!!!」

 

 ゆりちゃんが気絶して海の中に沈みそうになったのを、春乃が一瞬で海の中を移動してそっと支える。身体能力が備わったイケメンってこんなに有能なんだな……。そのせいでゆりちゃんがまた死ぬんだけど。海の中で死んだら死んじゃうから死ぬ前に地上に行くか。

 

「恭弥と真に以心伝心なのは僕だ。伊達に恭弥の親友やってないよ」

「ふーん。正直親友ポジも私でいい気がしてきてるんだけど」

「なにおう!?」

 

 陸に戻りながら千里と光莉が喧嘩する。確かに同じクズだし光莉が親友ってのもしっくりくる。でもやっぱり親友って言ったら千里なんだよなぁ。なんかこう、光莉ほど以心伝心っていかなくてもなんかわかってくれてるというか、いつだって俺の味方でいてくれるっていうか。その、安心感的な? はっず。恥ずかしいから逆立ちして砂浜を走り回ってこよう。

 

「じゃあ今恭弥が逆立ちして砂浜を走りだそうとしてるってわかってたの?」

「そんなことしようとしてるのがわかってるならぜひ止めてあげてほしい」

「今思ったら光莉が恭弥くんと以心伝心って最悪やんな。単純計算でおかしいのが二倍になるし、そのおかしいのが射出されんのも早なるってことやろ?」

「私か春乃が以心伝心だったら、おかしいことしようとしたらすぐ止められるのに……」

「夏野さん。なんで僕を除外したの?」

「千里ちゃんは面白そうなら乗っかっちゃうからでしょ」

 

 俺が逆立ちして砂浜を走ろうとしたのを、薫が俺の腕をとることで阻止してくる。かわいい。薫が俺の腕をとってくれてるのに逆立ちなんてできるわけない。薫に怪我をさせることすなわち死罪。ちなみに泣かせても死罪。俺は早く千里が薫を泣かせないかとわくわくしている。やっぱり薫を他の男にやるのは、例え千里だとしてもまだちょっと、かなり、ものすごく抵抗があるし。

 ゆりちゃんをパラソルの下のビーチチェアに寝かせ、俺が日葵に着せていた上着を羽織り、その瞬間の日葵の不満そうな顔を見なかったことにしながら。話題は『俺との以心伝心』のままヒートアップしていく。

 

「大体以心伝心かどうか怪しいよ。『こう思ってるでしょ』って言ってみたら相手が乗ってくれたってことかもしれないし、恭弥と朝日さんならあり得そうだし、その点僕は恭弥のことならなんとなくわかるし、恭弥のいる場所もなんとなくわかる」

「私でかけたら大体会えるわよ」

「いいなぁ……」

「なんか親戚やったりせえへん? あまりにも似すぎてるやろ」

「薫。俺たちに親戚なんかいたっけ?」

「うちの両親、頭おかしすぎて親戚から敬遠されてるっていうのは聞いたことあるよ」

「だそうだ」

「せやろな」

 

 せやろな?

 

「逆に血のつながりなんて一切ないだろ。ほら、よく言うじゃん。この世には自分に似たやつが3人はいるって」

「顔の話やろそれ。誰が思考の話してんねんっていうか思考の話ならもうすでに3人揃ってるやん」

「私と日葵と薫ちゃん?」

「天使に交ざる泥ゲボがおるな」

「可愛い女の子に泥ゲボはあんまりじゃない???」

 

 春乃が光莉を『泥ゲボ』と称した瞬間頷いた俺と千里は当然のごとく光莉に殴り飛ばされ、二人揃って華麗に受け身を取って何事もなかったかのように輪に戻る。日葵も薫も春乃も気にしてないし、もはや俺たちが光莉にぶん殴られるのは日常になってるようだ。よきかなよきかな。は?

 

「血のつながりと言えば、薫ちゃんって恭弥より日葵に似てる気がするのよね。天使加減といい、常識さ加減といい、天然さ加減といい」

「天然じゃないもん!」

「日葵ねーさんは天然だよ」

「薫ちゃんも天然だよ」

「千里はメスだよ」

「おい。関係ない僕に銃口を向けるのはやめろ」

 

 サイレンサー付きの銃で発砲したのに気づかれたらしい。自分がメスって言われることにはほんとに敏感だな。じゃあナンパ回避しろや。テメェ無防備すぎるんだよ。サバンナでただただおいしい匂いを振りまいて全裸で歩いてんのと一緒だぞお前。俺たちがいなきゃ何回か食われてるぞ。食う前に止まる人もいるだろうけど、大多数は止まらないだろうし。

 

「もしかして小さい時に家泊まりに行って、そのまま薫ちゃんが恭弥の妹になったとか?」

「ありえる」

「ありえるんかい」

「あの両親と恭弥ならありえそうだよね……」

「それなら流石に私の両親が黙ってないと思うけど……」

「でも日葵のご両親って押しに弱いしなぁ」

「押しどうこうの話じゃないでしょ」

 

 薫が日葵の妹。まぁ似たようなもんだしなんの違和感もないけど、確かに俺は赤ん坊の薫を可愛がっていた記憶がある。両親を跳ねのけておむつを変えたりミルクをあげたり寝かしつけたり、それはもう両親からすれば大助かりなお兄ちゃんだった。父さんからは「普通俺たちが薫を可愛がりすぎて恭弥が寂しくなるのに、恭弥が薫を可愛がり過ぎて俺たちが寂しくなってるんだが???」と文句を言われた。当時3歳である。

 

「でも薫ちゃんは私の妹みたいなものだし、実際妹だし! ね!」

「日葵ねーさんって呼んでるしね」

「ええよなぁそれ。めっちゃかわええやん。私も薫ちゃんにねーさんって呼んでもらいたい!」

「千里ねーさん」

「君たち兄妹は僕を精神的に殺そうとしてくるよね。ちなみに僕はねーさんじゃないし女の子でもないしエースで4番でもない」

「エースで4番じゃないのは知ってた」

「他も知っておけ」

 

 可能性はあるから。

 

 そうやって話していると、ふと人が集まりだしているのが見えた。なにやらイベントが開催されるようで、そういえばと思い出す。

 

「確か父さんが、チームで参加できるイベントがあるとかないとか言ってたような……」

「5人一組で参加できるって書いてるわね」

「化け物視力化け物乳」

「乳は関係ないでしょ」

 

 5人一組っていうと、俺、千里、日葵、光莉、春乃……。

 

 薫がそっとゆりちゃんの方に引き下がり、「応援してるね」と笑ってくれた。天使。かわいい。絶対嫁にやらない。

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