【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第124話 将来の夢

 あの後、二回戦も同じメンバーで戦って普通に勝ち、「もう私と恭弥だけでいいじゃない」と言った瞬間日葵が悲しそうな顔をしたところで『ここでお昼休憩です!』の一言。光莉が弁明できないままお昼休憩に突入した。

 てか今更お昼休憩って、あと一回やるだけだろ? なんでこのタイミングで? どうせお兄さんかお姉さんのどっちか、もしくはどっちもがお腹空いたからとかだろうけど。あの運営自由すぎんだろ。

 

「お疲れ様」

「お疲れ様。みんなカッコよかったわよ」

「姉さん。頼むから弟の前で男を椅子にするのはやめてほしい」

「座り心地いいのに……」

 

 口の先を尖らせて不満気に呟き、聖さんは侍らせていた男どもを解放した。全員が残念そうな顔をしていたのは流石聖さんと言ったところだろう。千里も本気出せばあぁなれるのに。女の子からはモテないけど男からはモテモテだぞ? 喜べよ。

 

「お昼にしよ、お昼! 海の家ってなんかテンション上がるねんなぁ」

「場所と雰囲気で飯なんかいくらでもうまくなるからな」

「そうね。だから消えなさい」

「それはもしかして俺がいたら飯がマズくなるってことか?」

「国語力が高いみたいで安心したわ」

 

 ムカついたので「やーい。お乳ウーマンチッチチチー!!」とバカにしたところまでは覚えている。俺は砂の味を楽しみながら、一人でゆっくりと起き上がった。もしかしたら決勝終わってるんじゃねぇかってくらいの勢いで昏倒させられた気がする。あいつから喧嘩売ってきたくせに理不尽じゃね?

 

 一人は寂しいのであいつらの姿を探す。どうせお昼休憩になって大繁盛している海の家にでも行ってるんだろう。今から行って「やっぱり恭弥がいないとダメみたい」ってみんなに言わせてやる。ふふふ。みんな俺のことが大好きなんだから。

 

「あら、私も大好きよ?」

「ヒェ、ロメリアさん……」

 

 気色悪い想像をしてにやにやしていると、背後からロメリアさんがぬっと現れて肩に腕を回してきた。やだ、すごい筋肉質……。俺が女の子なら思わず筋肉に触れて、上目遣いになって「抱いて」って言ってたところだった。千里なら言っていただろう。よかった、俺にメスの要素がなくて。

 

「置いて行かれちゃったの? 可哀そう。ねぇ、よかったらあたしと一緒にゴハン食べない?」

「そんなこと言って俺を食べちゃう気なんでしょ!」

「ほんとに食べちゃってもいいわよ?」

「許してください」

 

 顔を近づけてきたロメリアさんの拘束から必死の形相で抜け出して土下座をかます。ふっ、俺ほど謝るのが板についている男はいないだろうな。謝ってそれが受け入れられたことはほとんどないんだけど。よく誠意が足りないって言われるし。なんだよ誠意って。そんな見えないもんにこだわってるから人間はくだらないんだよ。

 

 そうじゃない。今はロメリアさんからどう逃げ出すかだ。

 

「ロメリアさん。そういえば俺海の家にあいつら待たしちゃってるんで、もう行きますね! 決勝戦楽しみましょう!」

「ねぇ恭弥ちゃん。将来の夢は何?」

「話聞いてねぇのかクソオカマ野郎。負けてもいいからやってやんぞ?」

「あら。いいの?」

「降伏するのでひどいことはしないでください」

 

 片膝をついて頭を垂れる。降伏宣言は早めにするのが吉だ。変に意地張って張り合って負けて好きにされるより、先に降伏して忠誠を誓った方がひどい目に遭いにくい。「じゃあ将来あたしと一緒に働いてもらおうかしら」って言ってるけどひどい目に遭いにくいはずなんだ。

 

「あたしね。バーのマスターをやりながら何でも屋やってるんだけど、結構有名なのよ? 知ってる?」

「いえ、存じ上げません」

「ホントに忠誠誓ってくれてるのね」

 

 頭を垂れる俺の頭を優しく撫でるロメリアさん。あ、ママ……。

 

 じゃない。何でも屋? そりゃロメリアさんくらいハイスペックならなんでもできるだろうけど、ハイスペックだからこそもっといい職につけそうなのに。頭いいし運動できるし、見た目だっていい。オカマなのがちょっとうーんって感じだけど、今の時代ならほとんどオカマなんて関係ないだろうし。俺もロメリアさんが許してくれるから「うわ、オカマだ!」みたいな反応してるだけで、実際はなんの偏見もない。

 

「何でも屋ですか。儲かってるんですか?」

「それを聞いてくれるってことはちょっと興味示してくれてるってことね。もちろん儲かってるわよ。バーも元々人気だし、何でも屋らしく幅広くなんでもやってるし。でもちょっと人手が欲しくなってきたところでね、あたしに似たコを探してたの」

「……???」

 

 ロメリアさんに似た子? それで俺を勧誘してる? つまり俺はオカマ? あらやだ。薄々そうだと思ってたケド、ホントにそうだったなんて。じゃあ千里に手を出しても問題ないわね。

 

 ふざけるのは少しだけにして、ロメリアさんに似てるっていうのは能力的な話だろう。頭のよさ、運動神経、あと見た目。俺が見る限りロメリアさんは俺よりハイスペックだし、俺たちの誰よりもハイスペックだっていうのは光莉が負けた時点で証明されている。

 

「……いやーでも、やっぱちゃんとした職について親を安心させたいっていうか、や、別にロメリアさんのやってることがちゃんとしてないって言ってるわけじゃないんですよ? だから犯さないでください」

「そんなすぐに犯さないわよ。もっとゆっくり、ね?」

「ゆっくりでもやめてほしいんですけど」

 

 何俺と熱い恋愛を楽しもうとしてんだよ。俺は日葵と恋愛したいの。ロメリアさんと恋愛なんかした日には「織部くんならわかるけど……」って言ってものすごい悲しそうな目で日葵に見られるだろう。俺も千里ならわかるのに……。

 

「それにね。約束もあるし、あたしはあなたにどうしてもきてほしいのよね」

「約束?」

「そ。噂をすればきたわね」

「おーい! 恭弥ー! ロメリアー!」

「久しぶりー!!」

 

 普段家の中で頻繁に聞いている声が、後ろから聞こえてきた。振り向いてみると、俺の両親がなぜかムーンウォークをしながら手拍子で独特のリズムを刻んで近づいてきていた。どうしよう。俺あんな人たちの息子だったの? なるべくしてなってるじゃん。

 というか。

 

「うちの両親と知り合いなんですか?」

「知り合いもなにも、同級生よ?」

「わっっっっっっ」

 

 か!!!!?? ロメリアさんどう見てもいってて20代後半くらいだぞ!? うちの両親も若々しいっちゃ若々しいけど「みえなーい!」って言えるくらいの若々しさだけど、ロメリアさんは若すぎる。ほんとに見えない。「みえなーい!」って言う時は「まぁ言われてみれば……」を内包しているが、ロメリアさんはガチで見えない。なんだこの人。老いに喧嘩を売って勝った方ですか?

 

「いや、悪い! 昨日ちょっとはしゃぎすぎてな。やっぱり妻との子作りセックスはやめられない。あ、恭弥。多分バチボコに仕込めたから弟か妹ができるぞ」

「俺が思春期だったらどう責任とってくれんだクソ親父」

「でも子育ての本に両親の仲がいいといい子に育つって書いてあったわよ?」

「俺がいい子に育ったのは俺自身の功績だ」

「いい子……?」

「ロメリア。確か医者の知り合いいたよな? うちの息子がどうもおかしいんだ」

「遅めの反抗期に入ってやってもいいんだぞコラ」

 

 なんだこの両親。俺は周りから見たらこんな感じに見えてるのか? だとしたらもうちょっと気を付けないと。こんなんで笑ってくれるのはうちの両親とロメリアさんだけだ。地獄の世代かよ。

 

「そうだ、ロメリアさん。結局約束ってなんなんです? 子どもが立派になったらロメリアさんにあげるとか? ハハハ。そんなわけないですよね。そんな子どもをモノみたいに」

「正解!」

「父さん母さん。俺は初めて家庭内暴力を振るおうと思う」

「待て待て。待て待て待て待て」

「今お父さんが必死に言い訳考えてるから待ってあげてね」

 

 ……なんか、認めたくないけど似てるなぁ。俺と父さん。マジでこの人の子なんだな。俺は絶対息子をオカマにあげるなんてことしないけど。父さんも日葵みたいな人と結婚したら暴走も止まっただろうに、なんでこんな自分と似たような人と結婚しちゃったんだろうか。ウザさ二倍じゃん。

 

「ふふ。ちょっと違うけどね。高校生の時、あたしが将来の夢を話したら二人がスッゴク応援してくれるって言ってくれて。『俺たちの息子はめちゃくちゃ優秀だから、息子がいいって言うならぜひ持って行ってくれ!!』って」

「テメェらが手伝えやゴミども」

「おい!! 某に向かってゴミとはなんだ!」

「あちきにゴミとはひどいでありんすインシャンプー」

「ロメリアさん。今日から俺の親になってくれませんか?」

「高校の時よりずいぶんひどくなってるわね……」

 

 あのロメリアさんが引いてる。包容力めっちゃありそうで撫でられた瞬間「ママ……」ってなったくらいなのに。どんだけとんでもないんだうちの両親。

 しかし、納得いかない。確かにロメリアさんのところにいけば将来安泰は間違いないんだろうが、誰かに敷かれたレールの上を走るのは随分気持ちがいいだろうな。だって将来の心配しなくていいんだから。

 

「んじゃあ大学入ったらバイト感覚でお邪魔します」

「オッケー! よかったお友だちも連れてきていいわよ。光莉ちゃんとか特に大歓迎!」

「危ねぇ仕事あるなら却下です」

「……イイ男」

 

 脱兎のごとく逃げ出し、海の家へダイブした。ダイブした先に千里がいて絡み合ってしまったが、「安心するー!」と叫んだ瞬間俺の居場所はなくなった。違うじゃん。種類の違うメスがあんなに怖いとは思わなかったって話じゃん。

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