【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第144話 お土産探しの探検

「秋野さんに何か言われたけど、初対面で知ったような口出してくんのウゼェから無視することにした」

「僕は時々、なんで君の親友をやってるんだろうって不思議に思うことがある」

「え??? 一緒にいて面白いからなのでは???」

「ここに、僕の手を握る君の写真がある」

「おいまて、それをどうするつもりだ?」

「地獄に落ちるなら一緒にってことだ」

「そうなると俺は開き直ってお前にキスをする」

「負けました」

 

 また今日も勝利を刻んでしまった。

 

 秋野さんは俺に意味深なことを言った後、「二人の旅行を邪魔しちゃ悪いから」と帰っていった。俺は秋野さんの言ったことを無視することに決めたので、あの人が来た意味は全くないということになる。ははは。無駄な言動行動ご苦労様。

 

 ったく、俺は日葵が好きだっていうそれだけのことなのに、幼馴染がどうとうかこうとかそうとかあぁとかごちゃごちゃうるせぇんだよ。好きなもんは好き、嫌いなもんは嫌い。そんだけだろうが。

 

「千里。気分転換に探検しようぜ」

「高校生になってまで探検って、仕方ないなぁ」

 

 立ち上がった俺の隣にぴとっとくっついて、二人並んで部屋を出る。距離が近くねぇか? と思ったときには千里が首を傾げながら俺から離れていった。無意識に出てしまったメス行動だったらしい。こいつ今日排卵日なんじゃねぇの?

 

 すれ違う人たちから「結婚した人たちだ……」という目で見られながら玄関の方まで歩く。そういえば俺たちタキシードとドレスでノリノリな結婚式の写真撮ってたんだっけ。あれが載ったやつが出版されてからまだそんな経ってねぇもんな。あーあ。俺らの高校だけの噂だったのに全国公認のカップルどころか夫婦になっちまった。

 

「恭弥恭弥。なんかすごく見られてるんだけど、僕もしかしてすごいカッコいい?」

 

 その事実に気づいていない哀れなメスに教えてやったらなんて思うだろう。とりあえずカッコよくはないので「カッコよくないぞ」と言ってやると、頬を膨らませて上目遣いで睨んできた。んなことするやつがカッコいいわけねぇだろバカが。可愛さ100%の商品をお届けしてんじゃねぇよ。

 

「あいつらにお土産買って来いって言われたし、先に見とくか」

「お店いっぱいあったもんね」

 

 旅館を出てすぐ。そこにはお土産屋さん、食事処と様々な店があり、江戸の町のような見た目をしている。都会生まれ都会育ちだから懐かしさなんてものは感じないはずだが、俺の中の日本人の血が騒いでいるのか、落ち着くような気もする。

 

「光莉には牛乳饅頭なんてどうだ?」

「自分で出して作れるでしょ」

「それもそうか」

 

 ひどいセクハラをしても殺してくるやつはここにいない。なんてすばらしい空間なんだ。どれだけクズをやらかしても無事でいられるなんてこの世の楽園か? 

 

 ただ、この隣にいるメスはいちいち俺の発言を記憶して、自分が窮地に立たされた時に「そういえば恭弥がこんなことを言ってたよ」って俺を売って自分だけ助かろうとするクズなので、迂闊な発言は控えようと思う。

 

「春乃……? いや、まな板か」

「またそんなベタな間違いを……あれ、岸さん? いや、看板か」

 

 高品質な看板を掲げ、高品質なまな板を売っているお店の人にお辞儀をしつつ、土産を探す。せっかくだし全員一緒のものっていうよりかはそれぞれの好みに合わせたい。こういうところでポイントを稼いでおかないと一瞬で見放されるからな。

 

「光莉は俺が好きな物買えばいいとして、日葵と春乃と薫とつづちゃんと……なんか女の子ばっかじゃね? 俺ってもしかしてモテモテハーレム主人公?」

「殺すぞ」

「ちょっとふざけただけでこの仕打ち……」

 

 でも実際、お土産買っていくような男友だち……まぁ辛うじて井原くらいしかいないし、本当に俺の周りは女の子ばかりだ。千里も四捨五入すれば女の子だし、これで宇宙のプリンセスがこようものなら俺は所かまわずスケベを働くエロガッパに成り下がってしまう。ただ人間性を考えると成り上がりな気もするので悪くない。

 

「あ、見て恭弥。木製の腕時計だって」

「お、マジだ。珍しい」

 

 千里が飾られている腕時計に可愛らしく駆け寄り、店員さんをほんわかさせながらするりと自分の手首に巻く。それを俺に見せつけて、得意気に笑った。

 

「どう?」

「あぁ。可愛い顔してる」

「顔面の話じゃねぇよ」

 

 憤慨した千里は腕時計を外して、「まったくもう」と可愛らしくぷりぷり怒りながら次の店へ向かった。一応「冷やかしてすみません」と店員さんに頭を下げて後を追う。

 

「ん-。土産何にすりゃいいかなぁ」

「……別に、なんでもいいんじゃない? 恭弥がこの人にこれあげたい! って思ったものが、その人が一番欲しいものだと思うから」

「俺は今真面目な話をしてるんだよ」

「僕は今真面目な話をしたんだよ」

 

 俺があげたいって思ったものが一番欲しいもの? ないない。そんなの俺のことが大大大好きで、それこそ代々大好きな子じゃなきゃありえねぇって。は? 黙れ。

 

 ……つっても、まぁ、心当たりはなくはない。けど、それで喜んでくれそうなのって日葵と春乃くらいだし、つづちゃんは表面上喜びつつ気に入らなかったら毒吐きそうだし、薫は普通にダメだししてくるし、井原は……喜んでくれるな、なんでも。あいつ俺のこと好きなんじゃねぇのか?

 

「ほら、これとかいいんじゃない?」

「ん?」

 

 千里が手に持ったのは、小さな折り鶴の装飾が付いたイヤリング。全員がつけているところを想像してみるが、折り鶴ってなるとどうしても和のイメージが強くて普段は合わないような気がする。

 

「いや、ねぇだろ。普段使えねぇし」

「別に、こういうのは置物として使ってもいいんじゃない? 見てるだけで可愛いし」

「え? 僕を置物として君の家に置いてほしい?」

「耳イカレたのかブチカス野郎」

「今『耳イカレたのかブチカス野郎』って言った?」

「耳は悪くないみたいだね。おかしいのは頭だったみたいだ」

「今更だろ」

「改めろよ」

「確かに」

 

 言葉で合戦をしながら、千里がさっきのイヤリングを購入する。「つけていきますか?」と言われるのは流石と言うべきか。なぜか千里が俺をちらちら見ているのが気になるところだが、「大丈夫です」とちゃんと断れたみたいで一安心。あいつ一瞬俺に「可愛い」って言われたいからってイヤリングつけていこうか迷ったのかもしかして。

 いや、ねぇな。つけるにしても、それをネタにしてほしいからだろう。

 

「それ誰のお土産なんだ?」

「薫ちゃん。あの子小物好きだし」

「じゃあお前を切り刻んでやるよ」

「小さいかったらなんでも好きなわけじゃないし、何でも好きだとしても人間のこま切れ肉はホラーすぎて誰も好きじゃないよ」

「安心しろ。薫に見せるつもりは一切ない」

「ならいよいよ僕が細切れにされる意味ないだろ」

 

 千里が大事そうにイヤリングをしまって、ゆったりと歩き始める。こいつはどうせ薫にだけ特別にお土産をあげて、他のやつらのことは俺に任せる気なんだろう。顔にも「僕は薫ちゃんにだけお土産を買って、他の人のことは恭弥に任せよう」って書いてあるし。うるさすぎんだろこいつの顔。

 

「つか、小物にしても部屋の雰囲気が和風じゃなかったらミスマッチじゃねぇの?」

「だからだよ。異質だからこそ、僕があげたものが特別になるんじゃないか」

「キショ」

「恋とか愛とかってそんなものだよ。独占欲の塊なんだ」

 

 ふーん、と適当に相槌を打つ。嫉妬と似たようなもんか?

 

「ほら、例えば薫ちゃんの部屋に友だちが遊びに来た時、僕があげたものが部屋に置いてあったとして、友だちがそれを見るでしょ? で、自然と『あれ誰からもらったの?』って話になると僕の名前が出て、それが噂となって広がって、自動的に薫ちゃんの周りへの牽制になるんだ」

「お前も狙われるから牽制にならねぇじゃん」

「その時は君が僕を守ってくれ」

「お前どんどん男としてのプライドが薄れてきてねぇ?」

「君の前なら男としてのプライドなんて必要ないでしょ。強がる必要ないんだから」

 

 千里が綺麗に笑って、話は終わりだと言わんばかりに「あ、あれおいしそう!」と店に向かって走り出す。

 

 びっくりした。一瞬新婚旅行にきたのかと思った。

 

 

 

 

 

「はぁーあ。今頃恭弥と千里はセックスしてるんでしょうね。ところで日葵、今夜空いてる?」

「今夜を誘う史上一番怖い前置きやな」

「今日は薫ちゃんのところに行くから空いてないよ」

「なにぃ!!? 薫ちゃんのところでイくですって!!!??」

 

 ええ加減にせぇよ、と縛り上げられてしまった。なぜだか縛られることが多くて最近クセになりそうでこわい。これが私の性癖になったらどう責任をとってくれるつもりなんだろう。

 

 恭弥と千里がいないから、自動的に私たちは三人で集まることになった。別に集まる必要もないんだけど、あの二人が旅行って嫌な予感しかしないからこうして集まって不安を和らげようという算段である。あと夏だから日葵の薄着も見れるし。はぁはぁ。いつになったらシャワーから日葵の汗が出てくるのかしら。

 

「なーんかあの二人がおらんかったら結構静かなもんやなぁ」

「ね。なんか落ち着かないというか、物足りないというか」

「濃くなる前の小休止だと思いましょ。どうせ二学期になったら恭華がくるでしょうし」

「光莉がおるだけで十分濃いで」

「ははは」

「や、冗談やなくて」

 

 冗談かと思って笑っていたらまさか本気だったらしい。春乃がおかしくなってしまった。私ほど薄い人間はこの世に存在しないのに。縛られながら言うのもなんだけど。

 

「ん? そういえば今恭弥いないから、恭弥の部屋漁り放題ね」

「!!!!!!」

「よし。私が二人を止めなあかんみたいやな」

「あ、ち、違うよ!? 私そんなことしないもん!」

「どうやろなぁ。犯罪者の光莉ほどとは言わんけど、予備軍みたいなとこあるし」

「おい。今私のこと犯罪者って言った?」

「せやから今そうやって捕まえてるんやろ」

「なるほどね」

 

 これは一本取られたわ。うふふ。

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