【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第154話 学校初日

 八月後半。数年前ならまだ夏休みだったらしいが、教育熱心になった昨今八月最終週は普通に登校日になってしまっている。めちゃくちゃめんどくさかったから恭華に「代わりに行ってきてくれ」と頼んでみたら、「私も今日から一緒の学校に通うんだぞ」と言われてしまった。は? くんなや。

 

「チッ、折角学校行事のめんどくさいやつ全部押し付けようと思ってたのによ」

「お前は家族を影武者としか思えないのか?」

「んなわけねぇだろ影武者。俺は家族を平等に愛してるんだ」

「隠しきれてないぞ」

 

 見破られてしまった。流石俺の妹。

 

 恭華は俺たちの通う高校に行ったことがないので、俺が案内する形で一緒に通学路を歩く。性別は違えどかなり似た顔をしているからか、街行く人たちに物珍しそうな顔をされ、その度に双子揃って舌打ちをしていた。見せモンじゃねぇんだよカスども。

 

「流石に同じクラスはねぇよなぁ」

「それはそうだろう。双子を同じクラスにするとややこしいことこの上ない。まぁ性別が違うからそこまででもないだろうが」

「俺が女装して化粧すればいいんじゃね?」

「『いいんじゃね?』の意図を説明してくれ」

 

 いや、みんなに『どっちが恭弥/恭華でしょう!』っていうゲームをプレゼントするのかと思って……。ちなみに見破れるのは千里と日葵と光莉と春乃。千里と日葵と春乃は普通に見破ってくれるが、光莉は拳を握ってビビった方が俺だと断定する。なんでしっかり躾けられてんだ俺は。

 

「とにかく、恥ずかしい真似はすんなよ? 兄貴である俺が頭下げねぇといけねぇんだから」

「私は既に恥ずかしい真似をした恭弥の双子の妹ということで初日を迎えるわけだが、そのことについての責任感はあるか?」

「?」

「私の言っていることがわからないなら、どうやら血のつながりは嘘だったらしい」

「いやん! そんな悲しいこと言わないでん!」

 

 無視されてすたすた先を行かれてしまった。あ、そっちじゃないよ。うん。あっちあっち。

 

 

 

 

 

「今日からこのクラスの一員になる。自己紹介」

「氷室恭華だ。そこで『え……なんか予想はできてたけどマジで同じクラスなんだ……』ってアホ面してる氷室恭弥の双子の……妹だ……!! よろしく」

 

 妹って言うのがそんなに嫌なの……?

 

 ってそうじゃねぇ。なんで同じクラス? 同じクラスに身内がいるって気まずいどころの騒ぎじゃねぇよ。薫なら大歓迎だけど、恭華となると話は違う。ほぼ俺じゃんだって。俺が影分身の術してるだけじゃん。クラスのアホ共も「かわいい!!!!!」「流石氷室家の遺伝子!!!!!」「ふんでください!!!」「腰を振らせてください!!!!」って大騒ぎして、おい待て最後のやつ。最後から二番目もひどいけど、お前がひどすぎて霞みに霞んだわ。

 

「一時間目は俺の担当だったな。よし、めんどくさいから質問コーナーとかにしておこう」

「先生。私をアイドルか何かと勘違いしてませんか? 一時間持ちませんよ、質問コーナーで」

「じゃあ質問ある人」

 

 俺以外のクラス全員の手が挙がった。アイドルより人気なんじゃねぇか?

 

「好きな食べ物はなんですか!」

「薫の作ってくれた料理」

「兄である氷室恭弥のことをどう思っていますか!」

「家族」

「いや、続柄とかそういうのじゃなくて!」

「は? それだったらはっきり言えよ。全員が全員汲み取ってくれると思うなカス」

「ありがとうございます!!!!!」

 

 恭華から罵倒された男子生徒(名前は知らない)が顔を真っ赤にして興奮しながらぶっ倒れ、クラスの男子どもから羨望の眼差しとともにブーイングを受けていた。おい。俺の妹だからバカみたいなノリが通用するって判断してんじゃねぇよ。普通初日にこんなことしたら心折れて学校こなくなっちゃうからな?

 

「随分人気者みたいね、恭華」

「ん? まぁ顔はいいしな。俺と一緒で」

「ほんとにね。恭華とならディープキス五時間くらいできちゃうわ」

「二度と恭華に近寄るなよ」

「バカね。立ち状態の攻撃よ」

「ジョウダンってか? 殺すぞお前」

「冗談じゃなさそうね……」

 

 質問(及びセクハラ)の嵐に晒されている恭華を指して人気者だと評す光莉。お前も人気者っちゃ人気者だぞ。俺たちのせいで化けの皮剥がれてきて、親しみやすい上に優しい上に可愛い上におっぱいが大きいから。光莉のことだから気づいてるだろうけど、夏服だと装甲が薄くなるから男子の目がすごいし。

 

「おい恭弥、助けろ。なんだこのクラス。人から知能を奪い続けた成れの果てか?」

「あぁ、勘弁してやってくれ。発情してるんだ」

「なぜ勘弁できると思ったんだ?」

「あばばばばばばばばば」

「見ろ。光莉が感電してる」

「しょうもないぞゴミ」

「うえーん! しょうもないって言われたぁ!」

「おぉ仕方ないなぁよしよし。ところで光莉。俺に向けられた殺気について責任を取る気はあるか?」

「ごめん」

 

 いつものノリで泣きついてきた光莉を撫でていると、二つ、いや三つ、いや四つの殺気が向けられてきた。日葵と春乃と千里と恭華。日葵と春乃はわかるけど、千里と恭華はなんでだよ。ん? 私の前で恥ずかしいことするな? ごめん、俺は生きてるだけで恥ずかしいらしいから許してくれ。ん? 今日まだ僕と話してないのに……だって? 可愛いなお前。結婚しよう。

 

 殺気から逃れるために光莉を引きはがし、なんとかカバーしようと思ったのか光莉が俺を殴り飛ばしたところで終わりのチャイム。ちなみに先生は既に教室にいないため、鳴ったと同時に全員が自由行動を始めた。

 

 もちろん行き先は恭華のところ。

 

「ちょっ、助けっ」

 

 人混みに埋もれていく恭華を見ながらうんうん頷いていると、日葵と春乃、千里が俺と光莉のところへやってきた。日葵は恭華を心配そうに見ながら、春乃はにこにこしながら、千里も意外や意外、心配そうにしながら。

 

「大丈夫かな、恭華……」

「明日には収まってるだろ。それにあいつにも友だちが必要だろうしな」

「どさくさに紛れてお触りとかしてへんとええけどなぁ」

「その手があったか!!!!!!」

「あんた、恭華が薫ちゃんの姉だってこと忘れてない?」

「つまり恭華に働いた狼藉はそのまま薫に伝えられることになる。終わったな」

「足を舐めまわして許してもらうことにするよ」

「なんでそれが狼藉やないと思えんねん」

「あと性欲を振りかざしてるところ悪いけど、夏のお前は誰よりもエロイぞ」

 

 千里をボコボコにしてやろうと言葉の暴力を振るってやると、千里がゆらりと俺に接近し、しなだれかかってきた。そのまま俺の胸に手を添えて、真下から俺を上目遣いで見つめた後、艶っぽい唇を俺の耳元にそっと寄せる。

 

「ほんとうにえろいか、確かめてみる?」

「ビンビンビンビンビン!!!!!!」

「千里!! もう証明は終わったわ!! 離れなさい!!」

「離れて織部くん!! ずるい!!」

「日葵はおとなしくな! 喋る度自爆しそうやから!!」

 

 あまりのエロさに正気を失っていた俺が本当の俺を取り戻したのは、光莉と春乃が俺から千里を引きはがしてくれた数分後だった。千里を見れば「ざまぁみろ!」と舌をべっと出しており、吸いつきたくなってしまったため自分をぶん殴って正気を保つ。クソ、千里のやつまたメスを磨いてきやがったな……?

 

「それにしても、まだ恭華への質問終わらないんだ……」

「恭弥の妹だし、そうじゃなくてもあの見た目だもの。興味津々になって当たり前よ」

「めっちゃ綺麗やもんなぁ。恭弥くんの家族ってみんな顔もスタイルもええよな」

「褒めても200万くらいしかあげれないぞ」

「今君を褒め続けることで生計を立てようと決意した」

「ってことは一生一緒にいてくれるってことか。よろしくな」

「あ……うん」

 

 にっこり微笑んで頷いた千里に脳を犯された俺は、もうキスしてしまおうと千里の肩に手を置いた。かと思いきや光莉に腕を掴まれて一本背負い。持ち前の運動神経で受け身を取った後、光莉の手からすり抜けて追撃から逃れるためにすり抜けた時の勢いのまま床を蹴り上げて距離をとる。

 

「やるわね……」

「ふっ、俺もやられてばかりじゃないってことだ」

「闘志を滾らせているところ悪いが、私を助けてくれなかったお前たちに話がある」

「あ、恭華お疲れ。セクハラしてきたやついなかったか? もしいたんだったら俺が殺してやるよ」

「大丈夫。周りの女の子が守ってくれた」

「ちゅっちゅっ。可愛いわね恭華。私とセックスしましょう」

「俺に勝てる自信しかないからって堂々とセクハラ働くのやめろ」

 

 あと女の子からのセクハラならそんなに効かないぞ。ほら、恭華も顔をちょっと赤くして黙っちゃったし。え、うそ? そんなに耐性ないのお前。ほんとに氷室家の血入ってんのか? 俺も結構初心な方だけどお前相当だぞ。田舎で育ったらそうなっちまうのか?

 

「あ、恭華! 学校では初めましてだね!」

「日葵。同じクラスになれて嬉しいぞ。よろしくな」

 

 日葵と話している恭華を見て閃いた。もしや恭華に俺と似た格好をしてもらって日葵と仲良くしていれば、それは俺が日葵と仲良くしてると同義なのでは? つまりそれは間接的セックスということでは?

 

「それが成り立つなら、いつか恭華が結婚した時あんたどう考えるつもり?」

「それとこれとは話が別だと切り離して考えられるような人間だと思うか? 俺が」

「思わないから聞いたのよ」

 

 俺が一本取られた瞬間、二時間目の予鈴がなった。そういえば先生から恭華の席の説明がなかったと思い至り、仕方がないからと俺の膝の上に誘うと頭を掴まれて机に叩きつけられた。何っ、この戦闘力、光莉クラス……?

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