【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第167話 体育祭②

『それでは第一競技玉入れ開始!』

「氷室を殺せェ!!」

「応!!!!」

「なぁ春乃。なんで俺に殺意が向けられてんだ?」

「んー」

 

 春乃を背負いながら、なぜか俺にだけ向かってきた2-Bの男子の猛追から逃走を開始。バカなやつらめ。俺は確かに春乃を背負ってはいるが、そんなことは関係ない! 春乃は無駄な肉が一切ついてないから死ぬほど軽いぜ! 無駄じゃない肉もついてないけど。

 

「ほら、恭弥くんって女の子に囲まれてるやん? それに対する嫉妬ちゃう?」

「そうか! よし、それなら!」

 

 確かに俺は日葵に光莉に春乃に、あと妹だけど恭華とよく一緒にいる。モテないカスどもが俺に嫉妬するのも無理はない。それなら、その嫉妬を解消させるまでよ!

 

「よく聞けお前ら!! お前らも知ってるだろうが、俺は千里と付き合ってるんだ!!」

「氷室を許すな!!」

「織部はもう合法的に触れられる女の子みたいなもんだろうが!!」

「俺たちの法律の穴を返せ!!」

「春乃!! 嫉妬が増幅した!! どうする!?」

「アハハ!! あかん、ツボや!!」

 

 俺に恨みが募っていくのがめちゃくちゃ面白いらしく、俺の背中で春乃が楽しそうに爆笑する。クソ、それもこれも千里がメスすぎるのが悪い! 合法的に触れられる女の子っていうのは全面的に同意するけど、にしたってあいつは男だから嫉妬の対象になんねぇだろ、普通!!

 

 流石の俺でもこの大人数からの攻撃を捌き切るのは至難の業。どうにかして分散できないかと考えていると、俺の隣に千里を背負った恭華がやってきた。

 

「やぁ」

「おい千里。こういうのもなんだが、情けねぇとは思わねぇのか?」

「触れないでやってくれ。千里が性的すぎて、安全なのが私くらいしかいないんだ」

「哀れやな……」

「もう乗り越えたから大丈夫だよ」

 

 なるほど。千里は合法的に触れられる女の子みたいなもんだから、男子と組むのはアウト。だからといって千里は性的すぎるから女の子と組むのもそれはそれでアウト。なにより薫も見に来てるし、薫の知らない女の子と組むのはそもそもアウトだから、あとは知り合いしか残っていない。光莉は日葵と組むって聞かないだろうし、俺は早々に春乃と組むことが決まったからあとは……。

 

「井原は?」

「『ダチの彼女、あれ? 彼氏? どっちでもいいや! とにかくとる趣味ねぇからよ!』っていい笑顔で気を遣われたよ」

「私はいいのか? って聞いたら『双子だしな!』って言われた。あいつはよくわからん」

「というか恭華、平気なん? 千里一応男の子やし、密着してもうてるけど」

 

 その瞬間、恭華が面白いくらい顔が真っ赤になって更に足をもつれさせ、思い切りバランスを崩した。全力疾走で人を背負いながらこけたら大変なことになると慌てて助けに入ろうとするが、持ち前の運動神経で恭華が自力で持ち直す。ただし顔は真っ赤なままだった。

 

「春乃!」

「ごめん! 気にせぇへんようにしとったんやな!」

「い、いや、大丈夫だ。うん。大丈夫だし。千里はその、えっと」

「考えるな恭華! そうだ、この前父さんと母さんに無理やり一緒に風呂にぶち込まれた時に見た俺の裸を思い出せ!!」

「日葵ー!!!!!」

 

 光莉の叫び声が聞こえ、首を傾げながら声の方を見れば、光莉の背中で日葵が顔を真っ赤にしてほぼ気絶していた。

 

「あんたなんてこと言ってんのよ!! 日葵は脳内ドピンクでそういう想像すぐしちゃうんだから!!!」

「悪い!! あとなんでお前の周り誰もいねぇんだ!!」

「"覇気"よ」

「"覇気"、か……」

「変な納得してるとこ悪いけど、めちゃくちゃ追いつかれてるよ」

 

 あぁ、なんか後ろでめちゃくちゃ足音聞こえるなって思ったらそんなことになってたのか。マズい、このままだと集中砲火を受けて大量得点されちまう! 籠が小さいならまだしも、人一人入るくらいの大きさだから下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる!

 

 ……背に腹は代えられない、か。

 

「お前ら、よく聞け!!」

「どうした命乞いか!!」

「今俺を見逃してくれたら!! 千里のえっちな写真をあげます!!」

「神が降臨なされたぞー!!!」

「今すぐ武器を捨てろ!!」

「祝詞をあげろォ!!!」

 

 俺たちを追ってきていた男どもが持っていた玉がすべて天高く放り投げられる。俺は今、親友のえっちな写真と引き換えに勝利をもぎ取った。なんか隣からものすごい不満気なうえにどす黒い殺意感じるし、客席の方からも似たような気配感じるし、そこら中から「彼女の写真を他の男に……」「鬼畜……」「鬼の跡目……」と俺への誹謗中傷が聞こえてくる。

 

「恭弥」

「はい」

「なんで僕のえっちな写真を持ってるの?」

「え、お前は存在がえっちだからだろ」

「僕は氷室恭弥に縄で縛られて数時間舐りつくされました!!!!」

「おいテメェなんてこと言いやがる!!! 今すぐ撤回しろ!!!」

「恭弥。犯罪行為はダメだ」

「してねぇよ!! おい千里わかってんのか!! それお前にもダメージいくんだぞコラ!!!」

「恭弥くん。おろしてくれへん?」

 

 千里のこの一言が場内の混乱をもたらし、防御は完璧。攻撃に移った俺たちは化け物級の身体能力による暴力で2-Bを制圧し、完全勝利を手にした。

 

 

 

 

 

「お前らいい加減にしろよ」

「「はい……」」

「あのー。なんで私と恭華も正座させられてるんですか?」

「監督不行き届き」

「それは先生の役割じゃないか……?」

 

 恭華の鋭い指摘に、先生は微動だにしなかった。こいつ、聞こえなかったことにしてやがる……!!

 

 玉入れで勝利した俺たちだが、発言が大問題だったからか先生に呼び出され、四人仲良く正座している。ちなみに日葵は遠くで俺たちを見て羨ましそうにしている。多分仲間外れにされたみたいで寂しいんだろうな。カワユス。ただ背後で光莉がよだれたらしてるから気を付けてくれ。

 

「別に、普段教室であんなことを言っても構いはしないが、今日は保護者もきている。そんなところで縄縛り舐りつくしプレイ発言はかなりダメだ」

「言ったのは千里です」

「言わせるようなことを言ったのは恭弥です」

「私は被害者です」

「正直ちょっとおもろかったです」

「恭華以外完全にクロだな」

「っ」

「先生!! 確かにここに氷室が二人いるから氷室って言うとややこしいですけど、気安く恭華を名前で呼ばないでくれます!!?」

「めんどくさ」

 

 クソ、恭華が不意に男の人から名前呼ばれたから、顔赤くしてもじもじし始めたじゃねぇか!! あとめんどくさいって言ったかこの人。とんでもねぇクズだな。

 クズにドキドキさせられた恭華の背中を撫でてなんとか落ち着かせ、この人クズだから生徒に手ェ出しそうだなと思い、睨みつけて「恭華に手ェ出さないでくださいよ」と言うと、「俺がお前の両親と家族になりたいように見えるか?」と返された。じゃあ手ェ出さないな。安心した。

 

「お前らがどんなプレイをしていようと俺に止める権利はないが、それを公衆の面前で叫ぶのは違うだろ。自重しろよ」

「そもそもしてないんですけど」

「恭弥。僕としたくないの?」

「したいです!!」

「釣れました」

「釣られました」

「そうか」

 

 俺と千里は二人同時に先生の張り手をくらった。まさかこの時代に先生から暴力を振るわれるとは思わなかったぜ……。全面的に俺たちが悪いから教育委員会には訴えないでおいてやろう。あと一番悪いのはさっきから笑いをこらえてる春乃だと思うんですが。春乃に対する罰はないんですか?

 

「お前らが問題を起こすと焼肉もなくなるぞ」

「恭弥くん、もうふざけたあかんで」

「自信ない」

「私もふざけてへん恭弥くん見たくない」

「僕も」

「私は双子の兄がこれだって思われるのが嫌だからやめてほしい」

「は? どこに出しても恥ずかしい俺を捕まえてなんてこと言うんだ」

「だから嫌だって言ってるんだぞ」

 

 論破されてしまった。流石俺の妹、天才か? なんであの両親から俺と恭華と薫が生まれたのか甚だ疑問だぜ。両親の悪い部分は全部母さんの腹の中に置いてきたとしか思えない。

 だとしたら薫はお腹の中にいた段階で反面教師を見てたからあんないい子に育ったのか。納得した。

 

『次は2年生競技、借り物競争です! 参加者は入場ゲートにお集まりください!』

「ほら、いってこい」

「確か恭弥出るんだっけ?」

「なんか知らねぇ間にほとんどの競技出ることになってたからな」

「2-Bだけやなくて、うちのクラスからも恨みかってるからやろな」

 

 俺は優れた人間だから、嫉妬されて当然だろう。嫉妬と恨みはちょっと違う気もするけど気のせいだ。俺悪いことしてないし。多分。そういえば本物の犯罪者って自分が悪いことしたって思ってないよな。ちなみにこれは関係ない話。

 

 背中に「頑張れ」のエールを受けて入場ゲートに向かい、曲が流れると同時にグラウンドへ入場。借り物競争は玉入れみたいに殺伐としてないだろうから、気楽な気持ちでやれる。

 

『ルールは簡単! スタートの合図でスタートラインから走り出し、それぞれのコースに置かれた箱の中から紙を一枚取り出してください! そこに書かれているものを手にし、ゴールまで走りましょう! それでは第一走者の方はスタートラインに立ってください!』

 

 玉入れのように通常とは違うルールもない。ビリになったらクラスメイトからボコボコにされるくらいだ。光莉にいつもボコボコにされてるからその程度なら何も問題ない。

 

『位置について、よーいスタート!』

 

 持ち前の反射神経で好スタートを切り、一番に箱の前に到着する。慌てることなく箱に開けられた穴に腕を突っ込み、一枚の紙を掴んで取り出した。折りたたまれたそれを丁寧に開くと、そこには『好きな人』と書かれていた。

 

 さーて、どうしよっ、かな?

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