【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第177話 関係性

「意地張って無視しちゃってごめんなさい!」

「いいのよぉおおおお!! 私こそごめんねぇええええ!!!!」

 

 放課後、教室にて。

 

 一日中日葵と話せず死んでいた私は、日葵の謝罪を受けて無事息を吹き返した。恭弥たちを先に帰らせた時はついに絶交されるのかと思ったけど、やはり私と日葵は親友であり、生涯の友であり、運命共同体であり伴侶であり盟友であるらしい。私は号泣しながら日葵の胸に飛び込み、「今なら何やっても怒られないのでは?」という純粋な気持ちのもとこれでもかとほおずりをかます。ふふ、や、やわらか、い!!

 

「ほんとにごめんね? 光莉と話せてないっていう時なんかなかったから、どうやって話しかけようとか、どうやって謝ろうとかずっと考えちゃってて」

「いいの、いいの! 主観的に見ても客観的に見ても十割私が悪いんだし、日葵は謝らなくていいの!」

「……それで、えっとね」

 

 ビビッ! 日葵の体温が少し上昇した……? これは何か恥ずかしがっている証! え、もしかして私に告白してくれるとか? いやぁ、あはは、そんなそんな。私は告白どころかプロポーズを受け入れる準備もできてるけど、こんな教室でいきなりなんて。あ、仲直りセックスってこと!? ふふ、日葵ったら大胆!

 

「恭弥と春乃から、体育祭のね? なんでもいうこと聞くってやつで、その、もし仲直りできたら今日一日光莉をいっぱい甘えさせてあげてって言われてて」

「ちょっと待ってて日葵。心の友たちに連絡してくるから」

「わ、わかった」

 

 スマホを取り出しグループ通話を開始する。少しして聞こえてきたのは恭弥と春乃と恭華、そしてくぐもった千里の声だった。

 

『おう光莉、どうした?』

『こっちは私たちに黙って薫と放課後勉強会デートを約束していた千里をいかにして沈めようか相談していたところなんだが』

「そんなどうでもいいことはほんとにどうでもいいの。それよりありがとね恭弥、春乃。あなたたちのおかげで今日は熱い夜を過ごせそうだわ」

『反省してへんみたいやな』

 

 反省……? 日葵に甘えさせてあげてって命令をしておいて、白々しいセリフね。私が甘えていいってことはそれすなわちセックスだっていうのは恭弥と春乃ならわかっているでしょうに。

 

『あ、そうそう。どうせ光莉のことだから通話してくると思ってたから、今お前に対する命令を発表します』

『今日一日、日葵に性的な接触禁止! ってことで』

「マジかよ」

 

 私は膝から崩れ落ちた。日葵の可愛らしい心配する声が聞こえてくる。こんな、こんなことってない! 声を聞くだけで性欲が掻き立てられるのに、性的接触禁止だなんて! しかも日葵が甘えさせてくれるのに!? 心の友かと思ってたけど悪魔よ、悪魔! 信じられない。私たちの友情はどうやらここまでらしい。

 

『んじゃあまず手始めに、日葵ー? 聞こえとる?』

「うん、聞こえてるよ!」

『おっけー。光莉をぎゅってしてなでなでしたげて』

「了解です!」

 

 日葵が近づいてくる。さっきは恥ずかしそうだったのにやけにノリノリで、跪いている私をそっと胸に抱きよせると、そのまま柔らかく頭をなでてくれた。

 

「あ、あが、ぐぎっ」

「え、えっと、光莉が苦しそうなんだけど大丈夫なのかな……?」

『あぁ、それ喜んでるだけだぞ』

『あと性的なことができひんことに対する自制でそうなってるだけやから、大丈夫やで』

 

 日葵、いいにおい、柔らかい、手が優しい。あれ、むしろこれ性的なことしなくていいんじゃない? こうして抱かれて撫でてもらえてるってことは実質私は日葵の子どもってことよね? つまり日葵は私のママってことよね?

 ということはそれすなわち、私は日葵の子どもだから、ママのおっぱいを吸うことはなんにも性的じゃないってことよね!

 

『ちなみに日葵はお前のママじゃないからおっぱいを吸うのはアウトだぞ』

「今だけはあんたが私と同じ思考してるのが恨めしいわ」

「えっ!? そ、それって恭弥が私のおっぱい吸いたいってこと!?」

『これ以上墓穴掘らんようにするために恭弥くんは速攻で帰りました』

 

 ふっ、勝ったわね。日葵は私を抱きながら恭弥のこと考えてるから負けてるような気もするけど、恭弥が勝負を放棄したから私の勝ち。誰か敗北を教えてくれないかしら。

 

『ほな、これ以上は二人の邪魔なるから私もここらへんで失礼するわ』

 

 言って、あっさりと春乃がグループ通話を終える。そういえばどうでもいいから気にしてなかったけど結局千里はどうなったんだろう。多分死んでるから、明日さりげなくどうなったか千里に聞いてみよう。どうせ生き返ってくるし。

 

 そんなことより今は日葵の柔らかさを堪能するとき! と日葵に触れている肌に神経を全集中させていると、頭の上からため息の音が聞こえてきた。え、私を甘やかすのってそんなにストレス?

 

「日葵、無理しなくていいわよ? 別にあいつら見てないんだから、もう甘やかさなくても」

「あ、ううん違うの! 光莉可愛いしずっとこうしてたいくらい! さっきのため息は、その、光莉いいなぁって」

「それは体の相性がってこと!?」

「違うけど」

 

 違うらしい。

 

「恭弥と同じ思考ってところ。私から見ても似てるなーいいなーって思っちゃうから、ちょっと羨ましいなーって」

「あぁそういうこと。そうね、自分が持ってないものは羨ましいって思っちゃうものだけど、案外本人からしてみたらそんなにいいものでもないのよ?」

 

 例えば、恭弥の気持ちが誰に向いているのかはっきりわかっちゃったりとか。恭弥自身に恋してなかったらこれもプラスだとは思うけど、私の場合は違ったし。ほんとにあいつなんで私と似てるんだろ。人としての程度が一緒ってこと? 流石にそれはない。雲泥の差、月とすっぽん。私と恭弥はそれくらい人としての格が違う。

 

「でも、恭弥がしたいこととかほしいものとか知れたら、いっぱい喜んでもらえるでしょ?」

「私をいっぱい喜ばせてよ!! 今日葵と一緒にいるのは私でしょ!! 他の子の話しないで!!」

「えへへ、ごめんね? 可愛いなぁ光莉」

 

 おい、天使か? 自分でもクソめんどくさいムーブしたなと思ったのにより優しく抱きしめてなでなでされてるぞ。この子私のこと好きすぎない? それか底抜けに優しい? 答えはどっちも。つまり日葵は天使どころか女神。そんな女神の寵愛を受けている私はやはり天使。しかも可愛くておっぱいが大きい。

 

「にしても、ほんとに恭弥のこと好きよね。さっきの口ぶりだと恭弥の考えてることがわかったら全力で恭弥に尽くすんでしょ?」

「うん。だってす、好きだもん」

「私は?」

「もちろん光莉も好きだよ!」

 

 あーあ、光莉ちゃんわかっちゃうもんね。恭弥に対する好きと私に対する好きで熱量とか想いとか全然違うの。そりゃそうなんだけどやっぱり嫉妬してしまう。私のことだけ見てくれたらいいのにとか、私も小さい頃からずっと恭弥と日葵と一緒にいられたらよかったのにとか。日葵は私のこといいなって言うけど、私も日葵のこといいなって思ってるのにとか。

 日葵はそういうことを言っちゃうと本気で気にしちゃうから絶対言わないけど。

 

「ねぇ光莉。今日このままデートしにいこっか。仲直りもできたし!」

「あら、いいの? 私安い女じゃないわよ」

「えー? じゃあやめとこっかなぁ」

「すみませんでしためちゃくちゃデートしたいです。あわよくばその先にも行きたいです」

「それはだめ」

 

 それはだめらしい。まったく、高い女だぜ。

 

 

 

 

 

 千里を軽々しく殺そうとした時薫から連絡がきて、「千里ちゃんが無事じゃなかったら嫌いになる」と言われてしまったため千里を逃がし、春乃と別れて恭華と帰っている途中。

 

「あ、そういや恭華。今日井原から何か聞かれたか?」

 

 と、昨日のことがふと気になって聞いてみると、恭華はわかりやすく頬を赤くして目を泳がせ始めた。あ、これ何かあったな。

 ほんとにこれどうにかした方がいいよなぁ。俺も人のこと言えないけど、恭華はわかりやすすぎる。行くところに行けばあっさり悪い男に捕まってしまいそうな危うさがあるから、社会に出るまで、むしろ社会に出てからも俺が面倒見てやらないと。

 

「……その、相談してもいいか?」

「おう。なんせ俺は兄貴だからな」

「ありがと」

 

 いや、可愛すぎるので面倒見させてください。なんだなんだ、俺と双子だから俺と似たところがありすぎてちょっと嫌になるかなと思いきや、そういや俺自分のこと大好きだから嫌になるなんてあるはずもなく、愛しくて仕方がない。なんだしおらしく「ありがと」って。薫ならよっぽど弱ってないとそんなこと言ってくれないぞ。

 

「えっと、井原から連絡先聞かれたんだ」

「おう」

「で、恭弥の友だちだし、いい人だって知ってるから教えたんだ」

「うん」

「どうすればいいと思う?」

「何が?」

 

 数ターンくらい会話を聞き逃したのか? そんなはずはない。可愛い妹からの相談なのに俺が聞き逃すなんて絶対にありえない。っていうことは、恭華は俺なら伝わると思って言ってくれたってことだ。

 ならば考えよう。『井原から連絡先を聞かれて』『いい人だって知ってるから教えた』からの『どうすればいいと思う?』。恭華は男との関わりが極端に少ない上かなり初心だ。そんな恭華が男と連絡先を交換して悩むことと言えば、

 

「あぁ、そういうことか。別に気ぃ遣って連絡しようとか思わなくていいぞ。向こうが連絡してきてくれたら答えりゃいいし、もういいかなって思ったら途中で切ってもいいし。井原は無理に連絡するよりも、気ぃ遣わない方が嬉しいと思うぞ」

「あぅ、えっと、その、違うんだ。連絡先を教えた時にな?」

 

 あれ、『連絡先を教えたはいいものの、どうやって連絡をすればいいのかわからないし、連絡がきたときにどうすればいいのかもわからない』ってことじゃなかったのか? じゃあなんなんだ。なんで恭華はめちゃくちゃ恥ずかしそうにもじもじしてるんだ?

 

「……す、好きになったっぽいから、よろしくって言われて」

「ちょっと待っててね。お兄ちゃん井原と話があるから」

 

 俺は恭華を家まで送り届け、その足でオラクルへと向かった。

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