【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第24話 屋上五人

「修学旅行?」

「うん、一緒に回ってもええかなって」

 

 昼、屋上。朝日の相談に乗って次の日である今日、俺と千里はいつものように中庭へ行こうとすると、岸が朝日へ「一緒に食べへん?」と一言。それを了承した朝日は俺たちを見て、「ほら、あんたたちもきなさい」となぜか俺たちを誘い、日葵がいるのに断るはずもない俺が見事に食いついて結果、俺たちは屋上で昼食をとっていた。

 朝日は何を考えているんだろう。朝日は俺が日葵のことが好きで、岸が俺のことが好きってことを知ってるはずで、わざわざ同じ場所に集める必要もないと思うんだが……もしかして俺と日葵が仲良しこよしであることを岸に見せつけて、諦めてもらおう作戦か? 

 

 無理だろ。それ意識したら俺が日葵と喋れなくなる。ヘタレだし。

 

「私はいいわよ。男一人に女四人になっちゃうけど」

「ならないけど? 男二人だけど?」

「朝日今ナチュラルに千里を女とカウントしたな」

「しゃあないしゃあない。あまりにもメスすぎる」

「もう、ダメだよ? 織部くんは男の子なんだから」

「そうだ。僕は男の子だ。謝れ三人とも」

「俺今のに限っては女扱いしてねぇぞ」

 

 でも日葵に「もう、ダメだよ?」って言われてるのが羨ましすぎて俺も悪いことにしておいた。日葵に優しく叱られるのクセになる。俺変態だけど? やんのかコラ。

 

 岸が千里をメスって言った時、千里が気分悪くするかなって思って見てみたが、全然そんなことはなかった。知り合って間もない岸に言われたのに嫌な気分にならないってのは珍しい。仲いい相手に言われる分には問題ないけど、仲良くない相手に言われるのは嫌なはずなのに。

 もしかして、千里も岸が俺のこと好きってことを気にしてるんだろうか。それとも俺たちにメス扱いされすぎてもはや慣れたか?

 

「私もいいよ。人数多い方が楽しいし!」

「別に断る理由ねぇしな」

「うん。常識人欲しいって思ってたところだしね」

「やた! ありがとー!」

「なんで私に抱き着くのよ!」

 

 俺たちから了承を得た岸は、朝日に抱き着くことで喜びを表現。朝日ってこの中で一番背が低いから、背の高い岸に可愛がられているとすごく和む。いつもはあんなにバイオレンスなのに、今は可愛い女の子にしか見えない。

 もしかして岸を隣に置いておいたらストッパーになるんじゃないか? 俺たちに手を出そうとしたら岸に抱き着いてもらおう。ふふふ。これで俺たちの未来は安泰だ。

 

 岸が朝日を可愛がっているところをボーッと見ていると、日葵が俺の方に近づいてきた。突然のことにびっくりして死にかけたがなんとか耐えて、「どうした?」と聞いてみる。

 日葵は少し拗ねた様子で、俺の制服の端を引っ張った。

 

「光莉が私以外の女の子といて楽しそうで、嬉しいけどもやもやする」

「朝日は日葵が一番好きだから心配しなくていいって。あいつ絶対自分の命よりも日葵をとるぞ」

「夏野さん第一だよね。自分の中での基準が夏野さんとそれ以外」

「今は岸の腕の中で可愛くなってる朝日を見て笑ってやろう。ハハハハ」

「確かに可愛いかも」

「……離しなさいよ」

「やー。思ったよりやわこくて。めっちゃ女の子の体してるなぁ」

 

 あながち朝日への告白の手紙でも間違いじゃなかったんじゃないか? 岸めっちゃくちゃ幸せそうな顔してるぞ。でももっとやってほしい。朝日がされるがままってめちゃくちゃ珍しいしいい気味だから。そうなってる間は俺たちに暴力振るってこないし。

 今のうちにおっぱい揉んでもバレないんじゃねぇの?

 

「バレるよ」

「だよなぁ」

「? なんの話してるの?」

「男の話」

「ロマンの話さ」

「?」

 

 どうやら千里も同じことを考えていたらしい。こいつ可愛い顔して結構性欲に正直だよな。これで『好き=えっちしたい』を理解できないんだから意味が分からない。ただおっぱいが好きなだけなんだろうか。それとも朝日が好きとか? よく考えれば千里がセクハラ発言するの朝日に対してだけだし。

 

 それにしても、千里と日葵に挟まれているといい匂いがめちゃくちゃする。女の子特有のあれだ。フェロモンってやつだろうか? 好きな相手はいい匂いがするって言うが、あれは本当だと思う。

 あれ? じゃあなんで千里はいい匂いするの? 元から? こいつどんだけ女子力高いんだよ。

 

「や、やっと解放された……」

「やぁ。僕もやっていいかな?」

「ん? 私に抱き着いてほしいってこと? ええでー」

「いやっ、ちがっ」

 

 千里は岸の腕の中に閉じ込められてしまった。あーあ、朝日より可愛いわ。

 

「ちょっと春乃。織部くん男の子よ? もうちょっと警戒しないと」

「可愛いからオッケー! それに私あんまそういうの気にせえへんし」

「朝日。ちょっと日葵を連れて屋上から出て行ってくれ」

「欲望丸出しになってんのよクズ。それにしてもいじくられる織部くんえっちね」

「お前も欲望丸出しになってんだよドクズ」

「でも光莉よりなんかこう、色っぽいというか……」

「朝日。日葵が言うにはお前より千里の方が女子力高いらしい」

「当たり前じゃない」

 

 当たり前なの?

 

「……ほんまに男の子? 体柔らかすぎひん? 肉付きが女の子のそれなんやけど」

「や、くすぐったい! ど、どこ触って、というかどこ触ろうとしてんだよ!」

「あるかないか」

「あるよ! やめて! 岸さんも嫌でしょそこ触るの!」

「千里やったらノーカンやろ」

「何親近感湧いて名前で呼んでんだよ! 僕男だぞ! 性別一緒じゃないぞ! た、助けて恭弥! 痴女、痴女がいる!」

「よかったじゃん」

「よくねぇよ! 『お似合いだね。ウフフ』じゃねぇんだよ! 親友の股間がまさぐられようとしてるんだぞ! 助けろよ!」

「そういえばこの前流れ星を見たのよ」

「なんでこのタイミングでロマンチックな話してんだよ! クソ、夏野さん! もう君しかいない! 今思えばクズ二人に期待する方が間違いだったんだ!」

「お願い事したの?」

「ロマンにつられてんじゃねぇよ!!!!!」

 

 うわあああああ!! と叫んで暴れ、千里は岸の腕の中から抜け出し、俺へ向かってダイブしてきた。岸に色々されたから本能的に女の子を怖がっているんだろう。安心させるために俺の胸へしなだれかかる千里の背中をゆっくり撫でてやる。俺さっき見捨てたけど。

 

 うわ、こいつの体柔らかっ。

 

「なーなー氷室くん。ここだけの話、ついてるん?」

「俺も見たことないんだよ。だからまだついてない可能性がある」

「織部くん、恭弥から離れて」

「夏野さん。僕は男だ。安心してほしい」

「男でも安心できないのよ。そんな顔で男の胸に顔寄せるってもうセックスじゃない」

 

 お前俺がナンパから助けた時こんな顔で顔寄せてきただろ。あれセックスだったの? あとあの時より今の方がいい匂いするのなんでなの?

 

「ん-、やっぱり恭弥の近くが一番安心するね」

「はぁ? 氷室くん。そこのめちゃくちゃ可愛いメスどうやったら譲ってくれるん?」

「俺になれ」

「無理なこと言ってんじゃないわよ」

「光莉ならいけると思うけど……」

 

 俺もいけると思う。この中で一番可能性あるの朝日だし。だから千里も朝日にはめっちゃくちゃ気安いんだろうな。俺と似てるから。

 もしかして、日葵も朝日が俺と似てるから親友だったりしない? 無意識に俺を求めてたりとかしない? しない。あぁそう。

 

「つーか不用意にそういう発言するなよ。勘違いが加速するだろうが」

「恭弥だけは僕に何もしないってわかってるから」

「あーあ。犯されちゃった」

「夏野さん。光莉って結構おかしな人?」

「恭弥たちといると特にね」

 

 本当に朝日の外面は完璧だと思う。未だに朝日が『おとなしそうな女の子』って思われてることが信じられない。クズと暴力で形成されてるようなやつだぞこいつ。どこがおとなしいんだよ。しかもセックスとかえっちとか言うし、おっぱい触らせてあげるとか見せてあげるとか言うし。

 

 ドチャクソえっちじゃねぇか。

 

 まったく、よくない。男に対してそういう冗談はよくない。これから先も言ってほしいから特に注意しないけど。俺たち相手じゃなかったらひどい目に遭いかけて朝日が撃退していた。撃退できちゃうのかよ。

 

「さて、次は氷室くん可愛がろかな」

「待て待て。今服脱ぐから」

「恭弥さいてー」

「おい、男の俺を可愛がる? 冗談はやめろ」

「なるほど、夏野さん使ったら氷室くん操れるってことか」

 

 俺の最大の弱点がバレてしまった。

 

 てか今流れで俺のことをおいしく頂こうとしてなかった? 岸も『好き=えっちしたい』の思考の持ち主なら、俺服脱いでたらめちゃめちゃにされてたぞ。よかった。日葵がさいてーって言ってくれて。可愛かったし。あれを言ってくれるなら俺は一生最低でいいかもしれない。多分一生最低だし。

 

「それにしても、氷室くんカッコいいし、織部くん女の子みたいな顔してるし、なんでモテへんのかなーって思ってたけどそらそうやわ。二人が仲よすぎる」

「そうなのよ。そのせいで私なじめなくてなじめなくて」

「光莉は一番なじんでると思うよ」

「俺たちもそう思う」

「僕らと肩を並べられるのは朝日さんしかいないよね」

「自害すればいいの?」

「そんなに嫌なの?」

 

 こいつ本当に自覚ないのか? 朝日は完全に頭おかしいし、俺と似てるって言われるくらいだから相当だぞ。まさに女版の俺。まぁ俺が女になったらもっと美人に決まってるから、劣化版女版の俺。劣化俺。俺より下。ははは。

 

「光莉は告白とかされへんの? 夏野さんは前されとったけど」

「あんまりされないわね。男子の視線は感じるけど」

「私もあれが久しぶりだなぁ」

「氷室。日葵に告白したやつを片っ端から燃やしていくわよ」

「あぁ相棒。今夜はステーキにするか」

「こ、断ってるから! 全部断ってるから!」

 

 日葵が俺と朝日の腕を掴んで必死に止めてきたので、仕方なく止まる。日葵に告白なんて、とんでもないことしやがる。もしその現場に朝日がいたらそいつは死んでいた。俺がいてもそいつは死んでいた。クソ、俺が日葵に告白する勇気がないからってバカにしてんのか? 

 日葵が人気だってことはわかっていたが、何度か告白されてたなんて知らなかった。これは焦る。もしなんでもこなせるスーパー美男子が現れたら、日葵をとられてしまう。

 

 あれ? なんでもこなせるスーパー美男子って俺じゃね?

 

 安心した。俺が俺以外の有象無象に負けるわけがない。朝日は少し危ない。

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