【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第27話 新幹線メス

「あれ、新幹線の窓って美少女が映るんだな」

「僕のことを言ってるなら今ここで恭弥に襲われたって悲鳴をあげてやる」

「そうなったら開き直る」

「待って。僕が悪かった。話し合いをしようじゃないか」

 

 修学旅行、当日。修学旅行が楽しみすぎて寝れなかったなんてことはなく、むしろぐっすり二時間も寝て迎えた今日。当然のように俺と千里は二人席に座って、新幹線の中で友情の対話を楽しんでいた。

 

 自由な校風が売りのうちの高校は、泊まるホテルだけが同じで行動はほとんど自由。ただし事前に教師が選んだ場所以外は行くことができないというルールがあり、毎年のようにそのルールを無視して違うところに行く生徒が多数いるらしい。ただうちの校長は「自由だしいいんじゃない?」とこの方針を変える事はせず、うちの担任は「普段はぶられてるやつが見えてくるからな。そいつらには教師が大金使っていい思いさせるって決まりなんだよ。つまりゴミを買うのと一緒ってことだ」と清々しいほどのクズっぷり。

 

「ついたら即ホテルで、そっから自由行動だろ? 自由すぎねぇかうちの高校。よく問題起きてねぇよな」

「普段から抑圧がないからだろうね」

「はぁ、俺は日葵とえっちしたいっていう欲を抑えてるってのに」

「あんた、後ろに私たちがいること忘れてるの?」

「あぁ日葵。今のは朝日が言った」

「ちなみに日葵は寝てるわ。今日が楽しみであまり寝れなかったみたい。可愛すぎてさっき食べたわ」

「つまりお前が日葵ってことか。結婚してくれ」

「ちなみに日葵が寝てるっていうのは嘘よ」

「おいおい千里、何求婚してるんだよ? 修学旅行だからって浮かれやがって」

「寝てるのはほんとよ」

「いい加減にしねぇとブチ犯すぞクソアマ」

「なんで僕を見ながら言うの?」

 

 危ない。あまりにもメスな千里が隣にいるから思わず千里を見ながら言ってしまった。あと体を隠して俺から距離をとるのは様になってるからやめてほしい。

 

 後ろをそっと見てみると、日葵が寝ていた。激カワ。もう美術品じゃん。日葵が美術じゃん。なんでこんなに可愛くて美しいの? なんで日葵の隣に俺がいないの? クソ、信じられないくらいのクソ野郎が日葵の隣にいるなんて耐えられない。

 

「おい朝日。千里と席交代しろ」

「恭弥と朝日さんが交代するんじゃないの?」

「俺を寝ている日葵の隣に置く危険性を考慮しろ」

「そんなやつの隣に座りたくないわよ。私だって自分の体が大事なんだから」

「ナイスジョーク! アハハ」

「織部くん、ものすごく重いおもり持ってる?」

「俺におもりくくりつけて海に沈めようとするんじゃねぇよ」

「魚が死んじゃうもんね」

「俺そんなに汚い?」

「心が特に」

 

 バカ言うな。俺の心はめちゃくちゃ綺麗だ。日葵に対する想いは綺麗以外の何物でもない。他は汚いって言われても仕方ないと思ってる。

 まったく、隙あらば俺のことを殺してこようとしやがって朝日のやつ。ぶっ殺してやろうか? 俺が負けてぶっ殺される姿しか思い浮かばないけど。

 

「そういや修学旅行ってカップル量産されるらしいな。自由が故に」

「デートできるチャンスだしね」

「そういえば私も男子の何人かに誘われたわね。全員胸見てたから断ったけど」

「だから男子の数減ってたのか」

「殺してないわよ」

「ちゃんと全員揃ってたよ。忌々しいことに」

 

 朝日はともかくなんで千里は忌々しいとか言っちゃってんの? せっかく全員揃って修学旅行これたのに。まぁ俺ほとんど名前知らないけど。

 

 ここで千里と仲がいい俺はピンときた。朝日が誘われたという話題から、男子に対して忌々しいって言うってことは、それはつまりそういうことなんじゃないか?

 

「お前もしかして男子に誘われたのか?」

「……」

「ちょっと氷室。織部くんはあんたの手でメスにしないとダメじゃない」

「こいつは元からメスだろ。ってか俺と付き合ってるってことになってるのに誘ってくるバカがいんのか」

「……付き合ってるってことになってるから、そういうのもいけるって思われたんじゃないの?」

「ごめん」

 

 なるほどな。今まではめちゃくちゃ可愛い男の子で気になってて、それが男と付き合いだしたってなったからそこに飛びついてきたのか。俺から千里を寝取ろうとするなんていい度胸じゃねぇか。俺は日葵と薫の次に千里を大事にするって決めている。だから日葵と薫が危なくなったら千里は見捨てる。ごめん千里。

 

「そいつの顔と名前は? 修学旅行名物の木刀で叩き潰してやる」

「あんたは剣術すらできそうだからやめなさい」

「流石に言わないよ。僕が危なくなったらいうけど」

「危なくなってからじゃ遅いだろ。俺はお前に危ない目に遭ってほしくないんだよ」

「いやでもこういうのってプライバシーに関わることだし」

「お前が大事だって言ってんだ」

「んぅ……恭弥? どうしたの?」

「あぁ気にするな日葵。信じられないくらいどうでもいいことだ」

「そうよ日葵。おはよう。一番最初に私におはようっていいなさい」

「君たちなんかきらいだ」

 

 千里が殻に閉じこもってしまった。その隙に座席の隙間から朝日と目を合わせて頷き合う。

 千里から目離すなよ。織部くんに近づこうとするやつらからもね。

 

 アイコンタクトを交わし、念のため注意しておこうと二人で決めた。普段からメスだなんだって言っちゃいるが、千里にとってはデリケートな問題。俺たちは仲がいいから許してくれるし、何もいやらしいことをしないってわかってるからいいが、本当に性的な意味で近づこうとしてくる男はダメだ。千里にとっちゃ恐怖の対象でしかない。男なのに信じられないくらいのザコパワーの千里じゃ襲われたらすぐ終わりだ。

 

「……って、恭弥!? こっち見ないで!」

「日葵に拒絶された。俺は今から死のうと思う」

「違うわよ。女の子なんだから、寝起きの顔見られるの恥ずかしいに決まってるじゃない」

「あれ、朝日俺んち泊まったとき思い切り寝起きの顔でおはようって言ってこなかった?」

「あんたなら別にいいでしょ。気を遣う必要なんてないんだから」

「確かに。お前の裸見ても指一本動かねぇ自信あるわ」

「あら、なら今日見せてあげましょうか?」

「そういやつづちゃんが写真撮ってきて欲しいって言ってたんだ。その時に撮ろう」

「恭弥」

「おい朝日。今つづちゃんがどうとかっていう車内アナウンス流れなかったか?」

「苦しい言い逃れね。有罪よ」

 

 有罪判決を受けた俺は日葵の「ばか」という言葉にとどめを刺された。可愛すぎる。日葵がばかって言ってくれるなら俺は一生ばかでいい。あぁ、どうかこんなばかな俺を救い上げ、人生という華々しいロードを俺とともに歩いてくれないだろうか。太陽に顔を向けるひまわりのように、輝かしい未来へ向かって。

 

 ばかと言われたのが破壊力高すぎて頭がおかしくなっていた。これ以上おかしくなったら一周回ってまともになる。

 

「そういえばつづちゃんってどんな子? 後輩で新聞部の部長さんっていうのは知ってるけど」

「いい子だな。なんか無性に可愛がりたくなる」

「動物で例えるなら犬ね。ずっと尻尾振ってる感じ」

「会ってみたい……」

「ただ面白いもののためなら理性も倫理観も捨てる」

「だから言ったでしょ。獣だって」

「会いたくない……」

 

 日葵とつづちゃんが会う日が遠ざかってしまった。まぁ一回記事のネタにされてるし、苦手意識持ってても不思議じゃないけどな。日葵はそんな子じゃないって知ってるが、少し思うところはあってもいい。

 

 でも結構相性いいと思うんだよなぁ。暴走気味のやつって大体日葵と相性いいし。なんだろう、日葵と一緒にいると暴走気味のやつが浄化されるっていうか、ちょうどいい感じになるっていうか、俺たちが一瞬で爆速になる動力だとしたら、その爆速すら緩く見せられる世界そのものを作り上げるのが日葵。つまり日葵が世界。日葵が正しい。

 

「それにしても恭弥、最近女の子と一緒にいることほんと増えたよね」

「お、復活したか。そうだなぁ、日葵に朝日につづちゃんに岸。一年前とは比べ物にならない」

「四人程度で比べ物にならないって、あんたどんだけ悲惨な学生生活送ってたのよ」

「女だけが学生生活じゃねぇんだよ。なぁ千里」

「何言ってるの? 僕は女の子だよ」

「千里がおかしくなった!」

「気を確かに持つのよ織部くん!」

「もう僕が女の子なら全部丸く収まる気がしたんだ。あはははは」

「おい朝日! 千里とめちゃくちゃセックスして男の自覚植え付けてやれ!」

「こうなったら仕方ないわね……! 織部くん。トイレに行くわよ」

「ま、待って待って! 二人とも落ち着いて!」

 

 朝日に指示を飛ばす俺、真剣な顔で頷く朝日、朝日を全力で止める日葵、立ち上がる千里。

 

「……どうやら僕は男の子らしい」

「朝日とセックスって考えたら反応したんだな。よかった。お前は立派な男だよ」

「性欲に嘘はつけないものね」

「よかったぁ……」

 

 日葵がめちゃくちゃ安心している。ごめんな? 俺たちが騒ぎ過ぎた。でも千里が『自分が女の子なら』って言うなんて一大事なんだよ。それされると俺も受け入れてしまいそうになるから。

 だってよく考えてみろ。日葵を除けば千里なんてめちゃくちゃ理想の女の子だぞ? 自分のバカに付き合ってくれて、見た目もめちゃくちゃよくて、何があっても一緒にいてくれるっていう安心感。日葵がいなかったら絶対付き合う。

 

「氷室。念の為お風呂の時ちゃんとついてるか確認して」

「あぁ。でも千里の体を恥ずかしくて見れなかったらごめん」

「その可能性があるなら僕は君とお風呂に入らない」

「確かホテルに大浴場あったわよね?」

「じゃあ織部くん連れて行ったらダメじゃない?」

「夏野さん?」

「あ、ごめん! えっと、織部くんって可愛いから、みんな困っちゃうかなって」

「ついてるのに?」

「ついてるから困るんだよ」

 

 ついてないやつが入ってきたらもうそういうことだから開き直れるが、ついてる女みたいなやつが入ってきたら、「あれ? 俺って女の子が好きなんだよな?」っていう気持ちにさせられるから一番たちが悪い。こいつほんとに連れて行かない方がいいな。

 

「ご飯とお風呂の時間は決まってるから、一般客とはそんなに会わないと思うけど……」

「子どもがいたら最悪だよな。千里を見たら性癖が歪む」

「もう決めた。意地でもお風呂に入ってやる」

「悪いことは言わない。やめた方がいい」

「僕に何かあったら恭弥に守ってもらうし。ね?」

「……仕方ねぇなぁ」

「あんた、なんだかんだ織部くんに甘いわよね」

「……ふーん」

 

 え、日葵なにその反応。

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