【本編完結】ただ、幼馴染とえっちがしたい   作:酉柄レイム

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第87話 女子会

「みなさんってうちの兄貴のことが好きなんですよね?」

「うぇっ」

「好きやで」

「みぃっ!?」

 

 私の部屋、私を含めて女の子四人。「どうせなら女の子だけで集まりたいなー」ということで、男を追い出して今。千里ちゃんがどさくさに紛れて入ってこようとしていたのをあえて受け入れると、「もういいもん!」と言って逃げて行ってしまった。多分受け入れられたのが自分が女の子だって言われたみたいで耐えられなかったんだろう。ならやらなきゃいいのに。

 

 そんなこんなで、どうせならと兄貴のことをどう想ってるのか聞いてみようと思ったら、春乃さん以外ひどい反応。純情って感じ。春乃さんも純情なんだろうけど、根がイケメンすぎるから「好き」って認めることができるんだと思う。ほんとに気持ちのいい人だなぁ。

 

「な、なんでいきなりそんなことを? きょ、恭弥のことはす、すすすす好きだけど」

「日葵ねーさん落ち着いて。ちょっと気になったの。妹として、なんであんな兄貴を好きになってくれたのかなって」

「こっちが聞きたいわよ。なんであんなやつのこと好きになっちゃったのかって」

「私は疑問もなく好きやけどなぁ」

「は? 何? 私も疑問もなく好きだけど? 喧嘩売ってるの?」

「にひひ。光莉かわええなぁ。別に、好きなもんは好きなんやから、そんなん気にする必要ないで?」

「はぁ? なにも気にしてないけど? 春乃の方がまっすぐな好意だから私のこれってどうなのかなとか思ってないけど? 勝手な想像やめてくれる?」

「光莉さんかわいい」

「うるさーい!!!!!!!」

「いっちゃんうるさいで」

 

 下の階から「近所迷惑考えろよぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!!」と光莉さんに対抗する兄貴の大声が聞こえてきた。しばらくして光莉さんのスマホに『近所迷惑考えた?』というメッセージが届く。すかさず光莉さんは私の写真を撮って兄貴に送信すると、『世界一可愛い。すべてがどうでもよくなった』と返ってきて、光莉さんは勝ち誇ったような笑顔。どういうこと?

 

「でも、そういえば二人はいつから恭弥のこと好きになったの? 私は」

「昔からでしょ、知ってるわよ」

「恭弥くんって昔どんな人やったん?」

「先にいつから好きになったか教えて!」

「ちっ、逃げられへんか……」

「日葵ねーさんこうなったらしつこいですよ」

「日葵に一生しつこくしてほしい……」

 

 変態がいる。

 

 光莉さんは見れば見るほど、聞けば聞くほど兄貴と似ている。行動も言動も。今のだって光莉さんは女の子だから声に出して言えるけど、兄貴は声に出せないから心の中で思っただろうし、思考回路がほとんど一緒で、動きもすごく似ている。誕生日も一緒だし、もしかしたら双子なのかもしれない。

 ……お姉ちゃんって呼んでみようかな?

 

「ん-、そやなぁ。私は一年の文化祭の時かな?」

「文化祭? 何かあったっけ」

「あのとき恭弥くんのクラス喫茶店やってたやろ? 希望者だけ執事服とメイド服着るやつ。あれで恭弥くんが千里にメイド服着せて大騒ぎしてるの見て、おもろそうな人やなーって」

「あんた趣味悪いわよ。その場面見て好きになる人そうそういないと思うけど」

「もちろん、きっかけがそれやっただけで他にも色々あるで?」

 

 千里ちゃんのメイド姿可愛かったなぁ。あれは周りの女の子の自信という自信をへし折るくらいすごく可愛かった。兄貴も執事服着て接客するときはほんとの執事みたいに丁寧だったから、その一瞬だけ人気が出てたし。千里ちゃんと一緒にいるといつも通りになるから、「あぁ、あの二人は付き合ってるんだ」って勘違いされて恋愛的な意味で人気になることはなかったけど。千里ちゃんほんとじゃまだな。

 

「その色々はまぁ、色々なんやけど。光莉はいつから好きになったん?」

「さぁ。気づいたら、って感じね」

「どうせ私に遠慮して恭弥が好きっていう気持ちに蓋してただけだから、結構早い段階で好きになってたと思うよ」

「そ、そんなわけないじゃない。想像力豊かねほんと」

「恭弥くんの見た目は?」

「超好み」

「恭弥の性格は?」

「一緒にいて飽きない」

「ほら」

「ハメやがったな」

 

 うん、まぁ仕方ない。兄貴はカッコいいしスタイルいいし、性格に難はあるけどつまらない男ではない。好きになる要素はいくらでも詰まってるけど、見る目がないというかそもそも見る段階までいかないっていうのが兄貴。仲良くなる前に離れていくから、好きになる要素を見るまで行かないんだ。

 兄貴の性格はクズ。仲いい人が困っていてもその人が自分の力で切り抜けられそうならまず助けない。「俺は人の成長を妨げたくないんだよ」って言い訳するけどあれは完全にめんどくさいだけだ。無条件で助けるのは私と日葵ねーさん、春乃さんくらいだろう。つまり、クズ以外は助ける。

 

 でも友達想いで人たらし。一度仲良くなればずぶずぶ魅力にハマっていく沼のような人。沼に入りたい人なんていないから近寄ってこない。けど、安心した。高校生になって、やっと沼に入ってくれる人たちが現れたから。

 

「あのね、ずるいと思わない? 普段は雑に扱うくせに、女の子扱いだけはちゃんとするのよ? 私、根が乙女なのよ? きゅんってするに決まってるじゃない」

「兄貴、両親から『女の子には優しくしろ』って教えられてるので」

「ほえー。ええご両親やなぁ」

 

 正しくは『女の子に優しくしたらヤらせてくれる可能性が高まるから優しくしておいた方が性生活が充実する』だけど。いい両親だとは思うけどまともな両親ではない。

 ちなみに私は『恭弥が認めた男とだけ仲良くしろ。あいつはまともじゃないけど見る目はめちゃくちゃある』と言われた。それは本当にそう思う。兄貴の友だちに悪い人なんて一人もいないし。性格に難がある人はいっぱいいるけど、性格が悪い人は絶対いない。

 

「でも牛とか乳だけ女とか乳にしか栄養いってないからそんな変なことしか考えられへんやろ乳ボール女とか言われてんのにそれはええの?」

「最後のは何か個人的な恨みを感じたけど、別にそんなことで嫌いになったりしないし、おふざけの範囲だしね。私がそういうの嫌がる人だったらそんなことしてこなかったでしょうし。何より私をそういう目で見てくれてるっていうことだから、その、う、うれ、嬉しいと、言いますか……」

「自爆しとるやん」

「日葵ねーさん。いい親友見つけたね」

「ふふ。かわいーでしょ?」

 

 日葵ねーさんも可愛いよ。

 

 うーん、それにしても兄貴のことを好きになってくれた人たちがなんでこんなにいい人たちで、しかも可愛くて美人なんだろう。性格がよくて優しくて可愛い幼馴染に、おっぱいが大きくて気が合いすぎる可愛い女の子に、カッコよくて美人で優しくて、気持ちのいい性格の女の子。兄貴にはもったいなさすぎる。こんな素敵な女の子のうち二人をフるんだから、兄貴はとんでもない大罪人だ。

 

「千里ちゃんに見られるのはどうなんですか?」

「あんなの同性に見られてるのと一緒でしょ。ノーカンノーカン。見られて減るもんじゃないしね」

「一理ある」

「お、織部くんもちゃんと男の子だから、ね? 警戒してあげないと」

「千里は絶対変なことしてこないからいいのよ。変な発言はしても、薫ちゃんを裏切るようなことは絶対しないわ。だってそれ、恭弥を裏切るってことだもの」

 

 兄貴と千里ちゃん二人へのハマり具合で言えば、光莉さんが一番かもしれない。あの二人のことを一番理解しているのは光莉さんだと思う。兄貴単体ならわかんないけど、二人のことなら間違いない。この先どう転んだとしても、三人が一緒にいる未来が簡単に想像できてしまう。

 千里ちゃんはいやらしい、振りをしている。性欲に忠実になることで男としての自分を保ってるだけで、ほんとは誠実な人だ。だから絶対に人を裏切らない。もし万が一人を裏切るとしても、兄貴だけは絶対に裏切らない。千里ちゃん、まだ兄貴との交際を疑ってしまうほど兄貴のこと好きだし。つまり、兄貴の妹である私を裏切ることも絶対ない。

 

「でも言うても男の子なんやから油断したらあかんで。いけると思ったらいくのが男の子なんやから」

「恭弥と千里に関しては心配してないわ。信頼してるし」

「むしろ恭弥なら油断しておいた方がいいと言いますか……」

「へー。日葵ねーさん襲ってほしいんだ」

「そんなこと一言もいってないけど!!!??」

「私は日葵を襲いたいわ。失礼します」

「確保」

「違うんです! あの子が誘惑してきたんです!」

「光莉もおっぱい揉んでいいよって言うてほんまに揉んできたら叫ぶやろ?」

「殺すわ」

「強き者……」

 

 あと日葵ねーさんは別に誘惑してないよ。ただちょっと脳内がピンクなだけで、襲ってほしいとも言ってないし。好きな人には触ってほしいって思ってるのはほんとだと思うけど、実際そうなったらお互いに初心すぎて無理だと思うし。兄貴はほんとヘタレだから、妹として情けない。千里ちゃんで結構慣れてるはずなのに、変な慣れ方しちゃったんだろうか。なんだかんだまがい物だし……。

 

 でも、光莉さんとは距離すごく近いんだよね。今日も肩抱き寄せたりしてたし。あれって、今までがそうだったからこれからもそうしておかないと意識しちゃう、みたいなことなんだと思うけど、光莉さんはボディタッチ多い方が嬉しいから兄貴が緊張しないようにじゃなくて自分のためにそうしてるんだと思う。策士め。日葵ねーさんは奥手がすぎるからあんまりそういうところで差をつけようとするのはフェアじゃないからやめてほしい。

 春乃さんもすっごく考えて動くタイプだろうし、恥ずかしがって縮こまるタイプでもなさそうだ。元々性格的に兄貴の好みだから、かなり押していけば押し切られそう。なんだかんだ兄貴の隣に立って一番画になるの春乃さんだし。カッコよすぎる。

 

「……日葵ねーさん、お祭りのとき頑張ってね」

「な、なにを?」

 

 そんなんだから遅れをとるんだよ、まったく。

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