ダンジョンでアトランティスが続くのは間違っているだろうか? 作:食卓の英雄
いざ進め!人類最後のマスター達よ!
CMの村正最高!色々と言いたいことはあるけど最高としか表せぬ!急いで平安京クリアせねば!
(新章開幕の勢いで一ヶ月半空いた事を誤魔化す作者の屑)
後書きの強さ、修正しました。(2021/06/12 23時00分現在)
暗い暗い地底の大孔。その上層に当たる部分。
「おい!ちんたらやってんじゃねぇぞ!」
唾棄するような罵声が迷宮に響き渡る。冒険者である男はその怒りを隠しもせずに、一人の少女に叩きつける。
身の丈に合わない膨れに膨れた大荷物を背負い、体の殆どを覆ってしまえるローブに身を包んだ彼女は、その言葉に何の感情を示すこともなく、着々と斃れたモンスターから魔石を剥ぎ取っていった。
「………」
「チッ、役立たずのお前を使ってやってるだけありがたいと思えよっ、このカスが!」
男はそう言うと、少女に向けて痰を吐きつける。それでも少女はただ黙っているばかりで、やがて男も興味を無くしたように岩肌へ足を進める。
現れるモンスターを男は危なげなく処理し、少女は残った死体へとナイフを差し込んだ。
この二人組は終始この調子で、口を開くのはそれこそ先程のような仕事の催促や罵倒ばかり。傍目から見て、信頼関係があるなどとは口が裂けても言えないだろう。
苛立たしげに罵声を放ち歩む冒険者だが、生憎とここは神々でさえ見通せない
ズズズズズズズズズッ……!
「な……何だ!?」
揺れる、揺れる。全方位を岩壁に包まれたルームが。まるで何かの胎動を祝福するかの様に、冒涜的なまでの讃歌はダンジョンの内部を穿ち、そこに新たな孔を配置する。
孔は暗く、まるで本物の洞窟の様であった。明らかな異常事態に、男は動揺するが、その顔には笑みが浮かんでいた。
「オイオイオイオイっ…何だよコレ…!最高じゃねえか…!」
ダンジョンに新たに出来た道。当然、この存在を知るのはこの場にいる二人のみで、他の誰も。どんな一流ファミリアでも把握できていない。
そう考えると、男の口角はさらに高く吊り上がり、未来の栄華を夢想する。所詮、皮算用という奴だ。
「おいサポーターッ!この事は誰にも言うんじゃねぇぞっ!!」
「…はい、冒険者様」
男は意気揚々と洞穴へと歩を進める。誰も知らないという特別。ひょっとしたらという期待。もし何もなくとも、上層での未確認領域などはギルドに高く売れる。
一抹の不安も覚えたが、この第7階層程度、10階層以降まで潜っている自分には容易いに違いない。それに…いざとなったら
自らの明るい未来を信じて疑わない男は、サポーターを急かしてその暗闇の中に消えていった。それが如何に愚かな選択であるかを考えもせず。
――冒険者は冒険をしてはいけないとは、よく言ったものだ。
サポーターの少女が蔑む様な顔で見ていた事にも、その右手に赤き刻印が刻まれている事にも、興奮している男では分からなかった
◆◆◆
「それじゃあ、ベル君のレベルアップを記念して〜!」
「「「乾杯!」」」
「■■■■ッ!」
「か、かんぱ〜い」
怪物祭の激動から2日。すっかり動けるようになるまで回復したベル・クラネル。傷自体は次の日には完治していたが、極度の疲労と限界以上の魔力を使った精神疲労により今日まで寝込んでいた。
そして今この時、ベルのレベルアップを祝う食事会が行われているのだが……
「あ、あの…。何で皆さんまでいらっしゃるんでしょうか…?それに、皆さんの様な英雄を饗すような食事なんてありませんし、お店なら前にイアソン様と行ったことのある場所があって……その」
視線をあちこちへ移動させ、あわあわと震える様子はまるで迷子の兎のよう。
居心地が悪そうに顔色を伺う彼に小さな紐神、ヘスティアが応える。
「それは僕の案さ!」
「え、神様の…?」
怪訝そうに見つめるベルにウィンクしてからその豊満な胸部を張る。
その表情はとてもイイ笑顔であった。
「いやあ〜、僕だってもっと豪勢にしたいのは分かるさ。うんうん。でもね。ちょ〜っと、問題が多すぎるんだ・よ・ね!」
「は、はひっ?」
そのままズカズカと歩み寄り、困惑するベルの柔らかいほっぺを引き千切らんばかりにぐいーんと伸ばす。
「大幅な世界最速記録の更新に加え、こんな先史時代の英雄達なんて!おおっぴらに出来る筈が無いだろぉっ!!?」
「はみひゃま、いひゃい、いひゃいれふ…」
それも当然。今までのレベルアップ最速記録は丸々一年。これでさえ当時のオラリオが湧いた程で、それを一ヶ月未満で成し得たのだ。不正を疑われても仕方無い。
これだけならばまだ良かったのだ。
真の問題は共にいる仲間の方だった。
「イアソンに王女メディア!僕達がこの世界に移る前の地球の英雄じゃないか!ヘラクレスやアスクレピオスなんかはその身一つで神にまで至った大英雄!!何でそんなのがこの世界にいるんだよぅ〜〜!!?」
「ふばば、ほふにも、わはいまへん!?」
「まったくもう!なんでそんなこと黙ってたんだようっ!イアソンくんも!早めに言ってくれればこんな事にならずに済んだのに…!」
怒ったかと思えば急に涙目になり、しまいには青い顔でお腹を抱えるヘスティア。ベルは翻弄されているようで話が進まない。
「おい、いつまで漫才をやっている。この俺が祝ってやると言っているんだ。こんな狭苦しい場所での宴など本来なら即刻キャンセルしている所だぞ!」
「あ、ああ、ごめん。イアソンくん。ちょっと色々あって…。というか主なストレスが君達なんだけどね…」
イアソンの言葉で気を持ち直したヘスティア。そこからはようやくと言った様子で小さな宴が始まった。
新しく買ったテーブルには豪勢な料理が並び、どれも僕の好みに合うものだった。村では見かけなかった料理や、オラリオでも馴染みの料理などもあり、最初は量に圧倒されるも、全然苦にならない。
話を聞いていく内に、どうやら豊饒の女主人へ行かない理由はいくつかある様で、僕のランクアップ早さに関する諸々や、問題になってしまった『ロキ・ファミリア』が常連だからだという。
「ふふっ、楽しんでますか?」
舌鼓を打っていると、メディアさん…様?が腰掛ける。
「あ、はい。…いえ、実はまだ祝いとかは実感が湧かなくて…」
「いえいえ、私には分かりませんが、偉業を成したのでしょう?ならばそれは素晴らしいことです。イアソン様だってそんな日はありましたしね。…それで、その、どうでしょうか?」
白磁の様に白い肌に、くりりとした大きな瞳。サファイアの如く輝く青い髪は、神様達と比べても遜色ない程に整っている。その幼い風貌は可憐な華の蕾の様。
そんな彼女に問われ、思わず言葉に詰まる。
「え…っと、ど、どうとは…?」
「もうっ、イアソン様の事です!イアソン様はあの性格ですので、マスターとの関係は、と思ったので」
「あ、ああ!その事ですか!」
意外にも、と言うと語弊が生じそうだが、話が弾み色々な事を聞いた。アルゴー号での出来事や、イアソン様のお話など、その場に居た人のそのままの話に、僕は惹き込まれていた。
メディアさんもこっちでのイアソン様の事を話すと、楽しそうに笑ってくれ、段々と緊張は解れてきた。
「おいベル、くれぐれも気をつけておけよ?メディアは可憐だが、かつて俺の為にとはいえ幼いおと「イアソン様?」ハイゴメンナサイ……」
……怒らせたらいけない事も充分学んだ。綺麗な笑みだっただけになおさら怖い。そういえば昔、おじいちゃんに笑うとは本来攻撃的なものというのを聞いたことがある。それを今になって理解する日が来るとは思ってなかった。
「■■■…」
「何だヘラクレス?…あまり偏った食事を摂るな、だと?ハッ!俺はサーヴァント!生前と違ってそんなものに気をつけなくていいのだ!」
「■■■■■ッ!!!」
「待てっ、何をするつもりだ!?止めろ、バカッよりにもよってそれはっ…ギャーーッ!」
ヘスティア様が何かに吹っ切れた様に爆食いしたり、ヘラクレスさんが天井に頭をぶつけて崩れかけたりと、色々あったけどとても楽しかった。
飲んで騒いで、歌って踊り、宴も一段落という所で、ヘスティア様が包みを取り出した。
「さあっ、ここでプレゼントの時間さ!」
故に、その言葉は正に寝耳に水だった。
「え…ええええええええぇぇぇぇっっっっっ!!?」
「むぅ…なんだいその反応、もしかして僕が子どもの祝い事にプレゼントもあげないようなヤツだと思ってたのかい?」
僕の反応に目を丸くし、頬を膨らませてジト目で睨みつける神様。
「い、いえいえいえっ!そんな事はっ!?ただ、新しい装備を貰って、その上こんな事までしてくれたのに、更にあるなんて思ってなくて…」
「フム…君はちょっとそういうのに慣れてないのかな?まあ、貰えるものは貰っておいて損は無いさ。ということで受け取ってくれるかい?」
「は、はいっ勿論!」
か、神様からの贈り物…!
「あ、開けてみてもいいですか!?」
「ふふっ開けてみてくれ」
包みを開けると、出てきたのは柄から刀身まで真っ黒いナイフ。柄にはファミリアのエンブレムである聖火の灯った炉に、ロバの刻印が彫られ、刀身には輝く神聖文字がびっしりと刻まれている。
「ナイフの……レプリカ?」
よく見ると、刃が潰されていて、柄にも穴がついていたりと、とても出来のいいアクセサリーだった。
「ふふん、僕がヴェルフくんに依頼したんだ。それでモンスターを斬るとかはあまり出来ないけどね。…まあ、一種のお守りみたいな物さ。…一応、超硬金属だから、そう簡単には壊れないよ。見た目はちょっと物騒だけど、冒険の最中に寂しくなったら、これを僕だと思ってくれ」
「ばい…ありがどうございまず……!」
う、嬉しい…!まさかこんなものを貰えるなんて……!僕は幸せ者だ…。
「ほら、イアソン様も」
「う、うるさいっ、分かっているそんな事!」
僕が感動していると、イアソン様がバックパックを渡してきた。
「あれ、イアソン様…これ、僕の…ですよね?」
どこから見ても、今使っているバックパックだった。見た目が同じだけかとも思ったが、使われた跡がある。
「あー、その、あれだ。受け取るがいい。メディアに言って改良しておいた。見た目よりずっと多くの量が入る。まあ、精々役に立ててみせるんだな」
「イアソン様…!」
そういえば、最近はバックパックの容量で一々戻らなきゃいけない、って愚痴ってたかも…。まさか、イアソン様それを聞いて…?
「中は異界になっていて、かなりの容量を確保しているらしい。詳しい話はメディアに聞け」
「はいっ!その内部はイアソン様の要望で空間の拡張に重きを置いています。内部の空間は5メート…こちらでは
そ、そんなに凄い魔道具に…!?
「イアソン様、メディアさん……、ありがとうございました!!」
「……まあ、容量に力を入れ過ぎたせいで、重さはそのままなんですけどね」
「何?待て待て待てっ、俺はそんな事聞いていないぞ!?」
「…………てへっ☆」
「そうやって誤魔化そうとしても…ぐぅっ……可憐だ…!」
「ハ、ハハ…大切に使いますね」
目の前で起こる寸劇に苦笑いを零しながらも、心からの感謝を告げるのであった。
「僕、あまりこういうのをした経験は無かったんですが、とても、本当にとても嬉しかったです。神様も、イアソン様も、改めてありがとうございました!」
再度礼を言い、顔をあげると、そこにはしたり顔のヘスティア様が腕を組んでいた。
「ふっふー、これだけだと思うのかい?」
「へ?まさか、まだ…?」
「そうさ!まともな人間じゃないけどヘスティアファミリアの新メンバーさ!」
「ええぇっっ!?」
し、新団員!?ヘスティアファミリアに!?こ、これで僕も二人でダンジョンに…!いや、待て待て、冷静になれ。戦闘をしたいとは限らない。取りあえずは話を聞いてから……。
「それじゃあ呼ぶよ?オデュッセウスくーん!!」
新しいメンバーの名前を声高々に叫ぶヘスティア様。まだ見ぬ新メンバーに僕の心は早鐘をうち――!
「「…………………」」
「……あれ?」
その声への反応は無く、あたりに沈黙が広がる。
「オデュッセウスくーん?おーい!」
何度呼ぼうと、その新団員が姿を現す事は無く、痺れを切らした神様が上へと登っていった。……かと思えば血相を変えて戻って来て、イアソン様へ掴みかかる。
「イイイイイアソンくん!??こ、これはどういうことだい!?何処にも居ないじゃないか!?」
「あ?そんなもの霊体化して………??んん…?…メディア」
「はい…あの、本当にこの場にはいらっしゃらない様です」
えっ……と、つまり?
「ど、何処行きやがったあの冒険野郎ーッ!!!??」
顔合わせは、まだもう少し時間が掛かりそうです。
オデュッセウスがどこにいったのは知らぬ。何かそんな予定は無かったのにどっかに冒険しにいってしまった。
2021/07/23(追記)
よくよく考えれば強さとか明確に表しちゃうと使い勝手とか悪くなっちゃうので、消しました。それと新しい情報の解禁に伴い、本作の予定していたストーリーに多大な影響が及んでしまいました。どうしよう…。
ここまで読んでくれた方へ。この小説の文字数とテンポはどうでしょうか?
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文字数もテンポも丁度いい
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文字数はいいけどテンポが遅い
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文字数はいいけどテンポが早い
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テンポはいいけど文字数が多い
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テンポはいいけど文字数が少ない