ダンジョンでアトランティスが続くのは間違っているだろうか?   作:食卓の英雄

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テスト期間なので危ないです。
暫くは無いと思ってくださいな。

《追記》
ステイタスの表記を少し変えました


七日目の今 〜ヘスティア・ファミリアにて〜

『迷宮都市オラリオ』

 この街は、中世ヨーロッパを彷彿とさせる街並みで、街の中央には、ダンジョンの蓋の役割を兼ねつつ、様々な用途を持つバベルの塔が、堂々と聳え立っていた。

 

 迷宮都市という名は、ダンジョンがあるからに他ならないが、もう一つの理由として、大通りを除くと細々とした道や分岐した通路が多く、まるで迷宮の様な構造になっているのだ。

 

 そんな都市のある一角。具体的に言うと北西と西のメインストリートの間。そこには一つの寂れた廃教会があった。

 

 誰も寄る事などない様な廃教会だが、夕方、その廃教会に訪れる者がいた。

 

「神様ー!イアソン様ー!今帰りましたー!」

「ええいっ、叫ぶな!無駄に響くだろ!普通に言え普通にっ!」

「おっかえりー!まあまあ、確かにイアソン君の言う事も一理あるけど…外まで響いてるわけじゃないんだから…ね?」

 

 地下室への扉を越え、その部屋に入ってきたのは穢れのない真っ白な髪にルビーの様な輝きを持つ少年、ベル・クラネル。

 それに返すのは金髪碧眼のこれまた端正な顔立ちの男、イアソン。

 そしてベルの帰還を喜び、イアソンを宥めるのは、黒い髪を二つに結んだ美少女。胸元が開いたホルターネックの白いワンピースに、左二の腕から胸の下を通して体を巻き付けるように青いリボンを結んでいる。用途は謎だ。

 

 ここは『ヘスティア・ファミリア』のホーム。

 オラリオに着いたベル達は、早速ダンジョンへ殴り込みをかけたが、ファミリアに所属して恩恵を貰っていないという理由でギルドに止められる。

 ならばとファミリアを探すも、見た目ヒョロそうなベルは入れてもらえず、入れてもらえそうな所は大概ソッチの意味でだったりする為蹴った形だ。

 

 こうしてイアソンが愚痴を連ねていた所をヘスティアが勧誘した形になる。

 当初、ギリシャ系の神格を悟ったイアソンは全力で拒否したが、名前を聞き(ヘスティア。竈の神にして不滅を司る存在…か。変な神、それこそ他の十二神クラスに拾われるよりも遥かにマシだ…)と容認している。

 

 その身に不釣り合いな立派なモノを持つ彼女は嬉しそうなベルに問う。

 

「どうしたんだいベル君。何か嬉しいことでもあったのかな?」

 

 その言葉に待ってましたとばかりに食い付くベル。懐から取り出したのはヴァリスの入った袋。ここまでは冒険者として何の変哲もない日常の風景だろう。

 

「こ、これはっ…!」

「ん?昨日より多いな。色でもつけてもらったのか?」

 

 数字にして約一二〇〇〇ヴァリス。これまでの収入が平均して八〇〇〇ヴァリス程であることを考えるとその差は1.5倍である。これにはヘスティアもニッコリ。

 ベルが「今日はいつもより多く倒したんですよ〜」と呑気に言っているが、これは異常である。

 

 第一、レベル1冒険者5人のパーティーの一日の稼ぎが二六〇〇〇に少し及ばない程度。レベル1冒険者の一人あたりの収入は約五〇〇〇ヴァリスと言うことになる。

 ここまでなら、ステイタスの高いレベル1なのだろうと納得することもできる。しかし、このベル・クラネルはまだ冒険者登録をしてから七日しか経っていないのだ。

 初日こそロクに稼げなかったが、それが当然であり、むしろそこから如何に発展していくのか…というのが一般的な冒険者である。

 

 先に述べた平均収入も、ある程度以上の月が経ち、安定したパーティーを持って、という条件がついている。

 

 とても冒険者を始めて一週間の者が手にする金額ではないが……。平均を知らないのでイアソンもヘスティアもそれに驚きはしない。精々が『思わぬボーナスが入って嬉しい』程度の感情だろう。

 

「ここから生活費諸々とファミリアの貯金分を抜いて……と。はい、ベル君とイアソン君の分だね。勿論、稼いでるのはベル君だから7:3だよ」

「ありがとうございます、神様。えーと、今ある分も合わせれば…ちゃんと自分の装備が買えるかも…!」

 

 ベルは自分の装備の新調を夢見て、イアソンは黙って懐にしまう。

 夕飯の前にステイタス更新をしよう。という話になり、上着を脱ぎ、寝転がるベルの背中にヘスティアが跨がる。

 

 背のエンブレムは言葉のとおりに各個人のステイタスを表し、ダンジョン等で得た経験値(エクセリア)をここで更新するのだ。

 

「……おぇ……ふむふむ、今回もかなり上がってるよ。スキルは……残念ながら、うん。残念ながら発現していないようだけど、それでも凄いさ!うん、凄い!」

「そ、そうですか…」

 

 ステイタスを見てやや硬直したヘスティアだったが、直ぐにベルのステイタスを鬼神もかくやという勢いで写し始める。

 

「はいっ!これがベル君のステイタスさ!」

 

 ベル・クラネル

 Lv.1

 

 力:G228→F301(+73)

 耐久:I86→F143(+57)

 器用:G283→F347(+64)

 敏捷:E426→D513(+87)

 魔力:G240→G280(+40)

 

《魔法》

 

----

 

《スキル》

 

----

 

「あれ?スキルの所にシミが…」

「ところでイアソンくん!!君は本当に神の恩恵を刻まなくていいのかーい!?今ならついでにやっちゃうぞー!」

「いらんわそんなもの!そんなものに管理される気は無い!第一、俺はそのダンジョンには潜らないのだからいいだろう別に」

 

 ベルが言及しようとするも、突然大声を上げたヘスティアに掻き消されてしまう。

 

 少々納得のいかない顔をするが、その考えは直ぐに消える。

 

「あれ、ところでイアソン様って普段何をしているんですか?」

 

 イアソンとつかみ合いになっていたヘスティアも、ここ一週間ダンジョンに潜らず、昼にぶらぶらしている眷属()の収入元が気になるようで、ベルに便乗して聞いてくる。

 

 イアソンはやれやれと肩を竦め、当然の様に語りだす。

 

「おいおい、この俺がただ街を歩いているだけだとでも思ったのか?この俺にかかれば金を稼ぐ事などそう難しい事ではない」

「何をしてるんですか?」

 

 ベルが問うと、イアソンは勿体をつけて応えた。

 

「――ギャンブルだ」

「え?」

「はい?」

 

 ヘスティアとベルは共に鳩が豆鉄砲を食らった様な顔になる。

 

「ちょ、ちょっとイアソン君!ギャンブルなんてこんな零細ファミリアでやることじゃ無いだろう!?いや、お金持ちになっても僕はあまり推奨しないけど、ああいうのにのめり込むとロクな大人に――」

 

 ぷんぷんと怒りながら説教をするが、当のイアソンはどこ吹く風。耳をほじりながら適当に受け答えしている。

 

「あ、あの、イアソン様。ギャンブルで稼げてるんですか?それなら神様も…」

「いや、今の所ちょいマイナス位だな」

「ええ!?」

 

 なんとも自信満々に語るものだから儲かっているのかと思ったベルは驚愕する。そしてヘスティアもそのツインテールを振り乱しながら説教に拍車をかける。

 

「まあ落ち着け。これは狙ってやった事だ」

「狙ってやった?」

「ああそうだ。ポッと出の金も無い奴がいきなり勝ちまくりの様じゃ、不正を疑われるか、単純に反感を買う。ひょっとしたら負け勝負に呼ばれるかもしれん。まあ、そんなものに騙される俺では無いが、その後入れなくなるだろう。故に、今は足繁よく通い、勝ち負けをウロチョロする一般人だと思わせている。負けの回数や掛け金を調整してプラスにしていくつもりだ。そうすれば、いずれは大金を稼ぎ、このファミリアの資金に出来るのだ…!どうだ?ただ遊んでいる訳では無いと分かったか?」

 

「うぅ…ごめんよイアソン君。眷属を疑うなんて…」

「眷属じゃない。いや、いいんだヘスティア。間違いは誰にだってある。この私にだってヘラクレスにだってあるんだ。本当に大切なのはその先だと言うだろう?」(ここでキラン、とウィンクする)

「おお…!イアソン君…!君やベル君みたいな眷属を持てて僕は幸せだよ!」

「はっはっは。ベルは眷属だが私は違うぞー」

 

 感無量と言った様子で喋るヘスティアだが、ここでベルが気づく。

 

(あれ、ギャンブルは駄目だって話をしてた様な…。それに、必ず勝てるわけじゃ………。まあいいか)

 

「あ、夜ご飯何処かに食べに行きませんか?折角稼げたんですし。ちょっと奮発しちゃいましょう!神様の分は僕が奢ります」

「いいねそれ!さあイアソン君、準備をしようじゃないか!よーし食べるぞーっ!できれば胃に優しいのをねっ!!!!」

「どっちだ!?」

「あははははは……」

 

 態度が豹変したヘスティアに二人は少し引き笑い。

 ヘスティアはベルの手を握り外へ駆け出し、それを面倒くさそうにイアソンが追う。

 ヘスティア・ファミリアの一日とは大体こんなものである。




 ベル・クラネル
 Lv.1

 力:G228→F301(+73)

 耐久:I86→F143(+57)

 器用:G283→F347(+64)

 敏捷:E426→D513(+87)

 魔力:G240→G280(+40) 

《魔法》

----

《スキル》
【英雄憧憬】
・早熟する。
・憧れの続く限り効果持続
・憧れる英雄の数に応じて効果上昇
・その英雄への理解が深い程効果上昇

尚、アルゴノーツの船員の話は事細かにイアソンが毎日しているものとする。
ヘスティアの胃壁はかつてないほどの速度で削られていますね。
これはもはや“成長”を超えて“飛躍”……を超えて“飛翔”!

ここまで読んでくれた方へ。この小説の文字数とテンポはどうでしょうか?

  • 文字数もテンポも丁度いい
  • 文字数はいいけどテンポが遅い
  • 文字数はいいけどテンポが早い
  • テンポはいいけど文字数が多い
  • テンポはいいけど文字数が少ない
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