ダンジョンでアトランティスが続くのは間違っているだろうか? 作:食卓の英雄
何よりも怖いのが展開が遅れることよりも喋り口調や性格、解釈違いなんだよなぁ…
※前話において作者にはロキ・ファミリアを貶める意図はございません
「お、おお…!おのれぇーっ!ヴァレン何某ー!!!ベル君に何て事をっ…!世間では色々とちやほやされている様だけどとうとう正体を表したな!へんっ、所詮ロキの子供、親に似たんだな!」
(あの、神様は何でこんなに怒ってるんですか…?)
(は?マジで言ってんのかお前?)
肩を折った翌日、ヘスティア・ファミリアホームである廃教会にて、ヘスティアは荒れていた。勿論その理由は先日の一件。
ごく当然の事だが、いくら冒険者とはいえ、他者を理由なく傷つけてはいけないし、他ファミリアともなればそれ相応の対応というものがある。
……そちらに関しては、イアソンが逃げ出した為に交渉の場にすら漕ぎ着けていないのが現状だ。
「あぁーっ!もうムシャクシャする!いいかいベル君、僕は今からバイトだけど君は安静に、間違ってもダンジョンなんかに行くんじゃないぞ!イアソン君も!」
「はい、最初からそのつもりですよ」
「……うん!嘘じゃないね。それじゃ、行ってきまーす!」
「いってらっしゃーい!」
ダンジョンに行くつもりは無い、ただ訓練はする。嘘は言ってない。嘘は。
◆◆◆
「さて…」
ちらほらと街へ繰り出す人が見えだした頃。ベル・クラネルは廃教会の裏手で魔法の練習を始めようとしていた。直ぐに始めるのではなく、先にスキル【求めし英雄の影】を発動する。これで精神力の4割程が削られるが、発展アビリティ「精癒」「治癒」が擬似的に発現する。今日一日魔法だけを行使すると考えたらかなりお得だ。
ガクンといきなり大量の精神力がもっていかれたことによりバランスを崩しそうになるが、踏みとどまる。…やっぱり発動する時はダンジョンに行く前にやっておこう。少し慣れない。
この世界の魔法についておさらいすると、一部の種族のみに許された神秘の力である魔法は神々の降臨――即ち神の恩恵により誰しもが可能性を手にした。発現するかは素質によるものが大きいが、それでも以前よりも魔法を扱える者は増え、多岐に渡る魔法が発見されている。
基本、詠唱を唱えなければ魔法は発動せず、定められた詠唱は一つとして同じ物は無い。
だが全ての魔法に共通点はある。それは詠唱の長さによる効果の程や消費魔力で、どのような魔法詠唱者であれこの理からは外れることは出来ない。
「ふぅー……いい感じかな?」
しかし、ここに例外がいた。ベル・クラネルの魔法【エレクト】は、付与魔法であり、雷属性ということしかステイタスに記されていない。ならば詠唱はどうしたのかというと、そんなものは無い。
付与魔法エレクトはただの一言も発さずに発動できる異例中の異例の魔法であった。
その証拠に、ベル・クラネルの体には淡い燐光が迸り、表皮からは蒼い稲妻がのたうち回る龍の様に駆け巡っている。
頭、体、腕、脚、掌、足の甲、指先、武具――。
ただただこれだけを繰り返し、熟練度とステイタスを上げている。
効果の全てを把握したとは言い辛いが、現在把握できている部分は頭に叩き込んでいる。
・一つ。付与魔法を掛けた対象に電気による損傷は無い(ただそのまま振るうと耐久値を削りやすい)
・二つ。どうやらそこらへんの小石なんかにも付与できるらしい。
・三つ。自分以外の生物は効果範囲外であるということ。
・四つ。身体能力以外にも、感覚などを研ぎ澄ませたり、無茶な動きを可能に出来る。ということだ。
それを十分に理解しているベルは鍛えに鍛えた。消費される精神力は「精癒」と、あらかじめ買い込んでおいた『マインド・ポーション』により今日一日は大丈夫だ。
【ミアハ・ファミリア】の懐が温まったのは言うまでもない。
驚くべきことに、ベル・クラネルは必要時以外はこの鍛錬を止めることはなく、そのまま一日が過ぎ去ろうとしていた。
◆◆◆
「……」
ロキ・ファミリアホームの自室にて、アイズ・ヴァレンシュタインはその人形の様に精巧に整った顔を僅かに歪ませた。
原因は先日の酒乱アイズ暴動事件だ。
酒で酔い店で暴れ、挙げ句の果てには他ファミリアへ手を出してしまった事だ。酒に酔っていたから、なんて言い訳は通るはずもない。直ぐ様(口封じも含めて)補償しようとはしたのだが、いつの間にか居なくなってしまっていた。
更にファミリアも分からない為、先の戦闘から実力を逆算し、レベル3以上がいるファミリアを片っ端から探しているが見当たらない。よってロキ・ファミリアはいつあの事件の事を口外されるか分からないのだ。
ロキ・ファミリアは都市最大派閥だけあって敵も多い。このような弱みなど見せたら些か面倒なことになるだろう。
ファミリア内で秘する事は出来なくもないが、これも被害者に訴えられたら終わり、神は嘘を見抜ける。情報の真贋など今更なものだ。
その主犯であるアイズには勿論責任が追求されたが、緊急時以外の外出禁止という謹慎程度で収まった。これはレベル5で、貴重な戦力であるということと、ロキ・ファミリアというブランドによるもので、立場に救われたとも言えよう。
勿論当時現場に居たものにしかこの処分は知らされていない。情報の出所を増やしたくないのは当然のことだ。
(……嫌われちゃったかな…。痛かった、よね)
そして脳裏に浮かぶのは白髪赤目の少年。新米の証ともいえるギルドの装備でミノタウロスを斃した、勇敢な少年。
ステイタスの伸びが悪くなり、荒んでいた心を癒やしてくれたあの少年。
今はもう懐かしい微睡みへと誘う暖かい記憶を思い出させてくれ、幸せな気持ちになれた。
そんなある意味では恩人とも言える少年に、己は暴力を振るい、その仲間にも剣を振るったのだ。死人が出なかったのが不思議な程だ。
恐らくあの少年はレベル1。ミノタウロスを倒してからは分からないが、あの時点ではレベル1の新米冒険者だったのだ。レベル2以上の動きにギルド支給のナイフではとても耐えられない。いくら金欠でもそれ位はなんとかなるだろう。
自分も嘗て、遥かに高みに居る冒険者に嬲られた事はある。しかし今の自分は件の冒険者よりも強く、更に言えば当時の己のレベルは2だったのに対してあちらはレベル1。土台が違うのだ。
「あ、剣…」
愛剣『デスペレート』の代剣として神ゴブニュに頂いた剣。これも一級品で、自分が扱っても耐えうる正真正銘の一級品だが、それも今では何の意味もない。折角ゴブニュの好意に甘えたのに、あろうことに当の本人はそれを冒険者に振るい、それをダンジョンで活かす事なく謹慎となってしまった。
神ゴブニュとしても、与えた代剣が壊されなかったことに安堵すればいいのか、それとも敵に振るわれることなく置物と化した己が作品に悲しめばいいのか、複雑な心境だろう。
「……謝りたいなぁ…」
ポツリ、と零した言葉は風に拐われ、誰の耳にも届くことは無いまま消えていった。
◆◆◆
そしてここにも一人、悩める乙女がいた。
(アイズさん、今日も元気なさそうだったな…)
山吹色の長髪に体全体を覆い隠す様でいて、女の子らしい服装のエルフがいた。何を隠そう、レフィーヤだ。
彼女は敬愛するアイズの暗い雰囲気に気付いたが、かける言葉が見当たらずに肩を落としていたのだ。
「う〜…『アイズさんは悪くありませんよ』はとても言えませんし『気にしないでください』だとファミリアに迷惑がかかっているのに…って。なんて言えば……」
うんうんと唸りながら自室へ入る。
「お、お帰りなさいッス…」
「お帰り〜」
「あ、はい。ただいまです」
かけられた二つの言葉に軽く返答し、ベッドに腰掛ける。
さてどうしようかと悩ませると、ある事に気がついた。
(あれ?二つ……?)
ここは己ともう一人のルームメイトの二人部屋だった筈。客でも来ているのだろうか?話し方はラウルに似ていたが……。声の正体を見ようと顔を上げ―――
「って、あああぁぁぁぁぁぁーーーっっ!!」
「わ、何何レフィーヤ!?どうしたの!?」
そこには何故だかセイザ?をしているマンドリカルドの姿があった。
「あ、あ、あなた何で……!」
「ス、スイマセン。急にこの人「エルフィちゃんでーす」……エルフィさんが入ってきて…」
「レフィーヤの知り合いでしょ?」
彼女、エルフィ・コレットはレフィーヤのルームメイトにして、自称「誰とでも仲良くなれる美少女かつムードメーカーで火災魔法が得意な才媛」らしい。長い。
そしてテーブルに並ぶ紅茶やお茶請けの後にレフィーヤは何となく察した。
(ル、ルームメイトが居るって言ってなかったぁーー!)
「その人は危険です!は、離れて下さい!」
「そうなの?」
くるりと振り返るエルフィ。
「いやいや!?危険だなんて……いや、まあ、危険っちゃ危険じゃあるが……。少なくとも危害を加える気なんて俺には無い!…ッス」
突きつけられた杖に両手を上げながら応える。それでもレフィーヤは親の敵でも見るかの様な瞳で睨んできたが、それをエルフィが静止する。
「まあまあ、落ち着きなよレフィーヤ」
「で、ですがあの人は粗暴で残虐な…!」
「んー。それはレフィーヤが見たの?」
「え?」
エルフィは続ける。曰く、顔を見合わせてちゃんと話したことはあるのか、と。そこまで嫌うにしてもちゃんと話した末なのか、と。ただ聞いただけの事に囚われ過ぎやしないか、と。
そう言われるとレフィーヤは押し黙るしかない。確かにそんな伝説はあるし、本人も認めていたが、今の彼はとてもそのような人物には見えない。なんなら本人が最初に恥じていた程だ。
「もし本当にそんな事があったとして、大切なのは今でしょ?」
ラウルさんだってお金チョロまかしてたし、と笑いながら語ると、いそいそと紅茶の準備を始める。
「「何を…?」」
言葉が被ったことに少しムッとしながらも、今はエルフィの行動だ。
どうやら今の問いは届かなかったようで、すっかり茶会の準備は整った。
「はいっ、ここでお茶でも飲んでお互いに話してみましょう!あ、私は暫く出かけてきますからお気になさらず」
そう言うと、止める暇も無いまま扉の先へと言ってしまう。
正に嵐の様な人物だった。お世辞にもコミュ力が高いとは言えない二人は扉へと腕を伸ばすが、力なく垂れ下がる。
((ど…どうしてこんな事に……))
二人の心境はシンクロしていた。やっぱり相性いいじゃないか。
ベル・クラネル
Lv.1
力:SS1013→SS1200(+97)
耐久:SS1164→SSS1451(+287)
器用:SS1114→SS1209(+95)
敏捷:SSS1238→SSS1462(+224)
魔力:C626→S912(+279)
《魔法》
【エレクト】
・付与魔法
・雷属性
《スキル》
【英雄憧憬】
・早熟する。
・憧れの続く限り効果持続
・憧れる英雄の数に応じて効果上昇
・その英雄への理解が深い程効果上昇
【英雄(偽)アルゴノーツ】
・能動的行動アクティブアクションに対するチャージ実行権
・[イアソン]に心の底から認められる事で進化
【求めし英雄の影】
・任意発動。対象を回復後、弱体化状態をランダムで1つ解除
・使用後、6分のインターバルが必要
・魔力を消費して発展アビリティ「精癒」「治癒」の一時取得。持続時間は一日。
ベル君の雷が青い理由?そんなもの魔術回路のバチバチがカッコいいのと私がジンオウガとラギアが好きだからに決まっているでしょう。
ここまで読んでくれた方へ。この小説の文字数とテンポはどうでしょうか?
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文字数もテンポも丁度いい
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文字数はいいけどテンポが遅い
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文字数はいいけどテンポが早い
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テンポはいいけど文字数が多い
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テンポはいいけど文字数が少ない