アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
ですので本作1周年を記念して本日は1周年記念特別編として1話投稿させて頂きます。
私が1周年を迎えられたのも読んでいただける読者さんがいてこそです。
これからも頑張って行きますので本作をよろしくお願い致します。
薄らと霞んだ街並みの中を少女は歩く。
彼女は俯いているため表情が見えないが、彼女の周りには重い空気が纏わり付いている。
そんな彼女の前には1人の少女が歩いていた。
少女は彼女と年齢は近いであろうがその顔立ちから彼女よりも歳下であることがわかった。
その少女は透き通るような綺麗な黒髪を風になびかせながらただ黙々と歩き続ける。
???「・・・。」
街中は人々が行き交い賑やかであるが何故か通り過ぎる人々の顔には白いモヤがかかっておりその表情を見ることが出来なかった。
・・・どうして
彼女は少女を追いかけながら考える。
その表情は悲痛に歪み彼女の手は強く握りしめられその肌は青白くなっていた。
少女の後ろをしばらく歩いていると、少女の足が止まった。
止まった先には花屋がありそこには色鮮やかな花々が並べられていた。
・・・どうして、
少女は店員に声をかけようとする。
しかし店には先客がいたようで、店員はそちらの対応をしており少女に気づかない。
それに気づいた少女は店の外で待ちながら店内を覗いた。
そこには外に置いてある花々で作ったであろう花束が幾つも置いてあり、その奥にあるカウンターで店員が先客の対応をしていた。
先客は身長から少女と歳が変わらないであろう少年で、黒いフード付きのパーカーを来ておりその顔は深々と被ったフードで見ることが出来ない。
少年は店員に何かを伝えると店員は奥へと入っていく。
それを確認した少年は店内を見渡し初めた。
何かを考えながら見渡す少年は少女に気づいたようでそちらを向く。
???「・・・夢結」
???「・・・」
少年は少女と知り合いのようで少女へと近づくと声をかけた。
しかし、少年の言葉に少女は反応を示さない。
???「・・・ここに来るってことはアレだよね?」
???「・・・」
???「ごめん、変なこと聞いて」
彼は何とかして少女の反応してもらおうと言葉を紡ぐが、やはり少女は反応を示さない。
・・・どうして、
???「・・・」
???「・・・ごめん、俺の方は出来たみたい。」
少年がしばらく奮闘していると奥から店員が出てきたためカウンターへと戻って行った。
そして店員と少し会話すると彼は5つの花束を受け取り店の外へと出て来る。
そして1度少女へと視線を向けると、悲しそうな顔をしながら店を後にしようとした。
???「・・・貴方もお墓参りなのかしら?」
その時反応を示さなかった少女から言葉が紡がれた。
それに気づいた少女は振り返る。
???「そうだよ。」
???「・・・多いわね。」
???「・・・知り合いがね、」
???「・・・そう、」
そう言うと少女は店の中へと入って行く。
その光景を見て彼女は胸が締め付けられるような感覚に陥った。
彼女は必死にそれを抑えると1度少年へと視線を向ける。
???「・・・」
視線の先にはこちらを向く少年の姿がありお互いの目が合うのしばらく見つめ合った。
少年は彼女の表情を見るとフードを被り直し何処かへと歩いて行った。
・・・どうして、
少年の姿が見えなくなると彼女は少女へと視線を向ける。
少女はカウンターで店員に何かを話しているようで花々を見ながら考え込むように俯いていた。
その姿を彼女が見ていると、彼女の横を大きなカバンを背負った人がその真後ろを横切った。
そのカバンは位置的に彼女に当たりそうであったが、そのカバンは何ともぶつかることなく通り過ぎた。
しばらく考え込んでいた少女は顔を上げ店員に何かを伝えると店員は再び奥へと入っていく。
???「・・・お姉様、」
それを見た少女は俯きながら一言呟く、
彼女には何を言っていたか分からなかったが少女の表情から決して明るい言葉でないことはわかった。
そして店員が戻ってくると少女は花束を受け取ると店を出る。
その手には大事そうに花束が抱えられており、少女の表情は俯いているため見えない。
店を出た少女はそのまま来た道を帰り始めたため彼女の少女のあとを追って行った。
深い森のなか少年は歩き続ける。
その手には2つの花束があり、その花木々の隙間から射す光で鮮やかに輝いていた。
少年が歩き続けると前から光が漏れ出す。
その光の先には広めの広場があり陽の光を浴びて草が青々と生い茂っていた。
少年はその中を歩くと1本の木の前で立ち止まる。
???「姐さん・・・来ましたよ。」
少年は木の前でしゃがみ込むと手に持つ花束を1つ木の根元に置いた。
???「・・・俺じゃ、姐さんのお墓まで行けないので」
花束を置いた少年は立ち上がると木を背にして歩き出した。
???「姐さんは夢結をお願いします。」
少年は何かを呟くと再び森の奥に消えて行く。
その少年の背後の木の裏・・・そこには輪郭の曖昧な影が立っていた。
???「・・・」
夕日の射す丘の上、桜の花弁が舞い散るその場所に少女はいた。
少女は自身の目の前にあるお墓を見ると持っている花束を強く握りしめる。
???「・・・遅くなってしまいました。」
少女は花束を置くとお墓の前に立つと胸元から何かを取りだしそれを握りながら目を瞑る。
・・・どうして、こんなってしまったんだろうか?
その姿を見る彼女の表情はどんどんと暗くなっていく。
・・・どうして、こんなことになってしまったのだろうか?
彼女の表情を暗くするもの、
それは後悔だった。
目の前の少女がこうなってしまったのは自身のせいだ。
それが彼女の中に後悔を生み出し溜まっていく。
しかしそれは仕方がないことだったのだ。
もしも、こうならなければ彼女は彼女ではなくなっていた。
それを回避するために取った行動の結果がこれだ。
確実に起こる事実・・・必然とも呼べるそれが少女の心を傷つけてしまった。
いいや、違う。
これは自分が自分でなくなることを恐れた自身の心の弱さが招いた惨劇だ。
彼女ために動いた
彼女が諦めたことを諦めなかった
しかし彼女はその可能性を自らの手で刈り取ってしまった。
自ら可能性を捨ててしまったのだ。
もしかしたら回避出来たかもしれないことを、彼女は恐怖から逃げるために捨てた。
その結果がこれなのだ。
苦しみ続ける少女達を見続けること、
それが
???「・・・お姉様、」
少女はぽつりと呟くと目を開き握られたモノへと目を向ける。
そこにはペンダントが握られておりそれは夕日に照らされ輝いていた。
そして彼女がペンダントを開くと、中から1枚の写真が現れる。
その中には少女よりも少し大人びた少女が映し出されており、その姿は少女の背後にいる彼女と瓜二つであり、
少女の前のお墓には、
『川添 美鈴』
と書かれていた。